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165臨時国会 参議院厚生労働委員会「雇用・年金をテーマとする一般質疑」

  • 労働時間規制除外/過労死増やす制度/厚労省 日米財界の要求と認める/小池氏“撤回を”(関連記事
  • 松下 いすゞ/偽装請負「是正」は名ばかり/最短3カ月の有期雇用/小池議員追及 “雇用安定へ指導を”(関連記事
2006年12月12日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今日は、日本の職場から偽装請負などの違法、脱法をなくして、安定した人間らしい雇用をどうやって増やしていくかという観点で質問したいと思います。後半は、今ちょっと話題になりましたホワイトカラーエグゼンプションの問題も取り上げたいと思います。

 先日、この委員会で、徳島県の日亜化学工業、偽装請負を解消して、千六百人の請負労働者の正社員化の道を開きました。ビッグニュースになった事案ですが、大臣、法律違反の偽装請負、これは根絶するんだというふうに大臣は先日の委員会ではおっしゃった。これ偽装請負が明確になった場合、やっぱり一定年限を超えた全労働者を対象として正規雇用につながっていくような、そういう解決方法がやっぱり一番望ましいものでないかと私は思うんですが、大臣はいかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いわゆる偽装請負につきましては、もうこれは労働者派遣法に違反する違法行為でございます。したがいまして、この違法行為が明らかになった場合には是正のための指導を行うということでございます。

 違法状態の解消に当たっては、具体的には派遣先又は発注先による雇入れ、それから適正な請負又は労働者派遣による事業の継続、あるいは他の派遣先における派遣又は他の発注者における請負による就業機会の提供ということで雇用を失わせしめない、こういう方法。それからまた、資本あるいは取引等の関係のある事業者への雇用のあっせん等々、いろんな方法が考えられるということでございます。

小池晃君

 いろんな方法はあるわけなんですけど、その中でもやはり安定した雇用という点でいけば、発注元にしっかり正規雇用していくと、正社員の道を開くということはやっぱり労働者は一番望んでいるわけですから。

 その点で、業務請負最大手のクリスタルグループのコラボレートという会社の場合どうか。ここは構内請負業から撤退してグッドウィルグループに身売りするという、そういう中で大量解雇が心配されています。私、十二月の初めに、厚労省に対してコラボレート八十四の全営業所を調査すべきだというふうに申し上げて、これやっていただいていると思うんですが、その結果を御報告いただきたいと思います。

政府参考人(高橋満君)

 御指摘の事案の株式会社コラボレートにかかわる問題でございますが、十月三日に大阪労働局から改善命令を受けたわけでございまして、その後の改善報告書に基づきます状況でございますが、十二月四日に提出いただいた報告書によりますと、同社が請負事業から撤退する前におきます請負労働者の数、これが約一万七千三百五十名。このうち、撤退の際に発注者に直接雇用された労働者の数が約一千五十名。それから、他の請負事業主へ転籍をいたしました労働者の数が約七千三百名となってございます。

 他方、これらの直接雇用あるいは転籍者を含めての離職者でございますが、これは雇用保険被保険者資格の喪失届で把握をいたしておりますが、都道府県労働局を通じまして把握いたしましたところによりますと、十八年十一月三十日現在で約九千百五十名となっておるところでございますが、このうちハローワークの方に求職申込みをいただいた数が約六百名となってございます。

小池晃君

 発注元への直接雇用は、一万七千三百五十名の請負労働者のうちわずか千五十名なわけです。離職者九千百五十名、非常に大規模なものです。これは、偽装請負を是正する過程で起こったわけで、別に業務内容が変わったとかいうことではないわけですから、やはりあってはならない解雇であるというふうに思います。私は、引き続き行政として、発注元に対する直接採用、多くは大企業ですが、これを求めていくということを求めたいというふうに思います。

 様々、こういう派遣労働者の問題で、法律的には直接雇用申込義務があるというような話もあるんですが、実態を幾つかちょっと取り上げたい。資料をお配りしております。

 これは、松下プラズマディスプレイという、偽装請負が新聞でも取り上げられた企業です。ここは、直接雇用に踏み切ったとされるんですが、しかし請負から直接雇用になった労働者は初回三か月の有期雇用なんですね。この入社説明会の資料見ていただくと、下から二番目に「契約更新について」という項がございます。そこにはっきり書いてあるんですが、雇用契約の条件は、「入社日から二年三ヶ月を超えることはありません。」と、要するに、三か月取りあえず有期雇用、その後最長二年間の延長はするけれどもそれ以降はもう雇いませんとはっきり明文化しているわけであります。将来不安から離職する労働者も増えているというふうに聞いています。

 職安局長にお聞きしますが、せっかく直接雇用になっても有期雇用だと、しかも明確に二年三か月以上は駄目だと、正社員への道を閉ざしている、こういうやり方が許されるんでしょうか。

政府参考人(高橋満君)

 いわゆる偽装請負に絡んでこの法違反を正していく、この過程の中でいわゆる雇用の安定の措置を講じていただくということにつきまして、先ほど大臣からも御答弁あったとおりであるわけでございますが、その結果といたしまして、発注者が請負事業主の労働者を直接雇用するに至るという場合につきまして、その労働条件等、もちろんこの雇用契約の期間も含めての労働条件でございますが、それをどう定めるかということは、言うまでもございませんが、当事者間で決定をされるべきものであるというふうに考えておるところでございます。

小池晃君

 そういうことでは、幾ら直接雇用になっても労働者が報われないんですよ。非常に腰引けてると思いますよ、私、こういう態度は。

 ここだけじゃないんですね。ほかにも取り上げると、例えばいすゞ自動車の藤沢と栃木の工場の問題です。

 ここは、昨年十月に請負労働者千五百人を製造業派遣に切り替えたんです。一年たちましたから、この十月から直接雇用になる。しかし、ここでもやはり有期雇用なんですよ。しかも、全員が三か月の期間工だというわけです。その先の説明は一切なされていません。労働者の中には、自分たちは来年一体どこに行くのかという不安が広がっている。有志が会社に対して正規雇用にせよと要求してますが、いすゞ自動車の側は応じていません。

 これは、十月までいすゞに労働者派遣していたのが、製造業派遣や請負の大手の日研総業、高木工業、こういったところです。ところが、話聞いて驚いたんですが、直接雇用となった現在も、派遣のときと同じ寮に住んで、同じバスで送迎されて、派遣会社の監督員が出勤チェックしているというんですね。しかも、栃木工場で何が起こったかというと、いすゞ自動車からの雇用契約書、これは直接雇用になったわけですから労働者に対して雇用契約、しっかり手渡して結ぶというのはこれ当然の責任なんですが、これ転籍時に渡されないと。労働者が問いただしたらば、派遣会社である日研総業のニュースに、詰所に置いておくから取りに来るようにというふうに書いてあったというんです。契約時に契約書渡さないというのは、これは明らかに私は労基法違反ではないだろうかというふうに思います。

 しかも、その派遣会社の監督員が今何やっているかというと、いすゞの期間工に対して、労働者の職場を回って、もし行く先がないのであれば次の派遣先紹介してもいいですよと、そういう話をしている。労働者は、また派遣に戻るのかと非常に不安が広がっているというふうにも聞いています。

 政府参考人にお聞きしたいんですが、このいすゞ自動車の現在の職場の実態について、私は労基法違反も含めて調査、是正すべきだというふうに考えるんですが、この点いかがですか。

政府参考人(青木豊君)

 個別のお話でありますので、具体的には御答弁差し控えたいと思いますけれども、一般的には、申し上げれば、労働者派遣から直接雇用に切り替える場合には、新たに労働者を雇い入れるということになりますので、直接雇用することになる事業主は、労働基準法第十五条に基づいて文書により労働条件を明示しなければならないということになっております。

 労働条件明示が適法になされないなど、労働基準関係法令上の問題が認められた場合には、必要な監督指導を行ってまいりたいというふうに思っております。

小池晃君

 これは、既に訴えも出ていると思うんです、当該の労基署には。これ、きちっと厳正な調査をしていただきたいと。

 こうしたことが堂々とまかり通っていくのであれば、たとえ直接雇用にされたとしても短期間でほうり出されると。で、また同じ働き方に戻っていく、あるいは別の会社で派遣というふうになっていく。こういうことでいいのかということだと思うんですね。

 そもそも労働者派遣法というのは、派遣労働についてはこれはあくまで一時的、臨時的な働き方だと、常用代替にならないというふうに何度も政府は答弁をしてまいりました。これは前回の労働者派遣法の改定時の鴨下副大臣の答弁でも、申込義務というのは期間制限違反を未然に防止し、派遣労働者との雇用関係を明確にすることで当該派遣労働者の雇用の安定を図ると、これが目的だとはっきり言っています。

 直接雇用であれば、これはどういう雇用形態になるかはそれは企業が決めること、労働者との間で決めることということじゃこの法の趣旨はないと思うんですよ。三か月や五か月で切られてしまう、あるいは二年三か月以上は雇用しませんと、これは私はこの派遣法の精神に反する事態であるというふうに思うんです。

 こういう松下、いすゞのやり方というのは、私は派遣法の趣旨から照らせばこれは反するものであるし、やはり法の趣旨が生かされるような行政としての是正指導、これが求められているんじゃないですか。局長、いかがですか。

政府参考人(高橋満君)

 いわゆる派遣法におきます雇入れ申込み義務にかかわる趣旨ということになろうかと思いますが、特にいわゆる期間制限のある業務にかかわる雇入れ申込み義務については、これは先生も御案内のとおり、この期間制限違反ということを未然に防止するための一つの担保措置ということと同時に派遣労働者の雇用の安定ということも併せ図っていくという趣旨であるわけでございます。

 ただ、この申込み義務を履行する中で、派遣先が直接雇用をするという場合に、どのような形で労働条件を決めていくか。これは先ほど来、御答弁申し上げているとおりでございまして、繰り返しになりますが、やはり当事者間でよく話し合って決めていただくべきものというふうに考えているところでございます。

小池晃君

 雇用の安定のための仕組みだと言いながら、どういう雇用になるかはあとは当事者任せというのは、これは法の趣旨に反するんですよ。無責任過ぎるんですよ、それでは。厚生労働省として、私は労働者に対する責任を果たしていることにならないというふうに申し上げます。

 今、財界は更にこの派遣期間の見直し、撤廃ですね、あるいは雇用申込み義務の撤廃、こんなことまで言い出している。これは正に格差を拡大し、いわゆるワーキングプア、こういったものを拡大していく。本当に日本の労働者の展望を失わせるようなものですから、これは絶対認められないということも重ねて申し上げたいと思います。

 続いて、現在、労政審で審議されている労働時間法制の問題です。先ほども議論になっていましたが、自由度の高い働き方という考え方で一定の要件を満たすホワイトカラー労働者というわけですが、まず最初に基本的なことですが、ホワイトカラー労働者と言われる人は一体どういう人で、現在何人いるか、雇用者全体に占める比率はどうか、お答えください。

政府参考人(青木豊君)

 ホワイトカラー労働者については、一般的には総務省の調査であります労働力調査における雇用者分類のうち、専門的・技術的職業従事者、あるいは管理的職業従事者、事務従事者、それと販売従事者を指すものと認識されております。これによれば、平成十七年におけるホワイトカラー労働者は約二千九百六十四万人でございます。全労働者の約五五%を占めております。

小池晃君

 この労政審の審議の過程で、自律的働き方とかいろんな言い方変えてきていますが、出発点はアメリカ型ホワイトカラーエグゼンプションということです。この制度は労働者側からこれ入れてくれという声は一切上がっていません。事実として私はお伺いしたいんですが、一体どういうところから、どういう団体なり、どういう国なり要請があったのか、この事実を紹介していただきたい。

政府参考人(青木豊君)

 ホワイトカラー労働者に対します労働時間制度の在り方については、平成十四年十二月の労働条件分科会報告にも記載されているところでございますが、使用者側からの意見も踏まえまして、平成十七年四月に今後の労働時間制度に関する研究会を立ち上げるなどいたしまして、厚生労働省として検討を行ってきたところでございます。

 こういった検討をしている中で、今お話のありましたいろんなところで要望がございますが、例えば日米投資イニシアチブ、今年でございます。あるいは日本経団連の提言、これは昨年でございますし、つい先ごろ在日米国商工会議所などからも要望はなされておるところでございます。

小池晃君

 結局、そういったところからなんですよ。郵政民営化のときの話を思い出すんですが、財界あるいはアメリカといったところから要望が次々出されて議論が進んでいる。

 具体的に、じゃ中身に入るとどういう労働者対象にするのか、要件は、労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事する者、業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者、業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする者、こういう労働者がいるんだろうかって全く私イメージわかない。唯一分かるのは、年収が相当程度高い者、これだけです。昨年六月の経団連の要求では、この年収について四百万円以上の労働者というような提案もされている。これ実態、四百万人以上の労働者数というのは国税庁の調査で二〇〇五年では二千三十一万人います。一体どういう人々かというのを、ちょっと私調べてみたんですね。

 これでいいかどうかだけ確認したいんですが、厚労省の賃金構造基本調査でいいますと、年収四百万円超えるのは大卒で二十代後半、入社三・六年目、二十七・六歳、これで平均年収が四百三十一万円です。あるいは高卒入社では三十代前半、入社八・五年目、三十二・五歳、これで平均年収四百五十二万円です。四百万円超える、大体こういうイメージということで、これは事実としてよろしいですね。

政府参考人(青木豊君)

 年収が相当程度高い者というふうに言っておりますので、今の御質問のところがそこをぴたっと当てはまっているかどうかというのは大変疑問だと思いますが、お尋ねの賃金構造基本統計調査によれば、おっしゃるとおり、大学、大学院卒の二十五―二十九歳の男性の平均年収は四百三十一・三万円でありますし、それぞれ高専、短大卒の三十―三十四歳であれば、平均年収は四百五十二・六万円、高卒の三十―三十四歳の男性の平均年収は四百三十八・三万円でございます。

 なお、日本経団連の報告書、先ほどちょっと申し上げましたが、昨年の報告書で提言をしているこのエグゼンプションについては、年収四百万円と年収七百万円が提言されていたと思いますけれども、四百万円については全労働者の平均給与所得だという説明だったというふうに思っております。

小池晃君

 経団連の言い訳までしないでよろしい。

 年収の水準については、これ七百万円とか一千万円とかという数字も出ています。しかし、これは相当程度の年収という形になれば、一度導入されれば、これは使い勝手が悪いとか実情に合わないということで、最初は小さく産んで大きく育てるというのは今まで皆さん全部、労働者派遣法だって最初は限定でやってどんどん広げるってやってきたわけですから、私は何の歯止めにもならないというふうに思うんですね。

 そもそもこの年収の水準というのをこの対象の労働者の中に持ち込んでくるということについてお聞きしたいんです。その自由な働き方ができるかどうかということと年収ということについては一体どういう関係あるのか。関係があるんであれば、その根拠を示していただきたい。

政府参考人(青木豊君)

 新しい制度及び検討中の制度につきましては、自由度の高い働き方がふさわしい労働者を対象とすると、そういうことに限定をするために対象労働者の要件として、労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事している、あるいは業務上の重要な権限、責任を有する地位にある者であるということ、あるいは業務を遂行していくその手段、あるいは自分でその業務を行う時間配分、その決定に関して使用者が具体的な指示をしないというものを要件とすることを検討しております。

 そういう意味で、また新制度では、対象労働者本人の同意も必要とすることとしてはどうかということでありますし、業務量を適正なものとするため、業務内容とか業務の進め方について使用者と対象労働者との間で話し合うこととすることを検討しておりまして、対象労働者は使用者と十分に話し合うことができるだけの交渉力を有する労働者であるということが必要であるというふうに考えております。

 さらに、この制度では割増し賃金が支払われないということになりますので、対象労働者は割増し賃金が支払われなくても保護に欠けない程度の処遇を受けている労働者であることが必要であります。このため、この制度においては年収が相当程度高い者であることを要件とすることを検討しておりまして、こういうことによって自由度の高い働き方にふさわしい労働者に対象が限定されるというふうに考えております。

小池晃君

 三つの要件と年収の関係を聞いているんじゃなくて、自由な働き方ができるということと年収の関係を聞いているんですよ。一定の収入があれば自由な働き方ができるという、そこに何か関係があるんですかと私は単純に聞いているんですよ。その間にどういう関係があるんですかと。

政府参考人(青木豊君)

 今申し上げましたように、業務内容、業務の進め方等について使用者と言わば対で話し合うことができて、そういう意味で使用者と十分に交渉力を有する労働者であるということが必要だということで年収要件を一つの要件としておりますし、また、これは労働時間の適用除外ということでありますので、割増し賃金の支払ということはなくなるわけでありますので、割増し賃金を支払わなくても保護に欠けない程度の処遇を受けている必要があると、そういう労働者だということで年収要件を定めているということであります。

小池晃君

 IBMの労働者との関係で、あなた方は、年収一千万円を超えるような労働者でも業務の裁量制がないという組合の訴えを認めているんですよ。その対象から除外させているんです。しかも、この年収との関係でいうと、同友会は、ホワイトカラーエグゼンプションについて年収を基準にするのはおかしいと、もっといろんな要素があるはずだと言っているんですよ。

 だから、私聞いていることにちゃんと答えていただきたい。自由な働き方とこれだけの年収、この年収何万円以上であれば自由な働き方になると、ここに何か直接の関係ってあるんですか。まあ迂遠していろいろとおっしゃるけれども、直接この二つを結び付ける関係はないでしょう。どうなんですか。

政府参考人(青木豊君)

 自由度の高い働き方ということを言っているのは年収だけではありませんで、先ほども申し上げましたように、業務でありますとか、権限、責任、地位でありますとか、そういったことで要件を規定していくということでありますし、それから同友会のお話もちょっと出ましたけれども、同友会の本を私も読みました。読みましたが、どうもおっしゃっていることは、現在労働時間規制がない管理監督者、適用除外されている管理監督者の範囲を広げるということが基本的な考え方の根底にあるというふうに私は理解しておりまして、今お話しになっている、ここで議論になっているこの自由度の高い働き方とはおよそ違うもの。したがって、これではなくて、管理監督者の拡大でやってもらいたいと、こういう提言だというふうに私は理解しております。

小池晃君

 何でもかんでも自分に都合のいいように解釈しないようにしてください。これ、自由な働き方、自由度と年収との関係に直接の関係はないんですよ。説明できないんですよ。

 さらにお聞きしたいんですが、この制度の対象となった労働者というのは労基法の適用除外になる。労働時間管理しない。つまり、労基法三十二条の対象から外すということになる。これ、確認の意味で聞きますが、そうなると、三十七条の時間外、休日及び深夜の割増し賃金の適用もこれは外れることになるんですね。

政府参考人(青木豊君)

 この労働基準法上の労働時間規制というのは、週四十時間、八時間、そして労使協定を結べば、その結んだ範囲で時間外労働をしていい、そしてその場合には、今おっしゃったような割増し賃金をきちんと払えと、こういう規制になっているわけであります。したがって、この一連の労働時間規制というものを外すということでありますから、おっしゃったような御質問の割増し賃金三十七条の規定は適用されないということになります。

小池晃君

 つまり、幾ら働いても残業代は出ないということになるわけで、だから残業代がなくなるということで、今サラリーマンから怒りの声が上がっているわけです。

 しかも、今回の素案の中見ますとほかにもいろいろある。企画業務型裁量労働制の適用を広げる。管理監督者となり得るスタッフ職を明確にする、つまり管理監督者の枠の拡大ですね。それから、事業場外みなし制度の見直し、こういったものも入っている。こういった項目も結局、労基法内ではありますけれども、しかし、その残業代を支払う義務のない人を増やす提案だということになると思うんですが、そういうことですね。

政府参考人(青木豊君)

 今幾つかお触れになりましたけれども、新しい制度というのは、先ほど来申し上げていますように、労働者が権限、責任を付与されまして、労働時間の配分について使用者から具体的指示を受けずに働く制度として考えているわけであります。したがって、使用者からの時間外労働命令によって労働をするものでない以上、その割増し賃金は支払われないんだという考え方に立っているわけであります。

 また、お話にありました管理監督者でございますが、管理監督者となり得るスタッフ職の範囲を明確化することについて検討しておりますが、これは管理監督者の範囲についての現行の考え方を維持した上で具体的な判断基準を明確化しようというものであります。管理監督者の範囲を変えるものではありません。

 それから、企画型裁量労働制、事業場外みなし制度の見直しについても検討しておりますが、それらの人について今回の見直しにおいても割増し賃金の支払を不要とするというような内容の見直しは考えておりません。

小池晃君

 大臣にお聞きしたいんです。サービス残業は摘発件数が増えております。過労死、過労自殺の認定も増えています。さらに、残業代をカットするということに怒りが広がっています。

 民間のシンクタンクである労働総研の試算では、このホワイトカラーエグゼンプションが導入されると、カットされる残業代の平均は百十四万円になるという試算もございます。サービス残業を加えると、カットは十一兆六千億円だという試算もあります。

 大臣にお伺いしたいんですが、ミニ経済白書も出されまして、ここではやっぱり景気の問題について、実質雇用者所得の伸びが鈍いと、消費が減っているというふうに指摘をしている。非正規雇用の増加によって労働分配率は今後も低下するだろうというふうに言っているんですね。この上、残業代をカットするような制度まで導入すれば、私は、ますますこうした傾向に拍車を掛けることになる。労働者の健康、過労死を増やすという点でも非常に危惧されるし、同時に、今労働者の所得を減らすような、そういう雇用政策を打ち出すということは、私は日本経済にとっても絶対にプラスにならないというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今のホワイトカラーエグゼンプションが時間外手当をなくすためであると、したがって、それは労働者の賃金を更に低下させる制度であるというような御議論かと思いますけれども、それは私はそう思わないんです。それは思いません。

 それで、やはり私どもが考えるのは、やはり企画立案というような労働内容ですと、これは時間で測るということがほとんど余り意味を成さないわけですね。むしろ、成果でもって報酬を与えられるべきだと、こういうのが基本だろうと思います。そういう意味合いで、今までは管理職というところに着目してそうしたカテゴリーの労働者を創成したわけですけれども、今度はそういった労働の実際内容に即してそうした一つの労働者の型を作って自由に働いてもらうということが非常に日本経済のためにもよろしいんではないか、こういう基本的な考え方に立っています。

 労働分配率の問題ですけれども、労働分配率が低下をするということについては、私ども労働行政を担当しておる者としては常に注意を怠ってはならないと、このように思っておりますけれども、これは少し長いスパンで考えてみますと、必ずしも今が非常に労働分配率が際立って低下している時期というわけでもないと、こういうように考えまして、今後、少し最近これが上昇する傾向も見せておりますので、これらを助長する方向で労働行政を展開していくべきだと、このように考えております。

小池晃君

 厚生労働省が労働者の立場に立たずに日本経団連の立場に立ったら駄目なんですよ。やっぱりこの問題については、ホワイトカラーエグゼンプション、これは提案自体撤回することを私は求めます。

 質問を終わります。

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