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165臨時国会 参議院厚生労働委員会「臓器移植・医療をテーマとする一般質疑」

  • 国際比でも医師不足/医学部定員増など抜本策迫る/参院厚労委 小池議員(関連記事
2006年11月2日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 医師不足の問題についてお聞きをしたいと思うんですが、医師不足と一般的に言うより、これは勤務医不足だと私は思うんですけれども、病院、診療所の閉鎖あるいはストレスなどによるいろんな被害そして医療事故、非常に深刻な事態になっていると思います。

 大臣に最初に基本的な今の現状に対する認識をお伺いしたいんですが、深刻な医師不足、特に勤務医の不足という実態に対してどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 何回も申し上げていることですけれども、医師の数そのものは毎年三千五百人から四千人程度増加いたしておりまして、平成十六年度末現在で約二十七万人、人口十万人当たり医師数は二百十一・七人ということになってございます。

 そういう中で、私どもとしては、非常に勤務医の先生方が大変長時間の労働をせざるを得ない状況になっておりますけれども、マクロ的なその数字自体に多大な問題があるというふうには必ずしも考えておりません。ただ、今私どもとしては、地域的な医師の偏在が起こっている、それからまた診療科による医師の偏在が起こっているというように認識をいたしておりまして、こうした問題には的確に私ども対処していかなければいけない、こういうように思っております。

 このような医師の、まあ不足感とあえて言わせていただくわけですが、改善に向けまして早急に必要な対応をしなければならない、このように考えておりまして、本年八月に関係省庁とともに新医師確保総合対策を取りまとめましたところでございまして、今後とも現状を踏まえながら医師の確保に努めてまいりたいと、このように考えております。

小池晃君

 その偏在なんだと、マクロ的な問題じゃないんだっていう認識そのものが非常にやっぱり出発点として私問題だと思うんです。

 今日はそのことをやりたいと思うんですが、厚生労働省の医師需給検討会の報告でも同じような趣旨を書かれています。しかし、大変疑問を持つのは、国際比較の視点が全く欠落している点であります。人口当たりの医師数は日本はフランスやドイツの六割にすぎません。OECDの平均医師数で比較すると十二万人少ないという計算もございます。

 局長にお伺いしたいんですが、国際的に見れば日本の人口当たり医師数が少ないと、これは認められますね。

政府参考人(松谷有希雄君)

 先生御指摘のとおり、現時点での臨床医師数を比較した場合、我が国の人口当たりの医師数は米国あるいは英国などを下回っているわけでございます。国土の規模あるいは医療提供の仕組みが国ごとにそれぞれ異なっているということを踏まえますと、単純に医師数のみを比較して論ずることは適切ではないと思いますけれども、数字の上ではおっしゃるとおりでございます。

小池晃君

 その国土の広さとかいろいろおっしゃるけれども、私は一つの重要な指標だと思うんです。問題は、歴史的に見るとそれがどう動いてきたのかということが大事ではないかと。

 今日お配りしました資料の一枚目見ていただきたいんですが、これはOECDの医師数と日本の医師数の推移を厚生労働省からいただいた数字に基づいてグラフにいたしました。一九七〇年の段階でいわゆる一県一医大政策というのを打ち出して医学部入学定員を増やすと決めたわけです。そのときの日本の平均というのは、十万当たり百十人、OECDは百二十人でした。正確に言うと、日本は百十二名だったと。その当時、日本は十万人当たり百五十人という目標を立てたわけですね。医者を増やそうということでやっていったわけですよ。ちょうど私が医学部入学する年ぐらいまで、新設医大の建設が毎年のように続きました。最後、山梨医大でした。それが突然、一九八二年の臨調第三次答申が出て、それを受けて閣議決定が行われた。で、八六年に医学部入学定員一〇%削減という流れになったわけであります。その結果、グラフ見れば明らかなように、その当時百五十名で頑張って増やしていった、それは達成したんですが、その後伸びが抑えられて、OECDとの乖離はどんどんどんどん広がっていったんではないだろうかと思うんです。

 局長、この八六年のときの認識なんですが、このときの医師需給検討委員会の最終報告には、先進諸国は共通して一九六〇年代までは医師不足の認識を持って養成力の拡大に努めてきたが、一九八〇年代には一転して医師過剰に悩んでいると、だから日本も減らす方向でという、そういう分析されているんですが、先進諸国は今医師過剰に悩んでいるんでしょうか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 諸外国の医師需給の状況につきましては、先般の当省におきます医師の需給に関する検討会においても、その中で報告されたところでございますけれども、それによりますと、先進諸国の間では医師の配置の地域等の間の格差あるいは偏在が問題となっている国がある一方で、医師の失業が発生している国もあるなど様々な状況に置かれておりまして、各国ではそれぞれの状況に応じた対策が進められているという状況であるということでございます。

小池晃君

 中にはそういう国もあるかもしれませんが、全体として医師過剰で世界が悩んでいるというような状況でないことは明らかだと私は思うんですね。

 逆に、そのOECDの水準というのはどんどんどんどん上がってきている。これは医療の質がやっぱり変わってきています。医療の内容が大きく変化してきています。そういう中で私は当然の世界の流れなのではないだろうかなというふうに思うんですね。先ほど二〇二二年には二百六十名というような話ありましたけれども、じゃ、そのときOECDは一体何人になっているかということを考えると、もっと上がっている可能性があるわけですよ。

 大臣に、この流れとして見た場合に、私は、世界各国というのはやっぱり医師数増やして医療の質を上げていくという方向で努力をしてきている、それに対して日本というのはこの流れから見るとやはり立ち後れつつあるのではないか、そういう認識をお持ちになりませんか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 このグラフを見ますと今、小池委員の指摘されるような状況というのが読み取れるわけでございますが、我々の国におきます例えば乳幼児の死亡率であるとかあるいは平均寿命であるとかということを考えると、ここが直ちに私どもが医師が不足して国民の健康あるいは寿命といったようなものにすぐ影響をしているという状況かといえば、やはりそうではないというふうに私は考えるわけでございます。

 御指摘のとおり、現時点での臨床の医師の数は、国際的な比較で見た場合に、人口当たりで見ますとアメリカやイギリスなどを下回っているわけですけれども、各国にはそれぞれ医療提供の仕組み等異なっているということもありますので、余りこれを単純に比較をして考えていくということが適切であるとは思っておりません。

 私は、こういう状況に立ち至ってなお、日本の国としては、日本の国柄、これは情報だとか交通だとかというような手段であるとかそういったものを踏まえて、余り過重な負担を先生方お一人お一人に掛けることは、これは避けなければなりませんけれども、やはりより効率のある医療の提供といったようなことを目指していくべきだと、このように考えております。

小池晃君

 乳幼児死亡率が低い、あるいは日本の医療の水準高いのは、本当に現場で頑張っているからなんですよ。その結果なんですよ。しかし、だから医師数足りているんだなんという認識だったら、大間違いですよ。今、本当に現場は大変疲弊している。ぎりぎりの努力をしている。このまま行ったら本当にもうやっていけないと、みんなそう言いますよ。それは、こういう医師数の中で、医療の質は上がってきている、医療技術も高度化している、患者さんから求められる水準も高まっている。ぎりぎりの努力しているけど、もうやっていけないと、そういうふうになってきているんですよ。

 一方で、諸外国はやはり医療の内容の変化に応じて医師数増やすっていう、私は単純な議論をしているんじゃないです。流れとして日本のこの政策の流れ正しかったのかと。七〇年代に進んだ方向を八〇年代に方向転換した、このことが今深刻な矛盾になってきているんだということを、私、深刻に受け止めないと、今の医療の水準高いからこれでいいんだなんといったら現場は大変なことになると思いますよ。認識、根本的に間違っていると思います。

 しかも、個別具体的にこの報告書の中身見ていくと、医師の勤務時間を四十八時間にすれば必要医師数は満たされるんだというようなそういう設定の仕方で、今の医師数で大体九千人ぐらい増員すれば国民に必要な医療が提供され、医師の労働条件も改善できるというような、そういう結論になっております。

 局長、これ何で四十八時間という労働時間にしたんですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 今回の医師需給の推計は、医療施設に従事するお医者さんに対して行ったアンケートの結果を踏まえて行ったものでございます。具体的には、病院に勤務しているお医者さんの平均勤務時間が週四十八時間労働であったということを基にいたしまして、平均勤務時間が週四十八時間を下回っておる方ももちろんいらっしゃいまして、中高年、年齢の高い勤務医あるいは診療所の勤務の方々は四十八時間を下回っていることが多いのですけれども、こういう方々の労働時間を変えることはなく、勤務時間が平均の四十八時間を上回っている、特に病院で若手のお医者さん、勤務医の勤務時間を週四十八時間までに短縮すると、これを前提といたしまして医師需給の推計を行ったものでございます。

小池晃君

 現状追認なんですよ。これ、けしからぬ話だと私思うんですね。これで何で労働条件改善の数になるのか。

 労働基準局長来ていただいていますが、個別の問題じゃないんですよ。この医師数算定の前提として週労働時間四十八時間とすることは、労働行政から見てどういう問題あるんですか。

政府参考人(青木豊君)

 個別の問題ではなく全体ということでありますが、これは推計でありますので私の方から申し上げるというのはなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、ただ四十八時間ということについて申し上げれば、労働時間につきましては労働基準法において週四十時間を原則とする旨が規定されております。これを超えて労働をさせる場合には、時間外労働に関する協定を労使で締結してもらい、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

 まあそこまで考えているかどうか分かりませんが、そういったことが前提となったものではないかなというふうに思っております。

小池晃君

 いずれにしても、一方で労働行政四十時間という原則を置きながら、四十八時間で算定するということ自体がこれ根本的におかしいんですよ。しかも、労働時間の中身も、よく聞くと、例えば当直時間の扱いで、夜から朝まで当直していたと、その中で勤務時間というふうに扱われているのは実際に患者さん診療している時間だけなんですね。寝ている時間だって当直時間には短くたってあるわけですよ。そういうのは全部省いてあるわけです。これで勤務時間だという、そういう数字で、だから九千人増やせばいいんだという結論先にありきだと、検討委員会の委員からもそういう意見が出ているんですね。私これ本当にもう大問題だと思うんです。

 しかも、偏在だというふうにおっしゃる。六ページ目見ていただきたいんです。偏在だといういろんな中身があるんですね。病院と診療所の偏在とか診療科目の偏在、地域的な偏在もあると。

 今日、地域的な偏在だけに絞って議論したいんですが、偏在ということは一方に足りない地域があって、もう一方に十分いる、あるいは過剰にあるということだと思うんです。じゃ、この六ページの表で医師数が十分あるいは過剰だというのはどこなんですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 医師の偏在は、おっしゃるとおり、地域的にもこの都道府県別に見ても、人口十万単位の医師数で、二百、平均を上回っているところ、それから二百に至らないところという形であるわけでございます。

 全国的に見ますと、この先生御提出の表でもお分かりいただけますように、西高東低でございまして、九州地方は比較的多いところが多く、東北地方は少ないという状況にございます。また、各都道府県内におきましても、県庁所在地など人口当たりの医師数が多い地域と、郡部など少ない地域があるというふうには承知をしておるわけでございます。また、地域の中でも、医師が多い医療機関とそうでない医療機関があるということでございます。

 どこが絶対的に多いのか少ないのかということはなかなか一概に言えないわけでございますけれども、医師の偏在につきましては、人口当たりの医師数が少なく、かつ面積当たりの医師数も少ないという地域は医師の不足が特に深刻というふうに考えられるというふうに思っています。

 医師数の多寡につきましては、地域の事情が様々でございまして、原因はなかなか特定することが難しいんですけれども、大学医学部等の地元定着率、あるいは地域の医療提供体制の状況等がこの偏在に影響を及ぼしているというふうに考えております。

小池晃君

 私、多いか少ないかを聞いているんじゃないんです。多いか少ないかは数字を見れば分かるんです。

 偏在ということは、足りないところと十分なところがあるはずなんですね。じゃ、十分だというのは一体どこなのかと私は聞いているんです。例えば、最も多いのは徳島県だ、二番目は鳥取だと、三番目は東京だと。じゃ、この三つ、上から三つは、これは、ここでは医師数は十分だということですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 十分かどうかということになりますと、考え方によってまちまちになってしまうということだと思いますけれども、日本全国を平均的に見まして、例えば今御指摘の上位三県は多いのか少ないのかという点では多いということでございまして、これが十分かどうかということになりますと、これはそれぞれのお医者さんに対するニーズをどのように価値判断するかということが入ってまいりますので簡単には申し上げられませんけれども、相対的に申しますればそういうことでございます。

小池晃君

 いや、だから、それじゃ偏在の説明にならないんですよ。

 トップの徳島県ですらOECDの平均より少ないわけですね、これ。だとすれば、これは日本じゅうどこでも不足地域であって、不足地域の中に比較的多いところと少ないところがあるということなんじゃないですか。これは偏在ではなくて、絶対的医師不足の中で、その中で格差があるということなんじゃないですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 OECD諸国の数字を基に議論をいたしますと、おっしゃるとおり、単純平均でいうと、二〇〇四年で申しますと三百十一人、その前ですと二百九十人という数字がございますけれども、二〇〇四年のことについて、先ほども答弁いたしましたけれども、人口で加重平均いたしますと二百六十二人ということになりまして、OECD諸国全体の平均ということになりますとそのくらいの水準ということになりますけれども、国際水準をある意味ではワールドスタンダードとして取れば、それより多いか少ないかということで、我が国全体で少ないわけでございますので、足りているかどうかという点でいえば、徳島が若干加重平均のOECDより上回っていると、そういうような状況だと思います。

小池晃君

 我が国全体で少ないと今はっきりおっしゃったんですよ。

 大臣、これ偏在じゃないんですよ。我が国全体で少ないんですよ。そういう基本的認識の下に政策を進めなければ私は誤ると。大臣、そう思いませんか。この今の実態というのは、偏在なんだということで全体のやりくりをすればいいんだというんじゃなくて、やはり全体として不足しているんだという、そういう見地で進まなければこの問題は解決できないのではありませんか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いや、偏在は偏在なんだろうと思いますね。

 やっぱり、二百八十二というようなところがあるかと思うと百五十とか、私の選挙区の静岡も百七十四ということで大変苦戦をしておるわけでございまして、そういうへんぱな数、偏った数が見て取れるという意味では、やはり偏在だという言葉が全く当たっていないとは私は思いません。

小池晃君

 ということは、大臣、じゃ厚生労働省として医師の数が過剰な県はどこなんですか、これでいうと。お答えいただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いや、過剰と言っているわけじゃないんです。平均値を置いた場合にばらけているということを言っているんですね。

小池晃君

 だから、先ほども言ったように、片方に余っていて片方に足りないのであれば偏在だということで済むんですが、全体として不足して、その中でいろんな差があるということであれば絶対的不足なんだという見地で、やはり閣議決定自体も見直して事に臨むべきであるということだと思います。

 私は、この医師不足問題というのは、やはり社会保障に対する国の財政支出を抑えるという、そういう路線が本当に深刻な矛盾を来してきていることの表れだというふうに思いますし、この基本路線をやっぱり転換することなしに安全な医療を提供することはできないんだという問題としてとらえて取り組む必要があるということを申し上げたいと思います。

 それから、リハビリの問題、前回に引き続きお聞きしますが、ちょっと時間の関係で若干飛ばします。

 受皿の問題を今日はお聞きしたい。多くは介護保険になるんでしょうが、六十五歳未満などの場合で介護保険の対象にならない方というのは、これはどうするんですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 介護保険の適用とならない若年者についてでございますけれども、こうした方々が機能の維持を目的としたリハビリテーションが必要と、こういうケースもあるわけでございます。こういうケースにつきましては、難病患者でありますとか障害児者の例が考えられるわけでございますけれども、これらの方々につきましては、医療保険の中で算定日数の上限に掛かることなく必要なリハビリテーションが提供できる仕組みとなってございます。

 具体的には、難病患者につきましては難病患者リハビリテーション料、障害児者につきましては、今回の改定におきまして新たに障害児者リハビリテーション料を設けたところでございまして、いずれにつきましても、新たな疾患別リハビリテーション料の体系とは異なる別建ての体系で評価しておりまして、特に算定日数の上限を設けていないわけでございます。また、このほかに障害者自立支援法における施設訓練事業の対象となる方もいらっしゃると理解してございます。

 もう一点、脳血管疾患等につきましては、これは委員御承知のとおり、介護保険における特定疾病になってございますので、四十歳以上の第二号被保険者であれば、これに起因する必要なリハビリテーションについては介護保険の給付対象となるものでございます。

小池晃君

 自立支援法で対応するというお話がありましたが、受皿になり得る施設、どのくらいあるのか、ちょっと簡潔にお答えください。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 リハビリテーション医療を終了した後、継続的な障害を持たれた方への障害者自立支援法による対応でございますけれども、現在でも地域生活を目指して各種の訓練をされる場合、更生施設という施設体系がございます。身体障害者の更生施設といたしましては、障害種別に細分化されておりますけれども、平成十六年十月一日現在で計百十四施設ございまして、今般の自立支援法によりましては、現在の施設体系、施設機能と利用者の実態、この間があるんじゃないかという御指摘もあることから再編をすることとしておりまして、社会的リハビリテーションを充実して行う自立機能訓練と、こういう事業を設けまして、平成二十三年度末までに移行していただくことにしております。身体障害者の更生施設につきましては、現在の機能から一番自然に本事業への移行をしていただけるものではないかと、このように考えております。

小池晃君

 百十四施設ということで、平均すれば一県に一、二か所程度ということになるので、これは受皿としては極めて私は不十分だと思うんです。

 一方で、介護保険の方はどうかということで、先ほども御質疑ありましたが、これ実態を見ますと、通所リハも訪問リハもこの間増えてないんですね。例えば、東京の品川区、人口三十万人ですが、通所リハは一か所です、訪問リハビリはありません。文京区、通所はリハは二か所です、訪問リハは一か所です。訪問リハは特に少ないのが実態なんですね。局長、これ、実態として整備遅れているんじゃないですか、やっぱり。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 介護保険サービスの関係でございますけれども、全国的に見ますと、通所リハビリの事業者数でございますが、先生御案内かもしれませんけど、約六千弱ございます。それから、最近の傾向を見てまいりますと、利用者の数もここ三年ぐらいで三〇%ぐらい増えておりまして、そういう意味では各県あるいは市町村が作成をいたします事業計画に基づきまして計画的なサービスの確保は行われているんではないかというふうに思っております。

小池晃君

 いや、標榜していてもやっていないところもあるというふうに聞いていますし、私は地域格差は非常にこの面は大きいと思いますよ。こういう準備できないうちに打切りだけ決めるというのは、本当に無責任だというふうに思うんです。

 しかも、介護報酬の問題で、今年の春の改定で訪問リハは五百五十点から五百点に引き下げたわけですよ。元々低い上に一割近くも点数引き下げて受皿やってくださいというのは、これはちょっと虫のいい話なんじゃないですか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 今年の四月から訪問リハビリの点数の改定をいたしましたが、全体としては訪問リハビリの点数を下げるということはいたしておりません、総体としてはですね。ただ、短期の集中的なリハビリが大事だということで、全体の点数を組み替えまして、短期間に集中してリハビリを実施すべき期間につきましては、短期集中リハビリテーション実施加算という形でそこは手厚くする。また、したがいまして、退院あるいは退所直後の三か月につきましてはそういう形の加算をいたしておりますし、それから、今回リハビリテーションマネジメント加算というのを設定いたしまして、利用者の方の状態を把握し、どういう目標でもってリハビリを遂行していくか、あるいは計画を策定してそのプロセスを継続的にマネジメントするといったような場合には加算をするというようなこともやっておりますので、全体としては問題はないんではないかというふうに思っております。

小池晃君

 しかし、短期じゃないんですよ、今度の問題は。長期にわたって維持期のリハをやっていく、そこを受皿にしようと、そこを減らしているわけですからね。私、言っていることとやっていることが本当に矛盾していると思うんです、この点は。

 しかも、通所リハについては大規模減算という制度を導入をいたしました。要するに、月の利用人数がある程度超えると、翌年度の報酬が九〇%になるという制度です。あるお医者さんは、通所リハが地域に少ないんで一生懸命やっていたと。徐々に利用者が増えてきた、職員も増員してきた。ところが、一日三十五、六人、まあ九百人ですから、二十五日の開所だと、一日三十五、六人超えると自動的に一〇%収入減になると。これはあんまりじゃないかというふうに言っています。

 これ、受皿にって言いながら、その受皿に人が移ってきて利用者が増えると報酬が下がると、これもひどいんじゃないですか。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 今御指摘いただきました、かなり大規模にやっている通所のリハビリテーションの関係でございますけれども、これは、私どもは実態調査をいたしまして、十六年の介護事業経営の概況調査で実態調査をいたしましたところ、大規模にやっていただいているところにつきましては相当の収支で状況がよろしいということがございまして、そういう意味では管理コスト等の面において、言わば規模の利益というんでしょうか、のがあることによりまして収益がかなり大きくなっているという現実がございます。

 したがいまして、今回の介護報酬の改定に当たりましては、そういう意味で利用人員のかなり多いところについて、九百人を超える事業所については少し御遠慮を願ったということでございまして、それはあくまでもかなり収益が高いということを前提にしておりますので、全体としては受皿の整備に支障を来すということはないものと考えております。

小池晃君

 一般論で言っているんじゃなくて、これはリハビリを打ち切りますと、後は介護でやってくださいと。受皿ですって言いながら、その受皿に対してどういう仕打ちしているんだと。せめてもの罪滅ぼしに、そんなところはちょっと手厚く報酬付けて、もっともっと施設も増えるようにしようと。やっぱり介護報酬増えることによって、やはり基盤整備だってこれは進んでいく非常に大きな力になっていくわけですから、これは言っていることとやっていることが逆ではないかと言いたいわけですよ。

 しかも、人的体制を見れば、医療というのはこれは個別リハです、基本的な考え方として。だから、一施設、専門家が必ず一人以上必要だと。ところが、介護のリハというのは考え方としては集団リハですから、これは常勤換算で〇・二人で済むわけで、この人的体制で果たして医療保険から介護保険に移ってきている人に対して十分なリハができるのかということも、私、大問題だと思うんです。

 大臣にお聞きしたいのは、これは受皿だと、介護で見るんだと言ってきながら、体制にしても報酬にしても、こういうやり方ではその受皿としてふさわしいやり方ではないんではないだろうかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これはもう、基本的に介護、受皿だということなんですが、当初のところでは集中的な介護サービスをお願いするということ等をやっておりまして、いろいろ合目的の加算も置かせていただいておるということで、私どもとしては、こういうことで介護に移行していただくということが十分可能だと、このように考えているわけであります。

小池晃君

 いや、急性期、初期を厚くするというのは賛成なんですよ。これは大事なことだと思いますよ。ただ、今やろうとしていることは、維持期の、長期のリハを介護保険に持っていこうということをやりながら、一方でそっちは切っているわけでしょう。やっていることと言っていることが矛盾しているじゃないですかと。打ち切るというんだったら、せめてその受皿のところを手厚くするというのが、これはせめてものやっぱりやり方なんじゃないかと言っているんです。そういうことをやらずに、ただただ打ち切るということだけまず決めるというやり方が私おかしいと思うんですよ。やっぱりきちっと体制を整備する、報酬も手厚くする、そういう準備をした上で、医療保険のリハビリはここでもう勘弁してくださいというのであれば分かりますよ。やり方が逆じゃないかと。

 だから、大臣、やっぱりこれはいったん本当にストップをして、もう一回その受皿の体制も含めてきちっとつくり直してというふうにするべきじゃないですか、リハビリの打切りについて。

政府参考人(阿曽沼慎司君)

 リハビリの関係でございますけれども、介護保険では日常生活の中で機能を維持向上させるということに主眼を置いてリハビリをやっておりますので、そういう意味では、リハビリ専門職だけではなくて、あるいは看護職員の方あるいは介護職員の方も含めて配置が義務付けられているということでございます。

 そういう意味では、全体としての人員配置というのはそんなに問題ではないと思っておりますし、それから介護報酬全体としては、今回特段下げたということではなくて、その今の全体の中で一応のめり張りはそれなりに利かせておるということでございますので、その点は十分御理解をいただきたいというふうに思います。

小池晃君

 いや、そんなことは分かって聞いているんです。そこのところは、だって手厚くするところを手厚くするのは評価すると言っているじゃないですか。

 この医療保険から移ってくるだろう長期の維持期のリハビリについて、やっぱりきちっと手当てをすると。いや、受皿があると言うんだったらそこをしっかりつくって、それから打ち切るというんだったら分かるんですよ、まだ。でも、今のやり方は逆なんですよ。ただただ医療保険のリハビリやめますということだけ先行させて、あとはちょっともうわたわたわたわたしているというのが実態じゃないですか。だから患者さんからだって、四十万人超える人がこれでいいのかって声が上がってきているんですよ。

 大臣、こういうやり方が厚生行政に対する、もう時間だから最後にしますが、不信を呼んでいるんじゃないですか。やっぱりこういうやり方はきっぱり改めて、ここで見直すというふうに言うべきだと思いますが、いかがですか。

委員長(鶴保庸介君)

 時間ですので手短に。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 我々としては、具体の問題としていろいろ配慮をしてめり張りも利かせているということを是非御理解いただきたいんですね。百八十日で打切りというのも随分言われたわけですけれども、現実の我々想定している制度では、これはそんなに画一的な打切りをするわけじゃなくて、お医者さんの個別の判断にゆだねているところもありますよということを申し上げて、ようやくそこは、まあ御理解が行ったとまでは言いませんけれども、随分理解が進んだようにも思うわけでございまして、この受皿の問題についてもなおまた御議論いただくことは結構でございますが、是非私どもの改革の趣旨を御理解賜りたいと、このように思います。

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