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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会「医療法『改正』案、健康保険法『改正』案の質疑」

  • 医療改悪法案 住江保団連会長の陳述 参院委/病床削減、負担増…/現場の実情ふまえ廃案に(関連記事
2006年6月2日(金)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今日はありがとうございました。時間の関係で全員に質問できないかもしれませんが、御容赦ください。

 住江参考人にお伺いをしたいんですけれども、後期高齢者医療制度の問題で、これが、一つは高齢者に保険料を取るということと、現役世代は別建てで自分たちの保険料と高齢者向け保険料ということが峻別されて取られるようになる。このことによって、やはり介護保険で既にやられているような後期高齢者の給付抑制が、診療報酬体系も変えると言っているわけですから、かなりドラスチックに進むのではないか。既にもう自民党の丹羽雄哉氏などからは包括化なんだという話も出ています。この後期高齢者医療制度が高齢者医療の中身にどんな影響を与えることを危惧されるか、お聞かせ願いたいと思うんですが。

参考人(住江憲勇君)

 その危惧ということですけれども、まずもって最後の、冒頭説明させていただきましたように、財源的な問題でいえば十分財源はあるわけですから、何らそういうところに新たに新高齢者医療保険制度という、そういう枠組みをつくることは全くもって必要ないと考えておりますけれども。

 まず、やはり後期高齢者専用の診療報酬という持っていき方にされるという、また現実的に特定健診・保健指導の対象から外されると、そういう問題点がございますから、当然別建て、そしてまた内容もそれ以前の年齢層に対する医療と異なることがもくろまれていることはもう明々白々でございます。

 説明のときにも言いましたように、そういう中に何も、七十五歳以降ではない、六十五歳から七十四歳の障害者認定一級から三級受けた方々をほうり込むこと自体が全くもって問題点だと思っております。

小池晃君

 それから、今回の法案で保険外併用療養費というのがこれは法律に明記される、評価療養、選定療養という形で再構成されていくわけですが、このことによってどういう御心配をお持ちか、お話しいただければと思うんですが。

参考人(住江憲勇君)

 まずもって混合診療の問題ですけれども、評価が定まり、安全、安心な医療技術なら、国民万人が享受できるようにすることこそ、医師、科学者としての倫理綱領であると考えております。時の国家権力によってこの倫理綱領がどれだけゆがめられたか、私どもは七三一部隊問題のように、痛苦の反省を医師、科学者が持っているということを言いたいと思っております。

 先ほどの混合診療の弊害ですけれども、やはり経済的負担の差によって医療選択の幅が限られるという、そういうところにとっては本当に危惧を感じております。

小池晃君

 それから、この保険外併用療養費、混合診療の問題にしても、営利企業による、民間企業による病院経営の問題などにしても、かなりアメリカからそういう要求が来ているというのは、これ事実としてはっきりあると思うんですね。日米投資イニシアチブとか、あるいは在日米商工会議所などの年次報告などもそうですし、年次改革要望書もちろんそうですが、そういう背景についてはどのように見ていらっしゃるか、お聞かせください。

参考人(住江憲勇君)

 おっしゃるとおりでございまして、年次改革要望書、そういうところにも、もう日本国民のあらゆる生活の部面においてアメリカ政府、アメリカ大資本の要求が網羅されております。

 例えば医薬品、これについては、医薬品審査の問題については日本独自の自主的、主体的な薬事審査、すなわち日本国民を薬害から守り、そして化学物質からの汚染を守るという、そういう主体的な薬事審査があってしかるべきなのに、その年次改革要望書では、アメリカが、アメリカ政府なりアメリカの資本が革新せいと言えば、もうそういう日本独自の主体的な薬事審査を吹っ飛ばしてしまって、アメリカ言いなりの薬を導入すべし、そういうところを見ますと、本当に日本国民の命、健康がアメリカの在庫処理場にされる、実験場にされる、そういう危惧を抱かざるを得ないと思っております。

 そしてまた、混合診療のもくろみというんですか、背景として、拡大した公的医療保険の自己負担部分とか、そして混合診療部分に対する民間医療保険の巨大なやっぱり市場拡大にされること、そして医療への営利参入、おっしゃったように公的保険で最低限やはり収入は確保して、更にもうけを得るために混合診療という、何か本当にベースは公的医療保険での収入を確保してという、そういう二重、三重のやっぱりもうけのパターンと言わざるを得ないと。

 また、やはりその公的医療費を抑制することでもって、我が国のやっぱり大企業というのは従業員などの保険料負担も大幅に削減する、やっぱりそういう効果もねらわれていると感じております。

小池晃君

 特定健診制度についてお伺いしたいんですが、これで市町村の健診事業に対する責任が後退するおそれもあるし、保険者に健診を義務化していくということがどういう問題点があるか、その辺についてお聞かせ願えますか。

参考人(住江憲勇君)

 もとより健診や健康づくりの機会を保障することは大事でございますし、必要な予算の確保ということは十分論議していただき、確保していただきたいと思います。

 この医療費適正化、そしてまた予防重視ということでもって生活習慣病対策と言われているんですけれども、その生活習慣病に陥った患者さんにとっては、これは本当に、労働条件を背景にしたものでございまして、とりわけ生活、今本当に生活に厳しい方が、社会的固定費と言われるそういう部分が高過ぎて、それを辛うじて捻出するために食料費すら削っているという現実がございます。

 ですから、そういう貧困対策ということこそが真っ先に取られるべきであって、そういうことに波及する健康管理番号というような一元的健康管理体制のそういうことももくろまれているやにも思いますけれども、まずもって、そんな管理体制をすることよりも、やはり社会保障、貧困対策、そういうところが真っ先に取られるべきであり、また、後期高齢者広域連合とか政管健保、組合健保、市町村国保を都道府県単位に再編成するということも、これは結局は特定保険料、特例診療報酬の下で地域格差をやはり是認する、そういうもくろみと受け取らざるを得ない問題だと思っております。

 以上でございます。

小池晃君

 ありがとうございました。

 続いて小松参考人にお伺いをしたいんですけれども、参考人の先ほどの主張の冒頭でおっしゃられたように、日本の医療というのは二つの強い圧力にさらされていて、一つは医療費抑制で、一つは安全要求だと。

 その医療費の抑制ということでいうと、今回、老人保健法という法律の目的が、名前が高齢者医療確保法と変わって、目的にわざわざ医療費の適正化ということが盛り込まれてくるんですね。適正化の名の下に実際は抑制だと思うんです。これが在院日数の削減という話もあるし、後期高齢者は今議論あったように一層全体として抑制の仕組みがつくられようとしているし、都道府県ごとに保険料を設定して、これも競争させると。医療費の抑制の大競争が高齢者の中でも、全国都道府県でも起こるような仕組みが今回の法案では盛り込まれているんですが、こういうやり方によって、小松参考人が危惧されているような日本の医療現場の崩壊というか危機というか、これがどのように進むとお考えか、お聞かせ願いたいんですが。

参考人(小松秀樹君)

 私は保険については余りよく知らないんですけど、いずれにしても、日本では医療費が高いという前提なんですけれど、それで前提として抑えなければならない。だけれども、それなりのお金は掛かるわけで、日本よりずっと前に抑制を重ねてきていたイギリスは完全に崩壊いたしました。イギリスの医者は外国へ行っている。

 今、日本の医者は非常にやる気がなくなっています。どういうふうになっているかというと、医療費の抑制もあるし、それとやっぱり患者さんとのあつれきなんですね。

 実は、医師の不足は地方だけではありません。私どもの、私の実は科でも今三人欠員になっています。都内の産婦人科の、大きい病院の部長さんというのは私そんなたくさん知らないんですけど、私の知り合いが二人、定年を大分残して辞めました。一人はもうしばらく医者をやりたくないと言っていましたね。

 それから、福島県で、福島県の大野病院の事件がある前に、福島県立医大の教授は私の同級生なんですけど、から昨年九月に聞いた話なんですけど、福島県の基幹病院の内科部長が四人ほど一遍に辞めてしまって、非常に困っていると言っていましたね。それから、つい最近聞いた話ですけれども、いわき市という三十五万人ぐらいの都市があります。そこには千床ぐらいの病院と、あと八百ちょっとあれですけど、大きい病院が二つあります。そこの二つの病院とも産科診療が近いうちになくなりそうだという話を聞きました。

 これ、どこでもあるんですよ。外から見るよりはるかに大変な状況で、みんな辞めようとしている。それで、辞めた場合にはどうなるかというと、そのいわき市の大きい病院では、今、少し前まで部長さんをされていた方は実は産科を辞めて、ちっちゃい病院に移ったんですね。それで、そこで婦人科だけやっている。ちっちゃい病院に移る。それから、都内のある大病院の部長だった人も今辞めて、ちっちゃい診療所で働いています。で、ちっちゃい診療所に移る。それからあと、開業に移る。

 それで、開業医さんってお金持ちのイメージがあるんですけど、今は多分物すごいつらいと思います。もうこれは嫌だと言って、この圧力と責任の、無限責任を問われるこの圧力に負けて、もうちょっと人間らしい生活したいと言って開業しているのが実情だと思うんですね。それで、病院診療からどんどん人がいなくなる。で、病院診療はどんどんどんどん忙しくなる。

 人が少なくなり始めると、産婦人科医が五名いた草加市立病院は、いったん傾き始めたら半年ぐらいで全員いなくなっちゃいましたから。そういうことが今日本じゅうで、そこらじゅうで起きているということです。だから、病院診療が多分なくなるだろうというのが私の予想です。

小池晃君

 ありがとうございました。

 続いて柳澤参考人にお伺いしたいんですが、小児医療について大事なお話聞かせていただいたと思うんですが、乳幼児医療費の問題で、これ無料化する動きは全国すべての今自治体で行われていますが、非常にまちまちなんですね、隣の町行くと全然違うという実態があって。

 私、やっぱり国の制度として、子育て支援ということも含めて、これはやるべきじゃないかと思っているんですが、参考人はどうお考えでしょう。

参考人(柳澤正義君)

 小児に対する医療費の給付をできるだけ充実してほしいというのは小児科医共通の願いだと思います。

 その場合に、今おっしゃったように、現在の状況は自治体によって非常に様々だということも事実としてあります。ですから、できるだけそれが、もちろん統一的であって、しかも広い年齢層、小児の広い年齢層にわたって自己負担をできるだけ少なくしてほしいということは、子育て支援という観点からも非常に望まれることだというふうに私は思っています。それが、三歳あるいは六歳である、あるいはまたさらには十二歳というふうな広い範囲であればあるほど私は望ましいと思っています。

 それとともに、その給付に関しては、全額保険といいますか、公費で負担するというか、自己負担をゼロにするのがいいか、一割は小児、乳幼児医療についても負担を求めた方がいいかということに関しては、これはいろんな見方が実際あると思います。

 私の個人的な意見としては、やはり自己負担をゼロにするというのは適切ではないというふうに考えています。ですから、この乳幼児の医療費に関して、自己負担を現状よりももっと下げていただきたい。保険による給付をアップしていただきたい。その際に、自己負担を例えば一〇%にして、小学校を卒業するまでにとか、そういうふうな方向に、これはまだ私の個人的な意見として、是非お考えいただきたいというふうに思っています。

小池晃君

 ありがとうございました。

 最後になるかと思うんですが、小島参考人にお伺いしたいんですけれども、高齢者医療の負担増や居住費の徴収や高額療養費の引上げ反対という御意見をお聞きしているんですが、連合なんかの組合員であるとかあるいはOBの皆さんから、この問題ではどんな声が寄せられているか、ちょっと最後に御紹介いただければなというふうに思いますが、よろしくお願いします。

参考人(小島茂君)

 簡単にお答えします。

 連合の現役組合員、あるいは連合、組合OBの退職者の皆さんもおります。特に、今回の高齢者医療制度の見直しに伴って、高齢者に対する自己負担が相当大きなものが提案されてきておりますので、退職者の皆さんはこの問題については極めて危惧を持っているし、反対であるという意見が強く出されております。

 現役の方については、直接今回のその負担増という面は、高額療養費のところが直接的な問題でありますけれども、中長期的に見ますと、保険料負担増になる支援金等に跳ね返ってくるわけですけれども、今回のところで、直接目に見える負担増というのは高齢者のところに限定されておりますから、中心になっているということがありますので、そこの多少現役と高齢者との退職者の温度差はありますけれども、やはり今回の高齢者医療制度、新たな独立の方式に伴う現役のこれからの長期的な負担増の問題、そして高齢者にとっては直接的な窓口負担あるいは部屋代、食事等の負担が出るということでありますので、そこは強い懸念を持っています。

 連合としましても、やはり先ほど意見述べましたように、今、これまでに高齢者に対する税制も含めて負担増、定率減税もなくなるということになってしまいますので、その分、税負担あるいは医療保険、そして介護保険の保険料、そして今回の窓口負担ということになりますので、相当これは大きな問題というふうに受け止めております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 今日の御意見もしっかり踏まえて審議をさせていただきたいというふうに思っています。

 ありがとうございました。

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