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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院予算委員会

  • 医療費推計は過大/小池氏 “改悪法案 根拠崩れた”(関連記事
2006年3月27日(月)

委員長(小野清子君)

 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 将来の医療費が過大に膨れ上がって大変だという議論があるんで、その前提となる医療費推計の問題を取り上げたいと思います。(資料提示)

 これはパネルにしましたが、医療費の将来推計ですね、二〇二五年どうなるか。で、一九九四年には百四十一兆円という数字が示されていたのが、九七年には百四兆円。で、二〇〇〇年には八十一兆円、そして今回は六十五兆円と、どんどん減ってきているわけですが、なぜこうなっているのか、説明してください。

国務大臣(川崎二郎君)

 医療費の将来見通しについては、内外を通じて確立された手法はなく、作成時点における足下の医療費から過去の一定期間の実績から得られた一人当たり医療費の伸び率を当てはめて、機械的に算出をいたしました。言わば、過去の実績を将来にそのままトレンドしていくという手法を取っております。そういった意味では、大幅に伸びたときの数字を取れば当然将来見通しも高くなるという話でございます。

 この見通しにつきましては、いろいろ財政諮問会議としても議論したところでありますけれども、見通しとして示すことはできるけど、はっきりとした目標と出せるかということになると、なかなかその手法は難しゅうございますという回答を私どもいたしております。そういった意味では、目安という形で整理をさせていただいているところでございます。

小池晃君

 目安という随分腰の引けた表現になっているんですが、要するにこれは、この間の制度改革によって二〇二五年の医療費の規模が半分以下になるようなすさまじいことがやられてきたということの証左でもあるというふうに思うわけです。

 この経過を見ますと、この六十五兆円という一番最近の推計にも疑問符付くわけですが、今回どういう推計方法を取ったのでしょうか。

国務大臣(川崎二郎君)

 今回の推定に関しましては、従来そのような御批判もいただいてまいりまして、特に、平成十二年、介護保険制度の創設、平成十四年、健保三割負担の導入、医療費に大きな影響を与える制度改正が行われたと。したがって、従来ですと直近を取ってまいりましたけれども、今回の推計は平成七年から十一年度、一九九五年から一九九九年、このときの数値をもちまして一人当たり医療費の伸び率をはじき出しました。それを前提にしながら、十八年度予算に基づく医療費、すなわち国民医療費というものをひとつ出さしていただいて、六十五兆円、それに対して給付は五十六兆円と、こういう数字をはじき出しております。

小池晃君

 配付資料に示さしていただきましたけれども、今御説明あったように、今までは推計するときは直近の足下の数字でやっているのに、今回なぜか一九九九年以前という古い数字を使っている。これは介護保険というお話ありましたが、これ説明書きにあるように訪問看護それから老人保健施設は除外されているわけですから、私はもう問題ないはずだと思います。しかし、百歩譲って、だったらその二〇〇〇年度だけ除外して計算すればいいんじゃないですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 この議論は、正直申し上げて、過大見積りだという御質問をいただいた方々もいらっしゃる、かといって、片一方で、過小過ぎるぞという御批判もいただいたこともある。その中で私どもは〇七年から十一年度という比較的安定をしていたときを取って、そこから一つの医療費の伸びをはじき出しながら将来見通しを出さしていただきましたと申し上げております。

 委員の言うように、そこだけ取ったらどうだという御議論もあるかもしれませんけれども、私どもは今申し上げたような数式に立ちながらやらしていただいたということでございます。

小池晃君

 いや、だから、これ大事な数字だから恣意的あるいは非科学的なやり方じゃ駄目でしょうと。今までは直近、足下でやっていたんだから、今までどおりのやり方でやればいいじゃないですかと。それよりも、何で昔の、五年も前の数字を使うのかと。だったら、今までの数字で、介護保険が導入というのが大きなファクターであるならば、その年だけ除いた直近五年間でやるとかいうやり方だってあるんじゃないか、あるいは十年間という幅で今までやったこともございますよね、そういう形で取ったっていいじゃないかと聞いているんです。

国務大臣(川崎二郎君)

 先ほど表、そこにありますよね、百四十一兆円、百四兆円。足下の数字の見誤るからこういう数字になっちゃったんだと、こういう御批判をずっといただいていたんですね。私どもは、そうした反省もありながら、七年―十一年という数字が適当だなということで選びました。

 それに対して委員は違う数字を持ってきて選べと、それは委員の御主張でございますから聞かしていただきますけれども、私どもはこうした根拠に基づいて数字を出さしていただきましたということを申し上げております。

小池晃君

 非常に恣意的だと私、思います。

 総理は、二〇〇一年のときも二〇〇二年のときも、医療改悪で必要な医療は抑制されないとおっしゃっていましたが、結果としては、実際には深刻な影響出ているからそこは使えないんだというぐらいの深刻な影響出ているということでもあると思うんですね。

 しかし、いろいろとおっしゃいますけれども、私、今の説明では到底納得できない。今までやった医療改悪をやめて負担を元に戻すというんだったらともかく、そのままでやるわけでしょう。だったらば、足下で起こっている変化がこれからも今後も続くというふうに見るのが当然であって、今の伸び率を当てはめて計算すればよいと。今まで過去三回だって全部そういうやり方でやってきたんだから、それで多く見積もっちゃったわけですからね。逆にそれよりも多く見積もるような計算の仕方をするというのは逆に誤りを上塗りすることになるんじゃないですか。少なくとも今までの考え方でやるというのが私は当然ではないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 今そこに表に出していただいたように、そういう見積りの仕方が誤ったんじゃないかというさんざん御批判をいただいて我々はおしかりいただいてきた。その中で……

小池晃君

 多く見積もったせい……

国務大臣(川崎二郎君)

 その中で、私どもは七年から十一年という数字を使わしていただいたと。委員は違う御主張をされているということはよく分かりますけれども、私どもの数式はそういう形で出さしていただいたと申し上げているわけです。

小池晃君

 今の質問に、ちょっと私の聞いたことに直接答えていただきたいんですけれども。

 大臣は、要するに、いろんな制度改革の影響だからそれは除くんだという説明されたんですけれども、その制度改革をやめて元に戻すんだったらともかく、それは続くわけですから。だとすれば、そのトレンドが続くと考えて計算するのが自然な考え方ではないですかと聞いているんです。

国務大臣(川崎二郎君)

 医療制度改革を行ったときに次年度に大きく影響が出るということは事実でございます。一方で、二年後、三年後には一つの普通のペースに戻っていく、そうした過去の経験法則もございます。そして、十二年、十四年と大きな改革をしてきただけに、そのときの数字を使うのはどうであろうかという中で、私どもは数字を取りました。

 そして、この数字に対して、先ほど申し上げたように、余りにも大きいんではないかという御批判もある、しかし一方で、余りにも過小に見ているんじゃないですかと、これから人口構造ももっと変化しますよと、とてもこんな数字で収まるようには思えないと言う方々もいらっしゃる。そういった中で、いろいろな御主張がございますけれども、私どもはこうした数式を用いましたと、この数字でやりましたということを申し上げているわけです。

小池晃君

 制度改定の影響は一時的だからなんだという説明ですが、一時的でなかったから今までの推計も失敗を続けてきたと思うんですよ。今回の推計というのは、その誤りの上に更に誤り重ねることに私はなると思う。

 お聞きしますが、過去のように、今までのやり方で直近五年間で延ばしていったら、二〇二五年の医療費は四十三兆円。これ、厚労省に計算式確認して数字入れて出した数字ですが、間違いございませんね。

国務大臣(川崎二郎君)

 間違いございませんねと言われても、急に質問されて、あなた計算しましたかと……

小池晃君

 通告してありますよ。

国務大臣(川崎二郎君)

 私は計算していませんので、その数字は存じません。

小池晃君

 通告していますよ、ちょっと。通告していますよ。

 ちょっと、質問通告していますから、ちょっと調整してください。

国務大臣(川崎二郎君)

 今言われた数式に基づく数字を出せと言うならば、その数字を計算をしたものは出したいと思いますけれども、通告はいただいておりません。

小池晃君

 この五年間の伸び率を当てはめればこういう数字になるということを質問すると、私通告してありますよ。

国務大臣(川崎二郎君)

 そういう数式でやったらどうだという御提案はいただいているけど、これによれば、そうした将来見直しをやり直すということを考えていないという答弁になっております。

小池晃君

 ちょっと、これじゃ駄目ですよ。ちゃんと答えてくださいよ、ちょっと。これ、国会をばかにした話ですよ、ちょっと。ちょっと、時間ないんだから、困るよ、これ。ちょっと、答えてくださいよ。(発言する者あり)

国務大臣(川崎二郎君)

 質問取りに行った者と委員との食い違いかもしれませんけれども、幾らの数字になることを示してくれという御質問にはなっていなかったから私は数字は持っていないと申し上げた。だから、計算をして、委員が必要ならばお出ししましょうと申し上げました。

小池晃君

 じゃ、直近五年間でいうと、医療費の伸び率は七十歳未満で〇・六六%、七十歳以上で〇・八二%になる、これは間違いないですね。

国務大臣(川崎二郎君)

 ですから、その数字は持っていませんと申し上げているんですよ。

 ですから、そこは委員と……

小池晃君

 それはちょっとひどいな。

国務大臣(川崎二郎君)

 委員と質問取りの間の中で細かい数字までやりますよという話にはなっておりませんから、私が御答弁させていただいたとおり、その数字に基づいて出せと言うなら出しますよと申し上げているんです。

小池晃君

 直近五年間で当てはめると、総理、これ四十三兆円という数字になるんですね。直近五年間当てはめるというのは別に特殊なやり方ではないんです。今までそういう手法だったんです。

 総理に私、お伺いしますが、この医療費の今回の推計方法には問題があると思いませんか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 推計は当たるときもあるし外れる場合もあると思うんですよね。ですから、どういう推計に基づいてやれと言うんだったらば、今の川崎大臣の答弁のように、共産党がお示しいただいた前提とかあるいは数字を基にして出せば出せるというのが答弁だと思うんです。

 私は、この推計が当たるかどうか、今はっきりは答弁できないということもお許しいただきたいと思います。

小池晃君

 当たるかもしれないし当たらないかもしれない、そういうでたらめなことで、これ今回の医療改革の前提の数字なんですよ。それをそんないい加減な言い方では納得できません。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 いや、今もこの表を出して、当たらなかったという前提を出しているわけでしょう。だから当たっていないと。だから、当たるときもあるし当たらないときもあるということを申し上げているわけであります。

小池晃君

 今まで一度も当たったことないんですよ。それが実績なんですよ。

 私、今回急に推計方法を突然変えたのは、これは結局、今までの方法でやると、二〇二五年の医療費というのは四十三兆円になっちゃうんですね。そうすると、今回制度改正しなくても目標を下回ってしまうんですよ。ちなみに、医療費ベースで四十三兆円ということは、給付費では経済財政諮問会議の民間議員が示している数字よりも低くなるんです。これ共産党が計算したとおっしゃいますけれども、日本医師会もこれ計算して四十三兆円になるんじゃないかと言っているんですよ。

 私ね、過大な、こういう過大な、今回のように正に計算方法を意図的に変えてまで過大な医療費を設定をして、これを前提としてこれ以上国民負担を増やしていくということをやれば、医療のゆがみが本当にひどくなると思うし、国民には大変な痛みを押し付ける、暮らしの悪化になるということになる。

 医療費推計の誤りが、これ当たらないかもしれないというふうにお認めになるように、これ非常にずさんなものであるという以上、この医療費推計が根拠である医療改悪法案は私は撤回するしかないというふうに思います。そのことを申し上げて、質問を終わります。

委員長(小野清子君)

 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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