私は是非ちょっとそれだけじゃ不十分だと思いますので対策考えてほしいと。しかも、十年というこの期間の問題がやっぱり決定的に大きいというふうに思うんで、そのことをちょっとまた後で聞きたいんですが、その十年というのが問題になってくるのは肺がんの場合なんですね。
私は、アスベストのやっぱり中皮腫については大臣もかなり踏み込んで、疑わしきは救済するというふうにしていただいたのは、それは歓迎をしたいと思うんですが、肺がんの問題がやはり重大だというふうに思うんです。実際はアスベスト肺がんがかなり見逃されている可能性がある。
例えば、海老原勇医師の調査によれば、建設作業者の肺がん、七十七人をこの海老原先生検討した。そうしたらば、そのうち七割を超える五十七名がアスベスト肺がんの特徴を持っていたというんですね。海老原先生というのは労働衛生、アスベストの問題を専門にやってきた先生ですから、そういう目で見たら五十七名そうだった。しかし、この五十七人全員がアスベスト肺がんだと診断されたことはなかったと。職歴も聞かれたことなかったと。たばこをどれだけ吸っていたかしか聞かれたことがなかったというんですね。現場ではきちっと診断されず、アスベスト肺がんが見逃されているという可能性が非常に高い。
それから、一方で、ちょっとこれも傍証のようなことになるかと思いますが、アスベストの労災認定に一生懸命取り組んでいる労働組合の取組の状況を聞きました、神奈川県建設労働組合連合会の取組。ここでは、八九年以降、今年七月までにがんで労災認定された二十七人のうち、アスベスト肺がん二十名、中皮腫は七名なんですね。中皮腫よりアスベストの方が多いんですよ。それから、東京土建一般労働組合では、肺がん十七名、中皮腫五名、中皮腫の約三倍の肺がんが見付けられている。中皮腫の認定数より肺がんの認定数がはるかに多いんです。ところが、厚労省の労災補償状況を見ますと、肺がん五十八名に対して中皮腫百二十八名。オールジャパンでいうと中皮腫が圧倒的に多い。しかし、一生懸命このアスベストの被害を掘り起こしているような労働組合から上がっている数字は逆に肺がんの方が多いという実態がある。
これだけでどうかというふうに、科学的にじゃ根拠あるのかと言われると、例えばほかにも、ILOのデータでは、実際はアスベストの被害というのは中皮腫よりも肺がんの方が多いのではないかという、ILOはそういう統計も出しておりますし、いろんな研究結果でも、今後の推計として、肺がんの死亡者数は中皮腫の二倍になるのではないかというような推計も出されているわけです。
私は、こういう一連の状況を見ると、果たして、アスベスト起因の肺がんで適切な労災認定がなされていないものが埋もれている可能性あるんじゃないだろうか。そういう可能性も念頭に置いて、大臣は中皮腫の問題については踏み込んだ対策をおっしゃられているんですが、私はアスベストの対策をする上で、この埋もれているアスベスト肺がんのことをしっかり念頭に置いて対策を考えていくことが本当に今大事になっているんではないかというふうに思うんですが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。