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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 参議院厚生労働委員会

2005年6月13日(月)


参考人

社団法人日本医師会常任理事 野中博
筑波大学大学院人間総合科学研究科助教授 久野譜也
社会福祉法人恵仁福祉協会常務理事・特別養護老人ホームアザレアンさなだ施設長 宮島渡
国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部長 大川弥生
特定医療法人財団健和会柳原診療所所長 増子忠道
特定非営利活動法人サポートハウス年輪理事長 安岡厚子
小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 増子参考人にお伺いしたいんですが、新予防給付の問題点、指摘していただきました。

 これ、マネジメントの主体が地域包括支援センターということになって、選択の自由を踏みにじるという先ほど御指摘もありましたが、これは専門家の関与は保健師ということを厚労省は主張しておりまして、これ大体、地域支援事業で二百ケースから三百ケース、それから新予防給付で二百四十ケースから三百六十ケースを一か所で持つと。これ、果たして可能なのかと。軽度のマネジメントというのは非常に大変だというふうに言われていますが、現実問題、こんなことができるのか。こういう別体系のシステムにマネジメント自体を移していくことも含めて御意見をお聞かせ願えればと思っております。

参考人(増子忠道君)

 今御指摘のとおり、新しい地域包括支援センターが、今の想定されている数がどうかということですが、私たちのところでも在宅介護支援センターで今後地域包括支援センターに立候補するか、やろうかというような議論をしているところでもありますが、今のような数字が想定されているとすると、現状から見て大変困難である、ほとんど不可能に近い。しかも、我々のケースでもそうですが、重度、重介護の人たちや、そういう人たちのケースマネジメントも大変難しいんですが、むしろ今後のことも考えれば、かなり軽度の方や、先ほどの予防介護の問題も含めてですが、そういう人たちは本当にあらゆるケースやあらゆる問題を十分把握するということが大変重要なわけで、そのために費やす時間はむしろ重症の人よりも多いかもしれないというのが私たちの現場からの意見であります。

 そういう点でいいますと、このような形のケースを担当するということになると非常に困難。しかも、専門性のことを先ほどいろいろ御議論聞かせていただいておりますが、そのことで適切な個別プランをするということは、まず大変困難だというふうに思わざるを得ないと思います。

小池晃君

 それから、参考人のお話の中で、ヘルパーの待遇改善がやはりこの問題では必須なんだというお話ありまして、早急な改善という御提言もあったんですが、具体的にどういう改善策が必要なのか、御提案いただければと思うんですが。

参考人(増子忠道君)

 私たちのところでもヘルパーの派遣の仕事をやっておりますが、現在いろいろ公募して、足りなくて公募しておりますが、非常に最近は応募者が少ない状況にあります。いろいろ事情を聞いておりますと、結局かなり身分が不安定、直行直帰型の勤務というもので大変困っていると。実際に一か月収入としていただける平均が十万そこそこであるというのが我々の調べで明らかであります。こういう状態で本当に本腰入れてといいましょうか、プロとしてヘルパーの仕事をやるということに本当に満足できない、やっていけないという声をたくさん聞いております。

 そういう点でいいますと、本来近代的な雇用関係で始まる予定だった介護保険が、最近は多少改善の動きがあるようには聞いておりますが、もっと徹底してまず身分とその待遇を改善するということが必須だと思いますので、その点で直行直帰型については一定の期間を設けて確実に改めるということが必要だと思いますし、実際に訪問するその中身の時間だけじゃなくて、訪問に行く行き帰りやまとめる時間等々のことも含めて考えると、相当の時間、あるいはコンファレンスや先ほどのサービス提供者会議の問題もありますが、そういうところに出る会議、相当ないろんなものが含まれてくるわけでありますから、そういうことをトータルとして見た待遇が必要であるというふうに思っております。

小池晃君

 野中参考人に続いてお伺いしたいんですが、ホテルコストの徴収の問題で、中身もともかく、これ十月一日からやるということで、ほとんど利用者には知られていないし、私は厚生労働省が本当に一人一人説明してほしいと思っているぐらいなんですが、これ大混乱生まれるんではないかと思いますが、その点、どのようにお考えでしょうか。

参考人(野中博君)

 ホテルコストに関しましては、議員の言われる、もっともそうだろうと思いますし、先ほど足立委員が言われましたように、医療関係者がいわゆる医療関係者じゃない患者さんの方々にどこで亡くなりたいですかというような話をされたときに、やはり病院、施設というふうに言われることは、やはりまだまだ在宅の、いわゆる家という部分の基盤というか、そのものに対する国民の認識が少ないわけで、やはり病気や障害を抱えたらやむなく施設に入るしかないという方々が多いわけでございます。

 そういう方々に対して一律に特に十月からホテルコストを課すということは、本当に正におっしゃるように大混乱になりますし、そのために施設を出なければならない、そして不幸にも家族とともに在宅生活を余儀なくされるという部分では、やはり私は不幸な現状を認識しておりますので、それに関しては議員のおっしゃるとおりだろうと思っています。

小池晃君

 野中参考人は先ほど適切な公費負担が必要なんだという御発言もされまして、かつて介護保険制度始まる前は、高齢者介護に対する国庫負担五〇%でした。臨調行革前は八割でした。それが今の制度では二五%になっております。この国庫負担比率についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

参考人(野中博君)

 国庫負担の額に関しまして私ちょっとコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、やはり介護保険が始まりまして、従来の措置から変更されまして、その方が、利用される方が多くなり、気楽に利用されることになりまして、やはり介護というものがいわゆる国民に広く認識されたという部分でございます。

 その部分の、介護というものが適切に認識されるには、やはり、今言われるように、公費がもうちょっとやっぱり増えることも必要でございますし、それから保険料もやっぱり適切に負担する、利用者が負担することが大事だろうと思いますし、それはむしろ、利用される方ではなくて、支える方々がそのことに対する理解という部分では、私は必要な認識というふうに思っております。

 額に関しましてはちょっとコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

委員長(岸宏一君)

 小池参考人。

小池晃君

 久野参考人にお伺いしたいんですが、先ほど筋トレによって日常の歩行能力が改善されるというデータをお示しになりました。統計学的にいうと、やはりコントロールスタディーする場合は無作為化がどうしても必要になってくると思うんですが、この教室参加者、非参加者という母集団の選定に当たって無作為化の検証というのはされているのでしょうか。

参考人(久野譜也君)

 これはあくまでももう地域で自治体との共同事業でやっておりますので、いわゆる今先生がおっしゃったような無作為化はしておりません。

 ただし、データとして議論をするときに、いわゆる運動、トレーニングへ入る前のプレの段階で両方に関して十分な比較、同質な集団であるかの検定も含めてやった上で比較をしております。

小池晃君

 統計的に有意差ということを証明するのであれば、やはり私は無作為化というのは当然必要ではないかというふうに思っております。

 それからもう一点、医療保険と介護保険のすみ分けというお話が野中参考人、増子参考人からそれぞれ出されまして、ちょっとその点についてお伺いしたいんですが。

 野中参考人にお伺いしたいんですけれども、施設における医療保険と介護保険の給付で特養の例、出されました。私、よく聞くのは、老健も必要な医療サービスが報酬上保障されないんだという話聞くんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。

参考人(野中博君)

 介護三施設は、やはりいわゆる施設の特性に応じていわゆる利用者さんが移動するというふうな条件になっておりますので、重症度、医療の重症度に関してはある面では制限は加えられているということは一面でございますけれども、現実には、やはり各特養あるいは老健、あるいは介護療養型の施設においても医療がある程度制限されておりますので、その現状から、五年間たった現状から考えると、中の利用者さんの病状が変わっておりますので、その辺に関しましては適切に医療が必要なときには医療が提供できるような体制というものは検討すべきだろうというふうに考えております。

委員長(岸宏一君)

 ちょっと待ってください。

 私、今、ただいま小池参考人と申し上げちゃいまして、大変失礼しました。訂正いたします。

小池晃君

 増子参考人にお尋ねしますが、医療保険と介護保険のすみ分けについて参考人からは在宅の問題でお話あったんですが、施設においてはどのような問題点あるとお考えか、お聞かせ願えますか。

参考人(増子忠道君)

 今回は余りそれを図式化してお話しすることができなかったので補足させていただきますと、私は三施設とも目的としては同様のものを持っているというふうに思いますが、医療の比重が確かに違うということは言えるわけであります。

 しかし、実際にそこに入所あるいは入院されている患者さん、御利用者を私たち直接見ておりますと、いずれの場合でも医療の部分が大変重要な役割をしている。特に老人保健施設におきましては病状の変化は大変頻繁に起こります。そういうところでそこにいる医者が対応できるかというとなかなかできない場面があり、しょっちゅう病院とのやり取り、行き来をしなければいけないということがあります。むしろ往診をするなりなんなりというようなことがあってもいいなというふうに時々思うのですが、それがなかなか難しいということがあって、本来はやっぱり老人保健施設においても介護保険と医療保険という組合せで、医療保険も十分その場合には使えるような形の仕掛けをつくっていただくのがよろしいのではないかというふうに思っております。

 特養についても、我々が知っている特養についても同じ問題があります。それは野中先生がおっしゃったところと同じであります。

小池晃君

 安岡参考人にお伺いしたいんですが、参考人はいろんなサービスを地域で展開されているわけですが、今回、小規模多機能、地域密着型ということがある意味でいうと今度の制度改革の中で唯一前向きなところかなと思っているんですが、実態が全然伴っていないじゃないかと、先ほど増子参考人からもそういう御意見ありましたが。現場で事業を展開されている立場から、今言われている地域密着型、小規模多機能というのが実効性があるのかどうかという点、どのようにお考えか、お聞かせ願えますか。

参考人(安岡厚子君)

 現在のサポートハウス年輪の活動内容とか事業内容を小規模多機能だというふうに言ってくださる方が多くて、見学が非常に多くなっているんですね。地域密着というのは、もう既に私たちがやってきていることをこういう名前で呼ばれてきたのかなというふうに思っているんですけど、厚労省から出ている小規模多機能は、まあ十五人程度で、あれですよね、ちょっと自由度が余りない感じで、事業が本当に成り立っていくのかなというところはあります。

 あと、泊まりというのもあるんですけれども、なかなか、言葉は非常に、通って、泊まっていって、住んでというのは、あれはすごくいい言葉だとは思うんですけれども、事業の点からいきますとなかなか難しいかなというふうに思いますし、今、託老所をやっていらっしゃるところも、なかなかこれに介護保険外でやっていこうと選択される方も多いですので、制度的にこれが、小規模多機能と地域密着って非常にいいと思うんです。特に認知症の方にとっては見慣れた風景となじみの人間関係というのはいいことはもう現場で実証済みなので、もう少し自由度のある制度になっていかないと広がっていかないかなと。現在やっているところをもうちょっと取り入れられるような制度にしていくことが非常に大事なことだというふうに私は現場では思っております。

小池晃君

 増子参考人、この小規模多機能、地域密着型、実効が危ういというお話ありましたけれども、その点で何か付け加えることあれば、最後にお聞きしたいと思います。

参考人(増子忠道君)

 私も、小規模多機能、地域密着型サービスのことの理念や発想は大変賛成をいたします。

 しかし、実際私たちもいろいろ検討して、この事業が我々のところで可能かどうかというようなことでいろいろ検討しておりますと、先ほど言ったように、まずはリーダーがかなりきちっとしていなければいけないということで、リーダーの育成に相当時間が必要だということと、それから、孤立してやるということはまず難しいのでサテライト形式でやろうというふうにすると、例えば泊まりの問題一つ取ってみても、これを実行するとなると、大変人手の問題や、それを待遇的にきちっと身分保障も含めて考えると経済的になかなか成り立っていない。元々点数がまだ出ていないので試算もできない状況ではありますが、そういう意味でいうと、本当にこれをやろうとすれば、一定の計算に基づいた、成り立ち得るような報酬体制を必要とするというふうに思います。

小池晃君

 ありがとうございました。

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