私のレジュメの七ページの方に介護保険料負担の問題についてはまとめてあるので、そちらを参照していただきたいんですが、一言で言いますと、先ほど、今、町長さんがおっしゃいましたが、第一号被保険者、六十五歳以上の人の介護保険料の取り方は極めて逆進性が強いと思います。つまり、五段階、今度六段階になるとか言っていますが、所得段階が非常に粗くて、世帯単位の算出方法が導入されていますので、最高保険料額は最低保険料額の三倍ですかね、三倍にぐらいしかならない。つまり、どんなに所得のある人でも、標準額が三千円であれば四千五百円しか取られないと。これは実際、裁判にまでなっているんですね、大阪で。私は意見書を書きましたけれども、ちゃんと。今度、六月の二十八日が判決らしいですが。
つまり、これだけ逆進性の強い仕組みであれば、当然、特に低所得の人は保険料負担に耐えられません。したがって、保険料が高くできないと思うんです。どこの自治体もそれ頭を悩ませていると思うんですね。
保険料が高くできないということは、給付が伸びた分だけ保険料負担ができないということですよ。そのためには給付を抑制するしかないです、だから今回の法案のように。
そうするんであれば、やっぱり保険料負担を私はドイツのように定率にしていけばいいと思うんですね、一・七%に。ああ、別に一・七%にする必要はないですが、そういう形で取っていくしかないだろうなと。あるいは、国の負担の部分を上げて、高齢者の負担をやっぱり低くしていくような仕組みにしないと。
つまり、今の仕組みは、ない人から取ろうと思っているから無理があるんですよ。ある人から取らないと財政は安定しません。幾ら被保険者の範囲を拡大して払う人を増やしても、結局、一万五千円の老齢退職年金から天引きしているような仕組みではね。介護保険料が一万五千円になったらその人は年金なくなるんですか、一万五千円の老齢退職年金から天引きされている人は。だから、そういう仕組みを、やっぱり低所得の人からはもう取らない、あるいは高額所得の人の保険料を高くするというような仕組みにしていくべきだろうと思います。そこに書いてあるので、読んでいただければ。
それからもう一つ、今回の改正法案で、何と公租公課の禁止原則というのがあるんですね、遺族年金や障害年金、次の八ページをごらんいただければ分かると思うんですが。
百三十一条ですか、改正法案の。百三十一条に、老齢若しくは退職、障害又は死亡を理由とする、そういう年金の給付から特別徴収を行うというようなことを書いてありますが、これはよく考えてみると、私は大学でも教えているんですが、社会保障給付については受給権保護規定が置かれていまして、社会保障給付には課税なんかはされないわけですね。ただ、公的年金については、厚生年金法の四十一条と国民年金法二十五条において、同様の規定があるんですが、老齢厚生年金と老齢基礎年金及び付加年金については同条ただし書でそれぞれ対象から除外されている。だから、天引きできるという解釈だったと思うんですよね。厚生労働省の何かそういう介護保険の実務にはそう書いてあるんですが。
とするならば、もし遺族年金や障害年金は、公租公課の禁止規定があるにもかかわらず、天引きができないから公租公課の禁止規定を外さなきゃいけないんじゃないかなと。つまり、国民年金法等を改正しなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、どうもそこら辺が余り議論されていない。何か天引きという形で別の方からやるから別に付加するわけではないというような解釈が取られているみたいですが、やはり私はこれはちゃんと議論すべきだろうと思いますね。単に市町村の徴収が簡単になるから、そういう問題じゃないでしょう。社会保障の給付とは何か、障害年金とは何か、その法的性格は何かということをちゃんと議論しないと、これはまずいんじゃないかと思うんですけれどもね。そこら辺はまた今後の議論にゆだねていきたいと思うんですが。
何にしても保険料をやっぱりこういう逆進性の強い取り方でやっていると、制度としてはやっぱり保険料負担に限界がありますから、余り給付を伸ばすということはできなくなる。だから、どうしてもやっぱりそこで給付抑制に回っちゃうという限界がありますので、やはり保険料の取り方も含めて抜本的な改革をやるべきだろうと思います。制度の持続可能性と言うのであればね。
持続可能性という言葉は私余り好きじゃないんですが、制度がなくても人は生きていけるんですけれども、制度を持続するために人が死んでどうするんですか、負担増のために、耐え切れなくて。私は、これは根本的にやっぱり発想が間違っていると思うんですよ。制度の持続可能性ばかり言われているけれども、やっぱり生きている人のこと、そこで暮らしている人たちの方に全然目が向いていないと思うんですね、今度の法案は。
その意味でも、私は、市民参加と言われているけれども、全然市民参加されていないし、当事者の意見は無視されたまま財政の論理だけで突っ走っているこの法案には全く賛同できないし、余りにもこれ私は人権を無視しているんじゃないか、そういうふうにも思いますね、そこで高齢者の人々の。
以上です。
済みません、長くなって。