本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162通常国会 参議院決算委員会

  • 池子米軍住宅増設/生態系変化把握せず/参院委 小池議員に施設庁長官(関連記事

2005年4月25日(月)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 神奈川県の池子の森の米軍住宅の建設問題についてお聞きしたいんですが、私も現地へ行ってまいりまして、本当に首都圏有数の照葉樹林であると。市長さんともお話をしました。実感したのは、本当に後世まで残すべき自然の宝庫だということであります。総面積約二百九十ヘクタールのうち、逗子側で八十ヘクタールが米軍住宅のために破壊されてしまって、残る緑地は逗子側と横浜側、合計二百十ヘクタール、これを守ってくれという声が広がっております。

 防衛庁長官に最初にお聞きをしたいと思うんですが、もしも横浜市側で米軍家族住宅を追加建設するようなことになれば、これ、逗子市と一体としてまとまりがある池子の森ですから、貴重な生物、生態系を大きく損なうことになるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(山中昭栄君)

 これは昭和六十年当時、現在の逗子市域に建設がされております八百五十四戸の住宅を計画をいたしました際にも、当時の神奈川県条例に基づいてアセスを実施をいたしておるわけでございますが、当然のことながら、横浜市域におきまして現在建設を予定しておる七百戸の住宅建設を今後行っていく際にも、当然池子地域を含めた全体の生態系にどういう影響を及ぼすかといったような点について、しっかりと環境影響評価を実施をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

小池晃君

 ちょっと確認したいんですが、これ、一九八七年の今お話あったアセスの非常に膨大な報告書ですけれども、このときも逗子側ではなくて横浜市側含んで、一つとしてアセスしているわけですが、その理由についてちょっとお聞きします。

政府参考人(山中昭栄君)

 当時、住宅建設区域として予定をしておりましたのは八十三ヘクタールでございます。

 ただ、県条例に基づきまして環境影響評価を実施をするに際しまして、私どもの予測評価書の案、これを県に提示をし、県の方から審査書というものが送付をされておりまして、その審査書におきましても、事業地の八十ヘクタールは基本だろうけれども、残る二百十ヘクタールの提供用地を含んで、全体として予測評価を環境保全の観点から行っていくべきだというふうな御議論ございまして、基本的には八十三ヘクタールが対象ということでございますが。

 県といろいろ調整をし、例えば動物のように移動をするというようなものですと、当然調査対象は八十三ヘクタールにとどまりませんで、二百九十ヘクタール全体に及ぶ。逆に、水質ですとか大気の汚染の問題は、これは直接工事の実施に伴うものでございますので、逆に八十三ヘクタールよりも狭い範囲が評価区域になっているということから、条例で規定をされております十八項目それぞれの調査項目の特質に応じて、あるものは八十三、あるいはそれよりも少ない、あるものは二百九十ヘクタール全体を対象にしているというような考え方で実施をしたものでございます。

小池晃君

 鳥は空飛んでいても、横浜市と逗子市の境見えるわけじゃないですから、それは当然、トータルとして評価するということになると。

 今、私、資料でお示ししたのが正にその池子の森の地図ですが、これで環境影響評価書で八十七種が池子の森で鳥類について観察されたというふうに報告されていて、例えば、紹介すると、逗子市側では貴重種がハヤブサ、オオタカが絶滅危惧種、それからフクロウ、チョウゲンボウが環境庁八三年第二回緑の国勢調査で重要種とされているもの。それから、カワセミが日ロ渡り鳥条約の保護鳥、ゴイサギ、オオルリが日中渡り鳥条約、アマサギが日米渡り鳥条約の保護鳥、これいずれも生息確認されている。

 それから、横浜側でも貴重種が確認されておりまして、オジロワシもあります。これは北海道で生息して、冬、池子の森にやってくる天然記念物で、日米渡り鳥条約の保護鳥だと。それから、キビタキも、日米、日中、日ロ渡り鳥条約の保護鳥だと。

 お聞きしたいのは、この時点でこういう確認されたわけですが、建設後、こうした貴重種の現時点での生息状況はどうなっているか、教えていただきたい。

政府参考人(山中昭栄君)

 これは、住宅建設の計画をし、実際に工事をする過程におきましては、生態系にできるだけ影響を及ぼさないというようなことを含めまして、環境保全上必要な配慮をしてきたわけでございますが、その後のいわゆる事後調査と申しましょうか、御指摘の絶滅品種を含めてモニタリング等については実施をいたしておりません。

小池晃君

 だからね、それじゃ何のための環境影響評価だったということになると思うんですね。全く私、それ以後全く調査していないというのは無責任過ぎると。これ、環境影響評価書を見ても、米軍住宅建設後の環境モニタリングを約束しているんですよ。これ、建設後の変化を調査するというのは、これ国の約束だったんじゃないんですか。

政府参考人(山中昭栄君)

 当時の私どもが環境影響評価を行う根拠となっておりました県条例、これによりますと、いわゆるモニタリングそのものは、これは改正が県条例について四回ほどなされておりまして、現在の県条例の規定によりますと事業者がその後のモニタリング等をやる義務があるわけでございますが、当時適用されておりました条例の規定によれば、これは県知事が行うというようなことでございました。

 県が私どもの方に送付をされました審査書におきましても、この点について行政当局によるモニタリングが必要なときに十分な対応が行えるようにするというふうなことがございました。この二百九十ヘクタール全体が米軍に提供するいわゆる施設・区域でございますから、条例の規定に基づいて知事が行うモニタリング等については当然立入り等についての米側の承諾といいましょうか、が必要なわけでございます。そういったものにつきまして知事が条例に基づいてモニタリングが必要だというふうな判断をされた場合には必要な協力を行うというようなことで、当時、米軍と調整を行ってきたということでございます。

小池晃君

 防衛施設局は、環境影響評価書で住宅供用後の環境管理については完璧を期すというふうに述べていたんです。にもかかわらず、県が言わないからやらないというのは、私、無責任だと。神奈川県に対して防衛施設庁何と言っているかというと、提供用地の将来的、長期的環境保全については長期的に環境が保全されるよう米軍も最大の配慮をすることとしており、必要に応じ米軍に対し環境に影響を与えるような土地の形質変更等行わないよう配慮を求めたと約束をしているわけです。

 しかし、防衛施設庁は、将来的、長期的な保全対策を示すこともしないどころか、環境モニタリングをすることもやらないどころか、池子の森の横浜市域まで含めて破壊しようとしている。これ、どう考えたって、こんなこと許されないというふうに思いますが、いかがですか。

政府参考人(山中昭栄君)

 条例上、当然事業者に対して義務として課せられた事柄については誠実にこれを履行するということだろうと思います。他方で、当時、環境の保全について種々環境影響評価書の作成の過程等を通じてやり取りがございました。米側に対しても環境の保全等について十分な配慮をするような申入れ等ももちろんいたしておりますし、その後におきましても、これは折々に米側に対して環境保全上の必要な配慮を申入れをいたしております。

 私どもとしては、決して、環境の保全、生態系の維持、こういったものについてないがしろにしてきたつもりは毛頭ございませんで、今後とも環境保全の観点から必要な対応というものはしっかりやっていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 横浜側の建設進めながら対応しているなんというのは本当に矛盾だらけだと思いますよ。

 防衛庁長官、今度答えていただきたいんですが、これは在日米軍が自ら持っている日本環境管理基準というものです。日本の基地の環境基準をこんなに分厚いものを米軍は作っているわけです。これは目的は日本における国防総省の活動と施設が人の健康と自然環境を保護できるように保障することとされておりまして、その中では自然遺産と文化遺産を保護すると言っているんですね。自然遺産では、貴重種や絶滅危惧種のような特別に指定されている植物相、動物相等、歴史的環境保全地区についてこう言っているんです。基地司令官は、自然遺産が軍事任務によって悪影響を受けるような状況を解決し、あるいは軽減する方策を取ると明記している。彼らはこういう基準を持っているわけです。

 私、防衛庁長官、米国に対して、米軍に対して、あなた方が持っている基準に照らしても、こういう基準に照らしたって池子の森というのは本当に貴重な自然遺産なんだから、住宅建設というのはあなた方の環境基準に照らしても重大な違反になりますよということを伝えて、やはりここには造れないというふうにはっきり私言うべきではないかというふうに思いますが、長官、いかがですか。長官答えてください、長官。ちょっと長官答えてくださいよ。さっき答えなかったんだから、一つぐらい答えてください。これで終わりですから。

政府参考人(山中昭栄君)

 これは、さっき御指摘がありました、例えばオジロワシあるいはオオタカ、ハヤブサ、こういったものにつきまして、例えば飛行中の一個体が確認されたけれども、その当該施設・区域の提供地域、これを生息地としている可能性は極めて少ないとか、オオタカについては、提供用地に広く見られるけれども、主として北側の樹林の集中している地域を生息地としているというようなこと、あるいはハヤブサにつきましても、これは貴重種でございますが、冬季に一例が観察されたのみであるというような、当地の現況調査の実態を踏まえて私ども必要な予測、影響評価をやっているということでございます。

 それから、御指摘の米軍が作っておりますJEGS、これは日米で提供される法令のより厳しいものを適用するという考え方で、地位協定三条の精神をまつまでもなく、具体的な環境保全の適用例として米側がこういうものを設定をして保全のために必要な配慮をしているというふうに私ども理解をしておりますし、今個別具体のケース、ケースで私どもなりに、例えばこれは合同委員会に環境部会、分科会というものがございます。こういった正式の機関等を通じて必要な調整をし、環境保全のための取組や、これは環境省が主管でございますけれども、私どもなりの立場で鋭意協力をするなり、必要な取組をしていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 実際環境モニタリングもやってないんだから、何か大丈夫だなんていうことをいろいろと言う根拠ないと思いますよ、私。やはり、三割の森を削って、しかもその米軍の基準に照らしたって、どう考えたって許されないような住宅建設を唯々諾々と進めるというのは私本当に情けない。アメリカ言いなりの姿勢だというふうに私思います。池子の森の環境を保全するという約束したんですから、当初。これは横浜側の住宅建設はやめるべきだということを重ねて申し上げます。

 続いて横須賀の、二〇〇三年度予算でも四十億円の思いやり予算で十二号バース、総額百二十八億円掛けて原子力空母の配備に備えたという問題がございます。

 町村外務大臣、二月にラムズフェルド国防長官に対して、これ母港化やめてほしいと、御自身の言葉ではっきり伝えたのでしょうか。それから、国防長官、その際、何も決定されてないと述べたと伝えられておりますが、これは原子力空母以外の選択肢もあり得るというふうに大臣はお受け止めになれましたか。

国務大臣(町村信孝君)

 二月十七日の日に沢田市長が外務省の方にお見えになりまして、そのとき、キティーホークの後継空母については通常型の空母を配備する可能性を見いだすようにアメリカ側に対して強く求めてほしいという要請をいただきました。要請文もそのときいただいたわけでございます。

 このことを受けまして、十九日に私の方から、2プラス2の折にちょうどラムズフェルド長官と話をする時間がありましたので、ごく短時間でありますが、こういう事実があったということをラムズフェルド国防長官に伝達をいたしました。その際、長官からは、キティーホークの後継についてはアメリカ政府として何ら決定していないという旨の説明があったところでございます。

小池晃君

 いや、私が聞いたのは直接言ったのかと。まあ衆議院でも親書を渡したということは答弁されていますが、私は、やはり日本国民が地元自治体を挙げて反対しているのだから、その意思を直接大臣の言葉で伝えるのが外務大臣としての責任だというふうに思います。

 そもそも、この横須賀の空母の母港化の問題で、ちょっと古い話ですが、七二年十一月十五日付けの外務省文書では、原子力推進航空母艦の本邦寄港問題は現在全く考えられていないと、寄港そのものを考えていないとその当時は言っていたんです。

 その後、寄港はやられておりますが、当初寄港すら駄目だと言っていたものを母港化するなんというのは私とんでもない話だと。横須賀基地の百キロ以内には三千万人住んでいるわけです。人口が密集した首都圏の入口に二基の原子炉を持つこの空母を、母港を置くというのは本当正気のさたでないというふうに思います。

 事故が起きたときの被害を考えれば、本当に神奈川県や横須賀市が反対するのは当然であって、大臣ね、私ね、こうした反対の声を代表して米側と折衝すべきではないかと、こう考えますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(町村信孝君)

 今、私どもは2プラス2で議論をしておりますが、この横須賀の問題というのはその範囲の外でございます。政府としては、この今、安保体制の円滑、効果的な運用を図るため、国民の理解を得るように努めながら適切にこの横須賀の問題は対処してまいります。ただ、今の2プラス2の議論を正にやっている最中でございますから、この横須賀問題というのは入っていないということだけは申し上げておきます。

小池晃君

 入っていようが入っていまいが、もう地元住民のみならず、首都圏全体の本当に関心集まっている問題です。

 アメリカは太平洋艦隊に二隻目の空母を配備する計画がある。先制攻撃戦略のために、前線拠点強化、これがもう正にアメリカの至上課題となっていて、原子力空母の横須賀母港化というのは在日米軍基地の機能を飛躍的に進めることになることは間違いない。

 一方、アメリカ側も大変心配しているわけです。二月十日に明らかになった米議会調査局の報告書では、日本での強い反核感情のため、日本を原子力空母の母港にするという海軍の提案は潜在的にはかなり大きな世論の反対に直面することになるだろうというふうに、アメリカ側もこのことを海軍航空母艦ジョン・F・ケネディの退役提案という報告書の中で明確に言って極めて敏感になっている、こういう中なんですね。

 ですから、私ね、大臣、この際本当にはっきりとこうした原子力空母の母港化というのは受け入れられないんだと、2プラス2の範囲に入っているか入っていないか、そんなこと関係ない。これだけ国民も心配をしているし、アメリカ側もこれだけ日本の世論に敏感になっているときにやはりしっかりと伝えておくということが外務大臣としての当然の責任ではないかと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(町村信孝君)

 貴重な御意見として承っておきます。

小池晃君

 そういうことでは本当に日本の外交を預かる外務大臣としての責任を果たしていると言えないと。

 神奈川県の大和市長も言っているんです。通常型空母だろうと原子力空母だろうと、市のスタンスは母港化返上だと。これが本当に地元住民の皆さんの声だというふうに思いますので、私どもは米軍の母港化、空母母港化そのものを返上する、そのことを求めて、質問を終わります。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.