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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

162 通常国会 参議院厚生労働委員会
公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件

2005年3月17日(木)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 草加の公共職業安定所が満杯で、お聞きすると、駐車場もあふれていて周辺の道路に渋滞を起こすようなこともあるということも聞いておりまして、越谷に増設することは、草加だけで対応し切れないという点から、これは当然のことだというふうに思います。

 問題は、職安行政の中身の問題だと思うんですが、やはり安定した仕事に一刻も早く就きたいと願っている人に丁寧に相談に応じるということは非常に大事な仕事だし、それが求職者の最大の要求になっていると思うんです。ところが、その量が非常に増えているということと同時に、質が非常に変化してきているということが言われておりまして、今、求人としては非常に増えてきているのが、やっぱり派遣労働を中心とした不安定雇用である。一方で求職者は安定した雇用を求める。相談に非常に時間が掛かるんだということも聞いておりますし、また、求職者から出されるクレームの八割は求人票の記載事項が非常に不正確であるということであったり、あるいはその詳細が説明されていないということだったりするそうなんです。

 こういう仕事の質が非常に大きな変化をしてきている中で、現場の御苦労大変だし、きめの細かい対応するのは本当に時間も掛かるし、大変な仕事だというふうに思うんですね。しかし、こうした中で、定員数は五年間で五百三十一人削減をされた。それから、職業安定所の統合あるいは出張所の格下げも行われてきていて、やはり仕事の量あるいは質の変化にむしろ逆行するような事態になっているのではないだろうかというふうに思うんです。

 しかも、こうした事態を解決するために、国会では、この間だけでも百五十三、百五十四、百五十五、百五十九国会で、全会一致で労働行政体制の整備に関する請願が採択をされております。

 中身見ると、雇用・失業情勢の深刻化等に伴う労働行政の需要増大等に対応するため、緊急に職員の増員等による労働行政の体制整備を行うこと。こうした国会決議が行われているそういう中で減員が続いているということは、私はこの国会決議の趣旨にも反するのではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(鈴木直和君)

 今、御指摘のように、厳しい雇用情勢の中、また、それからいろんな職業安定所に来られる方の相談内容、これも多様化してきつつあると。そういう中で、公共職業安定所の体制整備、これを図ることは大変重要というふうに考えております。また、このことに係る請願が国会において採択されているということにつきましても、私どもは真摯に受け止めております。そういう観点から、これまで必要な増員に全力を挙げて取り組んでまいりました。

 ただ、一方で定員削減があるものですから、残念ながら、定員削減をカバーできるだけの増員になっていないということで、このところ労働局の定員は減少傾向でございます。

 私どもとしては、これからも増員に積極的に努力するとともに、定員事情が厳しい状況にあるものですから、そういった現行の定員事情の許す範囲内で効果的、効率的な業務運営に努めていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 必要な部分はやっぱりしっかり手当てしていくことが私は必要だと思うんです。

 体制の整備と併せて職安の権限の問題も重要だと思うんですが、近年、サービス残業あるいは偽装請負といった違法な就業形態、最初から労働基準法や職安法に違反しているのを承知で求人するような事態も起こっているというふうに聞いております。そして、こうした問題を職安に相談持ち込んでも、安定所の職員は違法な事例見付けても、これは労働基準監督官に伝えるだけだという権限しかない。やはり違法な事例を摘発するためには、もっと権限を持たせる、スピーディーな摘発をしていくということも考えるべきだと。

 私ども、九九年の職安法の改正時に、対案として司法権限を持った職業安定監督官の創設ということを提案をいたしました。その時期に比べてもより一層違法なこういう就業が拡大していることを考えれば、いよいよそういう必要性は高まっているのではないかと考えるんですが、御見解はいかがですか。

政府参考人(青木功君)

 職業安定行政における事業主への指導監督の問題でございますけれども、障害者の雇用率の問題あるいは高年齢者の雇用の問題等々、事業主の皆様に要請することも多うございますが、特に議論になってまいりましたのは請負派遣等の方々についてどんなふうに対処するかということでございました。

 そこで、平成十六年四月に、職業安定法及び労働者派遣法にかかわる事業主指導権限というものを都道府県労働局に集約してきちんと専門的に当たれるようにいたしました。さらにその中で、こういった業務量、業務が多いところには専門の部あるいは課、専門の職員といったものを配置をいたしまして、さらに労働基準行政との連携もより一層密にしてこういったことに対応してまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 私、昨年の予算委員会で、この請負業務に監督官庁ないという問題も指摘をしましたけれども、専門的に対応する部署つくることはいいことだと思うんですが、実態はどんどんどんどんひどい方向へ進んでいるわけですから、実効性を持つ仕組みつくることが必要だというふうに思うんです。しかも、今の景気状況見ると、失業率大きく改善するとは言えないし、今年、緊急地域雇用創出特別交付金事業をやめると。

 大臣に私はお伺いしたいんですが、昨年十一月にこの問題を取り上げたときに大臣は、やめるからというので受皿になるようなものはできるだけちゃんとしなきゃいけないというふうに御答弁されたんですが、これはどのようになったんでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しいただきました緊急地域雇用創出特別交付金事業というのは、これは平成十六年度末までということで始めたものでございますから、予定どおり終了をいたします。

 しかし、雇用・失業情勢見ますと、完全失業率、全体でいいますと本年一月で四・五%と約六年ぶりの低い水準まで行きまして改善傾向がありますけれども、一方、例えば東北・北陸地方の完全失業率が平成十六年十月から十二月期で見ますと三%であるのに対して、北海道、四国、九州では五%になるなど、地域差が見られるところでございます。

 そこで、国として、今お話しいただきましたように、受皿づくりをしなきゃならない、どうすればいいかということで、次のようなことを実施することといたしました。

 まず一つが、市町村等が雇用創造のための構想を策定する際に専門家が助言を行う等の支援、これ地域雇用創造バックアップ事業と呼んでおります。それから二番目に、雇用創造に自発的に取り組む市町村等が提案した雇用対策事業の中からコンテスト方式により雇用創造効果が高いものを選抜し、当該市町村に対しその事業に係る経費を支援する事業、地域提案型雇用創造促進事業というふうに呼んでおります。それから三つ目に、地域における創業を支援するため、従来のサービス分野に加えまして、市町村等が自ら選択した重点産業において創業する者に対し、新規創業及び雇入れについての助成、地域創業助成金でありますが、などを実施することにいたしております。こうした施策を実施することにより、雇用の場の創出を図ってまいりたいと考えております。

小池晃君

 その緊急地域雇用創出特別交付金、これは毎年度一千億円以上の事業規模だったんですね。それに比べて、今いろいろおっしゃいましたけど、例えばコンテスト方式というのでいっても六十五億円程度だと思うんで、これは受皿というには余りにも小さ過ぎるというふうに思いますし、これでは受皿ちゃんとするとおっしゃった答弁に照らしても、私は極めて不十分だということを率直に申し上げたいと思うんです。

 二〇〇五年度予算の雇用対策費を見ますと、これは昨年度の五千四百十九億円から四千七百八十億円、だから率でいうと一二ポイント下がって、厚生労働省発足以来最低になっています。しかも、その中には常用雇用を生み出すような積極的な目標施策というのは私は極めて不十分だというふうに思うんですね。

 その点で、先日の予算委員会で、私、長野の経験を御紹介して、長野県では完全失業者が四万二千人という中で、二万人は県の責任で常勤的な雇用を生み出すんだと。産業活性化・雇用創出プランというのを発表いたしまして、これは昨年度、今年度、ほぼ目標を達成しつつあるんですね。九千人近い常勤的雇用を生み出しています。で、そのうち約五千人、六割が福祉、医療、教育分野なんですよ。雇用を生み出すだけでなくて住民サービスの向上にもつながるんだと。

 私は、こういう本当に真剣に厚生労働省としても常勤的雇用を生み出す、厚生労働省なんですから社会保障分野にしっかりお金を使って、そこで安定的な雇用を生み出すという施策に本気で取り組む時期が来ているというふうに考えるんですが、この点について大臣、御見解を伺いたいんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 長野県のお話をされました。

 お話のとおりに、長野県では平成十五年二月に、それからの四年間でということでございましたが、これもお話しになりましたように常勤的雇用を二万人、短期的雇用を約百十一万人日を創出することを内容とする産業活性化・雇用創出プランを策定し、雇用対策に取り組んでおられると聞いております。プランに掲げられている常勤的雇用がどのようなものであるかなど、詳細について私も承知していないところもありますけれども、今お話しいただきましたように、積極的に進めておられる、そうした御努力、私どもがまた学ばせていただくべきところは学びながらやっていかなきゃならないと思っております。

 そして、お話しいただきましたように、厚生労働省でございますから、その両方一緒になったメリットというのを、先ほどのお話もありましたけれども、私どもは生かしていくべきだと考えておりまして、御指摘いただいたような視点も私どもが考えるべき一つの視点だというふうに思います。

小池晃君

 最後に、ちょっと一言申し上げたいことがございます。

 昨日、広島地裁での無年金障害者の判決に対して、厚労省、控訴しました。原告の鳥羽秀範さんのお母さんの智子さん、昨日国会に見えられて、七十一歳なんですが、こういう訴えをされてるんですね。全面勝訴という大きな判決が私の長年のつらさを吹き飛ばしてくれました。裁判は立法の不作為責任まで明確に示しました。どうぞ国は判決に従って、良心をもって控訴しないでください。私どもに、裁定請求から三年半、裁判に三年八か月、全身全力で裁判を闘ってまいりました。体力も気力もお金も消耗してしまいました。これ以上苦しめないでください。こういう本当に、七十一歳のお母さんが訴えをされたんです。これに対して控訴したということに、私、厳しく抗議をしたいというふうに思います。

 あわせて、私、本当に許せないと思ったのは、昨日、超党派の無年金議連の総会の場で、年金局長が質問もされないのに控訴しますと言うわけですよ。そこに原告の方もいるんですよ。聞いて本当にみんな、私、何でこんなこと言い出すのかと愕然といたしました。厚生労働省、この間こういう訴訟で負け続け、そして願いに反して控訴を続けるということを繰り返してきているんですよ。そういう中で、原告のお母さんがこういう訴えをしている前で、今日これから控訴しますと、こういう発言をするというのは、私は余りにもひど過ぎると。

 まあ控訴したこと自体が本当に許せないけれども、やっぱり私、こういうやり方が、本当に厚生行政に対する国民の不信や怒りを生み出し、そして、次々と裁判を起こし、そして負け続けるという、こういう事態を生んでいるんだと。私、猛烈な反省を促したいというふうに思います。そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

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