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一番の弱者に痛み押し付け
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これまで障害者の福祉・医療制度は収入に応じた負担でしたが、「自立支援」法案では一律一割の負担が強いられ、日常活動や社会参加にも重大な支障をきたすことになります。
小池氏は、現在95%の障害者が無料で授産施設や共同作業所に通っているが、一割負担で月二万九千二百円(課税世帯)も徴収されることになると告発しました。これは作業所の平均工賃七千三百円(二〇〇五年「きょうされん」調査)の四倍にものぼります。
「『これなら作業所に通わずに家でじっとしている方がいい』という声があがっている。懸命に働いて手にするわずかな工賃をはるかに上回る利用料を取りたて、どうやって自立を応援するというのか」と追及する小池氏。小泉首相は「負担だけみてけしからんといっているが、収入のない人にも負担をいっているのではない。十分配慮している」と抗弁しました。
しかし、厚労省の減免案は家族に課税収入があったり貯金が三百五十万円以上あれば受けられません。たとえ減免(社会福祉法人減免)されても食費、光熱費合わせれば一万二千六百円の負担となり工賃収入を大きく超えるのは変わりません。
小池氏は「身ぐるみはぐとはこのことだ。こういうことが許されるのか」と批判。小泉首相は“きめ細かな配慮”を強調し、「身ぐるみはぐなんて遺憾だ」と色をなしましたが、続けて答弁に立った尾辻秀久厚労相の答弁で政府のいう“配慮”の実態が明らかになりました。
尾辻 まさに細かな配慮をしている。日常生活費として最後に二万五千円だけは必ず手元に残るようにする。
小池 大臣が法案の中身を理解していないことにがく然とする。それは入所施設の減免の話で、通所施設に通う場合に手元金を残すという話は法案のどこにもない。
尾辻厚労相は入所施設の減免対象と取り違えた答弁をし、工賃収入を大幅に超える通所施設の負担増を否定できなかったのです。
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入所施設に入所している障害者の負担増も深刻です。「自立支援」法案では、施設での食費(月四・八万円)、水光熱費(月一万円)、利用料の一割負担(応益負担)の合計が新たな利用者負担となります。障害者の収入となる障害基礎年金(二級、六・六万円)を大きく超える負担となってきます。
そういう人のためには「個別減免制度がもうけられている」と言う厚生労働省。小池氏は「減免といっても手元に月二万五千円、一日わずか八百円のお金を残して、あとは全部取り立てるやり方だ」と追及しました。
施設入所者への「個別減免制度」とは、貯金が三百五十万円以下の人が対象となります。手元に残る生活費を月二万五千円として、あとはすべて食費、水光熱費、一割負担額として、障害者から取り立てることを認めたものです(月収十万円を超えると二・五万円に上乗せあり)。これも経過措置として多めにしているもので、二〇〇九年度からは手元に残る生活費は月二万一千円に減らされます。
一度聞いただけではのみ込めず、自分がそれにあてはまるのかどうかもわからない複雑な減免制度です。「どういう制度か」と説明を求めた小池氏。尾辻厚労相は「きめ細かな制度をつくろうと努力した」と自賛したうえで、「できるだけわかりやすいようにつくった」と、用意した説明資料を手に得意げに答弁に立ちました。
ところが…。
尾辻 収入が月額六・六万円までは負担がゼロになります。
小池 でたらめだ。定率負担はたしかにゼロです。しかし食費、光熱費があるでしょう。トータルで説明していただきたい。
尾辻 月額六万六千円までの収入の方は定率負担はゼロとするほか、食費等負担については一カ月あたり二万五千円残る仕組みとし、過大な負担にならないよう配慮します。
間違いを指摘され、途端に棒読みの官僚答弁となった厚労相。六・六万円以下であっても二・五万円を残し、のこりの収入全部をとりあげることを認めました。
認めてもなお「二万五千円残して全部巻き上げるみたいなことをおっしゃいますけれど、私どもとしてはそんなつもりはまったくないわけでございます」と言い逃れる厚労相。痛いところをつかれて支離滅裂の弁明答弁となりました。
法案提出の責任者が骨格となる負担問題で、答弁の事前準備をしながら、なおかつ理解できていなかったことが浮かびあがるなかで、小泉首相も、一知半解で「二・五万円までとることはしない」と強弁。厚労相答弁の間違いを察したあとは、二・五万円で生きていけるのかという小池氏の追及に答弁席に立つことができなくなり、後ろをふりむき尾辻厚労相を指さし、答弁をうながさざるをえなくなりました。
この二・五万円に根拠はあるのか。小池氏の質問にたいし尾辻厚労相は「家計調査で年収二百万円の世帯の生活費が、月二・一万円になっている」と答弁。生活保護基準を下回る年収二百万円の世帯の生活費を根拠にしたことが明らかになりました。
小池 一日八百円で人間らしい生活ができると思うのか。
小泉 決して無理な負担をお願いしているわけではない。
小池 二万五千円で生きていけるのかと聞いています。お答えいただきたい。
尾辻 二万一千円でがんばってやっておられる方々にはどういうふうに申しあげることになるのか、つい思うわけであります。
「きめ細かい配慮」といえなくなった尾辻厚労相は、「二万一千円でもがんばっている人がいる」のだからと開き直る始末。小池氏は、「一日八百円。外出もままならない。洋服も買えない。人間らしい生活といえるのか。もし病気になったら多額の持ち出しで暮らしが破たんする」と批判。同法案は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとした憲法二五条に違反する」とのべました。
「改革を止めるな」と言って総選挙をたたかい、九月二十六日の所信表明演説でも「改革」のフレーズをくり返した小泉首相。
その「改革を止めるな」の名のもとに、いったん廃案になった法案と同じ内容で総選挙後の特別国会で再提出したのがこの障害者「自立支援」法案です。
同法案は、これまでの障害者の収入に応じた負担(応能負担)を、定率の一割負担(応益負担)に変更します。小池氏は、障害の重い人ほど利用するサービスも多くなるため、障害が重くなるほど負担が重くなると指摘。「社会参加を妨げる自立破壊法案だ」とのべました。
参院から審議に入り、五日に本会議で法案の趣旨説明、質疑が行われ、六日から参院厚生労働委員会で審議開始。与党側はスピード審議で早期可決、会期内の衆院可決、法案成立をねらっています。
小池氏は、「一番弱い立場の人に痛みを押し付ける。これが小泉改革の正体だ」とのべ、障害者に不安と反対の行動が広がる「自立支援」法案の撤回を強く求めました。
日本共産党の小池晃政策委員長がおこなった4日の参院予算委員会での質問に、テレビ視聴者から反響が寄せられました。
「テレビをみた。自分は自民党員だが、共産党を応援する。小泉首相は障害者へのお金は削ってもかまわないと思っている」(男性)
「障害者だが、小泉首相の発言は本当にひどい。この法案は粉砕してほしい。がんばってください」(男性)
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