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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

159 通常国会 参議院 決算委員会質問

2004年5月31日(月)

  • 給付50%割れ「説明なし」首相認める/年金法案(関連記事
  • 「年金以外の備えも必要」と首相/国民生活の実態分かっていない(関連記事

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 二〇〇二年度、これ厚生年金加入者が大幅に減少して、年金運用で大きな赤字を出した年でありますが、この年金財政の決算をますます悪化させようとしている年金制度改革についてお聞きをしたいと思います。

 年金の給付削減しますけれども、現役世代の収入の五割以上保障しますというのが、これは政府のうたい文句だった。これは自民党のパンフレットなんですけれども、表紙は総理の顔のアップで、この中で、年金については、給付水準を標準的な世帯で現役世代の収入の五〇%確保と書いてあります。それから、これは公明党のパンフレットなんですけれども、そこには、給付水準を五〇%以上確保して、暮らせる年金を保障していますというふうに書いてあるんです。

 こうしたキャンペーンを行われてきたんですが、最近になって、この五〇%確保というのは年金受給が始まる六十五歳のときだけで、その後はどんどん低下していく、最終的には四〇%台まで下がるということが明らかになりました。そんなこと、このどっちのパンフレットにもこれ書いてないわけであります。

 総理は、五月十八日の厚生労働委員会で、なぜこんな大事なことを今まで説明しなかったのかと私が質問したらば、こういう議論よくしてきたとお答えになった。しかし、国会で総理自身が説明したことは一度もないと思うんですが、したというのであれば、いつどこでやったのか、教えていただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは、私が出席した委員会におきましても、あるいは他の委員会におきましても、そういう議論はされておりました。私が答弁しなくても、坂口大臣も答弁されておりました。

 一つの説明をする際には、標準的なモデルを示した方が分かりやすいというのも御理解いただけると思うのであります。そういう点から、何歳なら幾ら、何歳なら幾らということじゃなくて、六十五歳時点においては五〇%程度ですよと。今、小池議員指摘されたように、高齢者になればもっと下がるじゃないかという議論も各委員会で、私は答弁しなかったんですけれども、たしか坂口大臣はそういう話をしておられました。

 だから、今後、こういう状況においては政府の説明と違うじゃないかという点につきましては、言っていただければ、違うのか違わないのかということについてはやっぱりしっかり政府も答弁しなきゃいかぬと思っております。

小池晃君

 これは、聞けば答えるということじゃなくて、最初から説明しなきゃいけないんですよ。しかも、これはいろんなモデルの話じゃないんです。一番典型的なモデル、皆さんがモデル世帯としていたケースで五割保障しますというのが看板だった。しかし、それが実は最初の六十五歳のときだったという話なんですから、これはいろんなモデルの話じゃないんです。モデルの一番中心の部分で話が違っていたということなんです。総理自身もこれは説明してないということをお認めになった。

 しかも、厚生労働大臣どうなのかといいますと、坂口大臣は、衆議院での強行採決の後の、新聞報道されたのがこれ五月一日ですが、その五月一日の新聞報道の後の五月七日の衆議院厚生労働委員会でこう言っているんですね、私は新聞を拝見して初めて知ったわけでございますと。ですから、担当の坂口大臣もこれは新聞報道があるまで五〇%割れすること自体知らなかったんじゃないですか。

国務大臣(坂口力君)

 それは、そんなことありません。私が申し上げましたのは、衆議院におきましても古川議員がパネルを使って御質問になる、私はそのパネルを示しながら議論をさせていただいたということを申し上げているわけであります。ただ、その中でパーセントを何%というのは言わなかったのかもしれませんけれども、そのパネルにはちゃんと書いてもらってあるわけでありますから、それを見た。

 今、五〇%が四〇%に下がっていくではないかというお話は、これは年金をもらうようになった皆さん方が、それから後、これはいわゆる消費の上昇率とそれから賃金の上昇率が一緒であればそのまま五〇・二%でずっといくんですよ。だけれども、いわゆる物価の上昇率よりも賃金の上昇率の方が上になれば、それは先々、十年先、二十年先にその賃金、若い人の賃金と比較をすれば少なくなるということはあり得る。だけれども、ここは物価の上昇よりも賃金の上昇の方が上に行く、上がり方が大きいような社会を作っていくことが我々にとって大事なことではないかというふうに思っている次第でございます。

小池晃君

 今ね、大事なことおっしゃった。パーセント言わなかったというんですよ。しかし、皆さんは、あなた方は五〇%、五〇%ということを金科玉条として言ってきたんじゃないですか。ところが、その数字は言わなかったということは、これを一番大事にしてたあなた方が言ってたこの数字言わなかったって、これ重大なことなんですよ。これがあなた方の唯一のこの法律のうたい文句、看板だった。その数字を国会で言わなかったとはっきりおっしゃった。

 しかも、なぜこの問題重大かというと、現役世代の収入の五割を割り込むというと、実際の受け取る年金どうなるかとこれ換算してみますと、これ物価や賃金、今の賃金水準として計算すると、厚生年金では、これ四十年間一生懸命働いて夫婦で現在二十三万三千円、モデルですが、これが十六万円の値打ちに二十七年後にはなってしまうということになるわけです。国民年金でいいますと、四十年間毎月欠かさず保険料を納め続けても六万六千円ですが、これが今、四万五千円の値打ちに二十七年後にはなってしまうということになる。しかも、これ丸々受け取れない。ここから介護保険料を取られる、国保税が引かれる。ですから、これは実際の手取り、もっと少ないわけで、四十年間一生懸命掛金納めても、厚生年金、夫婦で十六万だとすると一人八万円ですよ。それから、国民年金四万円余り。正に、生活保護水準以下の、四十年間一生懸命働いて掛金納めても、そういう水準に値打ちとしてはなってしまうという大改悪だと。

 私、総理にお聞きしたいんですが、公的年金の水準をここまで引き下げてどうやって生きていけと総理おっしゃるんですか、お答えいただきたい。総理、お答えいただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 公的年金は、創設当時はお小遣い程度じゃないかという批判をしている方もおられましたけれども、今や公的年金は大事な生活を支える柱になっています。

 しかし、公的年金だけで全部生活費を見るということとは違うと思うんですね。大きな柱の一つになってきているというのは事実でありますが、そのほかに日ごろの備えをしていかなきゃならないという点もあるでしょう。

 そういう点から見て、私は、どの程度が公的年金必要かというのは、今後ますますいろいろ議論の俎上にのせられると思いますが、やはり給付と負担、そして経済状況によっても違うと思いますが、いろいろな点から議論されてしかるべきだと思います。公的年金だけで全部生活費を見るというものではございません。

小池晃君

 公的年金だけで生きていけないというのであれば、百年安心の年金制度などという看板はでたらめじゃないですか。百年間これで安心だというふうに宣伝されたわけでしょう。今、はっきりおっしゃいましたよ。公的年金では生きていけない、それだけでは暮らしていけない、そういうことになるんだと、はっきり公的年金制度の変質を言っている。一方で、国民に対しては百年安心の制度だと。

 これ、どう整合性を取るんですか。全く矛盾しているじゃないですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは、公的年金ですべて生活できる人も一部にはいるでしょう。しかし、公的年金以外に自分の蓄えているものもあるでしょう。そして、なおかつ生活保護制度というのもあります。いろいろな組合せです。そういう中で、しっかりとした社会保障制度を作っていこうということであります。

小池晃君

 年金だけで暮らしていらっしゃる高齢者家庭というのは六割超えているんですよ、高齢者世帯の。しかも、今、貯蓄のない家庭、どんどん増えているわけですよ。日銀の調査でも二割超えているわけでしょう。

 そういう中で、公的年金、何とかこれで生きていこうと思っている人に、公的年金だけで生きていく時代は終わったと、こんなこと言えるんですか。私は、本当に重大な、全く国民生活の実態を分かっていないと。こういうことでは、本当に百年安心などという看板はきっぱり下ろしていただきたいというふうに思います。

 しかも、これ今、朝日新聞のアンケートでは七〇%がこれ成立させるべきではないというふうに言っている。共同通信のアンケートでは、見送るべきだが六七・七%、成立させるべきだという二二・七%を大きく上回っていると。こういう不信の状況の中で強行すれば、私は、年金なんというのは本当に信用できないという気持ちをかき立てることになってしまうというふうに思うんです。結局こういうやり方は、強行するというようなやり方は、正に年金の土台を崩すことになりかねない。

 しかも私は、年金をめぐって今ほど政治の信頼が地に落ちているときはないのではないかというふうに思います。私は、こうした中で強行するということは、政府の年金改革案に賛成であろうと反対であろうと、私は絶対やってはいけないことだというふうに思います。

 今やるべきことは何か。国民の不信を取り除くために私は三つのことをやる必要があるというふうに言いたい。

 一つは、給付は五〇%確保する、こういう看板、偽りの看板崩れたわけですから、こんな法案をこのまま国会で通すわけにはいかない。法案を撤回し、出直すということを求めます。

 第二に、国会議員と閣僚の年金未納問題、これが問題になっている。国会議員とか閣僚というのは、私は、特別の責任がある、法律を作るわけですから、それを国民に押し付けるわけですから、これは特別の責任があるわけで、我々日本共産党は、こうした自覚に立って全議員の納付状況を最初に発表いたしました。しかし、自民党は法案を提出した政党として特別の責任があるにもかかわらず、いまだに公表していない。これを直ちに公表するべきだと。総理、自民党総裁でもあるわけですから、これを、国会議員が強制加入となった八六年以降の全議員の在職中の納入状況を、これを発表するということをやるべきだと。

 第三に、国会議員の互助年金制度の問題であります。

 これ、国庫負担七割にも上る極めて特権的な制度であって、私は、国民の年金に対する不信のこれが一つの大きな土壌になっていることは間違いないというふうに思います。

 この制度は一九五八年に作られました。そのときの国会審議を見ますと、これはあくまで国会議員の互助制度で、国庫負担は事務費に充てるのみだというふうに当時説明されているんです。ところが、年々国庫負担が増えていって、今年度予算では実にこれ国庫負担割合七二・七%です。十年間加入すると年額四百十二万円、月三十四万円の年金がもらえる。こんな国会議員の特権はなくすべきだというふうに言いたい。

 総理がもしも民主主義を大切にすると言うのであれば、これだけ年金制度をめぐる国会への不信が渦巻いているんですから、この三つをやっていただきたい。潔くこの法律は撤回をして、そして自民党議員の未納の公表を行う、議員年金の問題に決着を付ける、国民の信頼を回復する努力をしてから、しかる後、来るべき参議院選挙で各党が年金改革案をお互い闘わせて、そしてその後の国会で年金改革の本格的な議論を行っていく。私はこれが民主主義の基本ではないかというふうに思いますよ。是非この三つを総理、お答えいただきたい。これが今こそ国民に対して我々が果たすべき責任ではないかと思いますが、見解を伺います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 まず第一点、国民が七〇%以上見直すべきだ、反対だからこれを廃案にしろという点でありますが、これは是非とも、今回の政府案を提出しておりますので、一日も早く成立させていただきたいと。そして、今国会で審議されたいろんな問題点、これを今後与野党協議の場において真摯に受け止めながら、建設的な議論に結び付けていきたいと思っております。

 また、国会議員の未納の問題につきましても、それぞれ個人が自由民主党の場合対応しています。各議員の判断に任せればいいのではないかと、聞かれればみんな答えているわけですから。私は、自由民主党でありますから、自由で民主的に、各議員が責任持って、自分の信頼を得られるためにはどうしたらいいか個人で判断しなさいというふうに言っております。

 それと、三点目は議員年金。これはいいですよ。共産党がそれ賛成してくれるならいいと思いますね。これはよく協議してもらって、私が廃止しろと言うと、政府の長が国会議員の身分のことに口出すなといって批判をされていますけれども、各党協議してもらって、あるべく、議員年金廃止だといったら、どういうふうに各党が協議して進めてもらうか、よく、できたらこの国会中で結論出していただければ大変有り難いと思っております。私は賛成です。

小池晃君

 あのね、自由民主党なんてとんでもない開き直りですよ。自由放任じゃないですか。自由と民主主義というのは責任の下にあるんですよ。国民に対する責任を果たして初めて自由と民主主義があるんです。

 そして、議員年金問題あれこれおっしゃいましたが、総理、総理は四月六日に、四月六日に今国会に議員年金廃止法案出すと言ったじゃないですか。どうなっているんですか。全く話進んでないじゃないですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、国会で決めるということは、与野党賛成しないと駄目だというんでしょう。だから、いいですよ、反対しなきゃ、共産党が賛成してくれりゃこれは可能性あるな。今まで反対すると思ったんだけれども、賛成してくれるんだったらば、できるだけ早く各党協議して、議員年金廃止で、どういう形で各党まとめるか、是非とも協議を進めていただきたいと思います。

小池晃君

 全く口先だけで、何もやろうとしてない。こんなことで、国民に痛みを押し付けることは断じて許されないと申し上げて、質問を終わります。

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