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156-参議院通常国会

2003年4月24日(木)


雇用保険法の一部改正案に対する反対討論

日本共産党  小池 晃


 私は、日本共産党を代表して、「雇用保険法の一部を改正する法律案」に対する反対討論を行ないます。

 雇用保険は、失業者の生活の安定と再就職の促進を目的としており、そのあり方は国民生活を左右し、経済にも大きな影響を与えます。失業期間が長期化するなど、今日の厳しい雇用情勢のもとで、政府には国民の勤労権の保障と、雇用保険制度の拡充をする責任があります。「構造改革」で、失業者の増加を前提とする経済政策を進めながら、失業者の命綱を断ち切ることなど、断じて認めることはできません。

 反対する第一の理由は、この法案が雇用保険財政をいっそう危機に陥れるものだからです。

 雇用保険会計の悪化の原因は急激に進むリストラにあります。こんな時に、給付削減が 4100 億円、2 年後の保険料引き上げによる負担増が 3000 億円にのぼる雇用保険制度改悪など、もってのほかであります。

 本法案による大規模な給付の削減と負担増が、消費を冷え込ませ、景気の足を引っぱり、その結果、雇用保険財政の悪化という悪循環に突き進むことは、あまりにも明白です。国の政策で失業者が増大しているのですから、国が責任を持って失業者を支えるのが当然であり、国庫負担を引き上げて、給付削減、保険料引き上げを撤回すべきであります。

 第二の理由は、失業者の生活に深刻な打撃を与え、求職活動を困難にするからです。

 基本手当削減の対象は賃金月額 12 万 6300 円以上のすべての受給者をはじめ、実に 93,5 %の受給者に及びます。特に、給付率の下限の 60 %から 50 %への引き下げは、再就職が困難な中高年失業者の生活に深刻な打撃となります。また、受給期間の見直しなどによって、失業手当を受け取る実人員が月平均 6 万人も減らされます。手当額の削減だけでなく、受給実人数を減らすことなど、とうてい許されません。

 第三の理由は、「早期再就職の促進」の名の下に、低賃金・不安定雇用への労働力移動を促進するものだからです。

 今回の改悪は、失業給付と再就職時賃金の「逆転現象の解消」を理由として、基本手当の削減を実施し、常用雇用以外の再就職をすすめる就業促進手当を新設し、地域平均賃金の 8 割の条件でも紹介を拒否すると給付制限をかけるなどの「厳格化」を、「受給者の責務」の法文明記とともに進めています。これでは、雇用保険制度そのものが、いっそう低賃金、不安定雇用を促進する手段にされてしまいます。まさに、今回の改悪は、雇用保険制度の重大な変質に他なりません。

 最後に、このような重大な法案を、趣旨説明も含めてわずか二日間の審議で採決することに強く抗議して、私の反対討論を終わります。

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