小池晃君 日本共産党の小池晃です。
あおぞら銀行のサーベラスへの売却問題についてお聞きをしたいと思います。
日債銀の問題はこの間の予算委員会などでも、破綻直前まで旧日債銀が債務超過でないというふうに言い続けて、奉加帳まで回して、そして税金投入しながら実は債務超過だったということで莫大な税金投入を行った、そういった経過も取り上げたこともございますし、ソフトバンクグループに譲渡されたときの瑕疵担保特約も大変問題になったわけであります。
今日お聞きしたいのは、今回の売却の問題でありますけれども、アメリカの投資ファンド、サーベラスがこの旧日債銀、現あおぞら銀行を買収することを決めたと。株を売却するソフトバンクは五百億円の利益を得るとされております。
最初に事実関係をお伺いしたいんですが、買収決定の経過について御説明を願いたいと思います。
政府参考人(五味廣文君) お答えいたします。
ソフトバンクが保有いたしますあおぞら銀行株の売却につきましては、昨年六月の衆議院財務金融委員会の参考人質疑におきまして、ソフトバンクの孫社長から、あおぞら銀行株の売却を検討しているが、まだ結論は出していない旨の発言がございました。
その後、今年の一月、あおぞら銀行において、当行株の譲渡に関しサーベラス及び三井住友フィナンシャルグループからの資産査定の要請を受け入れる旨の決定がなされております。
さらに、去る四月十一日、サーベラスから、ソフトバンクによるあおぞら銀行株の売却に関し、その全株に先買い権を行使することを決定した旨のプレスリリースがなされております。
以上が、本件に関するこれまでの経緯でございます。
小池晃君 そもそも、旧日債銀を買ったとき、ソフトバンク社は一体幾らでこれ購入したのか、そして、今回の売却による利益見込み、この点について御答弁願います。
政府参考人(五味廣文君) ソフトバンクは、旧日債銀の譲渡時におきまして総額で四百九十三億円の出資を行っております。これによりまして、現在あおぞら銀行の普通株式のうち約四九%を保有しております。
そこで、どのくらいの利益というお話になりますが、この点につきましては、今回のソフトバンクによる同行株の売却につきましては、現時点ではまだ売却条件などが明らかにされておりません。また、民間同士の個別の取引にかかわるというものでもございますので、御答弁できる状態にございません。
小池晃君 これは、報道によりますと、買収戦での提示額は一千億円というふうにもされておるわけでありまして、そうなればソフトバンクの売却益は五百億円ということになってくると。
このあおぞら銀行、旧日債銀時代も含めてですが、多額の税金、公的資金が投じられております。今まで投入された公的資金の総額、それから、いわゆるその中から返ってこない額は一体どれだけあるか、お示し願いたいというふうに思います。
政府参考人(五味廣文君) 旧日債銀、現在のあおぞら銀行に対しまして、預金保険機構が行いました資金援助等の額を項目別に申し上げます。
まず、特例資金援助で金銭贈与など、これが三兆二千八百十一億円。同じく特例資金援助で資産の買取り、これが三千九十九億円でございます。
次に、旧金融安定化法及び早期健全化法に基づく資本増強といたしまして三千二百億円。さらに、適資産、これは旧日債銀保有株式でございますが、これの買取り、これは平成十五年一月末現在でございますが、六千六百九十八億円。それから、瑕疵担保条項に基づく貸出し関連資産の引取り、これも十五年一月末現在でございますが、千九百十九億円。
以上が預金保険機構が行いました資金援助の額でございます。
これらのうち、ペイオフコスト超の金銭贈与に用いられました交付国債の使用額、これが二兆九千七百一億円ございます。この金額につきましては、現段階において国民負担として確定をしております。その他のものにつきましては、回収資産からの回収、あるいは資本増強に当たり引き受けました優先株式の処分収入等が今後返済に充当されることになってきておりますので、この部分について国民負担が発生するか否かというのは現時点ではまだ確定しておりません。
小池晃君 今まで投じられた公的資金、今のお話では合計四兆七千七百二十七億円、約五兆円の公的資金が使われております。債務超過の穴埋めに使われた、先ほどお話あった三兆一千四百十四億円のうち、いわゆる預金保険法で保護されている一千万円以下の預金者の保護のためには、これは千二百四十五億円分しか使われておりません。ですから、大部分は大口預金者あるいは機関投資家のために三兆円以上がつぎ込まれて、これは丸々返ってこないということになってくる。正に、預金者保護というよりは、本当に機関投資家あるいは金融機関保護のためのやり方だったというふうに思うんですね。
戻ってこない額二兆九千七百一億というお話ありましたけれども、確定していないというふうにおっしゃるんですが、現時点で言えることは、一時国有化中のロスが、これはロス分が千三百九十七億円あると、それから譲渡の際に買い取った株式の含み損が二〇〇二年三月末時点で千六百三十一億円になっております。それから、瑕疵担保特約によって買い戻した債権、千九百十九億円のうち、少なくともその二割、三百八十四億円は減価していると思うんです。ですから、実際には戻ってこない額というのは合わせて三兆四千億ということになるのではないかというふうに思うわけであります。
本当に、五兆の公的資金、そのうち三兆円はもう血税という実態になっている。これだけの税金、公的資金がつぎ込まれた銀行です。
大臣、竹中大臣にお伺いしたいんですが、ソフトバンクはこれをわずか二年で海外の投資会社に売り渡し、そして五百億円もの莫大なもうけを上げると。私は、これは国民感情からいっても、こんなことが許されるんだろうかというふうに考えるんですが、大臣はどのような御見解か、お伺いしたいと思います。
国務大臣(竹中平蔵君) 先ほど監督局長からお話もありましたように、そのサーベラスからプレスリリース、つまり先買い権を行使するというようなプレスリリースがなされたことは承知をしております。しかし、現時点ではその条件等々は明らかにされておりませんし、具体的に、これ主要株主でありますから我々の認可が必要になるわけでありますけれども、現時点ではサーベラスから主要株主の認可申請が出されたという事実はございません。
そうした意味で、ちょっと仮定のことであるということと、それと、これはやはり個別の問題でありますので、詳細について私はコメントする立場にはないというふうに現時点では思っております。
いずれにしても、これは公的資金を投入していると、これは事実でございますから、万が一にも、今後そういうふうな手続が出てきた場合にはこれはしっかりとした手続を踏んで適切な判断をしていかなければいけない問題だと思っております。
小池晃君 詳細にはというふうにおっしゃるんですけれども、申請出ていないというのは確かに知ってはおりますけれども、ただもう、報道ではほとんどもう既知の事実というか、もう常識のように流れているわけですね、五百億の利益が上がるんだということは。
だから、その詳細についてのコメントは結構ですけれども、やはりこういうやり方で公的資金が入った銀行を二年余りで譲り渡して五百億も収益を上げると、もうけを上げるということが大臣はどのようにお考えなのかということについてやっぱりコメントをしていただきたいというふうに思います。
国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますけれども、その条件等々まだ分からないということでありますので、これはやはり私の立場ではコメントする立場にはないと、何よりもこれは個々の経営の判断でやるということでございます。
ただ、我々としては、金融行政を預かる立場からいいますと、銀行がしっかりとこの国の中で安定した銀行業務を行って、もって預金者や借入れ先のために貢献するようなそういう存在であってほしいというふうに思うわけです。そうするようにしっかりと検査をし、監督するのが我々の仕事でありますので、しっかりと経済に貢献していくということ、それと、責任ある経営体制が確立されていくということ、そうした視点で我々としての監督をしっかりと行っていきたいと思っております。
小池晃君 財務副大臣にもおいで願っていますんで、財務副大臣にもお伺いしたいんですけれども、塩川財務大臣は、昨年の十二月十一日の衆議院の財政金融委員会で、この問題について、社会に貢献した形で収めてほしいというふうに答弁されています。さらに、税金が入った銀行で利益を上げるということは不当だ、やめさせるべきだという主張に対して、それは国民一般の考えであり感情だと理解できると、そういう指導の方向で努力したいというふうに答弁されました。こうした立場で、財務省としてはどのような指導ということを考えておられるのか、御答弁願いたいと思います。
副大臣(小林興起君) 今、財務省は残念ながら金融行政は金融庁の方に渡ってしまいまして、これが一緒にやればいいなというふうには思っておりますが、そういう意味では、財務省の公式見解としては所管外のことでございますから答えられないということになるわけでございます。個人的にはいろいろありますけれどもね。
小池晃君 財務大臣、国会答弁でここまでおっしゃっているんですから、やっぱりこれだけのことをおっしゃったんであればそれなりのコメントを私されてもいいんじゃないかと思うんですが、これは所管外ということで、そういうことであれば仕方ないと思います。
しかし、ちょっと聞き方変えていきたいと思うんですが、竹中大臣に改めて聞きたいんですけれども、たった二年半で売り渡すということについてなんですね。これ、そもそもソフトバンクに譲渡するに当たっては、私は一定期間を保有するということが前提だったということはこれは明らかではないかと。短期保有で売却益を上げるようなことは、その譲渡のときには想定していなかったというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
国務大臣(竹中平蔵君) 旧日債銀の株式売買契約書において、前文に次のように書いてあります。
主要株主、これはソフトバンク、オリックス、東京海上は、日債銀に長期的な視野から投資を行い云々、日債銀を収益性、成長性の高い銀行として運営する目的で日債銀の株式を購入する意図を表明する、そういうふうに書いているわけでございます。意図を表明しているわけです。この意図表明、意図の表明については、主要株主に対する契約書上の義務として具体的にその譲渡の制約を法的に課しているものではないわけでありますけれども、あおぞら銀行の主要株主においては、これは自ら契約書において株式の長期保有というのを表明しているという点も踏まえて、その趣旨も十分考慮した上で対処されているものというふうに考えております。
小池晃君 一方、当時の金融再生委員会の側の考え方ですけれども、優先交渉を決めたときの金融再生委員長のコメント、二〇〇〇年の二月二十四日のコメントを見ますと、こう言っているんですね。譲渡先選定の基本的考え方として、責任ある経営体制が確立され、今後の日債銀の長期的な成長や経営の安定が図られる候補先を選定すると述べております。
そして、なぜソフトバンクかということについては、三つ理由を挙げているんです。一つは、中小企業金融の円滑化や地域経済の活性化が期待されると。それから二つ目に、ベンチャー企業に対する積極的な支援が期待されると。それから三つ目として、インターネット等を活用した二十一世紀に通用する新たな金融取引の導入が期待されると。かなりいろんなことを言っているんですね。だからソフトバンクだという、そういう打ち出しをやっているわけですよ。
大臣にお伺いしたいんですが、こういった決定した理由というのは実現されたというふうにお考えなんでしょうか。
国務大臣(竹中平蔵君) 小池委員御指摘のように、十二年二月、平成十二年二月の時点ですね、金融再生委員会において、ソフトバンクと選定の理由を対外的に公表をしております。
繰り返しになりますけれども、三つあって、一つは貢献。どういうことかというと、その日債銀の特色を更に維持発展させ、具体的には日本の経済、特に中小企業や地域経済の振興に積極的に貢献するという、正に銀行として貢献するということ。それと二番目としては、経営の安定。しっかりとした経営体制を作って、銀行としての長期的な成長、それと経営の安定を図るということ。三番目として、結果的にそれが国民負担が総合的に見て最小限で済むことになると。そういう点を挙げているというふうに認識をしております。
これ、現在のあおぞら銀行に関しては、一生懸命経営を今改善している中で引き続きいろんな評価が出てこようかと思いますが、現状、時点で考えるならば、まず経営状況については、これは昨年十一月に発表した平成十五年三月期の業績の予想修正でありますけれども、業務純益が三百二十億円、当期利益が二百二十億円と、これはおおむね計画に沿った業績になっております。
また、中小企業関連の融資でありますけれども、通期の純増計画五十億円に対して、十四年九月末での純増実績百六十五億円というふうになっておりまして、これも計画を上回る一応順調な推移だというふうに考えてよいのではないか。
さらに、ベンチャーの育成というのを掲げているわけですけれども、関連会社であおぞらインベストメントというのがありますけれども、そこが管理運営する投資ファンドから成長力のある新興企業や有力なプロジェクトへの支援を行っていると。その意味では、経営は軌道に乗りつつある、乗りつつあるというふうな認識を持っております。
もちろん、あおぞら銀行については、安定的な経営の確立に引き続いて、引き続いて取り組んでほしいというふうに思っているところでございまして、しっかりと見ていこうというふうに思っております。
小池晃君 経営が順調かどうかということは、それはもう瑕疵担保特約まで付けて支えたわけですから、それは一定のものはあっていいと思うんですけれども、私が言ったのは、こういうソフトバンクになぜ決めたのかということでは、それならではの理由ということまで挙げたわけですから、それが実現しているのかどうかということについて見ると、いささか心もとない実態ではないかというふうに思うんです。二年で実現できるようなそもそも内容じゃないわけです。
これ実現しないまま本当に手放すというのは、私はソフトバンクの側は無責任だというふうに思いますし、このソフトバンクに譲渡を決めた政府の責任ということもこれ問われるんじゃないだろうかというふうに思うんですね。
財務副大臣、結構です。本当は思いのたけを所管外でも語っていただきたかったんですが、あとは聞きませんので、結構です。
そこで、もう少しお聞きしたいんですけれども、今後の在り方であります。
中小企業金融の円滑化とか地域経済の活性化、あるいはベンチャー企業に対する積極的な支援、インターネットを活用した新たな金融取引の導入、こういう方針を受け継ぎ、今後の譲渡先に対してもこれは受け継がせていくのか、それともソフトバンクに譲渡したときのこうした約束は今回もうこれでほごになっていくということになってしまうんですか。
政府参考人(五味廣文君) この譲渡の結果、主要株主となるという株主に対しましては、そういった方が主要株主、すなわち保有割合が原則で二〇%以上、ただし役員派遣の場合には一五%以上となる、こういう主要株主になるために内閣総理大臣の認可が必要であるというふうにされております。
銀行の主要株主の認可申請がございました場合には、これを審査する基準があおぞら銀行の場合ですと長期信用銀行法にございます。内容を申しますと、保有目的などに照らし、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと、申請者の財産状況等に照らし、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれがないこと、申請者がその人的構成などに照らし、当該銀行の業務の公共性に関し十分な理解を有し、かつ十分な社会的信用を有する者であることということでございます。
現在、まだ認可申請がなされているわけではございませんので、今後認可申請がなされました場合には、こうした法令の定めに従って適正な審査を行うということになります。例えば長期保有の問題ですとか、先ほどの決定したときの経緯で述べられました決定理由ですとか、こういったような点につきましては、現時点で銀行の主要株主から認可申請が出ておりませんので具体的なコメントができる状態ではございません。
いずれにいたしましても、法令の定めに従いまして、認可申請がございました場合には適正に審査を行うということでございます。
小池晃君 その認可の問題ですけれども、まだ申請が出ていないからということで先ほどはお逃げになったんですが、報道によれば、ソフトバンクがなぜ売却をしたかと。これはむしろ本業の方の通信事業の競争が激化をして設備投資や販売促進費の負担が重くなったと、保有株の含み益も株価下落で目減りをして、昨年九月決算で五百五十八億円の赤字になったと、ブロードバンド事業に今後集中していくために銀行株を売って資金調達したいんだと、こういうふうに報道されているわけですね。
大臣、お伺いしたいんですが、こんな本業の、他業種だからこういうことになっていくんだと思うんですけれども、本業の方の経営の問題、そのことを理由にした無責任な売却ということをこれは認めていいんでしょうか。金融庁としては認可するんでしょうか。
国務大臣(竹中平蔵君) やや形式的なことになりますけれども、売却そのものは認可事項ではございません。主要株主になるかどうかというのは、これは我々の認可事項でございます。これは経営でありますから、予測し難いことがいろいろ起こるということはあり得ることだと思います。
具体的なソフトバンクの状況等々を詳細に私自身が承知しているわけではありませんけれども、そうした中で私たちとしては、銀行をしっかりと監督するという観点からは、繰り返しになりますけれども、その銀行がしっかりとした役割を果たしてもらう、そのことがやはり重要であって、その銀行がしっかりとした財産、財務的な基盤を持ち、人的な基盤を持つ、結果的にそれが地域に、国全体に資するような金融機関としての活動を続けていくと、この点が我々にとっての監督のやはり基準でありますので、そうした視点に沿ってしっかりともし申請があった場合は対応していかなければいけませんし、日々の監督、検査・監督の行政を行っていきたいというふうに思っているところでございます。
小池晃君 しかし、おっしゃっているような基準に照らせば、正に自分勝手な都合で利益を上げるためにころころ転売すると、こんなことを認めて本当に銀行の社会性、公共性ということが守れるんだろうかと。私は、こんなことを認めたら本当に銀行に対する国民の信頼だって揺らぐし、金融行政に対する国民の信頼だって揺らぐんじゃないかというふうに思いますよ。
そういう点でいえば、大臣おっしゃるような趣旨でいくんであれば正にこれは認められないということになるんじゃないですか。その点いかがでしょう。
国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますけれども、売却そのものは認可事項ではございません。売却そのものを私たちが法的にどうこうするような立場にはない。これは法治国家である以上、そういう枠組みになっているということでございます。
平成十二年の時点で非常に難しい状況下で、いろんな情報に基づいて当時としては最善の意思決定がなされたというふうに思っております。しかしながら、その後の経済情勢、様々に変化して、その下での、その時々での適時適切な経営の意思判断等々が行われていくというふうに思っておりますので、繰り返しますが、これはまだ認可申請が出ているわけでもございませんし、どういう条件かということも何にも分からない状況でございますけれども、我々としては、認可申請がもし出されましたら、金融業の検査・監督の立場からしっかりと対応をしていきたいというふうに思っております。
小池晃君 売却は認可できないというけれども、そういうところに譲渡したという責任は、これは問われなきゃいけないと思うんですよ。
じゃ、これからの譲渡先の問題で言えば、サーベラスに売却しても、もしかしたら再び短期売却で利益を上げることできるんじゃないかと。これは、国民はそういうふうに見るかもしれません。短期売却を歯止めすると、歯止めを掛ける措置というのは、これはあるわけですか。
政府参考人(五味廣文君) 先ほどの御答弁と重複をしてしまいますけれども、主要株主になるということについての認可要件は、このあおぞら銀行の場合でございますと長期信用銀行法に法定をされておりますので、その認可要件に従って適切な審査をするということに尽きるということであろうと思います。
その項目の中に、保有目的ですとか申請者の社会的信用でございますとか財産状況でございますとかございますので、どういった方が申請をしてくるかによりますけれども、こういった点を適切に審査をするということに尽きると思います。
小池晃君 基本的な考え方をお伺いしたいんですが、長期信用銀行法では、主要株主の認可要件としては、銀行の業務の公共性に関し十分な理解を有し、十分な社会的信用を有するという基準があります。法の趣旨からいえば、短期で売却し、利益を上げる目的の企業をこれは認可することはできないということになるわけですね。その点、最後にちょっと確認をさせていただきたいと思います。
政府参考人(五味廣文君) これ、具体的に認可に際してどういった目的で取得をなさるのかということを説明をいただき、認可書も見せていただかないと具体的なコメントをすることはできませんし、認可申請が出ていない段階で、したがって、だれが主要株主となるかもまだはっきりしていない段階でそういった点をコメントいたしますのは予断を持った審査につながりかねませんので、答弁は控えさせていただきます。
小池晃君 認可の経過を見守りたいというふうに思います。
最後に、ちょっともう時間ほとんどないんですが、借換え保証制度の問題についてお聞きをしたいんです。
中小企業の経営が大変厳しくなっている中で、この借換え保証制度が大変歓迎をされているというふうに思います。これによって金融機関が活用すれば中小企業の貸出し増えるし、借換えによって業者が支払できるようになれば債権分類も良くなる、金融機関にもメリットがあると。これ積極的に活用していく取組を進めているというふうに聞いているんですが、実際いろいろ聞きますと、現場には十分伝わっていないということも聞くんです。
例えば、条件変更をした貸付けは門前払いだというような扱い、これは各地から報告されています。それから、借り換えるとその期間中は新規融資難しいと言われて、それじゃ困るということであきらめてしまうというような例もあると。中小企業庁の Q アンド A とか国会答弁と反して、断る理由になっているんですね。
千葉県のある業者の話はこういう話なんです。市に相談行ったらば、借入額が年間一〇%以上減っているから七号認定に当たるんだと。必要な残高証明の書類をもらいに金融機関に行ったらば、おたくは駄目だというふうに言われて門前払いになったとか。あるいは、別の業者は、金融機関に一本化の相談に行ったらば他行の分までは肩代わりできないとか、それから RCC に行った分については、これは新たに八号認定になったんだけれども、金融機関からは引き受けるつもりがないと言われると。こんな話が各地から私のところへ来ているんですね。
中小企業庁と、竹中大臣にも最後お伺いしたいんですけれども、これは正にやる気のある中小企業、資金調達を円滑化するということが重要な政策課題だということでせっかく作ったわけですから、やっぱりこれが積極的に活用されるように私は徹底すべきだというふうに思うんです。その点と、それから、やはり各金融機関の利用状況なども私は調査をしていただいて、極端に悪いところは必要な指導などもしていくことを考えるべきじゃないだろうかというふうに思うんですが、中小企業庁と竹中大臣に最後にお伺いします。
政府参考人(斉藤浩君) 御指摘の借換え保証制度でございますが、二月の十日にスタートさせたということでございます。非常に短期間、わずか二か月強でございますが、その間に七万八千六百六十二件、一兆二千六百二十一億円という大変保証実績を上げておるということでございます。そのために、先生からも御指摘ございましたように、中小企業庁といたしましては、中小企業者の方々あるいは現場それから金融機関、保証協会に対しまして全力を挙げて PR に努めてまいっております。
条件変更中あるいは一回借換えを受けた場合に二度目が借りられない等、実際の運用上出てくるであろうと思われます様々な問題点につきましては、先生も御指摘になりましたが、私どものホームページでクエスチョン・アンド・アンサーという形で明確に、例えば条件変更中の中小企業の取扱いにつきましては、条件変更のみを理由として借換え保証の対象から除外する、門前払いをするということはいたしませんということを明確に書いておりますし、一度借りたらそこは条件変更ということで非常に具合が悪くなるんで、二度と借りられなくなるんじゃないかという点についても、私ども、そういうことはないんだということを金融庁にも確認をしていただきながら進めておるところでございます。
金融機関に対しましても、できるだけそういうことで制度の趣旨を理解していただきまして、私ども、この制度は中小企業の方々に無理のない返済に切替えをしていただくことによりまして資金繰りを円滑化するという、そういう制度で発足をいたしておりますので、その制度の趣旨が最大限に発揮されますように、今後とも適切かつ積極的な運用に努めてまいりたいと考えております。
政府参考人(五味廣文君) ちょっと事実関係の分だけ。
私ども、中小企業庁と連携をいたしまして、この制度の活用を図るということで周知徹底に努めておりまして、意見交換会などを業界と持ちます場合にも、こういった点を積極的に PR をしております。
特に、今お話のありましたようなこの制度を利用することそのものが融資に、今後の融資に差し支えるとか門前払いであるとかいったようなことがあるという御指摘が、国会でも先生以外の方からもいただいておりますので、この点については、私が業界との意見交換会に出席を今月いたしておりますけれども、そういった席で明示的に、債務者に融資をするかどうかというのは、その債務者の財務状況ですとか信用の問題とかそういったことを見て経営判断として決める話であって、この制度の利用をしているから、そういう条件変更があるからできるできないという話ではないし、それから金利についても、そうした条件変更がありましても、その金利が調達コストを下回るようなところまで下がっているようなケースを除けば、そのこと自体が問題になるわけではないんだというようなところを私からも言っております。
また、昨日、全国財務局長会議がございましたので、この場でも私から各財務局長に対しまして、地元の中小金融機関に対してもこの点窓口まで徹底してもらうようにということで昨日指示をしたところでございます。
国務大臣(竹中平蔵君) 今、局長が答弁したとおりでございますけれども、金融庁としては、中小企業金融の円滑化、これは大変重要なことだと思っております。
中小企業庁と密接に連携して対応をしておりますし、お尋ねの資金繰り円滑化の借換え保証制度についても、これは二月十日に創設された後、速やかに金融機関に対して積極的活用を要請していると、その後も様々なレベルでこの要請は行っております。
一般論で言えば、信用保証協会の保証付きの融資を含めて金融機関の貸出しは、これは基本的には債務者の財務内容でありますとか事業の収益性の見通し等の実態を踏まえつつ、金融機関の借り手企業と自由な交渉の中で実態判断で行われるということでありますので、この点は今の局長の答弁のとおりでございます。我々は、個別金融機関の個別行動について許認可、それぞれに認可を与える権限はもちろんないわけでありますけれども、そうしたことが徹底されるように、様々な努力はしているつもりでございます。
お尋ねの利用状況については、これは実は中小企業庁において調査が行われているものというふうに承知をしておりますので、今後ともこの周知徹底を行い、更に連携を深めながら、より一層の活用に努力をしたいというふうに思っております。