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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

156-参議院通常国会

2003年4月1日(火)


高齢者医療 65 歳以上も保険料

小池議員追及 以前の厚労相主張と正反対


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 医療制度の今後の在り方を考える上で、今国民が日本の医療制度をどう見ているのかということは重要だと思います。

 今資料をお配りいただいておりますけれども、これは内閣府の国民生活選好度調査です。最近、一番新しい数字が出ました。これは七八年以来、三年ごとに実施されています。

「費用の心配をあまりせずに診療が受けられること」について
どの程度満たされているか(内閣府・国民生活選好度調査)(%)

  78年 81年 84年 87年 90年 93年 96年 99年 02年
十分満たされている 16.1 16.4 17.8 11 8.8 9.4 8.3 6.7 5.7
かなり満たされている 36.2 35.7 37.9 32.8 30.4 30.7 26.4 22 21.4
どちらともいえない                  
あまり満たされていない 18.2 17.1 17.6 20.6 21.7 20.2 20.9 24.5 25.3
ほとんど満たされていない 4.5 3.2 3.4 3.8 4.8 3.9 4.5 5.8 6.2
  78年 81年 84年 87年 90年 93年 96年 99年 02年
十分+かなり満たされている 52.3 52.1 55.7 43.8 39.2 40.1 34.7 28.7 27.1
あまり+ほとんど満たされていない 22.7 20.3 21 24.4 26.5 24.1 25.4 30.3 31.5

 

 このグラフ見ますと、費用の心配を余りせずに診療が受けられるかどうかという質問に対して、八〇年代前半までは五割以上の人が十分又はかなり満たされていると言っていました。しかし、この満たされているという人は徐々に徐々に減ってまいります。九九年には満たされていないと答えた人に初めて逆転をされ、先日発表された昨年の調査結果では更にその差が拡大をしています。要するに、今、日本の国民は、費用の心配、懐の心配なくしてやはり病院に掛かれないという人がもう増えてきていると、逆転してきているという実態があると思うんです。

 大臣に最初に基本的な認識をお伺いしたいんですが、私は日本の医療制度の良さというのは、国民皆保険制度の下でだれもが費用の心配なく医療を受けることができるという制度が優位性だったと思うんです。しかし、この間の相次ぐ医療制度の見直しの中でやはり日本の医療制度のこうしたメリットが失われつつあるのではないかと。大臣の認識をお伺いしたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 医療制度の様々なそれぞれの時点での状況を見てみますと、それぞれの時点での変化というものは確かにあるというふうに思っております。

 これだけ少子高齢化が進んでまいりまして高齢者が多くなってきた、そして高齢者は若い皆さん方の四倍ないし五倍の医療費が掛かっているというこの状況の中で、お互いがやはり助け合っていかなければこの日本の医療制度というものは成り立っていかない、そういう中でどのようにお互いが支え合っていくかということを考えながら今日を迎えたというふうに思っております。個々の国民の皆さん方はもうそのことは十分に御理解をいただきながら、しかし、そうはいうものの、やはり負担は少ない方がいいね、そういうふうに私はお思いになっているというふうに思います。

 しかし、現在のこの医療制度におきましても、高額医療費に対しましては上限が作られてありますから、二、三日の風邪を引かれたときにはそれは御負担をいただかなければなりませんけれども、大きな御病気をされたときには、それは応分の御負担で上限があって、そして医療を受けていただく体制ができ上がっているというふうに思っておりまして、私は御理解のいただける範囲の中にあると思っている次第でございます。

小池晃君

 そういう制度の下でも不安がある、理解をされていないからこそこれだけ心配だという声が広がってきていると私思うんですね。安ければ安いほどいいというふうに、国民はそんな単純に私考えていないと思うんです。やはり負担増だけで、その場しのぎでやっていくことに対して将来不安あるいは怒りを募らせているのではないか。

 この同じ調査では、自分の老後に明るい見通しを持っていると答えた人は過去最低の一五%です。それから、世の中の方向について暮らし良い方向に向かっていると思うと答えた方も一四・三%で過去最低なんですね。私は、負担を増やして給付を抑制するだけのやり方で社会保障制度が持続可能になるなどと国民は思っていないし、今本当に不安を強めているというのが実態なのじゃないかと思うんです。

 そこで、具体的に聞いていきたいと思います。

 昨年十月の老人医療の自己負担の定率化によって受診抑制が起こっていると。これ、厚労省発表の最近の医療費の動向、いわゆるメディアスでも、昨年十月の老人保健の入院外、これ対前年同月比でマイナス一三・四%です。それから、支払基金の確定状況でも、老人分は十月以降三か月連続二けた台の減少になっている。

 私は、この数字をどう見るか。老人医療の定率負担化でやはり深刻な受診抑制が起こっているという実態はあるのではないかと思いますが、その点、いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 昨年十月以降、医療費や受診延べ日数につきましては減少が見られます。ただ、十月につきましては、制度改正の影響がほとんどないいわゆる若年者の受診日数の伸びも低くなっておりますし、九月にいわゆる駆け込み受診が見られて、その反動で低くなっているというような状況もあるんではないかということでございまして、十月のこういう動向がすべて制度改正の影響ということであるというふうにはなかなか判断が難しいところでございまして、やはりもう少し今後の医療費の動向を見なければ判断できないんではないかというふうに考えております。

小池晃君

 そうはいっても、現役世代も健保本人の入院外も減っていますけれども、これマイナス六・六%なんですね。健保家族マイナス六・四%ですから、一〇%以上減少している老人とは明らかに差があるわけです。これは、私は制度改正の影響というのは大きいと思いますよ。しかも、九月、十月だけじゃ分からないと言うけれども、先ほど言ったように支払基金の確定状況では三か月連続減っているわけですから、駆け込み需要で幾らやったって三か月も我慢することできないわけですよ。これはやはり定率負担の影響というのは、まあ元々受診抑制を制度改正見込んでいるわけですから、これは影響があるということは間違いないと思うんです。

 先ほど大臣も、いろいろと負担上限については配慮しているようなこともやっているというようなこともお話ありましたけれども、このこともちょっと一言触れておきたいんですが、老人の上限の問題です。

 これ、償還払いで申請が必要なわけですね。私、この問題、何度も法案の審議の中でも指摘しました、複雑過ぎるんじゃないかと。で、簡素化の手だてを打ったとおっしゃいました。しかし、実際はこれ、該当者の半数以下しか申請していないという実態あります。

 今年一月から二月に東北地方の保険医協会が実態調査しているんですが、青森県では償還払いの申請率は四一・七%、三千四十八万円が未払になっている。それから、岩手県では申請率四二・七%で、二千九百四十二万円が未償還です。これ、調査されていない市町村もありますから、実額もっと大きいと思うんです。

 私、この高齢者の上限の複雑な償還払いという制度そのものに大きな問題あるんじゃないかと。これ、償還払い制度というのは直ちにやめるべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 高額医療費制度につきましては償還払いを原則としておりますけれども、入院、それから在総診等の患者の場合には実質現物給付化という取扱いをいたしております。

 また、高額医療費の支給に際しましては、高齢者に過重な事務的負担が掛からないよう、それぞれの市町村の実情に応じまして工夫をしていただきますよう、かなりのお願いをいたしております。

 御指摘の東北地方、青森、岩手、それぞれの状況でございますが、御指摘のような四〇%台の申請状況ということで、この事務的負担が掛からないように私どもがお願いをしている状況下で非常に、四〇%というのは非常に低いということで、改めて岩手県、青森県に御照会をいたしましたところ、保険医協会からの調査時点では市町村から高齢者に対しまして高額医療費に該当した旨の通知がなされていなかったと。これはまだ、個人の把握ができなくて通知ができなかったのか、通知の方が遅れていたのか分かりませんけれども、個別の通知ができなかったので申請が少なかったのではないかということでございます。

 そういう意味で、私どもといたしましては、それぞれ従来高齢者の負担軽減ということを市町村にお願いをしてきておりますので、これからも十分市町村にその旨お願いをしていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 これ、県によっては市町村に伝えていないというようなところもあると聞いています。これは負担軽減措置、徹底することを求めたいと思うんです。

 それから、その深刻な負担増、最も深刻に負担が増えているのはこれは在宅の患者さん、とりわけ在宅酸素療法の患者さんたちです。

 岡山県の低肺友の会の調査では、経済的な理由で在宅酸素療法を中止した患者さんが百五十人に上ったそうです。これ、岡山県内では患者数二千五百人といいますから、六%に相当する、大変深刻な事態です。それから、東京民医連が実態調査をやっているんですが、負担の増加額が判明した患者さん五十八名のうち、増加額が六千円以上という人が九三%です。九千円以上という人が五九%です。六割近くが九千円以上、在宅酸素の患者さんは負担が増えているという深刻な事態です。

 大臣に私お伺いしたいんですが、衆議院の予算委員会で我が党の志位委員長がこの問題取り上げて大臣に問いただしたところ、在宅酸素のことについては今後検討していきたい、対応していきたいというふうに大臣はお答えになりました。その後、どのような検討、どのような対応をされたのか、お伺いしたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 これは社民党の阿部先生からもお話ございまして、そのときにもお答えしたわけでございますが、調査をちょっとしたいと思っております。現在進行中だというふうに思っておりますが、実際におやめになったようなケースがどのぐらいあるかといったようなことを少し検討したいと思って、今進行中でございます。

小池晃君

 これ、直ちに調査をするべきだと思います。これはきちっと報告をしていただきたいと。もう大分たつわけですから、二月ですから、まだやっていないということはこれ大変遅きに失しております。直ちにやっていただきたいと。

 それから、私どもから提案したいのは、在宅酸素の利用者に対して、そもそも定率負担というのを撤回すべきだというふうには思っているんですが、特に深刻な実態になっているやはり在宅酸素の患者さんについては医療費の助成制度を作るべきではないかと。

 これ、私たちの調べでは、全国すべての都道府県で身体障害一級と二級の障害者に対する医療費助成が単独事業としてやられています。それから、二十道県では内部障害三級までに無料又は低額の自己負担で医療が受けられる制度があります。ところが、国の助成制度は更生医療だけであります。内部障害、呼吸器疾患については二級がない。三級の患者さんが多いわけです。

 ですから、やはり三級の患者さんも含めた障害者の医療費助成制度を、私は地方自治体任せにするのではなくて、国の制度として作るべきではないかというふうに考えるんですが、いかがですか。

政府参考人(上田茂君)

 地方自治体におきまして、重度障害者を対象として、風邪等の一般的な治療全般に係る医療費を助成する制度が実施されていることにつきましては承知しておりますけれども、国におきましては、国民皆保険制度の下、高額療養費制度により患者負担の軽減を図っているほか、特に必要性の高い方につきまして、例えば障害の除去、軽減を目的とします更生医療の給付ですとか、あるいは障害児の早期治療を目的とする育成医療の給付ですとか、あるいは精神障害者の通院医療の促進を目的とする通院医療費公費負担制度、こういった公費による医療助成をそれぞれの政策目的のために行っているところでございまして、地方自治体が独自に行っている一般的な医療費助成制度を国の制度として行うことは考えていないところでございます。

小池晃君

 いや、だから国民皆保険制度の下で、上限があっても大変だから各自治体では独自の単独事業としてやっているわけですから、すべての都道府県で一級、二級までやっていると。これ、市町村の上乗せ単独事業まで含めればもっと多いわけですよ。私はこれ国としてやるべきだというふうに思うんですが、やらないと。しかし、その一方で、やらないというだけじゃないということを私指摘をしたいんです。

 今日お配りしている資料の二枚目を見ていただきたいんですが、地方の取組、妨害までしているじゃないですか。国としてやらないどころか、これは障害者の医療費の助成を行っている地方自治体に対して、国はペナルティーとして国民健康保険の国庫負担を削減しているんですよ。これ、自治体数は千九百九十自治体です。削減総額は実に五百二十億円ですよ。これ、乳幼児医療費でも同じようなことをやっているわけですね。軽減した場合にペナルティー掛けると。障害者医療でも、自己負担を減らすとそれに対してペナルティー掛けると。

平成 12 年度 障害者に係わる地方単独事業による国庫負担調整対象医療費(都道府県別)

都道府県名 保険者数 調整対象医療費(億円)
北海道 210 49.1
青森県 67 10
岩手県 0 0.0
宮城県 5 0.6
秋田県 69 8.8
山形県 44 10.3
福島県 1 1.2
茨城県 85 28.4
栃木県 15 1.9
群馬県 70 17.9
埼玉県 23 4.9
千葉県 0 0.0
東京都 61 62.4
神奈川県 37 51.4
新潟県 108 4.5
富山県 32 6
石川県 41 6.1
福井県 3 0.1
山梨県 2 0.0
長野県 11 1.6
岐阜県 99 16.9
静岡県 0 0.0
愛知県 88 44.9
三重県 0 0.0
滋賀県 50 6.8
京都府 44 9.6
大阪府 44 35.5
兵庫県 88 31.9
奈良県 47 6.4
和歌山県 47 6.2
鳥取県 39 4
島根県 58 5.7
岡山県 78 10.5
広島県 86 13.7
山口県 56 14.1
徳島県 50 7.1
香川県 7 0.7
愛媛県 70 10.5
高知県 52 6.3
福岡県 97 23.3
佐賀県 0 0.0
長崎県 1 0.0
熊本県 5 1.1
大分県 0 0.0
宮崎県 0 0.0
鹿児島県 0 0.0
沖縄県 0 0.0
1990 520.6

 私は、高過ぎる負担に苦しんでいる障害者を支援する地方自治体の取組を妨害するのは直ちにやめるべきだと、このようなペナルティーは直ちに中止をすべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 それぞれの地方公共団体におきまして、地域の障害者を対象に医療に関する地方単独事業を行われておりますけれども、言わばその範囲、内容、方法につきまして、それぞれの自治体が独自に御判断をされて行われているものだと思っております。

 ただ、地方単独事業によりまして医療費の窓口における無料化等を行っている場合には、一般的に医療費の増大が見られるということでございますので、国庫負担金の調整措置を講じなければ、法定割合どおり一部負担を徴収されている市町村との間にこれは不公平が生ずるということになると考えます。

 このため、限られた財源の中で、あくまでも国庫負担金の公平な配分という観点から、法令に基づき国庫負担の調整を行っているものでございまして、こうした調整の仕組みは必要だと考えておりますし、先ほど先生御指摘の五百二十億というのは調整対象医療費でございまして、その額全体を国庫負担を削減しているわけではございません。

小池晃君

 そうすると、国庫負担の削減額は幾らになるわけですか。

政府参考人(真野章君)

 五百二十億という調整対象医療費に対しまして、国庫負担額の削減額は二百七億でございます。

小池晃君

 いずれにしても、余り胸を張るような数字じゃないと思うんですね、こういうペナルティー掛けているのは。

 大臣、私は、不公平だからというんだったら、国の制度としてやりゃいいじゃないですか。地方自治体が見るに見かねて、やはり負担が重い障害者の皆さんの医療費、これを少しでも助成しようというのに対して、私は国が本来応援すべきだし、不公平だというなら国の制度として作るべきなんですよ。それをペナルティーを掛けるというようなやり方、これは乳幼児でも同じようなやり方をやっていますけれども、せめてこのぐらいやめるべきじゃないですか。いかがですか、大臣。

国務大臣(坂口力君)

 これは、今話がありました、ペナルティーじゃないんですよ。これは、公平に配分をするということをどういうふうに考えたらいいかという立場からやっているということです。

小池晃君

 これは、自治体は負担の重さを見るに見かねて助成をしているわけですから、自治体にとってみれば、それをやれば国庫負担削られるというのはペナルティー以外の何物でもないんです。私はこういうやり方きっぱりやめるべきだというふうに申し上げたい。

 しかも、老人の問題でいえば、これは定率負担、在宅医療に重大な影響出ていますから、元に戻すべきだと思うんですが、今回の高齢者医療制度の、医療保険制度の提案によれば、六十五歳以上を前期高齢者と、前期高齢者については給付の在り方についても検討するというふうにしている。七十歳以上は一割負担が始まって間もないというのにもうもはや二割にするという声が自民党の方から出てきていると。

 今年二月の総務省の労働力調査見ても、七十歳以上の人口千六百六十万人のうち、就業者数というのは二百十一万人です。七十歳以上は八人に一人しか働いていないという実態がある。その中で、保険料取られた上、窓口では二割負担になる。これは重過ぎるんじゃないですか。こういう窓口負担増は私はやめるべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 前期高齢者につきましては国保又は被用者保険に加入していただくことといたしますけれども、この前期高齢者の六十五歳から七十四歳という年齢層の制度間の偏在による医療費の負担の不均衡を調整をしたいということで、そのことによって制度の安定性と公平性を確保したいということで、前期高齢者の調整を基本方針としてお示しをいたしております。

 この前期高齢者の制度間調整の制度設計に当たりましては、前期高齢者の特性を十分踏まえて行いたいと考えておりまして、給付の在り方等についても今後引き続き検討していきたいというふうに考えております。

小池晃君

 私は、特性に着目するのであれば、七十歳以上は八人に一人しか働いていないと、そういう人から保険料も取り二割負担を取ると、こんな計画は全く実態を見ていない。もう高齢者の定率負担全体の撤回を求めたいというふうに思います。

 引き続き、三割負担。本日から健保本人三割負担、これが二十二道府県議会の意見書も無視して強行されたと、実施を強行したことに私は抗議したいというふうに思います。

 この間、これが深刻な受診抑制を生むんだということを様々な角度から議論しましたが、今日は歯科の問題からこの問題をちょっと取り上げたいと思うんです。

 老人定率負担でも一番影響出ているのは歯科です。患者負担を増やした場合に、まずは歯の痛み我慢しようということになっているんじゃないか。しかし、歯科疾患には自然治癒がありません。ですから、受診抑制というのは確実に病状の悪化、口腔内の条件の悪化ということにつながっていく。

 兵庫県の歯科医師会が最近、八〇二〇と医療費の関係というのをまとめました。これは、要するに八〇二〇達成、七十歳以上の患者で歯が二十本以上残っている人を八〇二〇達成者、それ以下の人を未達成者ということで比較をしている。

 これ比較すると大変おもしろい結果が出ているんですね。達成者に対して非達成者のレセプトの年間点数合計は一七・九%高かったと。歯科以外の、医科のレセプトです。レセプト一枚当たりの平均日数も、一枚当たりの点数も非達成者の方が高いわけです。要するに、自分の歯が残ってそしゃく能力が高い高齢者ほど、歯の問題だけじゃなくて全身状態が良くて、医科の医療費が二割方減っていると、総医療費が抑制されているという実態があるんですね。

 しかし、ここで三割負担で歯科の受診抑制ということが進めば、私はこれ、二重の問題が起こってくると。結果として、口腔内の状態も悪化して歯科の医療費も掛かってくるし、全身状態も悪くなって医科の医療費も増えてくる。私、二重の意味でこれ、医療費を増大させるという悪循環になるんじゃないかというふうに思うんですが、この点いかがですか。

政府参考人(真野章君)

 御指摘の兵庫県歯科医師会によります調査は、高齢者の歯科、医科のレセプトを一定数抽出をされまして、残存歯数の多い者については医科の医療費が低いとのデータをお示しをいただいたものでございます。

 ただ、この調査におきましては、医科と歯科の両方のレセプトを提出された患者さんだけのデータという制限がございまして、歯科を受診されていないという方は対象者からは外れるということを考えますと、本調査のみをもって先生御指摘のような結論というのはなかなか難しいのではないかと。

 ただ、一般論といたしまして、八〇二〇運動を進めておりますように、自分の歯で食べるということが全身状態を良くすると、これはもうそのとおりだと思いますし、そういう意味では八〇二〇運動の推進というのは非常に重要なことであろうというふうには思っております。

小池晃君

 けち付けるんだったらもう少ししゃれたけちの付け方してほしいんですけれども、そういうんじゃもう全然反論になっていませんよ。

 これはやはり、本当に三割負担、受診抑制で医療費逆に引き上げると、私、一つの証明になっていると思うんです。しかも、昨年十月から老人医療の自己負担定率化されて、非常に歯科で興味深いことが起こっています。

 上位所得者は二割負担になりました。この上位所得者というのは老人医療受給者の約一二%だというふうに厚生労働省は説明されておられたんですね。ところが、支払基金の基金統計月報見ると、昨年十二月の歯科の支払分の件数で、老人の二割負担の人の比率が二〇・七%になっているんです。これ、十月、十一月も大体二〇%を超えているんです。そもそも一二%しかいないはずの二割負担の人が、歯科の受診となると二〇%を超えている。もう現実の上位所得者の比率よりも二割負担の受診件数の方が比率がはるかに高い。

 なぜこういう事態になっているか、どう見ていらっしゃいますか。

政府参考人(真野章君)

 支払基金のデータに基づきまして、高齢者全体に占めます一定所得者の割合、いわゆる窓口での負担が二割の方の状況でありまして、言わば昨年の十月から窓口での負担が一割と二割に分かれることによりまして、今、先生御指摘のようなデータというのが取れるようになったといいますか、取れるという格好になっております。

 それを見ますと、確かに歯科レセプトのうち二〇%が窓口負担二割の方でありますが、医科の外来の場合には一三・六%という格好になっております。これにつきましても、なかなか分析、じゃなぜかというのはなかなか難しいところでございますけれども、高齢者の場合、要するに七十歳以上でございますので、七十歳以上の場合には、一定以上の所得という言わば所得のある程度ある方は、七十歳以上の中では比較的年齢が低いと、ちょっと変な話ですが、七十歳に近いところの方ではないかと考えられるのに対しまして、歯科の場合には、年齢によりまして非常に受診率が大きく、例えば七十五歳を過ぎますと大きく受診率が下がるというようなことがございまして、確かに御指摘のようなデータにはなっておりますけれども、それがそのまま御主張のようなことになるかどうかというのは更に検討が要るんではないかと思っております。

小池晃君

 いや、苦しいと思いますね、私、まだ御主張していないんですけれどもね。

 私は、これは素直に見れば、やはり二割負担の人の比率が実際より大きいということは、やはりお金がなきゃ歯科に掛かれないという実態がこれ出てきているんだと思いますよ。まず、まず行かないのが歯科と、歯医者さんということがあるんじゃないですか。やっぱり低所得者は受診しなくなっているんですよ。それがこういう形になって現れてきているんじゃないですか。

 私は、これ以上患者負担を増やしていくということをやれば、私は本当に歯科の分野で深刻な受診抑制を招いていく。三割負担の強行というのは、やはり歯科医療に本当に大きな打撃を与える可能性があるんじゃないか。受診抑制の結果、結局、口腔内の状態が悪化をしていく、全身状態も悪くなるということになりかねないじゃないかと。

 歯科の問題でこの問題議論するの初めてなんで、大臣に私お答えいただきたいと思うんですが、やはりこの点から見ても、三割負担というのは私は逆に医療費の増大をもたらすと。今日、初めありましたけれども、これ撤回すべきだということを改めて求めたいと思いますが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 高齢者の場合には一割負担か二割負担でありますから、一割負担の皆さんが掛かるのが少なくて二割負担の人が多いというのは、それは、その理屈はちょっと通りませんね。別に理屈があるんだと僕は思いますね。

 ですから、高齢者の皆さん方で一割負担の人の方が多いというんだったら、それは話、分かりますけれども、そうでなくて一割負担の方が少ないというのは、それはほかに要因があるとしか言いようがない。

 そして、三割負担は本日から粛々とお願いを申し上げている。これは撤回するつもりは更々ございません。

小池晃君

 私は、こうした事態を放置すれば、逆に医療保険財政に大変な打撃を与えることになると思います。

 野党四党は昨日の幹事長・書記局長会談で、健保本人三割負担、二割に戻す法案を提出するということを決めました。暮らしを守る、景気を立て直すためにも、直ちに二割に戻すべきだということを申し上げたいと思います。

 そこで、残る時間、医療制度改革案について聞きたいと思います。

 これ、後期高齢者の制度について、加入者の保険料、国保及び被用者保険からの支援並びに公費により賄うとなっている。この保険料の問題について、七十五歳以上の高齢者から集める保険料について聞きたいんですが、現在、健保の扶養家族になっている高齢者は保険料を払っておりません。こうした人たちが今何人か、そして現在の老人医療制度改革が完成する二〇〇七年度には何人になるか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(真野章君)

 六十五歳以上七十五歳未満の前期高齢者でよろしゅうございましょうか。

小池晃君

 いや、七十五歳以上。

政府参考人(真野章君)

 七十五歳以上。失礼しました、申し訳ございません。

 被用者保険の七十五歳以上の被扶養者の数でございますが、平成十二年度は約二百十万人でございましたが、平成十九年度には約二百三十五万人というふうに推計をいたしております。

小池晃君

 それから、先ほどの話では、六十五歳以上の被保険者の、被用者保険の被扶養者も、これ何らかの形で保険料を集める対象に考えるという、検討するというお話がありました。

 そこでお聞きしたいんですが、六十五歳から七十五歳までの被用者保険の被扶養者は何人これは平成十九年度でいるんでしょうか。

政府参考人(真野章君)

 六十五歳以上七十五歳未満の方々で被扶養者の方々は、平成十九年度約百七十万人というふうに見込んでおります。

小池晃君

 ですから、今回の提案では、後期の二百三十五万人の人たちには加入者の保険料が徴収をされる、それからさらにそれに加えて百七十万人、四百万人を超える方たちに何らかの形での保険料の負担というのが加わってくるということになるわけです。これ大変なことだと思うんですね。

 さらに、この後期高齢者の保険料がどれほどの額になるかということなんですが、仮に七十五歳以上の後期高齢者の保険制度で給付費の一〇%を保険料とすると、二〇〇七年度における保険料は一体幾らになるんでしょうか。

政府参考人(真野章君)

 同様の前提を置きまして計算いたしましたのが昨年の十二月に公表いたしました B 案でございまして、保険料を給付費の一〇%と仮定いたしました場合、七十五歳以上高齢者一人当たり保険料は平成十九年度におきまして八・七万円というふうに推計をいたしております。

小池晃君

 八万七千円ということは、毎月七千二百五十円の保険料ということになるわけです。六十五歳以上の介護保険料がこの四月から毎月三千二百四十一円、これは医療保険と合わせて、介護と医療で合計毎月一万円を超える保険料になっていくということに、一〇%ということであればなっていくと。

 大臣にお伺いしたいんですが、大臣はいろんな場所で一〇%というのを一つの目安として発言をされています。高齢者がこのような介護と医療を合わせて一万円を超えるような保険料負担ということに果たして堪えられると大臣はお考えなのか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 現在、既に医療費に占める患者負担及び保険料負担の割合を見ますと、患者、患者のこの、いや違います、保険料は全体で六・六%、患者負担は九・五%、トータルで一六・一%ということに現在なっております。

小池晃君

 何歳ですか、年齢は。

国務大臣(坂口力君)

 これは七十五歳以上、七十五歳以上でございます。そういう状況でございます。

 これからの後期高齢者医療の問題を考えていきますときに、皆さん方が払っていただける額にやはりしなければならないというふうに思っておりますから、先ほどから何度かお話を申し上げておりますように、これは基礎年金を今後どういうふうにしていくかということとも絡んでくる話だというふうに思っております。そうした中で医療そして介護の保険料のあるべき姿というのを決めていかなければならない。

 今回のこの医療改革の中で、決められなかった部分と決めなかった部分がございます。決められなかった部分につきましては午前中からいろいろ御議論をいただいたところでございます。この保険料につきましては、年金、医療、介護、やはり関連性が非常に強いということから決めなかった部分でございます。

小池晃君

 現在の七十五歳以上の国民の負担が保険料と窓口負担で一六%だとおっしゃいました。

 実は、かつて国会でこういう議論がございました。九七年八月二十六日の衆議院厚生委員会であります。当時の小泉厚生大臣に対して野党の議員が質問をしているんです。どういう質問をしているかというと、このときも新しい高齢者医療制度が出てきたんですね、提案があって。高齢者から保険料を取るということで大問題になったわけですよ。大臣、だんだん記憶がよみがえってきたんじゃないかと思うんですが。

 大臣はそのときにこうおっしゃっているんですね、小泉厚生大臣に。保険料とそして高齢者の自己負担の分が「双方合わせて一五%を超えるということは、これは難しいこと、そんなに多くをお願いするということはできないことではないかというふうに私は思っております。」と大臣言われているんですよ。既に一六%を超えているんだったらもうこれ以上保険料なんか集められないということになるじゃないですか。おかしいんじゃないですか。これ大臣、かつて言ったことと全く反しますよ。

 しかも、大臣はこんなこともおっしゃっているんですね。保険料について、「介護保険を超えてそう多くを高齢者の皆さんにお願いをするということは無理なんだろうというふうに私は思います。」というふうにおっしゃっている。そして、「一人月に介護保険として二千五百円、」当時二千五百円だったわけですね、「介護保険として二千五百円、もしもまたこの医療保険として二千五百円といたしますと、一人に五千円、夫婦で一万円という額になってまいりますから、」「これ以上にするということはなかなか難しい額ではないかという気がいたします。」と言っている。

 これ九七年には大臣は、二千五百円、当時の介護保険料を超える保険料を高齢者から集めるのは難しいというふうにおっしゃっていたじゃないですか。それなのに今回はこれをはるかに超える提案をされている。私これ全く納得いきませんが、大臣いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 その当時一五%というのは、なかなかいい線言うてますね。なかなか先見の明があったと私は思っております。一六%とえらい違いないわけで、大枠の話をそれはしているわけでありますから。

 大体、私はこの保険料それから自己負担一五%というのはやむを得ないと。現在も総医療費の中に占めます自己負担というのはトータルで見れば今一七%ぐらいですけれども、これを平成十九年には一五%にするわけですよ。一五%ぐらいの自己負担は、これは是非お願いをしなければならないというふうに思っている次第でございまして、一五%という線はいい線だと私は思っている次第でございます。

小池晃君

 いやいや、答えていないですよ。それは今の話でしょう。今一六%になっている。

 今回の提案でいえば、今回の提案でいえば、これは給付費に対する保険料一〇%とそれから自己負担一〇%ということでいえば二〇%近い負担になるわけですよ。しかも、大臣は二千五百円以上の保険料は無理だと言っているじゃないですか。このときの主張に照らして今回の提案というのは全く説明いかないじゃないですか。このときも同じ議論があったんですよ、高齢者医療保険制度を新たに作ると。そのときに大臣はそういう在り方には明確に反対をしていらしたじゃないですか。そのときはそういう主張をしていたのに、過去の主張に全く反する提案を今されている。

 私は政治家として過去の言動に責任を取るべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 それは全然違いますね。現在は現在のパーセントを言っているわけで、その当時も私は大体一五%ぐらいが一つの限界ではないかというふうに思っていましたからそういうふうに申し上げたわけで、全然それは変わっていない。

 だから、保険料と自己負担と合わせてどれだけにするかということでありまして、私は一〇%というのは保険料だけで一〇%ということを言っているわけではない、それは自己負担も合わせてどうするかという話を申し上げているわけでありまして、だからその一五%という線はそれは私はかなりいい線だと思っていますね。全然その当時から現在も変わっておりません。

小池晃君

 ということは、大臣が描いていらっしゃる高齢者医療制度、新しい七十五歳以上の後期高齢者の医療保険制度というのは、保険料と自己負担を合わせてこの当時主張しておられた一五%程度を後期高齢者にお願いをするという制度だということなんですか、お答えいただきたいと思う。

国務大臣(坂口力君)

 年々歳々時代は変わっているわけでありますから、これから先にどうするかということはこれから決めていかなければならない。人口構成も非常に変わってきているわけですから、一九九七年当時と現在も違う、これから先も変わる、そうしたことも考慮に入れながらこれからどうしていくかということを決めなきゃならない。当然のことだ。

 責任ある政治というのは、そういうことだと思うんですね。

小池晃君

 私は、責任ある政治というのはそういうことではないと思います。これは何十年も前の話じゃないんですよ。このときからずっと同じ流れの今議論をしているわけでしょう。九七年のとき提案したことというのは今もその同じ流れで議論しているわけですよ。九七年の小泉厚生大臣時代に提案したことが実現しているわけじゃないんです。そのことがいろんな形を変えて今延長線上にあるわけですから、全く違う議論じゃないんですよ。その議論の、九七年の始まりのときには、大臣は一五%限界だというふうにおっしゃっていたんですよ。だとすれば、今回の提案だってその延長線上にあるべきだ。

 この九年間で経済情勢、日本の経済力が大きく変わったんですか、そんなことないでしょう。少子高齢化が九年間で急速に進んだんですか、そんなことないじゃないですか。こういう中で、こういう九年前に主張したことと全く違うことを、野党のときはそういう主張をし、そして大臣になったらば全く正反対の主張をすると。私は、これは情勢が変わったと、少子高齢化が進んだなんという説明ではこれは国民納得できませんよ。どうですか。

国務大臣(坂口力君)

 十年前と今とは大変な違いですよ。これから先、今度は少子高齢化がどれだけ進むかということの予測も全く違いますね、十年前と。十年前はこんなに少子高齢化が進むとは思っていなかった、少子化がこんなに進むとは思っていなかった。それがこれだけ進むのは大変な違いですよ。そんな百年一日のごとく物を言っておるようなことで政治はできませんね。

小池晃君

 完全な開き直りだと思いますよ。だって、二千五百円が限界だと言っていたのが七千五百円の提案ですよ。一五%が限界だと言っていたのが二〇%を超える提案ですよ。こういうのは完全な私、公約違反だと思いますよ。

 三割負担の問題についても、以前この問題を議論しましたけれども、これは大臣自らが委員会の場で主張されていたことと全く違うことを今やろうとしているわけですから、私はこれは政治家としての責任問われるということを申し上げたいと思うんです。こんなことは許されないというふうに思います。七十五歳以上から、高齢者から保険料を徴収することも、あるいは六十五歳以上から、すべての高齢者から保険料を徴収することも、これは撤回すべきだというふうに申し上げたいと思います。

 そもそも、医療保険制度の改革というふうにおっしゃいますけれども、政府がこの間、医療保険の最大の問題として挙げてきたのは、老健の拠出金が現役世代の医療保険の財政の三割を超えると、三割も占める、これを解決するということが建前だったはずです。そのことを言っていたはずです。ところが、今回の改革案なるもの全体を見ても、老健拠出金が、言わば前期高齢者の数に応じた財政調整とそれから現役世代から後期高齢者への連帯保険料という形に看板を替えただけで、私は現役世代の医療保険財政を圧迫している構造にはこの提案では何の変化もないというふうに思います。医療に対する国庫負担を引き上げることをしなければ、これは老健拠出金による、高齢者医療による現役世代の医療保険財政の圧迫という根本問題を解決することにならないんじゃないですか。その点はいかがですか。

政府参考人(真野章君)

 今回、御提案をいたしておりますけれども、老健制度と異なりまして、新たな制度におきましては、制度運営に責任を有する主体を明確にする、それから高齢者につきましても現役世代との均衡を考慮した保険料負担を求めるとともに前期高齢者への支援を社会連帯的な保険料とする、さらには地域の関係者によります取組によりまして医療費の適正化を図るというようなことで、言わば増大する医療費の適正化を図るということができるというふうに思っております。

 また、公費につきましては、先般の改正によりまして、後期高齢者に重点化するということが行われました。また、今後の高齢化の進展によりまして、医療保険制度全体に占める公費負担の割合は将来的に増加していくということが見込まれておりまして、そういう意味では公費の負担も増えていくと。公費の役割も増えつつ、増大する後期高齢者の、高齢者の医療費の適正化を図ることによってやはり国民全体で支えるという仕掛けを目指そうというものでございます。

小池晃君

 私の聞いたことに答えていただきたいんですが。

 今回の仕組みは、老健拠出金が形変わった、それはありますよ。ただ、それが連帯保険料と、それから財政調整という形になっただけであって、高齢者医療から現役世代への財政的な医療保険制度の圧迫という構造は、その仕組み自体は変わっていないじゃないですか。その点は大きな変化はないと思いますが、それは認めますね。

政府参考人(真野章君)

 人口の高齢化に伴いまして、高齢者の医療費が国民医療費のかなりのウエートを占めてくる、この状況はますます今後とも進むというふうに思っております。

 その増える医療費を支える方法は、やはり公費と、それから御本人の保険料と、それから高齢者の場合には、特に後期高齢者の場合にはやはり若い世代からの支援ということになろうかと思います。

 そういう意味では、制度を仕組む場合におきましても、やはりその負担をお願いする三者、これはその割合をどうするかというのはございますけれども、その三者による支え合いをお願いをするしかないわけでございまして、やはり増大する医療費、高齢者の医療費そのものの適正化を図っていくということも今後の課題であるというふうに思っております。

小池晃君

 共同事業である老人保健制度が独立した保険になることによって保険者機能が発揮されるということと、それから、そのことによって医療費の適正化、皆さんの言葉で言えば、それがあると。それから、連帯保険料という形で拠出金みたいに見えない形ではなくて、ある程度可視的な形になるというところが違うというだけであって、やはり基本的な財政の構造を変えないことには、私は現役世代の医療保険財政に対する圧迫という基本的な問題は解決できないというふうに思うんです。

 しかも、後期高齢者公費負担が五割だ五割だというふうにおっしゃるんですけれども、これ確認したいんですが、公費五割ですけれども、国庫負担で見れば、これは給付に対して四割強にしかなりませんよね。

政府参考人(真野章君)

 公費につきましても、閣議決定では「後期高齢者に公費を重点化するという改正法の考え方を維持する。」という基本方針でございまして、その割合についてはお示しをいたしておりませんし、その割合をどういうふうに組むか、するかということにつきましては、御本人の負担をどう求めるかということも併せまして今後検討していくべきものというふうに思っております。

小池晃君

 公費五割で国費五割じゃないんですよ、これはね。一方、国保に対する国庫負担は、削減されたといえ、給付費に対して五割出ているわけです。そういう意味では国保よりも国庫負担比率が低い、少ないということになる。そんなに胸を張れるものなのか。

 しかも先ほど、矛盾出てくると思いますよ。国保という仕組みの中で仕掛けていくということになると、後期高齢者分については公費が五割で、それ以外の部分は国費五割だという仕組みになるわけですから、これも本当におかしな私、問題だというふうに思うんです。

 決してこれ、公費五割だからといって、国保に比べても国庫負担比率低いというようなことで、果たして国として後期高齢者に重点化したというふうに言えるものなのかというふうに思うんです。

 後期高齢者の保険制度を新たに作ると、以前の厚労省の試算によりますと、これ国庫負担四千億円減るというふうになっていました。前期高齢者に対する財政調整がどういう程度で行われるかによってこれかかわってくるとは思うんですが、国庫負担、これ今回の仕組みの中では私は全体として減少する可能性だってあるんじゃないかというふうに思うんですよ。今回の提案というのは、国庫負担の削減を意図している、そういうものなんじゃないんですか。

政府参考人(真野章君)

 確かに、昨年お示ししました B 案におきましては、計算上そういうことになっております。ただ、それは、B 案におきましては六十歳代後半からの層への対応が必要だということでございまして、B 案としての試算はそうでございますが、全体としてそういう対応が必要だということで、昨年は試算としてお示しをいたしました。

 今回の基本方針におきましては、そういう意味では財政試算をきちっとお示しをいたしておりません。そういう意味で御疑問の点があろうかと思いますが、私どもといたしましては、決して公費を削減を目的とした制度改正をするつもりは毛頭ございませんで、公費の点につきましても、医療保険制度の改革に当たりましては、高齢者医療制度の基本的な方向の中で老健制度及び退職者医療制度を廃止し、医療保険給付全体における公費の割合を維持しつつということでございまして、決して国費の削減を目的とした制度改正を考えているわけではございません。

小池晃君

 今日は、提案されて初めての議論ということで、大枠のことにとどまりましたけれども、私は、本当の改革というのであれば、先ほどお示しになった三者の費用分担、財政構成、その中でやはり国庫負担本当に増やすという方向にやっぱり足踏み出すことによってこそ本当の改革というのができるんだと申し上げたいと思います。

 大型開発とかあるいは軍事費とか、あるいはその医療費の中でも薬剤費であるとか医療材料であるとか、そういったことにこそ本当にメスを入れる、それこそが真の改革であるというふうに思いますし、今回の提案というのは、そういう意味では制度の看板とか保険料の名前とか付け替えただけであって、私は改革の名に値するような提案ではないというふうに受け止めております。今後も議論させていただきたいというふうに思います。

 終わります。

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