- 小池晃君 (中略)
続いて年金の問題をお聞きしたいんですが、国民年金の保険料の納付率が昨年度急速に、急激に低下いたしました。その原因であります。もちろん景気の問題といった大きな問題もあるんですが、お聞きしたいのは、昨年度国民年金の申請全額免除者が二〇〇一年度よりも大幅に減少しているので、これは一体何人減ったのか、なぜこんなに減ったのかと。お答え願いたいと思います。
- 政府参考人(薄井康紀君)
お尋ねの国民年金の平成十四年度末におきます申請全額免除者数でございますけれども、百四十四万人でございまして、前年度末の二百七十七万人と比べますと百三十三万人減少いたしております。
その理由でございますけれども、平成十四年度から従来の申請全額免除に加えまして新たに申請半額免除制度を導入したわけでございますが、その際、全額免除対象者と半額免除対象者を明確に区分する必要があるということから、免除の判定につきましては原則として前年の所得に基づいて行うことといたしまして、いわゆる特例免除につきましては天災、失業等の事由に限定したことが大きく影響しているものと考えております。
- 小池晃君
これは、昨年の厚労省の見込みでは全額免除から外れる人は五十万人というふうに予測されていたんですね。実際には百三十三万人、二倍以上この全額免除から外れてしまった。この全額免除から外れた人の保険料の納付率というのが一四・五%ということで、極めて低いわけです。これが国民年金全体の納付率を昨年度急激に低下させた最大の原因ということでよろしいんですね。
- 政府参考人(薄井康紀君)
平成十四年度の国民年金の納付状況でございますけれども、納付月数自体は前年度と同程度でございましたけれども、納付対象月数が前年度より一割強増えたということから、納付率といたしましては七〇・九%から六二・八%と八・一ポイント低下したわけでございます。
今御指摘ございましたように、この背景といたしましては、厳しい経済情勢あるいは保険料収納事務の国への移管に伴います実務上の対応の問題などもございますけれども、免除制度の改正の影響というのもございます。免除制度改正等によりまして申請全額免除から外れた方の平成十四年度納付率、今お話しございましたように一四・五%という数字でございまして、私どもとしましては、このことが納付率の低下要因の約五割、低下幅八・一ポイントのうちの四・一ポイントを占めていると、こういうふうに分析をしているところでございます。
- 小池晃君
要するに、納付率低下の半分がこれが原因なわけですよ。
私、昨年四月、この委員会で免除基準の改悪、先ほど言われたような基準の見直しというのは、支払能力のない人に全額納付を強いることになってしまう、やはり事情に応じて全額免除を受けられるようにしておくべきだというふうに私申し上げたんですが、当時の年金局長は合理的な措置だというふうに答弁されたんです。
私、お聞きしたいのは、その結果五十万人と予測されていたのが百三十万人もの免除を受けられない人が出てしまって、そうした人たちの納付率が低いことが国民年金の納付率を全体として大きく引き下げる原因になった。年金局長、今でもこの免除基準の改悪、私は改悪だと思いますが、これは合理的なものだと今でもおっしゃるんですか。
- 政府参考人(吉武民樹君)
今回の免除基準の改正といいますか、一番基本にございますのは、全額免除に加えまして半額免除という仕組みを作ったという形、それに伴いまして、基本的には所得によってこの基準を明確化しようということでございます。
それで、確かにトータルでは減っておるわけでございますが、元々、申請全額免除で、住民税非課税の方が基本的に申請全額免除の方ですが、この方たちは百三十九万から百三十万人ということで余り変わりはございません。それから、住民税非課税から所得税課税までの方の一部の方が申請全額免除は行われたわけですが、この方たちは十七万人でございまして、今回の申請半額免除の方は三十四万人でございます。この方たちの所得の幅はほぼ一緒でございまして、今回、申請半額免除、若干これが上がってきております。したがいまして、そういう分野では余り変わりがないということで、できるだけこの基準を明確化、公平化しようということは達成ができているというふうに思っております。
ただ、最大の問題は特例免除という方でございまして、この方々につきましては、これまで個別の事由、保険料を納付することが著しく困難であるということで、個別で判断をして免除を適用するということを行っておったわけですが、この分野につきましても事由をできるだけ明確化しまして、天災あるいは失業という割と客観的に把握できるような事由で個別に判断させていただこうといたしております。
この分野の違いは非常に大きいということでございますが、これはある意味で基準の明確化から出てくる分野でもございます。ただ、天災あるいは失業だけで限定すべきかどうかという問題はございますので、この点は私ども今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。
- 小池晃君
長々とおっしゃいましたけれども、そのいろんな事情でということを外したことによって百万人、その分野で減ってしまったわけですよ。これやっぱり事情に応じて、本当に例えば商売が立ち行かなくなって収入が激減したとか、そういった人たち、これがはじかれてしまって、そしてそういった人たちは全額納付で保険料を払えなくて大変になっているわけですから、私はこれを今でも弁解するというのは本当に理解し難い、大変問題だと。
これ、全額免除でなくなった人、百三十三万人のうち、半額免除に移った人は二十一万人です。全額納付の対象者百十二万人の納付率一四・五%ですから、この中で保険料を払っていない人、およそ百万人ぐらいいるのかなと。それから、半額納付になった人でも、二十一万人の納付率三六・四%ですから、この分野でも半額でも払えないという人、約十万人いると。恐らく今回の制度で百万人以上、約百十万人の方が保険料を払わなくなったというふうにも言えるわけで、これ将来の無年金者を大量に生み出したということになるんじゃないだろうかと。
大臣、お伺いしたいんですが、私は、こういう画一的な免除基準、これを押し付けたことによって厚労省が予想した以上に、これは冷厳な事実ですよ、はっきりと減ってしまったわけですから。そして、さっき半額免除ができたと言うけれども、半額免除は、これ厚労省は予想は百四十四万人受けるだろうと予想していたのが、これわずか三十四万人しか受けていないんですね。
だから、こういった事態、私は本当に保険料全体の納付率を引き下げた、はっきり言ってここは、これはやり方まずかったと私は思うんです。これはもう見直すというふうにすべきだと、大臣、思うんですが、大臣、いかがですか。
- 国務大臣(坂口力君)
年金の問題は、先ほどから山本議員からも出ておりますように、今後様々な角度から検討していかなければならないというふうに思っております。お支払をいただきます国民年金の皆さん方につきましても、能力に応じてどうお支払をいただくかということも、もちろん大局的立場から検討していかなければならないというふうに思っております。
一つは、免除基準を明確にして公平な保険料の負担というものを求めるというのが一番の中心でなけりゃならないというふうに思っておりますし、それから、免除の仕方も多段階な免除の仕方というのは私はあっていいんだろうというふうに思っています。オール・オア・ナッシングではない。そして、二分の一だけでいいかという問題も私はあるだろう。社会保障であります限り、やはり何らかの御負担はしていただく、そして参加をしていただくということが私は大事だというふうに思っております。そうした意味からいきまして、多段階な免除の導入等も含めながら今後検討をしてまいりたいというふうに思っております。
- 小池晃君
その見直しの中には免除基準の見直しということも含まれるというふうに理解してよろしいんですね。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
- 国務大臣(坂口力君)
ですから、そうした総体的な見直しをするということを申し上げているわけでありまして、個別的なことを今申し上げたわけではございません。全体として、しかし見直しをしていくということを申し上げているわけです。
- 小池晃君
厚労省が出している収納対策の中にもこういう事態を踏まえて免除基準の見直しと入っているんですから、それははっきり言っていただきたいと。
これはやはり、こういうやり方で本当に百万人もの人が払えなくなった。結局、半額免除を受けた人も予想を大幅に下回ったということは、半額であっても払えないというのが、私、今の国民の生活実態なんだと。ここをしっかり見るべきだと。免除基準は改悪前に戻すと、このことを強く求めておきたいと思います。