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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

157 臨時国会 厚生労働委員会 感染症法等改正案審議

2003年10月9日(木)


【速記録】
SARS 対策 医療機関へ財政支援を


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 九八年の感染症法案の審議では、私どもは、新法案にハンセン病やあるいは薬害エイズの教訓が生かされていない、反省がない、あるいはその新感染症などの患者の人権尊重という点で問題があるということで反対いたしましたが、今回の改正は SARS 感染対応を中心としたものであって、その範囲では賛成であります。もちろん、患者発生時には、やはりその感染の拡大防止とともに不当な差別やプライバシーの保護、侵害がないように、あるいは非科学的な長期入院を強いることがないように万全の配慮を求めていきたいというふうに思います。あわせて、SARS の診療体制について、現状では不十分な点もあるかと思いますので、幾つかただしたいと思っています。

  〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕

 まず、疑い患者も含む SARS 患者の初期診療に当たる外来診療協力医療機関、これは全国で今幾つあるんでしょうか。

政府参考人(田中慶司君)

 七百五十九医療機関でございます。

小池晃君

 これ、もしも国内患者発生した場合は、今は海外渡航歴というのが条件になるわけですが、国内患者発生すれば、これ、海外渡航歴なくても、発熱やせきあるいは呼吸困難感ということで疑い例になり得るわけです。患者発生地域では、恐らく不安を抱いた方が、多数の市民が医療機関に殺到するということになるんじゃないだろうか。

 その場合、やっぱりトリアージといいますか、初期の対応をする医療機関が今七百五十八、東京では二十九なんですね、これだけで対応できるんだろうか。やはり、国内発生時には協力医療機関もちろん増やしていくことということも必要だと思いますけれども、患者発生地域の医療機関に対してはやはり一定の協力を求めるような、そういう必要性も出てくるんじゃないだろうか。その辺について厚生労働省としてどのように今お考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

政府参考人(田中慶司君)

 SARS の疑いのあります者の初期診療につきましては、本年五月に、「外来における感染予防体制の整った医療機関で行うことが望ましい。」と、こういうふうに各都道府県知事あてに通知したところでございます。

 これを受けまして、各都道府県等におきましては、患者の受診機関が損なわれることがないよう、保健所と医療機関が一体となって地域ごとの実情に応じた体制整備を進めているところでございます。

 具体的には、初期診療を行います外来医療機関に対しまして、SARS 患者とその他の患者を区分して診察等を行うために必要となるパーティション、診察台等の備品の購入、マスクやガウン等の診察に必要な消耗品の購入について財政支援を行うとともに、SARS の感染が疑われるような場合には最寄りの保健所に電話で相談の上、その指示に従いこのような医療機関を受診していただくようにお願いしているところでございます。

 現時点では、こういう取組によりまして必要な体制が整備されているというふうに考えておりますが、今後、多数の者が SRAS の感染を疑い外来に受診するような状況が出てくれば、その必要に応じまして対応あるいは体制についても検討してまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 私は、今の対応では、本当にもし出た場合に追い付かないんではないかというふうに大変心配しておりますので、是非、ちょっとこのことを本当に真剣に具体的に検討をしていただきたいと。

 それから、SARS 患者の治療を受け入れた病院の財政支援の問題をちょっとお尋ねしたいんですが、ちょっと、今、私、これ着けていますけれども、これは空気感染予防のマスクなんですね。SARS 患者の治療あるいは外来診療のときにはこういうマスク着けなさいという指導をしているわけです。こういうマスクを着けて、これなかなか息苦しくなるんですけれども、それでこういうシールドをこうやってかぶるわけですよ。それで、こういうガウンを着て手袋を着けると。宇宙人みたいな格好なんですけれども、こういう費用だけで結構これは掛かるわけなんですね。マスクなんかもいろいろと種類あるんですが、全部気密性の高いものなわけです。

 これは日経メディカルという雑誌の九月号に、社会保険滋賀病院の根本正さんというお医者さんがコスト計算していまして、それによると──取りますけれども、フェースシールドとかあるいはキャップ、マスクなどのこういう道具だけで月三百万円掛かると。危険手当などの人件費出すと月二百万円掛かって、それから感染患者の入院によって患者数が減るということで、入院、外来一日平均五人減ると、ちょっと少なめだと思うんですが、そういう計算して六百万円の減収になると。それから、消毒費用とかリネンの処理費などで少なく見積もっても月一千万円必要だというような、そんなことを書かれているんですね。それ以外に、もちろん陰圧病室の整備などの設備投資も掛かるわけで、これを現在の診療報酬だけで賄えるんだろうかと。

 私は、もし国内発生して治療に当たったような病院については、やはり緊急の財政支援ということも今から考えておく、そういう検討をしておく必要があるんではないかと考えるんですが、その点はいかがお考えでしょうか。

政府参考人(田中慶司君)

 SARS が、SARS 患者が発生した場合には、各都道府県が行動計画というのが定め、各都道府県で行動計画というのを定めておりまして、各、それによりまして感染症の指定医療機関へ患者さんを受け入れるということになります。感染症の指定医療機関に対しましては、当初から病床の管理運営に必要な水光熱料あるいは機器のメンテナンス料等の経費、医療に必要な感染防護服等の消耗機材の経費につきまして補助も行っているところでございます。

 また、SARS に対します緊急対策として、第二種の感染症指定医療機関に関しましては感染症病室、簡易陰圧装置の整備について財政支援を、これは追加的に行うこととしたところでございます。このような財政支援を行っているということでございます。

 また、風評被害の防止という意味では、国民等に関しまして SARS に関します正しい知識、医療機関におきます感染防止体制が非常に整備されていますというようなことを啓発普及いたしますことによって、SARS に対する誤った不安などから受入れ診療機関を受診する患者さんが減少することがないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 ちょっと、今のお聞きする範囲では万全だというふうにはちょっと言えないんじゃないだろうかと。やはり国内患者発生するという事態になった場合、どういう状況になるか分からないわけですから、そういったときにその診療に当たる医療機関というのは、本当に献身的に頑張るでしょうけれども、やはり大変な負担が掛かることは間違いないというふうに思うんですね。今の範囲ではなくて、やはりいざというときのことも今からきちっと検討しておくということを私は求めたいというふうに思っております。

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