抗がん剤イレッサ(アストラゼネカ社)の副作用で、発売後四カ月半の間に八十一人の死亡が明らかになった問題で、厚生労働省が発売直後から死亡者を確認していたうえ、効果がないことを知りつつ同薬を保険適用にしていたことが、五日の参院厚生労働委員会で明らかになりました。日本共産党の小池晃議員への答弁。
イレッサ(一般名ゲフィチニブ)は今年一月に承認申請が出され、七月五日に輸入を承認。通常は一年以上かかるもので、異例のスピードです。七月十六日に保険未適用のまま発売が開始され、八月三十日から保険が適用されました。
小池氏の質問に対し小島比登志医薬局長は、輸入承認の二週間後の七月十八日には最初の死亡者の報告を受けていたと答弁。保険適用直前の八月十九日に、メーカーがアメリカの食品医薬品局に「イレッサによる生存率には特に有意な改善は認められない」と報告していたことを同省が知っていたことも認めました。
小池氏は「異例の早さで承認し大規模な被害を出した。審査のあり方に問題があったのではないか」と追及。坂口力厚労相は「(問題があったという)認識を持っている。早急に検討する」と答えました。
小池氏は、医薬品機構を独立行政法人化する法案について「目的は迅速な審査体制づくりだが、そのモデルとなるイレッサで前代未聞の重大な事態が起こった。全面的な真相の解明なしに、法案を成立させることは認められない」と指摘しました。
規制緩和で起きた薬害
全国薬業労働者連絡会議・荒木茂仁事務局長の話
イレッサは申請から承認まで六カ月で承認された薬。臨床試験も少なく、世界で承認されているのは日本だけです。日米欧の巨大製薬会社がより速く開発・承認・販売をすすめ、もうけを可能にする承認制度の簡素化の流れの中でおきた薬害です。これまでは国内で安全性が確認されてから承認・販売となっていたのが、規制緩和の中で結果的に発売後に安全確認をすることになり、患者に安全確保が不十分な中で使われているのが実態。発売を止めて、安全性の再検討すべきです。
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