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2002年10月26日(土)「しんぶん赤旗」HPより転載論戦ハイライト
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パネルを手に小泉首相に質問する小池晃議員= 25 日、参院予算委 |
橋本内閣が九兆円の負担増を国民に押し付け経済を悪化させてから五年。国民の暮らしと経済は底無しの様相です。昨年の国民生活基礎調査では、生活が苦しいとした世帯がついに半数をこえました。小池氏は、この五年間で国民の暮らしと景気がどれだけ悪化したのかをパネルで示しました。しかもこうした状況は、小泉内閣になってからますます悪化しています。民間給与の減少は昨年一年間だけで七万円も減少。完全失業者は十七カ月連続して増えています。
首相は、小池氏の指摘にたいし、国民の暮らしと経済が陥っている現状を認めざるをえませんでした。
国民が陥っている窮状への認識を示しつつも、社会保障の負担増を将来問題にすりかえた首相。小池氏は、「社会保障の将来像のことを議論しているのじゃない。そこのところに(意見の)違いがあるのは分かっている。この経済危機を打開するためにいま何をすべきかだ」と強調。ニッセイ基礎研究所(民間調査研究機関)のリポートでも「負担増は景気悪化の引き金になりかねない」「経済状況をみながら負担増の調整をおこなう必要がある」と指摘していることを紹介(別項上)しました。
さらに小池氏は、「首相は今回の負担増の大きさが分かっていない」とし、年収五百六十万円のサラリーマン家庭では、年間六万七千円をこえる保険料負担増になる試算を紹介。低所得者には、すでに耐えがたい負担が押し付けられているのに加え、今回の特徴は、中堅サラリーマン層にも大きな負担がかかることを明らかにしました。
「来年度に向けて検討されている社会保障関係の負担増は、個々は小規模でも全体では個人消費を落ち込ませて景気悪化の引き金になりかねない規模のものである」「来年度の経済状況を見ながら負担増の調整をおこなう必要がある」 ニッセイ基礎研究所「エコノミスト・レター」2002 ・9 ・6 号 |
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「介護保険料や失業保険料率の引き上げなど考慮していなかったものもある」 経済財政諮問会議の本間正明議員(大阪大学教授) |
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小池氏は、社会保障の負担増が全体として経済に与える打撃について、政府がなんの検討もしていないことを明らかにしました。
来年の負担増にたいする政府の理由を見ると、医療と雇用保険は「保険財政の悪化」、介護保険は「三年ごとに保険料を引き上げることになっている」、年金は「物価が下がっているから」と、全部バラバラです。
小池氏は、経済財政諮問会議で「介護保険料や失業保険料の引き上げなど考慮していなかったものもある」という発言(別項下)が出たことを示しながら、「将来の持続可能性どころか来年のことさえまともに検討していない」と、政府の姿勢を批判しました。
小池氏は、年金引き下げの問題に話を進めました。
年金には、物価の伸びに応じて給付額を改善する「物価スライド」の制度があります。一九九九年度から三年間、長引く不況の影響で物価は下がりましたが、年金受給者の生活を確保するために政府は引き下げを行いませんでした。
ところが、来年度は物価スライドの凍結を解除し、年金額を物価の下落に合わせて減額する方針を打ち出しています。
小池氏は、所得に占める消費支出をみると、勤労者世帯の七割にたいして高齢者は 100 %を超えていることを示し、「年金が減ると、即、消費の減少に結びつく」と指摘。「年金が下がれば、高齢者の生活を痛めつけるだけではなく地域経済にも打撃を与え、景気を悪化させ、さらに現役世代の給与も下がるという悪循環におちいるだけではないか」と迫りました。
小泉首相は、「消費にも若干影響はあるでしょうが、これがすべてではない」とのべるだけでした。
小池氏は、「景気がいっそう悪化しているときに年金を引き下げるというのは、坂道で後ろからけ落とすようなもの。国民の将来不安を高め、景気を悪化させるだけだ」とのべ、中止を迫りました。
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