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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

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155-参議院臨時国会
2002年12月10日 厚生労働委員会・国立病院独立行政法人化法案審議

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 国立病院の独立行政法人への移行に当たって様々な問題がありますけれども、重大なのは、雇用がきちんと継続されるのかどうかという点だと思います。特に賃金職員の総数は今年十月一日現在で七千五百七十三人。これだけ大量の労働者の二〇〇四年四月以降の雇用の保障というのは重要な問題だと思うんです。そもそも、現時点でも賃金職員の皆さんは大変な状況に置かれている、厳しい状況に置かれている。

 最初に労働条件をお伺いしたいんですが、国立病院部長、そもそも夏季休暇、結婚休暇、育児休業、介護休暇、こういう世間で当たり前の休暇、休業、これは賃金職員の方は取れるんでしょうか。イエスかノーかで結構です。

政府参考人(冨岡悟君)

 賃金職員につきましては、夏季休暇、結婚休暇及び介護休暇は、人事院規則に定められておりませんで、認められておりません。育児休業につきましては、国家公務員の育児休業等に関する法律が適用されないため、取得は認められておりません。

小池晃君

 さらに、例えば採用半年間ということで見ると、定員職員であれば年休も夏休みも取れるのに、一方、賃金職員は全くないという状況であります。昇給も十年後ぐらいから頭打ちになってしまう。賃金水準は劣悪なのに休暇は少ない。だから、結果としては、逆に定員職員よりも賃金職員の方の方が労働時間が長いというようなケースも起こっているわけであります。

 ところで、お伺いしたいんですが、賃金職員の中で十年以上勤務をしている方、あるいは二十年以上勤務されている方はそれぞれ何名いらっしゃるんでしょうか。

政府参考人(冨岡悟君)

 賃金職員は一年以内の日々雇用ということで任用されておりますが、中断の上、繰り返し雇用ということで、十年以上繰り返し雇用されている方は二千三十五人であります。そのうち、二十年以上の方は三百二十八人となっております。

小池晃君

 もうほとんど常勤と変わらない仕事を実態としてはされていながら、十年、二十年、賃金職員のままで勤務を続けていると。本当に胸が痛むような事態なわけであります。これは、定員職員とほぼ同様の、実態としては同様の勤務をしながら、なぜ賃金職員という扱いになってきたのか、御説明願いたいと思います。

政府参考人(冨岡悟君)

 まず一つには、定員事情が、国家公務員の定員事情が大変厳しい中で、看護師等の医療職種を中心に定員増に努めてまいりましたが、それでもなかなか大幅な定員の増が難しかったという点が一つでございます。

 もう一つの理由は、技能・労務職員につきましては、昭和五十八年の閣議決定によりまして、それらの業務の民間委託等の推進とこれらの職種の採用抑制が定められたこと、こういったことが二つの要因と考えております。

小池晃君

 すなわち、実態としては定員職員と同様の業務を行っていたと。定員の枠があるからそういう扱いになっていた、形式的に賃金職員になっていたということであって、業務の実態としては定員職員と同様の業務を行っていたという認識でよろしいんですね。

  〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕

政府参考人(冨岡悟君)

 国立病院・療養所の賃金職員は年度当初に日々雇用として年度末までの期間を区切って雇用しているということでありますが、勤務時間は他の定員職員と同様でございます。

小池晃君

 要するに、実態としては同じだと。ちょっと素直に答えていただきたいんですけれども。

 以上を踏まえて大臣に私はお聞きしたいと思うんですが、こうした賃金職員の方々というのは大変な御苦労をされて、それによって国立病院の医療というのは支えられてきたと思うんです。定員外の職員としての様々な不利な面もあったと思うんです。八一年の三月には、当時の園田厚生大臣は、いまだ解決しないことは申し訳ない、今後とも制度改善に誠意を持って当たり、速やかな解決を図りたいと発言をされているんですね。

 坂口大臣は現時点で国立病院の最高責任者であります。長年にわたってこういう処遇をしてきたことをどのように考えておられるのか。七千五百七十三人の賃金職員の方がここにおられると。今日は傍聴の方の中にも恐らく賃金職員の方がおられると思うんですけれども、そういった方々を前にしてお話しされるつもりで是非大臣の率直なお気持ちを私はお聞きしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 賃金職員の皆さん方が大変御努力をしていただく、そして一般の職員の皆さん方と同様な休暇等が取れないというような事実が続いている、そういうことでは、非常に立場としてはお気の毒な立場だというふうに私も理解をいたしております。

 これから独立行政法人になりますときに、この皆さん方をどうするかということ、そして全体の定員をどうしていくかということを、次の理事者と申しますか、中心になる人が積極的にやはりお考えをいただきたい。そして、全体としてどういう病院を目指していくか、その中に人の配置をどうしていくか、そうしたことをやはりお考えをいただかなければならないわけでありまして、そういうお考え方の下に新しい体制で再スタートをする、現状のままでは膠着状態になっているわけでありますから、新しい体制の中でこれはスタートをする以外にない、こういうふうに思っております。

小池晃君

 お気の毒とおっしゃるけれども、これは国が作った処遇なわけですから、私は国に責任あると思うんですね。だから、いま一つ踏み込んだ御発言が欲しかったと思うんですが。

 しかし、大臣おっしゃるように、これは正にこれからの問題だと。正にこの御努力に、御苦労に報いるべきときだと私は思うんですね。それが今回の独立行政法人の移行の中でどうなっていくのかというところで、私、問われていると思うんです。

 そこで、今後の雇用について議論をしたいんですが、これは民間の例なんですけれども、九一年の六月に進学ゼミナール事件という事件の最高裁判決が出ています。これによれば、期間満了後の雇用の継続に期待することに合理性がある場合においては、解雇に関する法理が類推適用されるものと解するとされております。これ民間の場合なんです。しかし、民間の場合では、短期の労働契約を反復更新して実質的に常用雇用と同じ雇用をしてきた場合、これは雇い止めの意思表示は無効だと、これが過去の判例であります。

 国立病院も、この際、これは独立行政法人になるわけですから、民間法人ではありませんけれども、労働基準法の適用対象となっていく、労働契約の対象となっていくわけですから、私はここで、大きな考え方として、民間では常識になっている判例を踏まえてここは対応していくということが求められているんじゃないかと思うんですが、国立病院部長、いかがでしょうか。

政府参考人(冨岡悟君)

 民間におきます有期契約の反復更新の判例につきましては私どもも承知いたしておりますが、国立病院機構の職員は国家公務員型としているわけでございまして、国家公務員法上の任命行為として雇用されるものであります。

 国家公務員につきましては国家公務員の判例があるわけでございまして、過去の公務員に関する判例からも、民間の雇用契約による判例法理がそのまま適用されるということではないものと理解しております。

小池晃君

 いや、そのまま適用しないというのは、私、質問で言っているんですから、これは違うんだと。ただ、民間ではこれは違法なんだと。大臣もおっしゃったように、膠着状態をこれは解決する私はある意味ではチャンスだと思うんですよ。そのときに、大きな考え方として、こういうことも踏まえて対応できないのかというふうに申し上げているんです。

 大臣、私、申し上げたいのは、これは定員内の職員については附則の第二条で引き継がれることが法定されているわけですね。定員外の賃金職員については法律には何の規定もないんです。実態として同じ仕事をしながら、独立行政法人になった後の雇用については賃金職員は法律上は何の保障もないと。大臣は衆議院の審議の中で、雇用の引継ぎは新しい理事長が判断することだというふうにおっしゃいましたけれども、それではその労働者は一体どうなるのかと。これは新しい理事長が決まるのは来年の十月です。そして、それまで生殺しみたいな状態になってしまうということになるじゃないですか。

 そうさせないために、私は大臣に、これは政治家として大臣に是非答えていただきたいんですけれども、今みたいなしゃくし定規な法律解釈だけでいったら、これはいろいろあるかもしれない。しかし、新法人理事長に全員きちんとお願いしますと引き継ぐと、私、これこの場ではっきり言うべきだと。そのことを受け止める人を私は理事長に選びますと言っていただきたいんです。

 これ、笑い事じゃないですよ。七千五百七十三人の生活が懸かっているんですよ。この責任、あなたあるんです。政治家として、この七千五百七十三人の、あなた、言わばその人たちの言ってみれば雇用主、責任者であるわけです。そういった人たちに、やっぱり大臣の答弁を聞いて安心できるという発言を是非私していただきたいと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 これは衆議院でもお答えをしましたように、来年の十月には新しい理事長さんを決め、そしてそれぞれの病院の院長さんになる人を決めていくわけでありまして、それからの半年間の間にそれぞれの病院がどういうふうな形態でこれから行くかということをお決めをいただくわけでございますから、その中ですべてのことは決定されていくということになるだろうというふうに思います。

 したがいまして、過渡期的ないろいろの問題は私はあるんだろうというふうに思いますが、それはその次の役員に就かれる皆さん方のひとつお考えを十分に尊重してこれは決めていくべき話でありまして、私がここでその皆さん方を飛び越えてどうするこうすると言うことは、それは私は言い難いことでございます。

 したがって、できるだけ早く後を引き継ぐ皆さん方はお決めをしたい、そしてそれは経営能力もあり立派な人をひとつお決めをしたいというふうに思っておりますから、その人に御信頼を申し上げてお任せをしたいと思っております。

小池晃君

 私、それは無責任だと思うんですよ。だって、無責任ですよ、これは。

 七千五百七十三人の皆さんは何も好き好んで賃金職員になったわけじゃないんです。これは、賃金職員という不安定な身分にしたのは、数十年にわたってそういう状態に置いてきたというのは国の責任なんですよ。これ、解決すべきものを今までほっておいたわけですよ。そもそも国立病院時代に解決すべき問題を持ち越したわけです。だから、私は、独法移行に当たって、独法になってから以降のことはそれはいろいろあるかもしれない、しかしそこに引き継ぐということは私これ国の最低限の責任じゃないかと思う。

 これ、法律には書けないということなのかもしれない。しかし、私は、ここのところは、やっぱり七千人余りの人が今不安におののいているわけです。自分の雇用どうなるのかというときに、やはりその人たちのことはちゃんと申し送るからと。そこから先どうなるかというのは、それはあるかもしれません。しかし、大臣のお言葉として、そういった人たちはちゃんと申し送りますと。私、これは最低限の責任じゃないかと思うんですよ。

 それを言っていただきたいんです。大臣、もう一度お願いします。

国務大臣(坂口力君)

 私に今課せられているのは、次の理事長さんをどういうふうに選び、そしてどういう立派な病院を作っていただくかということでありまして、その皆さんにお願いをするということでございます。

 したがいまして、その理事長さんが、百四十四もあるわけでありますから、それらの病院に対しましてどのようなそれを病院にしていただくか。そして、理事長さんがそれぞれの病院の院長さんをお決めいただいて、そしてどういうそれを病院にしていただくか、恐らく今まで以上に発展的に立派な病院にしていただけるものと期待をいたしております。その中でこの人の問題というのは解決をしていただくわけでございますから、それを、手腕を私はお待ちを申し上げたい、お願いを申し上げたいと思っております。

小池晃君

 ですから、その新しい理事長さんをお決めになる、お願いすると。そのお願いする中に、やはりこの七千五百七十三人の賃金職員のことは私は気に掛かっている、これを是非お願いすると、そのことも含めるということをやっぱりこれは言うべきだと私は思っているんですよ。

 これは、やっぱりこれをお願いするというのは最低限の責任ですよ、国として。やはり実態として同じ仕事をしていたにもかかわらずこういう扱いをしてきたというのは、これは正に国の制度、定員の問題だけでそうなってきたわけですから、そこのところをひとつこれは頼むと。そこから先どうなるかというのは、それはあるのかもしれない。しかし、やはり国としてこの間これだけの御苦労を掛けてきたわけですから、そこのところも含めてお願いすると、これぐらい言えるじゃないですか。大臣、是非言ってください、それは。

国務大臣(坂口力君)

 問題は、そこから先がどうなるかということをどう決めていただくかということなんですよ。

 だから、平成十六年の四月にどうかということだけではなくて、その後その病院をどうしていただくかということが一番大事な話であって、それ次第によっては、今までおみえになった皆さん方の人数だって、それは多過ぎるということになってくる可能性だってあるわけでありますから、私はその次の理事長さんになっていただく方、そしてまたそれぞれの病院長さんになっていただく方、事務長さんになっていただく皆さんの手腕に御期待をしたい、そして今まで以上に立派な運営をして、そして皆さん方にそこで働いていただけるような体制を作っていただきたい。その能力を私は今見定めて、そしてそういう人を選ばなければならない。その後のことは、それは細かなことは言わない、その皆さん方にお任せをしていくというのが私の今の立場だと思っております。

小池晃君

 私はその後のことを言っているわけじゃないんです。そこまでのことを言っているんです、坂口厚生労働大臣の責任として、そこに引き継ぐときに。

 私たちは国立病院を独立行政法人化すること自体に反対であります。しかし、この総定員法の枠組みが外れるということは数少ない私はメリットだと思う。これこそ、この間本当に引っ掛かってきたこの賃金職員という問題を解決する私は逆にチャンスだと。

 それから先のことを私は言っているんじゃないんです。お願いするというときに、それはこういう経営能力もお願いする、しっかりやってください、しっかり運営していってください、地域の住民の方も頼みます、そして雇用も。定員職員についてはこれは法律でちゃんと決められているわけです。法律で書かれていない賃金職員のこともどうかよろしく頼むと、これもやはりお願いするうちの一つに入るんじゃないですか。これはやはりその中に私は含めるべきだと。

 再度、大臣にこの件について、このことも含めてお願いすると言っていただきたいと思います。

国務大臣(坂口力君)

 何度も申し上げておりますように、その後の経営につきましてはすべてその人にお任せをするということでありますから、その皆さん方に立派にひとつやってもらいたいということでございます。それは、そのときにこうしてください、ああしてくださいという条件を付けるということになってくれば、それはその後のことをその人たちにやりにくくするわけでありますから、その人たちにひとつその後のことは考えていただくということになるだろうというふうに思います。

小池晃君

 私は、この独法になって、一方では企業会計的手法で職員をコスト削減に駆り立てる、他方では賃金職員にはこれまでの努力に報いることをしない、本当に独立行政法人という形になるのに都合のいいところしか取っていないんじゃないか、御都合主義だというふうに言いたいと思います。

 続いて、以前の当委員会でも質問をしましたけれども、国立秋田病院の問題についてお伺いしたいんですが、秋田病院は、これは当初は地域の一般医療のために必要だということで移譲対象だったわけです。これは引受手がないということで廃止対象になりました。立地条件のいい秋田の重心病棟を何で日本海の荒波のたたき付けるような道川病院に移すのかということをここで質問しました。これは大臣も覚えていらっしゃると思うんです。これは結局、地元の本荘市や住民の強い反対にもかかわらず一方的に廃止ということを決定されましたが、これは無責任だと思うんですけれども、事態は進行しているわけです。現地の人々の願いにこたえる対応が求められていると思うんですが。解決が求められていると思うんです。

 まず参考人にお伺いしたいのは、廃止は来年十二月ということなんですが、今、秋田病院を頼りにされている患者さんの受入先はこれは当然責任持って確保していくということだと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(冨岡悟君)

 秋田病院の廃止に当たりまして、患者さんの受入先を確保するよう努めることは私ども当然のことと考えております。

 厚生労働省としては、患者さんや家族の方々に対しまして適切な時期に主治医の先生等から十分説明することとなります。具体的にはどうするかという点につきましては、現在秋田病院に入院されている重心の患者さんにつきましては道川病院の新病棟への転院を予定しております。その他の入院・外来患者さんにつきましては、患者さんの意向を尊重し、道川病院を含む他の医療機関への転院等、適切な対応をしてまいりたいと思っております。

小池晃君

 現在、病院の廃止後の跡地を地元で今後どうするかが議論されております。福祉施設を作ってほしい、医療施設を作ってほしい、そういう希望も大変強いというふうに聞いております。大臣も、これは前回審議の中で、地元の意見を無視しないようにというふうに答弁されてきました。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今後の計画については、これはこの間の経緯も踏まえて、国有財産を現地の皆さんに有効に活用していただけるような配慮を十分にしていただきたい、このように考えるんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(坂口力君)

 これは地元でよく協議をしていただいて、跡地利用というのをどうするかということを地元でやはり決めていただかなければなりません。どうしたことに使うのが一番いいのかといったようなことになるわけであります。

 私の地元におきましてもそういうことが起こりましたけれども、それはちょうど駅裏でいい場所だったものですから、そこは公園にするということで皆さんがお決めになった、それもそれは一つの私は方法だと思うんです。立派な公園ができ上がりました。だから、そこはどうするかということは地元の皆さん方よくお話をして決めていただきたいというふうに思います。

小池晃君

 その際に、地元の方々の協議ももちろんなんですけれども、十分に国としても配慮をしていってほしいということなんですが、その点についてお答えいただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 小池委員のお話はどういう具体的なことを指しておみえになるのかよく分かりませんが、それはどこがお買い上げをいただくのかということによって対応は違ってくるわけでありますから、それが、市町村がそれをお受けになるということになれば、それはそれなりに対応するように既にすべては決まっているわけでございますから、それにのっとってやっていくということだろうと思います。

小池晃君

 ここは地元のこの間の経緯、いろいろあったわけですから、これは是非十分に配慮をした対応をしていただきたいと思います。

 残された時間、国立病院の看護体制の問題について、先ほども御議論ありました。大変劣悪であるということだと思うんです。私、ナショナルセンターの看護実態についてお聞きをしたいと思うんです。

 国立病院のナショナルセンターは、高度先進医療の実施、臨床研究、教育研修、情報発信の全国の中心機関と位置付けられている。しかし、その看護実態は、二〇〇一年の労働組合の調査では、月九日以上の夜勤が約四割、三人夜勤は二五%にとどまっております。一方、同様に高度先進医療を行っている国立大学附属病院の三人夜勤は昨年度全体で六一・三%です。

 私、お聞きしたいのは、ナショナルセンターの一つであります大阪吹田市の国立循環器病センターの三人夜勤の現状は一体どうなっているか。これ現状をお答えいただきたいと思います。

政府参考人(冨岡悟君)

 国立循環器病センターは、十九の病棟、看護単位で運営されております。それぞれの看護体制でありますが、それぞれの病棟の機能、性格に応じて看護体制を組んでいるところでございます。

  〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕

 そういうことで、急性期の重症患者が多数入院しているようなところ、それからそういう症状が比較的落ち着いた患者さんが入院するところ、いろいろあるわけでございまして、それに応じて看護体制を組んでおるところでございます。

 非常に夜勤の体制の厚いと申しましょうか、多いところは四人四人のところもありますし、中には、ICU では八人八人といったところもございます。そういうことで、全体として三人以上の看護師による夜勤体制となっているところは十九のうち九でございます。

小池晃君

 聞いたことだけに答えてくださいね。

 最先端の医療を行っている循環器病センターでも半分以上の病棟は二人夜勤なわけです。十九病棟中九病棟が三人夜勤ですから、残り十病棟はこれは二人夜勤だと。

 重症患者が多くて過酷な勤務を強いられている中で、大変な悲劇が起こっております。

 大阪の国立循環器病センターに勤務していた二十五歳の看護師の村上優子さん、この方、二〇〇一年二月十三日、勤務を終えて帰宅後にクモ膜下出血で勤務先病院に搬送されて、三月十日に亡くなっている。二十五歳の看護婦さんであります。御遺族は過労死認定を求めて坂口大臣あてに公務災害の申請をされております。

 これ勤務実態見るとすごいんですよ。これ、村上さんが勤務していた脳神経外科病棟は、重症、高齢の患者さんが非常に多いと。業務は非常に多忙で、二人夜勤で、休憩もまともに取れない。超過勤務、恒常化していたわけです。日勤から深夜勤になる場合には、普通は定時の十七時に日勤を終えても翌日零時半の出勤までは七時間半しかありません。そういうときでも四時間を超える超過勤務をやっているんですね。

 例えば、二〇〇〇年十月五日の、この方、メールを友達に毎日毎日打っているわけです。パソコンから打ったり携帯から打ったりしている。そうすると、十月五日のメールでは、日勤が忙しく帰ったのは二十二時半、寝る時間がほとんどなく深夜に突入、始まったときからふらふらでしたと書いてある。この日は十七時に終わるはずが二十二時まで続いた。二十二時に家に帰ったら、ちょっと休んだらば、零時半から仕事に入っているんです。さらに、二〇〇一年の一月六日のメール、この日は十七時に終了する日勤なんです。ところが二十二時四十三分のメールで、まだ病院にいます、仕事が片付きそうにありませんと友達にメールを送っているんです。だから、この時点だとしても五時間四十三分の超勤なんです。さらに、一月十六日、これ十七時終了の日勤です。二十時四十二分に送ったメールでは、無事仕事を終えることができましたと。だから三時間半の超勤です。こういう記録が克明に残っているわけなんですね。

 倒れた二月十三日、十九時半終了の遅出勤務だった。ところが、この日も約二時間の超勤をやっているんです。二十一時四十五分、最後のメールは、取りあえず帰ってきました、とにかく眠過ぎる、そうあったそうであります。しかも、研究発表がありますから、自宅に持ち帰って資料整理している。それから、驚くことに、この病棟、二十一人中五人が新人なんです。だから、本当に教育係もやらなきゃいけない。もう体も心も本当に緊張した状態です。一か月の時間外労働は八十時間に及ぶと推定されている。これ、もし時間外労働がなかったとしても、本当大変な勤務なはずです。ところが、更にこれだけの時間外労働をせざるを得なかったという実態がある。その中で二十五歳の若さでクモ膜下出血でお亡くなりになった。

 大臣にお伺いしたいんですが、私、勤務の一端を御紹介しましたけれども、大変過酷な勤務をされているというふうにお思いになりませんか。

国務大臣(坂口力君)

 具体的なお話でございますので、どういう状況であったかということは私も存じておりません。ただ、御遺族からの公務災害の申出によりまして、循環器病センターからそういう申出があったという報告が来ていることは承知をいたしております。

 お亡くなりになったという事実、大変深く受け止めているところでございます。

 現在、国家賠償請求事件として司法の場におきまして係争中であることも承知をいたしております。したがいまして、公務災害の認定でありますとか、こうした裁判の過程でそれらのことは、今おっしゃいましたようなことは明らかになっていくものと存じます。その結論を待たせていただきたいと思います。

小池晃君

 私はそういうことを聞いているんじゃなくて、今のこの話を聞いたらば、大変だったなと人間として思わないのかと、そういうことをお聞きしたかったんですよ。それから先のことはこれからお聞きするんです。

 大臣、私の今紹介したその話だけでも、これは大変な仕事だったと思いませんか。その率直な御感想を私お聞きしているんです。ちょっとお答えいただきたい。

国務大臣(坂口力君)

 断片的にお話を聞いただけでは分かりません。全体としてどういうことであったのかということをよく私も聞かせていただきたいというふうに思っております。

小池晃君

 労働基準局にお伺いしたいと思うんです。

 昨年末に脳・心疾患の過労死の認定基準が改定されました。それまでは直前あるいは一週間前の業務過重、あったわけですけれども、それに加えて発症前の長期間にわたる過重勤務、過重業務について基準を示されたと思うんです。この変更点について、特に時間外労働の状況についてどう定めたか、御説明願いたいと思います。

政府参考人(松崎朗君)

 お尋ねの件は、労災保険のいわゆる過労死の認定基準でございます。

 これ、新しい点としましては、新たに長期間にわたる疲労の蓄積を考慮するとともに、業務の過重性を評価する負荷要因の明確化を図る、こういった点が主要な改正点でございます。御指摘のとおり、昨年の十二月に行っております。

 特に、長時間の疲労の蓄積の評価でございますけれども、これ、まず時間外労働時間につきましては、月四十五時間を超えて長くなるほど発症との関連性は徐々に強くなるという点、それから二番目といたしまして、発症前一か月間に百時間を超え、又は二ないし六か月間の間に月平均で八十時間を超える場合には発症との関連性が強いこと、こういったことを判断の目安として示しておるところでございますが、業務の過重性の評価に当たりましては、労働時間のほかに就労状況等、総合的に評価するという内容でございます。

小池晃君

 これ、公務災害の場合も、認定基準も全く同様であります。

 今お話あったように、基準では業務の過重性の評価に当たっては、時間だけではなくて、交代制勤務や深夜勤務あるいは精神的緊張を伴う業務、こうしたことが併せて検討されると思うんです。

 参考人にお伺いしたいんですが、これは、村上さんの仕事は、もう深夜勤務を含む交代制で、しかも重症、高齢の患者さんを多く診ている、生死にかかわるストレスにさらされている。時間だけではなくて、これらの点からも業務の過重というのは明らかではないか。私、これ一日も早く公務災害の認定をすべきではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(鈴木直和君)

 今御指摘の事案につきましては、人事院が定める公務上災害の認定指針、先ほど御指摘がありましたが、労災の認定基準と同様でございます。この指針に照らしまして、過重な負荷を受けていたか否かについての判断が難しいという状況のため、同指針に基づきまして人事院に協議しているところでございます。

小池晃君

 どこが難しいんですか。こんなの明らかじゃないですか、過重だというのは。三交代で、しかも、言ったように、大変ナショナルセンターで重症の患者さんが多い病棟だ、二人夜勤だ、新人看護婦一杯いる、研究までやらなきゃいけない。仕事の時間の問題だけじゃなくて、中身だって過重だというのは、あなた、こんなのだれが見たってはっきりしていますよ。

 しかも、これだけの超勤をやっているという、これ実際、メールで打っているわけですから、メールというのはちゃんと時刻が残るわけです。これ、厚生労働省が決めるわけでしょう、過労死基準を。そして、一般の企業にはそれを守らすわけでしょう。それが、回り回って厚生労働省の職員に適用するときには難しいですって、こういう話はないですよ。これ真っ先にきちっと自分たちが決めた基準に基づいて、これはできるだけしっかり認定していく、これこそ厚生労働省の取るべき態度じゃないですか。

 大臣、いかがですか。これ公務災害として認定するというふうに、私は直ちにその検討に入るべきだというふうに思いますが、いかがですか。

国務大臣(坂口力君)

 これは基準を決めたわけであります。しかも、過労死の場合の認定につきましては昨年これを作り替えたわけでありまして、慢性の、何といいましょうか、急性のものだけではなくて慢性に疲労が蓄積をしている場合にもその範囲に、中に入れるということにしたわけでありますから、それらの基準の中にこれが当てはまっておりますれば、それは過労死に適合するということになるというふうに思いますから、それは冷静にその状況を判断させていただければ、これは出ることだと思っております。

小池晃君

 判断難しいなんという言い方は本当にやめていただきたいと。これやはりきちっと認定をするべきだと。

 しかも、これ、いろいろとお話聞くと、病院側は超過勤務は十六時間だけだと言っているそうなんです。ところが、超勤の超勤簿というのはやっぱり、これ私も現場で働いていましたから分かりますけれども、なかなか付けづらいわけですよ。実態としては、十六時間だけなんて言っていますけれども、例えば、倒れた二月十三日の病院の記録の超勤、一時間だけです。二十時半まで勤務したとされている。しかし、村上さんが送ったメールの記録では、二十一時半に勤務を終えて帰宅をしていると。違うわけです。一月六日も、病院側の記録は二時間の超勤ですけれども、先ほどこれ紹介しましたように、五時間四十三分後に仕事が終わらないというメールを送っているんです。それから、一月二十五日も、病院側の記録では一時間の超勤なんですけれども、メールが送られた記録では五時間の超勤になっている。こんな具合に、実際に病院が記録している超勤の数字と、御本人がメールという形で幸いにも残されていた記録を見ると全く違うという実態があるんです。これはやはり、ここのところをきちっと正確に把握をして、直ちに公務災害認定すべきだと思うんですが。

 私、ここで、この問題調べていて引っ掛かったことは、厚労省は昨年四月六日に労働局長あてにサービス残業根絶の通達を出しました。使用者には労働時間管理する責務があるということを明らかにして、始業・終業時刻を確認し、記録すること、タイムカードなど客観的な記録を基本情報とすることを使用者に求めている。

 ところが、国立病院、タイムカードないんですね。これ、国立循環器病センターもないわけですよ。これはどうも一般的にそうらしいんですが、国立病院部長、お聞きしたいんですが、なぜおひざ元である国立病院にはタイムカード導入していないんですか。

政府参考人(冨岡悟君)

 現在、国立病院・療養所におきましては、人事院規則に従いまして、他の行政機関と同様に出勤簿、超過勤務命令簿等によりまして労働時間の管理を行っているところでございます。

小池晃君

 私は理由を聞いたんですけれども。だって、一般企業にはタイムカードなどでちゃんと客観的に記録せよと言いながら、自分たちの直営事業と言っていい国立病院でやっていないっておかしいじゃないですか。大臣、これおかしいと思いませんか。これは、やっぱり直ちにタイムカード、私、導入すべきだと思うんですが。

 労働基準局にお聞きしたいんです。これ、タイムカード導入されていない職場で、例えば、これ一般論ですけれども、携帯電話やパソコンのメールによる残業や帰宅の連絡、これは労働時間把握の客観的資料として扱うことができるんでしょうか。

政府参考人(松崎朗君)

 まず労働時間の把握でございますけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、これは使用者の責務でありまして、使用者が各労働者の始業、終業、そういった時刻をきちんと確認するということが必要でございます。そのために昨年の、十三年の四月に出しました通達におきましても、これは確認の方法として、使用者自らが確認する、又はタイムカード、IC カード等の客観的な記録を基礎とする、このいずれかの方法が原則であるというふうにしております。

 ところが、こういった方法が取られていない場合があるわけでございまして、そういった場合にどういったものに基づいて労働時間を確認するかということになるわけでございますけれども、これは原則としましては、個々の事案ごとに実態に応じて判断せざるを得ないということになります。

 したがいまして、お尋ねの携帯電話のメールの送信記録につきましても、その具体的な事案に応じて判断するということになろうかと思います。

小池晃君

 要するに、客観的資料として認めることも場合によってはできるということだと思うんです。

 もう一点問題あります。

 この亡くなられた村上さんのいる病棟では、こういう業務内容とチェックリストというのがありまして、勤務前までに患者の状態、処置などの情報収集を行うことが求められていた、要するに始業前に業務することが文書で示されているんですね。これを見ると、日勤の場合は、患者の疾患、状態の確認、患者のケア、昼の内服薬のチェック、検査の確認、要するに勤務開始の四十分ぐらい前からこれをやれなどということになるんです。準夜勤の場合は、これはカルテから必要な情報を収集、内服薬、点滴薬などの確認、カルテを用い点滴薬を二人で確認、書いてあるんですね。一時間以上前から出勤して準備をしているのが実態だそうであります。

 労働基準局にまたお尋ねしますが、これ一般論として、こういった業務に不可欠の準備作業というのは、これは当然労働時間に含まれると思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(松崎朗君)

 まず原則労働時間でございますけれども、これは一言で申し上げれば、使用者の明示又は黙示の指揮監督の下にある時間ということになるわけでございます。

 したがいまして、今御指摘のような病院の始業時刻前に病棟を巡回する時間でございますけれども、こういったものは通常の場合ですと使用者の明示又は黙示の指揮監督下にあるというふうに思われますけれども、具体的には実態に即して個別に判断するということになろうかと思います。

小池晃君

 これは正に含まれるケースなんですよ。これはもう最高裁判例でも確定していると思うんです。私、こういう実態があると。

 そういう中でお聞きしたいのは、これ、国立病院が公務員型の独立行政法人に移行した場合は労働基準法の適用の対象になるんでしょうか、国立病院部長。

政府参考人(冨岡悟君)

 労働基準法が適用されます。

小池晃君

 ということは、勤務時間について労働基準法の適用となるということは、これは正にサービス残業の根絶の通達の対象として、これは適正な時間管理が求められるというふうになると思うんですが、この点、再度確認をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(冨岡悟君)

 それぞれの制度の下で法に従いまして適切に運営する、対応する必要があると思います。

 なお、ちなみに申し上げますと、私どもは現在、厚生労働省全体の超勤を減らす、必要以外の超勤はなるたけしないと、そういったような方針の下に全国の現場にもそういう意向を伝えまして、そういう運動に取り組んでいるところでございます。

小池晃君

 いや、ちょっと質問に明確に答えていらっしゃらないと思うんですが、国立病院は独立行政法人、公務員型の独立行政法人に移行した場合は労働基準法の適用になるということでありました。ということは、要するにそのサービス残業根絶の通達の対象として、通達が出ているわけです、この通達に基づく対応が、適正な厳密な時間管理が求められていくということでよろしいんですねということをお伺いしているんです。

政府参考人(冨岡悟君)

 労働基準法の下で適正に運用することになるということでございます。

小池晃君

 何か正面から答えていただけないんですけれども、おっしゃっていることはそういうことだということで私の方で通訳をしておきますけれども、まあそういうことだと思うんです。

 一方、ナショナルセンターは独立行政法人には移行いたしません。しかし、高度先端医療を行っているナショナルセンターの看護の状況というのは、これはもう全国の国立病院のみならず、民間病院も含めて私は大きな意味を持っていると。こういう状況を放置することは私は許されないというふうに思うんです。

 その点で、これは、二度とこのような悲劇を起こさないために看護師の緊急な増員が求められていると思うんですが、具体的な増員計画、出されているのであれば、それもお示しいただきたいというふうに思います。

政府参考人(冨岡悟君)

 大変厳しい定員事情の中で、国立病院・療養所、ナショナルセンターも含めまして、看護職員の増員、体制の整備につきましては、再編成を通じた再配置等も含めまして大変努力してまいりました。

 十五年度の概算要求におきましては、ナショナルセンター全体で看護師の増員要求を六十三名出しておりますが、このうち国立循環器病センターにつきましては二十五名の増員要求を行っているところでございます。

小池晃君

 増員要求しているということからも、本当に業務過剰だったというのは、逆に言えば私は明らかなんじゃないかと。厚生労働省自身が、これ業務が大変だからこそ、これは増員要求したんだと思うんですよ。

 そこで、大臣、最後に私、この問題で大臣にお伺いしたいんですが、本当に最先端、言わば国循といえば日本の循環器治療のメッカですよね。非常に有名な病院であります。こういう本当に世界的とも言っていい病院だと思うんですが、こういう病院が本当に職員の自己犠牲的な労働に支えられていると、非常に前時代的な実態があるんじゃないだろうかというふうに思うんです。しかも、ここはどこかの民間法人が運営しているわけじゃないんで、国の病院なんだと。国の病院でこういうことが起こっているわけです。

 村上さんはお母さんも看護師さんだそうで、看護師で働くお母さんを見て育ったそうです。九七年から循環器病センターに勤務をされて、働くことに大変誇りを持っていたというふうにお聞きしています。お母さんが、お手紙をいただいているんですけれども、今現在も患者さんのためにと大勢の看護師さんが自分の時間を犠牲にして働いています。なぜ人一倍心の優しい我が子が死ななければならなかったのか。日々思うことは、ただただ無念の思いだけですと。この悲しみ、苦しみは私たち家族だけで十分ですと。我が子の死を無駄にしちゃいけないということを訴えておられるわけです。

 私は、こういうことを二度と繰り返しちゃいけない。こういう悲劇繰り返さないために、大臣としては、この今の国立病院全体の看護体制の在り方、とりわけナショナルセンターの今のこの実態をどのような姿勢で改善していこうと臨まれるのか、大臣に最後にお伺いしたいというふうに思います。

国務大臣(坂口力君)

 いずれにいたしましても、亡くなられましたその看護師さんに対しましては心から哀悼の意を表したいと存じます。

 これから、循環器センターだけではなくて、厚生労働省翼下の多くの病院において御苦労をいただいております従業員の皆さん方に対して、労働が余りにも過重になり過ぎないように十分配慮をしていただくように、各関係機関には十分な連絡を取りたいというふうに思っております。そして、増やすべきところはこれは増やしていかなきゃいけないんですから、我々はその人員につきましては要求をしていきたいと思っております。

小池晃君

 もう本当にこういう痛切な教訓を是非今後の病院運営に生かしていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 あわせて、先ほどのことですけれども、もう一度、やはり一日も早く公務災害として認定するということをするべきだと。これが最低限の、私、国としての責任だというふうに思いますので、申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、今資料をお配りしていますけれども、十月からの老人医療の実施状況について、今日ちょっと併せてお聞きしたいと思います。

 これ、十一月十四日の当委員会で、私この問題取り上げて、いろいろと手続が難しい、複雑だということで、これが簡素化がされていないと、市町村によってもばらばらだということを御指摘を申し上げました。真野局長の方から、今後とも都道府県を通じて市町村に示した方向で是非取り組むように指導を引き続き続けたいと御答弁いただいたんですけれども、どうも一向に進んでいないようなんです。

 これ、私がお配りしたのは、実は私が入手をいたしました厚労省の資料から作成したものです。まだ厚労省としては発表されていないと思うんです。

 これを見ますと、まず一枚目は、これはいわゆる高額所得で二割になった人の数と、それから、二割じゃなくて私は一割だと申請してそれが却下された人が何人かという、それから、低所得者の申請して低所得のUとTというふうに認定されたのが何人かという数字であります。

 二枚目を見ていただくと、それを率に換算してみました。そうすると、驚くべきことに、例えば二割から一割への変更の変更率も非常にまちまちであります。却下率が、これを見ますと、ずっと見ると、最低の和歌山が六・四%に対して、最高の秋田で六五・三%が却下されている。もう本当に大分都道府県によって対応が違うわけです。

 それから、私が驚いたのは、低所得者の比率が全然違うんですね、都道府県によって。これを見ますと、やはり最高は和歌山で一六・八%。それに対して、一%以下の県が宮城、福井。それから、二%以下の県が山形、群馬、新潟、富山、岐阜、静岡、滋賀、徳島と。何で低所得者の比率がこんなに県によって違うんだと、こんなはずないじゃないかと思うんですが、こんな実態があるわけです。

 さらに、三枚目をめくっていただくと、これはいわゆる手続の簡素化の実施状況ですけれども、これは全部集計していないようですね。集計段階の数字のようなんですが、これも集計分だけでもばらばらなんですよ。例えば高額医療費、一番右側に毎回申請とあるのは、要するに初回だけ申請すればいいですよというのが厚生省の通知で出されたんですが、やっぱり毎回申請しないと駄目ですよという自治体が、これ、数えると千を超えるわけですね。だから、これ、私、放置できない状況じゃないかなというふうに思うんです。

 しかも、何でこんなことになっているのか全く分からない。なぜ一割負担への変更や、あるいは低所得者の認定が自治体によって、県によってこんな格差があるのか。私、これ、直ちに原因を調査をして、これ改善を図るべきだと思うんですが、これ、そもそも何でこんなことになっているんですか、ちょっとお答え願いたいと思います。

政府参考人(真野章君)

 私ども、今、精査中でございまして、資料としてまだまとめたものはございません。その時々、状況を把握をいたしまして、今、先生御指摘のように、確かに都道府県ごとにばらつきがあるというのは、また私どもも認識をいたしております。ばらつきがあるからこそ、その辺の指導、私どもの基本方針をお示しをして、都道府県を通じて市町村に対して理解をいただくように指導をしているわけでございます。

 変更の場合も、申請者によりましては、通知が参りまして、二割だけれども一割の可能性もありますよということになれば、まずは一割の申請をしてみようという方もおられるわけでございまして、中身につきましても、市町村におきましてとにかくその申請してきた理由、その他につきまして今調べております。その辺の言わばことにつきましても、市町村での実情把握を私どもお願いをしているところでございます。引き続きそういう指導並びに都道府県を通じまして指導し、市町村の実情把握というものに努めたいというふうに思っております。

小池晃君

 これは、法案審議の中で、非常に今度の仕組みは複雑だと、分かりにくいと。これは、高齢者、こんなの分かるわけないということをさんざん主張しましたけれども、これは自治体の方も分かっていないんじゃないですか、こんなふうになっているということは。全く、だって、ちょっとの違いだったら分かりますけれども、低所得者一六%認定している県と一%以下、未満しか認定していない県が出ているというのは、私、本当に制度そのものの欠陥がこういった形で出てきているんじゃないかと思いますよ。

 これは本当に重大な事態だと思いますし、さらに負担軽減も全く市町村によって対応ばらばらであります。これ、私は前回も指摘しましたけれども、こんなふうに、厚生労働省がやりなさいと言ったことが全然もうやられていないわけですよね、言ってみれば。三分の一の自治体では毎回毎回高額医療費申請しないと駄目だというふうになっているわけですよ。これは私、何かのんきに構えている状態じゃないと、直ちにこれは実態調査をして、やはり指導を徹底していくということが必要なんじゃないですか。これは自治体として徹底を、市町村として徹底を図るべきだというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(真野章君)

 私どもも認識といたしましてはこういう状況というのも認識をいたしておりまして、まずはしかし、十月の施行ということに当たりましては、市町村側も証の交付その他の業務に最優先で取り組むと、そして高額療養費の場合には療養費払いというようなこともございまして、それについての対応がはっきり決まっていないという部分もかなりあったわけでございまして、そういうところにつきまして私どもとしては、高齢者の負担軽減をお約束をしている以上、自治体でもその部分を理解して対応してほしいということを指導しているわけでございまして、これは引き続き都道府県を通じまして市町村に対する指導を強化をしたいというふうに思っております。

小池晃君

 通告していませんけれども、大臣、ちょっとこういう実態があるんです。これはやはり、市町村、都道府県によってこれだけ対応にばらつきがあるというのは私は問題があるんじゃないかというふうに率直に思うんですね。大臣としてどうお考えか、これは直ちにやはり手を打つべきだというふうに思うんですが、その点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。

理事(中島眞人君)

 その前にちょっと委員長からお聞きしますが、保険局長、これは厚労省で作った調査なのかな。

政府参考人(真野章君)

 今申し上げましたように、厚労省保険局総務課調査というふうになっておりますが、私ども、こういう都道府県を通じまして業務の状況がどういう状況であるかというのは、私ども調査、調査といいますか把握をいたしておりますけれども、こういう形で資料を作成したことはございません。

小池晃君

 いや、これはここにあるんですよ、違う形の表ですけれども、そこから必要な数字だけ引き抜いて私が表にしたんですけれどもね。でも、この調べた数字は、この項目は、これは厚生労働省の調査であることは間違いないですよね。

国務大臣(坂口力君)

 この集計はまだ途中経過のものだというふうに聞いておりますので、ちゃんとでき上がりましたら、それに対してどうするかということは対応したいというふうに思います。

 しかし、それにしても、まだでき上がっていない途中の厚生労働省のデータが小池議員のところへ出ているということ自体が私は問題だと思っております。

小池晃君

 何で問題なんですか。それは行政情報ですよ、重要な情報ですよ。

  〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕

 それが都合の悪いデータだったらずっとこのまま黙っておいて、それで私がこういうふうにやらなきゃこんなの出てこなかったわけですから、これはやっぱり重大じゃないですか。

 大臣、そもそも、その出方がどうのこうのというより、こういう重大な事態を放置していいんですか。そういうわけじゃないでしょう。そのことを国会で私ただしているんじゃないですか。それを、資料の入手がどうのこうのなんて、そんなの筋違いですよ。おかしい。

国務大臣(坂口力君)

 最終のちゃんとしたデータならこれはやむを得ませんけれども、それで発表されたものならいいですけれども、未発表のものがそもそもそういうところで流れていくというこの厚生労働省の体質そのものに私は問題があるということを言っているわけです。

 だから、そういう途中のものをもって言われても、これは駄目です。これは最後に、最終的にこれでき上がったもので、本当の数字でどう評価をするかということに私はなると思うんです。だから、そういう意味で我が厚生労働省の中にも問題ありでありますけれども、しかしそういう途中のデータをもって言われても困るということでございます。

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