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154-参
2002年7月23日 厚生労働委員会速記録
○小池晃君
日本共産党の小池晃です。
冒頭、文部科学省にお聞きをしたいんですが、帝京大学の前事務局長の横田氏は昨年から今年に掛けて入院をされていたと。これ、いつから入院しているというふうに報告を受けていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人
(石川明君)
ただいまの件でございますが、帝京大学の方に確認いたしましたところ、同大学の前事務局長であります横田享浩氏が事務局長在任当時に入院していた時期でございますが、二つ時期がございますが、平成十三年の十月十六日から同年の十一月十日まで、それからもう一つの時期ですが、平成十四年の二月五日から同年の三月八日までというふうに聞いております。
○小池晃君
先ほど前田憲正参考人は、宮路さん、前副大臣からの電話、横田氏が受けたのではないかと言っていましたが、もう肝臓がんの言ってみれば末期の状態で、かなり体調も悪かったんではないかと。その直後には再入院をされているような時期にこの電話を受けたという話になるわけでありまして、当初は、文部科学省の説明は十一月から入院だったというふうに私お聞きしていたんですが、今違う答弁が出てきていて、その経緯については若干疑問に持ちますけれども、二月頭に入院したとしても大変体調の悪い時期だったということは想像できるわけです。そういう中で電話を受けたということであれば、電話を受けたのは横田氏で、横田氏が判断して対処をしたという午前中の前田憲正参考人の答弁にもまた新たな疑惑も持たざるを得ないというふうに思います。
そのことを申し上げて、もう文部科学省、これだけですからお帰りいただいて結構ですけれども。
法案の中身の問題に入る前に、この宮路副大臣の問題、引き続きお尋ねしたいと思います。
十一日の当委員会で、私は宮路副大臣による帝京大学医学部入試の口利き問題を取り上げました。医療行政、医師の養成を担当する省の副大臣が後援者から入試の相談を受けて、総長に口利きをして、受験番号を入試前に大学側に伝えたと。おまけにその大学は、言ってみれば既に昨年から入試に関する疑惑を指摘されていた帝京大学医学部であります。しかも、宮路副大臣は、口利きの依頼を受けた医療法人から五年間で百数十万円の政治献金を受けていた。さらに、今日、先ほど参考人からも、前田憲正氏からもお話がありましたが、宮路氏の政治団体新政策懇話会に対して、帝京大学の冲永荘一総長から九五年から二〇〇〇年まで毎年百万円ずつ、六百万円の献金がされております。口利きを依頼した側からもお金をもらっているし、口利きした側からもお金をもらっていたということなんです。
厚生労働大臣として、現職の副大臣がこのような疑惑にかかわったことをどう考えておられるか、併せて御自身の責任についてもお聞きしたいというふうに思います。
○国務大臣
(坂口力君)
先日、この場所で小池議員の質問に対しまして初めて副大臣がお答えになったわけでありまして、私もそのお話はあのときに初めてお伺いをしたわけでございます。
そのときのお話にもありますように、事務所、地元の後援者の一人から依頼を受けて、そのことを帝京大学の方に電話をしたと、こういうお話であったというふうに思っております。御本人は、そのことは別に裏口入学とは何ら関係のないことだというふうに御本人おっしゃっておりますし、私もそこはそういうことではないというふうに信じたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、厚生労働省という医師の養成をやっていかなければならない、そういう責任のある省でございますので、その省における副大臣でありますから、李下に冠を正さずという言葉もございます、やはりそこは身を潔白にして、そして正確にしていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
○小池晃君
ことわざでごまかそうとするのは、小泉総理もそうなんですけれども、大変私は良くないと思います。
李下に冠を正さずというのはどういうことかといえば、これは、君子は災いの起こらぬよう未然のうちに防がなければならないし、嫌疑を受けるようなことは、そういう状況に自分の身を置いてはならぬということですよ。
宮路さんはどうですか。自分のやったことすべて国会で認めたんですよ。そして、往々にしてあるんだというふうに開き直ったわけじゃないですか。これ全く当てはまらないですよ、このことわざは、彼の場合は。それで、鹿児島男児らしく潔く辞めるということを言ったわけで、反省も全くしていないわけですから、この李下に冠を正さずなんていうことでごまかされる問題では私はないと。
私、これは現職の厚生労働副大臣がかかわっていた疑惑であり、厚生労働省全体の問題ではないかというふうに思っております。その点でお伺いしたいんですが、厚生労働省の各部門が帝京グループに対してどのような権限を持っていたのか、このことをちょっと議論をさせていただきたい。
医政局と社会・援護局でそれぞれ帝京大学グループの各法人及び法人所属の各種施設への許認可、指定の状況について教えていただきたい。それから、過去、最近五年間の補助金交付の状況についても明らかにしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○政府参考人
(篠崎英夫君)
私の方から、学校法人帝京大学、そしてその関連法人に関する医療関係職種の養成施設の指定状況につきましては、七学校十二課程が厚生労働大臣による指定を受けております。
また、平成九年から十三年の五年間にこれらの各施設に対して交付されました国庫補助金は、災害拠点病院の施設・設備整備費ですとか、救命救急センターの設備整備・運営費、それから医師臨床研修に係る運営費、それから理学療法士など養成施設の施設・設備整備費、そして看護師養成所や病院内の保育所に対する運営費などでございまして、総額で約十四億五千万円となっております。
○政府参考
人(真野章君)
学校法人帝京大学及びその関連法人の関連いたします介護福祉士養成施設でございますが、昭和六十三年以降、現在までに一都二県におきまして四施設四課程が指定されております。これへの国庫補助金はございません。
それからさらに、知的障害者福祉法に基づきまして、知的障害者更生施設中野学園というのがございますが、これに入所委託している方に係ります過去五年間の措置費といたしまして、年度平均で約二億三千万円弱が毎年支給されております。
○小池晃君
このほか、健康局で栄養士養成施設の指定が一件あります。それから、労働基準局で財団法人の設立許可が一件ある。その法人に旧労働省から二名天下りをしている。それから、雇用均等・児童家庭局で保育士養成施設の指定が二件あります。それから、老健局で帝京大学グループが運営する介護老人保健施設、訪問看護事業所、特別養護老人ホームが四か所、これだけの許認可事項を持っている。
大臣、お聞きになったとおり、帝京大学附属病院についての特定機能病院の指定を始めとして、もう本当に厚生労働省の、旧厚生省ほとんどと言っていいぐらい各局にまたがる許認可事項を有している。そして、五年間で十四億五千万円もの補助金、それから障害者施設への措置費が毎年二億、大体五年間で十一億三千万円ぐらいになると。これ地方分を合わせると合計三十五億円を超える税金が支出をされているところです。
私は、帝京大学に対する直接の監督官庁、これ文部科学省ですが、厚生労働省も、そしてもちろん宮路副大臣も、帝京グループに対して各分野にまたがる大きな権限を持っていたことは間違いない。政と官の在り方が問われている中で、この口利きの見返りで行政がゆがめられていた可能性がある重大問題だと。私は、厚生労働省としても徹底的にこれ、全容を解明する責任があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣
(坂口力君)
今多くの施設が挙げられましたが、厚生労働省がかかわっております、かかわっておりますと申しますか、許認可のありますその施設が一体現在どうなっているのか、そこで何か悪質なことが行われているのかどうか、そうしたことにつきまして私は今つまびらかに知りませんけれども、もしそういうことがあるとするならばこれは調べなければならないというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、これは帝京大学という大学全体の問題が問われているわけでございますから、そこは文部省とよく話をいたしまして、そして我々としてやらなければならないことはやはりやっていかないと、これだけの研究費なりその他のものが出ているわけでありますから、それはそういうふうにしなければならないというふうに思っております。
○小池晃君
私は、それらの施設に問題があると言っているわけじゃないんです。宮路副大臣の持っていた権限は極めて大きかったんだと。帝京大学というと文部科学省という、そういう連想はありますけれども、帝京大学と厚生労働省との関係というのは、これだけの、合計三十五億円を超える税金が入るようなそういう関係だったんだと。その副大臣がこの入試にかかわり、総長に依頼をしたということの意味を考えるべきだと申し上げているんです。
そもそも、副大臣の行為は公正たるべき大学入試に不正の疑惑を招くものにほかならない、これははっきりしていると思います。先ほど大臣も、裏口入試でないんだと、私もそう思いたいというふうにおっしゃいましたが、これは私はおかしいと思うんですね。だってね、受験日の前に物すごい大きな権限を持っている厚生労働副大臣が特定の受験生の受験番号を大学に知らせるそのこと自体が、これはこの受験生に特別の取り計らいを頼むということにほかならないと。これだけの権限を持っている副大臣が言ったわけですから、帝京大学側としては、これは特別な受験生だというふうに思わざるを得ないじゃないですか。そのこと自体が不正だと言っているんです。
宮路氏は、十一日の委員会で、このようなことは往々にしてあると大臣の横ではっきりおっしゃいました。往々にしてやっていると。もしこんな発言をそのままにしておいたら、大学医学部入試の不正をそのまま見逃すことになるじゃないですか。
宮路さんは副大臣辞任に当たって厚労省に大臣をお訪ねになっています。もちろん、大臣はそのときに、往々にして行われるとあなたは言った、どういう実態なんだと、その実態について問いただしたんですね。いかがでしょう。
○国務大臣
(坂口力君)
宮路副大臣が私のところにお見えをいただきましたときには、既に副大臣として辞任をするという決意を固めて、そのことを私のところにお伝えになったわけでありまして、それを私がお聞きをしたということでございます。
○小池晃君
そんなんじゃ国民は納得できませんよ。辞めるで済む話ですか。鹿児島男児らしくと言っているんですよ。こんなの何にもなりませんよ。大臣、こういうことが言われているんですから、国会という公の場で往々にしてあると言ったんですから、それを問いただすのは、私は最低限の責任だと思いますよ。あのね、入試の前に政治家が取り計らいを頼むということは、これは非常に重大だと。
大臣にお尋ねしますけれども、これを大臣は不正だと思わないんですか。受験番号を相手に教えるという行為そのものが私は不正だというふうに思いますが、大臣はそう思わないんですか。そして、こんなことが往々にして行われていたとしても問題はないというのが大臣のお立場なんですか。
○国務大臣
(坂口力君)
ですから、好ましいことではなかったというふうに私は言っているわけでありまして、決して好ましいことだと言っているわけではありません。
○小池晃君
そんな好ましい好ましくないというレベルの問題じゃないんですよ。これは日本の医療にとって重大な問題なんですよ。そういう認識を持たないといけない。
医学部や医科大学の入試で政治家の口利きとかこういう不正な寄附金が往々にしてまかり通っているとしたらば、これはどうなるか。これ、不正な手段を使っても医学部に入る、そして医者になろうとする、こういうことを認めることになるわけです。日本の医療、医師の世界のその入口から深刻なゆがみが持ち込まれることになるんです。大臣は、抜本改革の柱は医師の質の向上だと、医療の質の向上だというふうにおっしゃった以上、なおさらこのことはお分かりだろうと私は思うんです。こういうことが往々にして行われているということであれば、これは極めて重大であると。
大臣は何も問いたださなかったというのは、私は重大だと思いますよ。辞めたからと言ってきたというのは、来たから聞かなかったと、そんなの言い訳になりません。宮路さん、あなた、そんなことが往々にして行われていると言うんだったら全部明らかにしてくださいと、これ、宮路さんに問いただすのはあなたの最低限の責任ですよ。そんなこともせずに辞任を認めたなんというのは私は納得できない。何でそんなことで辞任を認めたんですか。問いただすべきだったんじゃないですか。(「大臣の責任も重大だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長
(阿部正俊君)
不規則発言はやめてください。
○国務大臣
(坂口力君)
お辞めになるということでお見えになったわけでありますから、それは自分の今までのことに対しましてやはり反省すべき点があったからそういうふうに心を決めてお見えになったんですから、それに対して私は、それをやむを得ません、許可をしますということになったわけであります。
○小池晃君
副大臣は辞めたときにこう言っているんですよ、鹿児島男児らしく潔く身を引くのがベストの選択だと、健康保険法案を成立させるために自分は辞めたと。この言葉のどこに反省があるんですか。一かけらも反省ないじゃないですか。
しかも、大臣、もし反省していたとしても、それだけで済む話じゃないんですよ。この実態について坂口厚生労働大臣は、厚生労働大臣としてあなたに明らかにする責任があるんです。だって、現職の副大臣が往々にしてやっていると言ったんですから。だったら、往々にしてやっているんだったら、まあ幾つか知っているわけだから、そのことについては、これはただすべきですよ。それもしないで何で辞任を認めたんですか。あなたは副大臣の任命を内閣に申し出た責任もあるんですから、この往々にして行われている実態の報告を求めて徹底調査をする、これがあなたの最低限の責任だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣
(坂口力君)
任命権者は総理ですから。
私は、副大臣に対しまして、副大臣は本当は私のところに、辞めます、辞めないということは、それは礼儀上お見えになったというふうに思っておりますが、それはお越しをいただきました。お見えいただきましたから、私はそのことに対して認めたわけでありまして、そのことが別に悪いことでもないし、お辞めになるというそのときに、またさかのぼってどういうことですかと、そういう世間で言われているというのは一体どんなことですかと、そんなことを聞くわけがないので、そのときはそのときで明らかにして、それはお見えになった副大臣に対しましてきちっとそのときに言い渡すということが私に与えられた責務だというふうに思います。
○小池晃君
世間で言われていることじゃないんです。宮路さんが言ったことなんです。宮路さん御本人が国会の場で、議事録に残る形で往々にして行われていると言ったわけです。そのことを一番よく御存じの宮路さんに問いただす、なぜこれをしないんですか。これは当然やるべきことじゃないですか。大臣、答えてくださいよ。
○委員長
(阿部正俊君)
大臣、いかがですか。
○国務大臣
(坂口力君)
だから、先ほどから何度か言っておりますように、それは本人がもう辞めるという決意をされたわけでありますから、それ以上の決意はないわけであります。だから、往々にしてというのは、それは世間一般 のこととしてあれは言われたのであって、御本人が往々にしてやっておるということを言われたわけではなかったというふうに、私はそばで聞いておりましたけれども、そういうふうに感じました。
○小池晃君
世間の人はそんなことが往々にしてやられているなんて、だれも知りませんよ。だからこそ、これだけ重大なニュースになって、あれほどテレビで何度も何度もやられたんじゃないですか。こんなことが往々にして行われているのかと、国民は驚いているんですよ。
それで、大臣、辞任を認めたからいいということは、じゃ、往々にして行われていると言ったことを問いただす必要もない、明らかにしなくてもいいという立場じゃないですか。そういうことでいいんですね、じゃ。
○国務大臣
(坂口力君)
ですから、一連のここの場におきます副大臣の発言を聞いておりまして、そして御本人が決断をされたことでありますしいたしますから、それは私もお受けをした方がいいと、こう判断をしたということでございます。
○小池晃君
だから、大臣は辞めればいいと、往々にして行われているという実態について問いただす必要はないというふうに判断されたということは、一番よく知っている副大臣に聞かなくていいということは、この問題についてこれ以上解明する必要は大臣としてはないと判断されたということですかと私はお聞きをしているんです。
○国務大臣
(坂口力君)
その往々にしてというのは、取り方はいろいろ、あなたのような取り方をする人もありますけれども、それは世間一般 の問題として副大臣は言われたというふうに思っております。だから......(発言する者あり)ちょっとやかましいよ、ちょっと静かにしてください。
○委員長
(阿部正俊君)
不規則発言やめてください。
○国務大臣
(坂口力君)
そういう、御本人が辞めるというふうに決意をしてお見えになったんですから、人間ね、辞めるという決意をするということは大変なことですよ。だから、その決意をしてお見えになった以上、それに対して許可をするというのは当然のことじゃないですか。
○小池晃君
大臣ね、宮路さんはこう答弁しているんですよ。就職試験、私どもも、「通 常も就職試験やあるいは入学試験についても、そういったことを国会議員にはいろんな方がいろいろ言ってまいりますよ。ですから、そういうことを、事前に受験番号もじゃ教えてください、じゃ連絡しましょうというようなことでやっていることは、しょっちゅうというわけでもないわけでありますが、これは往々にしてあるところでありまして、」と言っているんですよ。
世間じゃないんですよ。宮路さんそのものがこういったことをしょっちゅう頼まれていると、それに対して教えるということはしょっちゅうやっていますと、そういうふうに答弁しているんですから、これについて、じゃ実態としてどうなんだと、あなたはどうだったのか、あるいはあなたの周りの自民党の議員はどうだったのか、そういう実態があるんだったらすべて説明をして洗いざらい話していってくれ、これがあなたね、この問題に対する厚生労働大臣としての最低限の責任ではないですか。それをやるべきじゃないかというふうに思いますが。
もう一度お聞きしますが、どうですか、もうやる気はないということなんですか。
○国務大臣
(坂口力君)
私は検事じゃないんですから、そこまで私は聞く必要はない。
したがいまして、そういうお申出をされた以上、副大臣がやはりすべてを、やはり責任としてお辞めになると言うんですから、それ以上、私が何を一体聞くんですか。それ以上のことを私は聞く必要はありません。
○小池晃君
もう本当に私あきれました。こういう大臣の下で国民に痛みを押し付ける法案なんというのは本当に審議できないですよ。こんなことに対する解明をする気もないというような大臣の下で審議は本当にできないです。
私、今日午前中の参考人質疑で、前田憲正氏の話もお聞きしました。冲永総長に代わって責任を持って答弁できるということだったんで参考人に同意しましたが、委員長、この問題についての解明は、やはり大臣のお話聞いても、大臣も全く解明する気がないということであれば、宮路和明前厚生労働副大臣をここにお呼びして、やはりこの事実、徹底解明するしかないというふうに思います。
委員長、検討お願いします。
○委員長
(阿部正俊君)
前にも御協議いたしましたけれども、再度、それでは理事会で諮ってみたいと思います。
○小池晃君
残る時間ですね、このやり取り通じても、坂口大臣にはこの問題の解明をする気が全くないということがはっきりしたというふうに思います。政治家が医学部入試を食い物にして私腹を肥やすようなことを放置しておいて、健保改悪で国民に痛みを押し付ける、こんなことはもってのほかであります。しかも、この法案の審議を通 じて明らかになってきたのは、法案そのものが問題だらけだということです。
与党の中でも、自民党の何人かの議員からはこれ疑問が表明されている。参考人質疑でも、与党推薦の日本医師会代表が断固として反対と言っている。
こうした中で、現在、唯一積極的にこれを推進しているのが大臣の所属する公明党であります。十六日の質疑では、公明党の沢議員からこういうふうに発言あったんですね。実はもうこの中で賛成討論といいましょうか、もう私、公明党の私だけのような気がしております、正直に沢議員はおっしゃっていたんですよ。
しかし、公明党にはそんな主張はあるんだろうか。そのことを議論したいと思う。公明党は、選挙のときに国民に約束してきたことと、今、大臣を先頭に推進していることは、私は天と地ほどの違いがあると思います。
そもそも、九八年の参議院選挙のときに、公明党は何と主張していたか。九八年六月六日付けの公明新聞、参議院選挙直前の選挙政策の特集記事、こう言っているんです。大見出しは「公明は高齢社会にこう対応します」。本文はこうあります。「公明は、医療費の新たな負担増には断じて反対です。このため、やはり行政改革や公共事業見直しを断行して税金のムダ遣いをなくし、この財源を活用して、高齢社会に対応した医療制度改革を実現する考えです。」。これ、機関紙だけじゃありませんよ。マスコミでも堂々と主張していた。東京新聞の九八年の七月一日付け、これは「医療保険に関する主要各党の見解」が載っている。九七年の医療費の負担増についての質問に対して、公明の回答は「患者負担引き上げは、」「時間稼ぎの弱い者いじめ」。
坂口大臣、これ伺いたいんですが、九八年の参議院選挙のときには、御党は、医療費の負担増反対の立場は極めて明確だった。もうはっきりしている。もう我々、これ読んでも賛成したくなるぐらいだ。もうはっきり明確に反対と言っている。しかし、政権に着いたら一転して負担増を推し進める。これを公約違反と言わずして何を公約違反と言うんでしょうか。
○国務大臣
(坂口力君)
それは状態の変化、それはすべての状況が変化をしたということです。だから、そして今我々がやっている連立政権は、これは連立政権ですから、連立政権の政策と、そして固有の党の政策とはそれは当然の違いはありますよ。それは今までのなにだって全部そうだったんです。それはやむを得ないところはあるというふうに思いますが、それだけではなくて、やはり全体の、経済状況だけではなくて、少子高齢化の大きな急激な変化等々、これは大きな変化を来している。変化に対応していくというのは政党にとりまして、あるいはまた政治家にとりまして非常に大事なことだと私は思っております。
○小池晃君
変化って、九八年から何が一体変化したんですか。九八年から急に高齢者が増えたんですか。そんなことないでしょう。九八年から景気悪かったじゃないですか。ずっと景気悪かったんですよ、九八年から。既に景気は悪化していた。今と変わらないんですよ、そういう状況。
しかも、九八年だけじゃないんです。九八年の選挙の三年後、去年の参議院選挙でも、全国保険医団体連合会のアンケートに答えて、三割負担には反対としていたんです。これはアンケートには賛成、反対、その他という欄があるんですよ。わざわざ反対に丸していたわけですから、これは意思は明確だと。大臣、九八年から変わったと言うけれども、二〇〇一年から見ても三割負担には反対と言っていた、国民に向かってはそう言っていた。しかし、わずか数か月で正に百八十度態度を変えた。これを公約違反と言わずして何を公約違反と言うんですか。
○国務大臣
(坂口力君)
それはそれぞれの立場があるわけでありますから、私は、それは大臣は大臣としての立場で事を進めているわけでありまして、大臣としての立場で事を進めます以上、今まで党としてやってきたことと違うことをやらなければならないこともある、それは当然のことだと私は思います。
○小池晃君
いや、それもごまかしですよ。これは参議院の予算委員会で私が聞いたときも大臣はそういうふうに言いました。「党は党であります。厚生労働大臣は厚生労働大臣としての立場があります。」とそのときおっしゃいました。そのときは確かに法案出ていませんでしたからそういう言い方も通 用したかもしれません。
このとき大臣は、現在出ておりますものは一つの試案であって、これから与党内でいろいろの御意見をいただいて、最終的に今年の、去年のですね、十一月の末から十二月の初めに本当の案を作るということでありますから、これからでございますと言ったんです、そのときは。
しかし、その後、公明党も加わって、与党案として正真正銘の三割負担の案が出たわけですから、党の立場も大臣の立場も今は一緒じゃないですか。すっきり負担増推進ということになったわけじゃないですか。
だとすれば、党としても明確な公約違反ということになった。これは大臣、逃れようがないと思いますよ。はっきり答えてください。
○国務大臣
(坂口力君)
ですから、先ほどから申し上げておりますように、一つの政党としての意見と、それから連立政権の意見というのとはそれは違う、違わざるを得ないことがあるということを申し上げているわけです。
ですから、私は公明党なら公明党の意見はあるいは違ったかもしれない。しかし、私は厚生労働大臣というふうにそこの位置に着かせていただく以上、国全体のことを見てやっていかなければならないわけでありますし、また、将来のことを考えてやっていかなければなりません。その将来のことを考えてやりました場合に選択肢はこれしかないということになれば、当然、そういうことになると私は思っております。
○小池晃君
与党になったときこそ選挙のときの公約が問われるんですよ。選挙のときに約束したことを、政権に入ったら変わりますということであれば、一体有権者は何を基準に選挙で投票すればいいんですか。こんなでたらめな話ないですよ。
私、公明党のかつての主張を見ましたけれども、本当に驚くべきであります。例えば、九七年に、当時の小泉厚生大臣が二十一世紀の医療保険制度を発表したときもあなた方の立場は明確でしたよ。これは九七年八月十六日の公明新聞の「主張」、タイトルは「患者負担増はもう限界だ」。九七年が限界だったら、今は一体何なんですか。
反対理由も明確であります。九七年八月十八日付けの公明新聞の「党員講座」、ここでは何と言っているか。「お金が今までよりかかるからといって、病院へ行くのを手控えるようになれば、早期治療、早期快癒が可能だったものが重症になるまで放置されてしまうということにもなりかねず、かえって医療費の増大を招くことにもなりかねません。」、正に正論ですよ。そして、こう書いてあります。「何でも、国民に負担を押し付けて一件落着という自社さ政権は、国民にとってこの上ない不幸な政権というほかありません。」。だとすれば、今の自公保政権も国民にとってこの上のない不幸な政権と言うほかないというふうに思います。
さらに、そのときに公明党は負担増を取りやめるための財源までしっかり示しておられました。これ、九八年の参議院選挙のときの全国に配られた公明党の法定ビラであります。大見出しは「こんなにあった税金のムダづかい」。「公共事業の見直しで七兆円」など、「徹底したムダ削減で年間十兆円程度の財源確保は十分に可能です」、そしてこの財源を「景気回復に使います」、「医療の負担増に反対します」と、もうはっきり書いてあるんです。これ忘れたというふうには言わせませんよ。
しかも重大なことは、今のこの審議の中で、国会の審議の中で、与党の中でも公明党が医療改悪、これ推進、一番熱心にやっている。唯一の積極推進派に今はなっている。選挙では全く正反対のことを国民に主張しておきながら、国会で、国民の前であなたたちはこんな態度を取って恥ずかしくないんですか。
○委員長
(阿部正俊君)
小池さんに申し上げます。もう少し法案の中身そのものを御議論いただくようにお願いいたします。
○小池晃君 法案の中身そのものでしょう。
○国務大臣
(坂口力君)
何度か先ほどから申し上げておりますように、やはり政党には政党としての当然のことながら意見はあります。その政党が一党で天下を取れば、それはその政党が言ってまいりましたとおりの政策は実現はできるでしょう。しかし、連立政権になれば連立政権としてのやはり政策がそこに形成されるわけであります。
私は、そのことだけを言っているわけではございませんで、やはり大きな最近のこの動向は変化を来している。過去の、その九七年、九八年に比較をいたしましても、最近のこの少子化の動向を見ましても、経済の動向を見ましても、将来におきます大きな変化、将来のこの状況で医療保険が進んでいきますならばどういう状況になるかということの見通しも大きく私は変化をしてきていると思っております。そうした変化に対応をしていくということは、やはり政治家としてやらねばならないことであるというふうに思っております。
たとえ過去にそういうふうなことを言ったことがあったとしても、やはりその時代に対応をしていかなければならないということであろうというふうに思います。
○小池晃君
過去に一回二回言ったんじゃないんですよ。日本国じゅうにそういうチラシをあなた方はお配りになったんですよ。それで選挙を、公明党を支持してくださいとやったわけじゃないですか。
私、坂口大臣に読んで聞かせたい文章がございます。これまた九七年八月九日付けの公明新聞の「主張」であります。このタイトルは「公約実現してこそ公明議員」。「公明議員は公約を実現してこそ公明議員たり得る。中央政界、地方政界を問わず平然と公約違反を行う口舌の徒が横行し、政治不信、政治家不信の増大がいわれる中で、議員を見つめる住民のまなざしはかつてなく厳しいものがあるが、その中にあって、住民の声に耳を傾け、しっかりした政策を出し、その政策を必ず実行する、という公明議員の闘いこそが住民の信頼を取り戻し根源から政治を蘇生させる道であると確信したい。」と、ここまでおっしゃっていたんですよ。
私、ごまかすことは許されない。九八年から経済情勢だって、あのときだって大きな銀行がつぶれたり証券会社がつぶれたりしていたんですよ。高齢化というのは一定の進展をしているわけです、ずっと。そういう中で、連立与党に入った。その中で、若干それは細かい問題で修正されるということは、それはあるでしょう、政党間の折衝の中で。しかし、負担増賛成と、負担増反対と、これは全く百八十度違うじゃないですか。こういうふうに公約を切り替えたということは、正に大臣、ここに、公明新聞の「主張」に書かれているように、国民の政治不信、政党不信を増大させるものにほかならないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣
(坂口力君)
何度か同じことを言わされますが、それは、連立政権の中でやるということは、それは別 のそこに政策が生まれるということであります。そしてまた、先ほどから言っておりますように、将来の医療保険というものを見ました場合に、将来の医療保険は、現状のままではこれは成り立っていかないことは事実でございます。
現在、国民の皆さん方に多少の負担をお願いをするといたしましても、そのことによって現在の医療保険制度を堅持をしていく、守っていく、そしてそのことによって多くの国民の皆さん方に将来も安心をしてもらえるようにしていく、このことは大変大事なことだというふうに私は思っております。そういう、現在を見るか、将来を見るかという見方もあるわけでありますから、お願いすべきところはお願いをし、そして将来に向けての政策をここに提出をしたということでありますから、私個人がやはり前に言っておりましたことと現在変わったということがあったといたしましても、それはそういう考え方の下に私は変わったわけでありますから、そこは御理解をいただきたいと思っております。
○小池晃君
全く理解できません。一・五兆円の負担が、何でこれが軽い負担なんですか。大変な負担ですよ。将来を見てとおっしゃるけれども、公明党は、以前おっしゃっていたように、財源の組替えをすればこんな負担増をしなくて済むというふうに言っていたわけじゃないですか。これをやればいいんですよ。これをやれば将来に向けて医療保険の制度だって安定したものにできるというふうにかつては皆さんも主張されていたと。連立政権に入ったら変わるんだとおっしゃるけれども、だとすれば国民は一体何を信じたらいいのか。この政党に、公明党という政党に投票しても、政権に入ったら全く違うことをやるのかということになれば、これは国民は選挙で何も選び得なくなってしまうと。
これは九八年の参議院選挙であなた方が有権者に約束したことであります。公明新聞号外、九八年六月二十二日付け、「公明だからできます!
ムダをなくして国民還元」、「医療の負担増に反対します」。
○委員長
(阿部正俊君)
小池君に申し上げます。法案の内容について御議論いただくようにお願い申し上げます。
○小池晃君
「昨年の医療費引き上げに続いて、さらに患者に負担増を押し付ける医療保険制度の「改悪」には断じて反対です。」と。
それから、これは選挙公報です。東京都の選挙公報で、当時の公明代表の浜四津敏子氏はこう言っています。「はまよつ敏子は税金のムダづかいをなくし国民に還元します 医療の負担増に反対します」と。
これを見て、ああ公明党は頑張って医療費の負担増を阻止してくれるんだなというふうに思って投票した国民は私は少なくないと思います。そういう中でいったん投じた票というのは取り返せないんですから、このことの責任は私は極めて重大だというふうに思います。
今回の議論を通じて、今回の健康保険法の改悪案は、これは国民の健康も破壊するし、景気も破壊するものであると、本当に最悪の法案だということが明らかになってきたと思います。参考人質疑では、与党推薦の参考人からも断固たる反対という言葉があった。自民党議員からも疑問の声が上がっている。しかも、宮路口利き疑惑の真相はやみの中だと。その上、野党が要求している中央公聴会もいまだに答えは出ていない。
委員長に再度要求したいと思いますが、これはやはり国民の声を聞く場として中央公聴会の開会をすべきだということを申し上げたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
○委員長
(阿部正俊君)
理事会で再度協議いたします。
○小池晃君
私は、こんな審議で、こんな不十分な審議でこれだけの痛みを押し付ける法案を強行するなどということは断じて許されないと。しかも、国会の中で唯一の法案積極推進派は公約違反の政党だと、こんな法案は廃案にするほかないということを申し上げて、私の質問を終わります。(発言する者あり)
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