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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

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154-参
2002年7月16日 厚生労働委員会速記録

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。

 今日お聞きして、六名の方のうち四名が疑問の余地なく反対ということをおっしゃったことを大変心強く思いますし、この声を無視して強引なやり方をすることは許されないと、もう今日の参考人でかなり決着がついたのかなと、そんな思いがいたします。とりわけ、与党推薦で来られた櫻井参考人が法案に断固として反対と明言されたことは心から歓迎をしたいというふうに思います。

 そこで、お聞きしたいんですが、公費負担を増やすべきだとおっしゃったその中身なんですけれども、銀行の問題も言われましたが、私たち、日本の歳出構造がやはり大きく見ると公共事業偏重なんではないか、国と地方を合わせて公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円と言われていますが、これはやっぱりヨーロッパとは逆なんではないかと。長い目で見れば、この日本の歳出構造にメスを入れていくことなしに日本の社会保障を再生していく道はないのではないかというふうに考えているんですが、その点いかがでしょうか。

○参考人(櫻井秀也君) 何かお褒めをいただいたようで恐縮しておりますけれども、正直申し上げて、小池先生と私は意見が全く同じというわけにはいきませんが、一部同じ部分があるということは認めざるを得ませんので大変結構だと思います。むしろ公共事業費の問題も我々もそういう主張を、大変小池先生に近い主張もしております。

 むしろ、でも、もっと積極的な意味で、先ほど申し上げましたように、現在において、特にお年寄りの方とかを含めて、国民に安心とか安全を保障してあげた方が経済が活性化するんだよということを言いたいわけで、今は何かむしろ脅迫して、なるべくもう何か静かにして、じっとして我慢してろということで、よく言われるような、国民が持っている財産、何か千四百兆とか、数字は私、間違っているかもしれぬけれども、たくさんあるお金はみんな使われないでどこかへしまい込まれちゃっているわけですから、それをみんなが安心して使えるような社会を作れば、その方が日本の経済もますます伸びていくんじゃないかということを申し上げたいということで、今のお答えにさせていただきたいと思います。

○小池晃君 私の方は、おっしゃるとおりだというふうにお聞きいたしました。

 ちょっと続けてお伺いしたいんですが、診療報酬の問題です。これは坂内参考人にも併せてお伺いしたいんですが、この診療報酬の問題はやはり健康保険法改正とセットの問題だと私ども思うんです。初めてのマイナス改定で大変な影響が出ております。中身を見ると、医学的根拠が全くないのではないかと思われる部分も多々あります。この点について、櫻井参考人は再改定すべきだというふうにお考えなのか、そのことをお伺いしたいと思います。

 それから、坂内参考人には、この診療報酬のマイナス改定が勤務体制や医療の安全性という点で医療労働者にどういう悪影響を及ぼすことになるか、この点についてお話し願いたいと思います。

○委員長(阿部正俊君) それじゃ、先に櫻井参考人。

○参考人(櫻井秀也君) 診療報酬の改定の問題については我々も非常に問題があるというふうに認識しておるんですが、今日は健康保険法等の改正案についてという意見を述べろということだったので全く触れないでまいりましたが、今、小池先生から関連があるというお話で質問されましたから。

 正にそれは関連があることで、診療報酬改定の内容についても、一つ大本的にはマイナス改定、これも御指摘のように、ある意味では歴史的に初めてのマイナス改定をのんだということについては、非常にそのこと自体がもう既に問題なんですけれども、それをどのように配分するかということが診療報酬改定の内容になっていますので、そこに配分ミスがあったとすれば再改定をすべきだと思うんです。

 これは、いろんな数字がこれから、実際どうなったかが出てまいりますし、それからもちろん、おっしゃるように、理論的に、例えば手術の基準の問題とか、全く科学的根拠のないままに導入されたような部分は、その数字が出るまでもなく反対、反対というか改定をするべきだと考えているということで、その辺もまた小池先生と同じで大変よろしいかと思っております。

○委員長(阿部正俊君) それじゃ、次に坂内参考人。

○参考人(坂内三夫君) ありがとうございます。

 最近、大学病院、国立病院、自治体立病院、それから民間病院を問わず、非常に重大な医療事故といいますか、医療ミスが発生をしております。私は、これは医療労働者の労働条件がどうあろうが、あるいは診療報酬体系がどうあろうが、決してあってはならないことであって、やはり医療経営者やそこの医療の労働組合や行政の関係者や患者団体などが協力し合って、医療ミス防止のための万全の対策を早急に確立しなければならないということを第一に思っております。

 同時に、患者にとって安全、安心の医療をどう提供するのかというのは診療報酬体系と深くかかわっているという考え方も持っております。診療報酬が担保すべき医療労働者、医療従事者の人員配置、要員配置や労働条件が日本の医療や看護水準、医療ミスに非常に深くかかわっているんだということを是非強調させていただきたいと思うんです。

 日本の病院の数というのは欧米に比べてもそう遜色はない、むしろ多いと思います。日本の場合、人口一千人当たりの日本のベッド数は十三・一床ぐらいになるかと思うんですが、これはドイツが九・三、フランスが八・五、イギリスが四・二、アメリカが三・七ぐらいですから、病院の数、ベッドの数はそれなりに満足されていると思うんですが、ところがベッド数百床当たりのドクターの数、医者の数は、ドイツは三十七・六人、フランスは三十五・二人、イギリスは四十・七人、アメリカは七十一・六人配置をされていますけれども、日本の統計で見ますと、これは百床当たり十二・五人というのが医師の配置人員であります。

 看護職員の数も同じようでありまして、ベッド百床当たりの数は、日本は四十三・五人でありますが、アメリカにいきますとこれは二百二十一人、百ベッド当たり看護婦が配置をされているという状況がございます。

 医療提供体制の仕組みが違うという問題はあるにしろ、医者や看護師の数が欧米の三分の一、四分の一という数は余りにも少な過ぎるということ、患者さんの病気というのは朝も昼も夜もありませんから、医療従事者の場合にはこれを三交代で看護したり治療に当たるわけですから、実際、八時間労働、一日三交代というふうに考えるとすれば非常にやっぱり医師や看護師の配置人員が少ないということが言われると思います。

 同時に、医療というのは、これは労働集約型産業でありまして、病院経営などの五〇%は人件費に充てざるを得ないという宿命を持っております。したがって、診療報酬が引き下がるとか抑えられるということは、当然ながら一番最初に削減の対象となるのは医療従事者の数でありまして、診療報酬が低く抑えられるということは患者の安全や安心にとっても重大な影響を与えるものだというふうに私は考えております。

○小池晃君 最後に、草野参考人と坂内参考人にお伺いしたいんですが、老人医療費の国庫負担が四五%から三〇%台に削減をされた、その分が患者負担あるいは拠出金という形で補われてきている。それから同時に、退職者医療の拠出金もかなり急増していて、一九九七年から五年間で四〇%増えております。

 こういうふうに、国庫負担を減らしながら現役の労働者に押し付けていく、負担させていくやり方についてどのようにお考えか、最後にお伺いしたいと思います。

○参考人(草野忠義君) 先ほど申し上げましたように、老人医療に対するやっぱり拠出というものが今の組合健保を含めまして大変な負担になっているということはもう否めない事実だろうというふうに思っております。したがいまして、私ども、過去の経過におきましても、この拠出金の引上げについては労働組合として反対をしてきた経緯がございますが、結果としては今のような状況になっている。

 そこで、連合といたしましては、新たな高齢者医療の制度を作るべきだという主張に立っております。時間もありませんので詳しくは資料もありますからお届けをしたいと思いますが、基本的には私どもは突き抜け型という方式をやるべきである、すなわち被用者としては、その被用者 OB も含めたところで全体を通じた高齢者の医療システムを作る、これが今最もリーズナブルであり、負担の公平さにもつながっていくんではないかと、こういうふうに思っております。

○参考人(坂内三夫君) 私は、医療保険制度、保険制度である限り、これは医師会の櫻井委員も申し上げましたが、いわゆる被保険者負担と国庫負担と患者負担というこの三つの土台から成り立っているという仕組みそのものに合理性があるということは認めたいと思います。さらに、老人医療や退職者医療を現役労働者の健康保険料を含む保険全体の制度として支えていこうということをあえて否定するものではありません。

 しかし一方で、私、何度も申し上げましたが、老人保健法が制定されたのがたしか一九八三年だと思いますが、この当時、老人医療費に対する国庫負担の支出、国庫負担率というのは、四四・九%で当初発足をしたのが、これが昨年、二〇〇一年には三一・五%、一三・四%国庫負担が減っているという問題、これを国の在り方の問題として、先ほど西田さんもおっしゃいましたけれども、戦後の日本経済の成長を支え、日本社会を支えてきた高齢者に対する物の見方の問題、国の在り方の問題としてどう考えるのかということが非常に大きいと思います。削減された一三・四%というのは金額にすると一兆四千億円ぐらいに当たるわけで、やっぱりこれは直ちに国庫負担を復元すべきだということを強く主張したいと思います。

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