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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

154-参-厚生労働委員会・障害者雇用促進法案審議(速記録)

2002年04月23日

○小池晃君 最初に、精神障害者を法定雇用率に算入することの意義についてお伺いしたいと思います。
 この意義、私なりに考えてみますと、これは身体障害者の雇用努力に始まって、その後義務化をされたわけであります。続いて、知的障害者の実雇用率算入が図られて義務化に進んできたと。これらは本当に一歩一歩障害者の社会参加が前進してきた表れだと思うんです。やはり、権利保障の面からも、精神障害者だけその例外にするということは私はこれはあってはならないし、権利保障の側面からこれは重要だということがあると思います。
 それから二番目に、やはり現実に精神障害者を雇用している事業主が存在しているわけです。そういった方は調整金や報奨費の対象にもならないという困難な中でやっている。そういう点からいえば、他の障害と均衡を欠くことは改善する必要があるんではないか。
 それから三つ目には、何よりもこれ一番大事だと思うんですが、精神障害者に法定雇用率を適用することによって、やはりその雇用が拡大していく可能性があるんだと、それが高いんだと。
 私はこういう精神障害者の法定雇用率の義務化というのはこういう大きな意義を持っているというふうに考えるんですが、大臣にこの意義についてどうお考えになっているか、お伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(坂口力君) 精神障害者を加える意義でございますが、広く一言で言うならば、ノーマライゼーションの思想の中に精神障害者の皆さん方のことも十分にこれはこたえていかないといけない、そういうふうに思っております。
 今、具体的にいろいろのお話をされましたけれども、私も精神障害者の皆さん方につきましてもやはり同じ障害者としてこれから対応をしていくことが望ましいと思っております。

○小池晃君 そもそも理念としてノーマライゼーション、リハビリテーションということから見れば、やはりこれは積極的に支援していくべきと思うんです。
 しかし、今日午前中も議論ありましたが、今回の改正案で精神障害者について雇用の義務化がされなかったこと、失望も広がっているわけですが、政府参考人にお伺いしたいんですが、簡単で結構ですけれども、なぜ今回精神障害者は雇用率の適用をしなかったのでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 雇用率の対象とするためには、雇用支援施策の積極的展開を図りながら、まずは関係者の十分な理解を得るとともに、極めて重要な技術的な問題として精神障害者の実態の把握をきっちりすると、そして対応策を確立するということ、もう一つは障害者本人の意思に反して雇用率制度の対象とされることを防ぐためのプライバシーに配慮した精神障害者の把握・確認方法の確立ということが大きな課題としてございます。この課題を解決することがまず必要なためということになります。

○小池晃君 実態の把握というのは今までもやるべきことでありまして、これはやっていなかったというのは私は怠慢のそしりを免れないと思うんですね。
 それから、そのプライバシーの問題というのは、これはいろいろ議論ありますが、手帳所有者に限定するなどの対応で私はクリアできるというふうに考えるんですが、その点いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 実態把握につきましては、今後ともしっかりやっていきたいと思います。
 それから、雇用率の対象を手帳所有者に限った場合を考えましても、労働者がその旨を事業主に対して明らかにしているとは限らないということで、いわゆる掘り起こしが懸念されること等から、やはり障害者本人の意に反して当該制度の対象とされることを防ぐためのプライバシーに配慮した把握・確認方法の確立が必要だろうと思います。
 したがいまして、精神障害者を雇用義務制度の対象とする方向というのはもう明らかになっておりますので、こうした把握・確認方法の確立等の課題の解決に取り組むこととし、今回の法改正では制度の対象とすることを盛り込んでいないということでございます。

○小池晃君 私は、手帳所有者の問題、意思に反して手帳を取ることを何らかの形で禁止するようなことも検討すれば、これは私は十分に技術的に可能だというふうに思うんですね。これは、最大の患者団体である全国精神障害者家族会連合会、全家連が要望も出しているわけですから、私はこういう最大の患者団体の要望にこたえるというのは行政としての責務であるというふうに思うわけです。
 方向としては適用していくんだという御答弁もございましたけれども、大臣にお伺いしたいんですが、これは例えば九七年、五年前の障害者雇用審議会の意見書でも平成十四年度までに検討を加えるというふうに言ってきたわけでありまして、それが今までも検討でこれからもまた検討だというのでは、これはやはり現場の皆さんは失望されるのは私は当然だというふうに思うんですね。
 方向としてはそういう方向だという局長の御答弁もございましたけれども、是非大臣に、これはやはり一日も早く実現すると、精神障害者についても雇用義務制度の対象とすると、一日も早くそれを実現するんだという方向で是非御検討いただきたいと思うんですが、大臣の御答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 今回のこの法改正におきましても、身体障害者、知的障害者、そしてこの精神障害者と、初めて精神障害者の名前もここにのせたわけでございまして、大枠におきましては、精神障害者の問題をこの障害者の中に列挙したということで、私は大きな一歩を踏み出したというふうに思っております。
 あとは雇用率等の問題をどうするかということが残っているわけでございますから、この雇用率等の問題につきまして、先ほど局長が申しましたような、まだそこを検討しなければならない点が幾つか残っている、そうした点をひとつ雇用をしていただきます皆さん方にも御理解をいただくという時間が必要だというふうに思っておりますので、そこを乗り越えることができればこの問題は解決すると思っている次第でございます。

○小池晃君 そういう方向では道は見えてきているのかなということですが、是非一刻も早くこたえていただきたいというふうに思います。
 残る時間、精神障害者の社会復帰を目的とした現実の施設の問題についてお聞きをしたいんですが、精神障害者の施設としてこういうのがあるんですね。入所、通所の授産施設を備えていまして、一体となった宿泊施設、研修施設がある。通所授産施設で訓練をしながらその宿泊施設で働けると。これ栃木県にあるんですが、ハートピアきつれ川と言います。これ先ほど言った全家連が運営主体となっている施設であります。
 ここでは、精神障害者の社会復帰と社会参加を促進するために、自立訓練だけではなくて、実際に宿泊施設でベッドメーキングとか調理とか配ぜんとか、一般就労に近い形での訓練を行っていると、なかなかよく工夫された仕組みではないかと私思うんですが。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう取組、これ朝日新聞などでも取り上げられておりますけれども、私は精神障害者の社会復帰のために有効なんではないかと考えるんですが、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) この具体的な例としましてハートピアきつれ川というんでしょうか、このことにつきましては、私も、申し訳ないんですが余り詳しく存じておりません。
 したがいまして、これが本当にうまく運用されているのかどうかということを申し上げる自信がなかなかないわけでございますけれども、しかし総論として言えますことは、ただ単に授産施設が造られるというだけではなくて、共同生活が同じにできる、あるいはまたそこで一定の仕事ができて社会復帰がしていけるということがセットになって運営されているということは誠に望ましいことだというふうに思っておる次第でございます。

○小池晃君 このハートピアきつれ川の設立当時に厚生労働省として国庫補助をしていると思うんですが、どのような補助をしたのか、御説明願いたいと思います。

○政府参考人(高原亮治君) ハートピアきつれ川につきましては、精神障害者社会復帰促進センターの活動の拠点としての性格を持つ施設でございます。
 この精神障害者社会復帰促進センターは、平成五年に精神保健法の一部改正に伴い、精神障害者の社会復帰の促進に資するための啓発活動を行うとともに、社会復帰の促進を図るための訓練及び指導に関する研究開発を行う民法法人として法定化されたものでございます。
 厚生労働省におきましては、財団法人全国精神障害者家族会連合会、全家連でございますが、からの申請に基づき、平成六年七月一日付けで同連合会を精神障害者社会復帰促進センターとして指定いたしました。
 その後、同連合会から、精神障害者社会復帰促進センターの活動の拠点とするため、宿泊施設と授産施設が一体となった施設の整備の要望がございまして、厚生労働省といたしましても、その事業の有効性等を認めまして、平成七年度予算におきまして、精神障害者保健福祉施設といたしまして、その施設整備費九億二千二百万円を予算計上し、補助したものでございます。
 なお、授産施設につきましては日本船舶振興会の補助でございます。

○小池晃君 そういう設立当時補助した施設なんですが、今、景気が悪いということもあって経営状況がなかなか厳しいと聞いております。
 現在の収支状況、どうなっているか、お示し願えますでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 直近の状況で申しますと、特に宿泊部門につきましては、収入と収支の間に約年間に六千万円ぐらいの赤字が出ている、それから累計赤字が二億円程度出ているというふうに承知しております。

○小池晃君 非常に大変な赤字が続いて厳しい状況だと。ここは、入所、通所、合わせて大体五十人ぐらいの精神障害者の方が働いている貴重な施設だと思うんですね。私は、先ほどから議論をされてきたような精神障害者の社会復帰という目的から見て、しかも、その設立当時は厚生省、当時厚生省として補助事業にもなっていたということからすれば、国として何らかの継続した支援をすべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 十二年度におきましては、授産施設部門に対しまして運営費としまして八千九百万円、地域生活支援センターに対し運営費として一千六百万円の合計一億五百万円の補助を行っております。宿泊施設部門につきましては、収益事業というふうな考え方もございまして、国庫補助の対象とはなっていないということでございます。

○小池晃君 保養施設の方は福祉施設じゃないんでというふうにおっしゃるんですけれども、これ一体だと思うんですね。やはり、保養施設は授産施設利用者の訓練の場として設置をされていると。これは赤字になるのは私当然だと思うんですね、こんなことでやったら。
 私は、やはりこの施設には、例えば、具体的に言えば、固定資産税が掛かっていますと、これ免税できないかということがあると思うんですよ。例えば、設立時の登録免許税というのは、これは栃木県知事が免税措置を取ったんですね。ですから、国として何らかの措置ができないもんだろうかというふうに考えるんですが、例えばハートピアきつれ川を社会福祉法人に準ずるというような扱いにして固定資産税の、これ総務省に聞いたらば、社会福祉法人と認めれば法律上は可能だという話もありましたので、そういう免税措置を取るなどの検討を私はすべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。

○国務大臣(坂口力君) 先ほど申しましたように、私、この具体的なことを余り知らないので私が申し上げるのどうかと思うんですが、やはりこういう施設は、ここだけではなくて全国いろいろなところがあるだろうというふうに思うんですね。それで、その場所の中で、若干年間の多少の赤字が出るか出ないかというようなところでの運営がされているというのであるならば、私はそれは年によりましてはそういうこともあるだろうというふうに思うんですが、年間六千万もの赤字が出るというのは、ちょっとそういう状況のままで運営をしていくというのは非常に無理ではないかと私は思います。
 税制につきましても、固定資産税の方はこれは地方税でございますから、地方の方でお考えをいただくということになるんだろうというふうに思います。そこを我々が地方税でどうこうということもなかなか言いにくいというふうに思っている次第でございます。

○小池晃君 しかし、これ設立当時の問題もあるんですね。これは、本来出るはずだった企業とか財界からの寄附金が、その当時岡光問題があって、これが入らなくなってしまった。そのときの借入金が約九億円もあるんだと。例えば、二〇〇〇年度の借入金に係る利息だけで約一千二百万円以上の負担になっているんですね。実際は二千二百万円だけれども、栃木県が社会福祉・医療事業団からの借入金に係る利息分を利子補てんしてくれているそうであります。そういう経過もあるわけですよね。
 これはやはり、こういった設立経過からしても、私は、そんなに余り冷たい態度を取るのではなくて、やはり何らかの手を打つべきではないかと。実際に運営している方の話では、固定資産税の免除措置を行うことによってかなり、そのことに希望、強い希望を持っておられるので、せめてそれだけでもやってほしいという強い希望があるので、是非これは前向きに、私、制度上の問題としてはクリアできるんじゃないかと思うんですが、その点いかがなんでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 現在、この赤字問題をめぐりましては、全国精神障害者家族会連合会におかれまして、ハートピアきつれ川在り方検討委員会を設置し、その運営の在り方について検討を行われているというふうに承知しております。私どもといたしましては、この在り方の検討委員会の結論を待って対応を考えてまいりたいと考えております。

○小池晃君 そもそもこのハートピアきつれ川というのは、厚生労働省が全家連に話を持ち掛けた、そういう経過もあって国庫補助も入っていると思うんですね。そうであれば、やはりこういう貴重な精神障害者が働けて社会復帰を促す場を確保し拡充していくということは、私は、知らぬ顔をするんじゃなくて、厚生労働省の重要な役割だと。造ってしまったら後はもう知らないよということではまずいのではないだろうかというふうにも思いますので、保養施設の運営の部分についても、一つの手段として免税の措置なども私、提案をいたしましたけれども、是非検討していただきたいというふうに思います。
 こういう精神障害者の社会復帰を目指す施設というのは、きつれ川だけではなくて、やどかりの里とか麦の郷とか、いろんな先進的な取組もありますけれども、そういったもの全体としてしっかり厚生省として支援していく、その中で、先ほどの最初の話にも戻りたいと思いますけれども、精神障害者の法定雇用率、雇用義務化を図っていくということを進めていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。


※上記4月23日の審議の中で、政府参考人(高原亮治障害保健福祉部長)の答弁に間違いがあったため、4月25日の厚生労働委員会において、以下のように再答弁した。

○政府参考人(高原亮治君) 四月二十三日の本委員会におきまして、小池委員より、全国精神障害者家族会連合会の経営するハートピアきつれ川の保養施設の運営状況に関する御質問がございました。
 その際、私から、年間六千万円程度の赤字が出ており、累積赤字が二億円程度である旨御説明申し上げたところでございますが、年間赤字額は三千万円程度、累積赤字額は一億円程度の誤りでありましたので、謹んで訂正させていただきます。
 なお、同連合会においては検討委員会を設置し、経営改善の方策について検討していくと聞いており、厚生労働省としてもオブザーバーとして参加するとともに、その検討結果を踏まえ適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

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