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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

154-参-通常国会
2002年3月26日 予算委員会・集中審議 速記録

○小池晃君 私は、医療保険制度の改革で負担が大幅に増える、このことに不安と怒りが今広がっております。今日はこの問題に絞ってお聞きをしたいというふうに思います。
 今回の医療改革で老いも若きも大変大幅な負担増がやられようとしていると。今年の十月からは高齢者の負担が引き上げられます。来年の四月からは現役世代の健康保険本人の負担や家族の入院の負担、それから退職者の医療の負担が三割に引き上げよう、これが政府の計画であります。
 こうした負担の引上げがすべて出そろう二〇〇三年度には、患者負担は総額で一体幾ら増加するか、数字をお示しいただきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 平成十五年、二〇〇三年でございますが、今般のこの改正案によります患者負担への影響額は四千三百億円の増加と見込んでおります。

○小池晃君 四千三百億、すごい負担増なんですね。高齢者の負担増で千八百億、健保本人三割にすることで三千六百億、それら合わせて差引きで四千三百億。しかも、この数字は、負担が増えることによって病院に行くことをあきらめる、受診をあきらめる、いわゆる受診抑制の分というのは差し引いたものであります。
 もう一度お聞きしますが、二〇〇三年度、患者負担が増えることが原因となって全体としてどれだけ病院に行かなくなるのか、受診抑制が起こるのか、受診を控えるようになるというふうに厚生労働省として推計をされているか、お示しいただきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) これはなかなかどうなるかということは、これから実際問題に直面しないと本当は分からない問題でございますが、一つの試算、いろいろのことを中心に試算をしたものがございますが、それは五千四百億、医療費としては少なくなると申しますか、低下すると申しますか、そういう試算でございます。

○小池晃君 負担が増えるために五千四百億円分の受診抑制が起こる。つまり、これだけ病院に掛かることをやめてしまうわけですね。そういうふうに見込んでいるわけであります、厚生労働省としては。これだけの医療が全部無駄であるとは私は到底思えない。必要な治療をやめてしまう患者さんだっているだろうと思うんです。深刻な影響が出てくることは明らかではないでしょうか。
 さらに、今度の制度改定では、窓口での医療費の負担が増えるだけではなくて、サラリーマンの健康保険の保険料も増えるわけであります。ボーナスまで保険料を徴収する総報酬制になるわけです。その上、中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険、政管健保、この政管健保では保険料率が引き上げられます。
 二〇〇三年度の政管健保の保険料の負担は今回の改定でどれだけ増えるんでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 平成十五年度、二〇〇三年より保険料率は総報酬ベースで七五%から八二%へ引き上げられる。これは、保険料総額にいきますと五千六百億円の増加となる予定でございます。

○小池晃君
 これは、今までの数字まとめるとどういうことか。窓口での負担、患者負担が四千三百億円増えると。それから、保険料が更に五千六百億円増えると。合わせて九千九百億円、約一兆円の負担増なんです。以上の数字をお聞きいただいて、私、総理にお伺いをしたい。
 九七年に橋本内閣が消費税の増税と併せて健保本人を二割負担に引き上げる大改悪をやりました。これで景気が急激に冷え込んだわけであります。総理はこれはもちろん覚えていらっしゃると思うんですね。総理はそのとき厚生大臣だったわけです。この二割負担を行った当事者だったわけであります。あれから五年、景気は明らかに九七年よりも悪化をしている。しかし、にもかかわらず、この一兆円にも上る負担増、こういったことを強行すれば、私は、正にデフレを加速をする、景気の足をますます引っ張る、こういうことになるのは明らかではないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) デフレの問題は医療費だけではないと思っています。当時は消費税も引き上げました。そういう経済の循環的な問題もかかわってまいりますし、また、財政状況あるいは医療費だけでなくて、全体の税負担問題もかかわってくると思います。
 今回も、医療費を来年四月からサラリーマンの皆さんについては二割から三割に引き上げることになりますが、これは同時に三割引き上げないと保険料をもっと上げなきゃならないという問題も出てまいります。あるいは、医療皆保険制度を維持するためには、じゃ税金をもっと投入しようということになります。
 患者さんの三割負担が適正かどうかという問題はあるのは承知しております。患者さん、病気になったときの患者さんの負担と、病気にならない人も日ごろから負担している若い方々の保険料負担と、それと税金の投入をどの程度にするかというこの組合せしかないわけですから、そういう中で、医療提供体制あるいは診療報酬の在り方、出来高払制度あるいは包括払い制度、どちらがいいか。質ですね。
 この問題は総合的に考えないと、患者の負担が上がるからすべてデフレになる、ほかの負担は軽くなるとは私は取り得ません。もっと総合的な視点が必要ではないでしょうか。

○小池晃君 あなたのやっていることはこれだけじゃないんです。不良債権の処理にしたって、失業者を増やす、中小企業を倒産させる、デフレ促進要因なんです。そういうデフレ促進要因、一杯やっている中で更に医療費まで引き上げるということを私は指摘をしているわけです。あなたは、患者負担を上げなければ保険料上げなきゃいけないと、そんなことをおっしゃいます。私たちは、患者負担を下げて、その代わりに保険料上げろとか税金増やせなんということは言っていないんです。税金の使い方を変えて、医療に対する国庫負担を増やして、そして患者負担も保険料も低く抑えなさいというのが我々の立場です。
 しかし、私、ここでまず議論したいのは、そもそもこの患者負担、バランスを取ってとおっしゃるけれども、今までもこれからも患者さんの負担というのは余りにも引き上げられ過ぎてきたんじゃないか、余りにも尋常ではない状態にあるんじゃないかということなんです。
 私たちの下にこんな声が寄せられています。東京の方ですけれども、本人負担ゼロ、本人負担一割、本人負担二割を経験させていただきました。二割負担で病院へ行くのをためらっているのに、三割では手持ちのお金を見てからとせざるを得ません。また別の方は、保険料にとどまらず、窓口、入院、差額ベッド料の保険外負担が次々重なって増える仕組み、とてもたまりません。弱い者いじめはやめてほしいです。また別の方は、ボーナスも出ないのにこの時世で唯一主人が二割なので、何かあったら病院に行ってと言えるのに、三割になったら主人の体よりも生活費のことを考えてしまう、そんな自分になりたくないですと。
 何でこんな悲鳴が上がっているのか。これは正に九〇年代に医療費の患者負担が激増しているからであります。今日はパネルを持ってまいりました。(図表掲示)
 これは各医療保険別に医療費の一人当たりの一年間の患者負担がどれだけ増えているか示したものであります。これを見ると、政管健保では九〇年には年間一万七千三百七十七円だったのが九九年には二万九千八十五円、一・七倍です。組合健保では一万二千四百六十八円だった負担が二万三千三百十二円、一・九倍であります。そして、老人医療は一万九千九百八円が六万九百四十三円、実に三・一倍になっているわけです。健保も今これを三割にしようとされているわけですけれども、もし三割になれば、老人医療のように三倍を超える、激増することは必至であると。その証拠に、既に三割負担の国民健康保険では年間の患者負担は九九年で四万六千二百四十八円になっている。この九〇年から九九年の間、同じ時期に公共料金はどれだけ上がったか、六・七%です。それと比較しても、医療費の患者負担というのが九〇年代いかに激しく上昇したか、私、これ見ていただけると思うんですね。
 総理、九七年に、この間何があったかというと、総理が九七年に厚生大臣のときに健保本人を二割に引き上げたわけであります。さらに、毎年のように高齢者の負担を引き上げてきたわけです。その結果がここにまざまざとはっきりと現れているんだと思うんです。
 そもそも、いざというとき、病気になったら安い費用で掛かれるようにふだんから保険料を払い込んでおく、これが医療保険の役割です。それなのに、病気になったら、いざとなったらこんなに負担が重い。これは年間平均ですから、もう払っている人はもっと払っているわけですね。大変な人だってもっといるわけです。年間平均で二万円、三万円、六万円、こんな負担が掛かっていると。いざというときこれほど負担が重いのでは、私は、保険制度の意味成さないのではないか。
 総理、あなたはこれでも、この数字を見ても医療費の患者負担をもっと引き上げないといけないと、そういうふうにおっしゃるんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、高齢者がどんどん増える、若い世代がどんどん減っていく、三割負担というのは適正だと思っています。しかも、今医療費は月百万円どころじゃありませんね。月額だけで一千万を超える患者が出てきましたね。これは出来高払制です。それでも、高額、上限がありますから、百万円の三割だったら三十万払えというんじゃない、低所得者には三万五千四百円でいいですよと、百万掛かろうが二百万掛かろうが、上限が設けられております。
 私は、そういう意味において、もしこのままどんどんどんどん医療費が増える、高齢者が増える。若い人、病気にならない人も保険料を負担しなさい、それが嫌だったら共産党は公費を負担しろと。公費を負担しろということは税金投入しろということですよ。来年度でも、医療費だけで八十一兆の一般会計の中で七兆四千億円、税金を投入しているんですよ。防衛費は四兆九千億円です。このまま医療費はもうどの項目よりもどんどんどんどん医療費増える、高齢者増えるから。これを保険料、病気にならない人も保険料を上げなさい、税金を投入しないといったら、どこまで負担しなきゃならないのかということがありますから。
 私は、今まで国保に入っている方は三割負担なんですよ。やっているんですよ。そういうことから考えて、私は三割というのは適正な負担であり、これから医療保険、介護保険制度、どこへ行ってもお医者さん見れる、上限がある、低所得者には格別の配慮をしているということを考えれば、私は、これは医療の提供体制とか診療報酬の在り方も改善していきますけれども、同時に、国民の皆さんに三割程度の負担はお願いしなきゃならない時代に来たのではないかなというふうに思っております。

○小池晃君 三割負担で、国保は三割だと言うけれども、うまくいっているというふうに思っていらっしゃるんですか。中小業者は大変な悲鳴を上げているんですよ。
 そもそも政府はどういう方針を持っていたかというと、八四年に健保本人自己負担導入したときには何と言ったか。厚生省試案は、昭和六十年代後半には給付率八割に統一すると言っていたんです。八七年の国保問題懇談会の報告では、国保は八割にすると言っていたんです。以前は、健保を二割に上げる代わりに国保を三割から二割に下げて制度を統一しようと言っていたんです。それなのに、今度は国保三割だから健保も三割に引き上げよう、こういうやり方を私は御都合主義と言うんだと思いますよ。国保が三割だから健保も三割にするんだというんじゃない。矛盾が、国保で三割、大変なこと起こっているんですから、かつての方針どおりに国保を二割にするということこそ、私、先決だというふうに思います。
 あなた、高齢者が増えるから持続可能にしなくちゃいけないというふうにおっしゃるけれども、もちろん医療保険制度というのは将来にわたって持続可能じゃなきゃいけないと思います。私ももちろんそういうふうに思います。しかし、患者負担を増やすというやり方が何で持続可能になるんですか。むしろ医療保険の財政は悪化するでしょう。制度を持続不可能にするだけじゃないですか。
 だって不況の中で医療費の患者負担を増やせばどうなるか。体の不調があっても病院に行くのを我慢するようになる、我慢すれば病気は悪くなる、病気が悪くなれば医療費というのは増えるんです。結局、医療保険財政は悪化するんです。正に悪循環なんですよ。しかも、もう一つの悪循環が起こるんです。現在の医療保険財政の悪化は、高齢化の影響もありますけれども、景気が悪くなっている、これが大きいんです。保険料収入が減少しているんです。
 例えば、健保組合はリストラの影響で四年間で十五万人も加入者が減っているんです。こういう中で負担を増やせば景気が悪化する、リストラが進む、賃金のカットだと。そうすれば医療保険の保険料収入というのは更に減少する。
 私は、あなたのやり方は保険制度の基盤を掘り崩していくだけだというふうに思うんです。あなたのように負担増でこの危機を乗り切ろうというふうにすれば、私は、かえって医療保険財政は悪化をしてそして持続が不可能になる、どうしてこんなやり方で持続可能な制度だというふうに言えるんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 患者負担の増えるのが負担増と言いますけれども、減ってもそれで保険料負担を上げるか税金をもっと多く投入するか、負担増には変わりないんですよ。しかも、今医療も進歩しています。私は、医療保険制度だけが健康を守ると思っていません。ふだんからの健康づくり、暴飲暴食して医者へ行けばいい、薬飲めばいいという時代じゃない。やっぱり日ごろから正しい健康づくりに励んでもらう、予防が大事だという観念もよく国民に持っていただかなきゃならないと。
 まず、基本的に健康は自分で守るんだと、守れない場合にお医者さんに掛かろう、薬を飲もうと。そういう日ごろの生活習慣もいろいろ改めることによって健康は維持できると。そういう長い目で見た意識の転換も必要でありましょうし、そして日本には世界に冠たるこの国民皆保険制度があります。お医者さんを自由に選べる、替えることができる。これを日本国民は当たり前と思っていますけれども、世界の中でこれほど進んだ国民皆保険制度はそんなにないと言ってもいいぐらい、むしろ外国の専門家も日本の在り方を見習いたいと言ってくるぐらい、私はそんな卑下したものとは思っておりません。
 この国民皆保険制度を多くの国民の支え合いによって維持していくという観点が大事であって、患者負担だけが負担増というわけではない。そうすると、保険料負担と税金投入等も考えなきゃならない。その点を我々はよく考える必要があるんじゃないかと思っております。

○小池晃君 あなたの言っていることには根本的な矛盾があると思います。国民皆保険制度を維持しなきゃいけないと。世界に冠たる国民皆保険制度、何でそれが成り立っているか。いざとなって病気になったとき、安い負担で掛かれるからこそ保険制度が成り立っているんです。
 あなたは予防が大切だとおっしゃいました。それはもちろんそうです。私どももそこに力を入れるべきだと思っています。しかし、やっていることは正に早期発見に逆行することなんですよ、三割負担にするなんということは。
 私、そもそもこの三割もの自己負担を強いている医療制度が世界にあるだろうか調べてみました。そうすると、イギリス、イタリア、カナダ、ギリシャ、スペイン、デンマーク、外来も入院も無料であります。アイルランド、オーストリア、オランダ、ドイツは外来は無料、入院は定額の負担であります。
 何で窓口の負担をこうやって低くしているかといえば、その方が早く受診して、総理がおっしゃるように早期発見、早期治療をする、そうすれば病気が重くならないうちに治療ができる、医療費が安く付く、これが世界の常識じゃないですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) ところが、今例を挙げた国は消費税何%だと思っているんですか。もう二〇%近いんじゃないですか。今、日本の消費税を二〇%実施になったら、もう患者負担なんか恐らく一割でも結構でしょう。その負担している点を見てもらわなきゃ困る。一方的に負担だけの問題じゃない。中身を見てもらわなきゃ困る。

○小池晃君 もうあなたはこの議論をすると必ずそう言うんですよ。消費税、消費税だと言うんです。私は税金の取り方の問題を言っているんじゃないんです。税金の使い方なんです、問題は。税金の取り方の問題にしたがるけれども、その取り方を云々する前に、私は使い方を根本的に見直すべきだと。
 例えば、ヨーロッパと比べるならば、税金の使い方はどう違うか、ちょっとお示ししましょう。国民が支払った税金と社会保険料のうち、一体どれだけが社会保障に使われているか。年金や医療、介護など、社会保障の給付に使われているか。
 九六年のデータで日本は四七・九%、五割切っているんです。ところが、フランス六〇・二%、スウェーデンは六三・三%、ドイツは六六・六%。要するに、払った税金や社会保険料、それがきっちり六割以上社会保障に使われている。日本は五割切っているわけです。ここに違いがあるんです。
 もし日本もヨーロッパ並みに税金と社会保険料の六割を社会保障給付に充てれば、医療や年金に充てれば、八兆円以上給付費が増やせる。ドイツ並みの水準にすれば十二兆円給付が増やせる。こうすれば全く増税などすることなく持続可能な社会保障制度を作れるじゃないですか。私はこれをやれば、これをやりなさいというふうに申し上げているんです。
 今回の予算を見ても、この税金の使い方に、私、大変問題あると思いますよ。
 例えば、公共事業費は九兆二千五百二十五億円、昨年度二次補正と合わせて十五か月予算で、昨年度予算より六%増えている。関西新空港二期工事、国費三百二十一億円。神戸空港も作ろうというんでしょう。一体飛行機どこに降りればいいんだという話になりますよ。川辺川ダム、総事業費二千六百五十億円、来年度予算で百十億円です。それから、こんな計画もある。東京湾、伊勢湾、和歌山と淡路島の間の紀淡海峡、愛媛と大分の間の豊予海峡、関門海峡、天草海峡、この六つの海峡に橋架けるそうです。その調査費が五億五千二百万円付いている。今、世界最長の橋は明石海峡大橋です。今言った六つの橋は全部明石海峡大橋より長いんです。ということは、世界第一位から第七位までの橋が日本に勢ぞろいするということになるんですよ。こんな途方もないことにお金を使おうとしている。十兆円の軍事費も聖域だ。米軍の駐留経費六千七百億円、思いやり予算は二千五百億円だ。銀行支援、宗男問題で問題になっているODA、北方支援、政党助成金。
 私は、無駄なものはないのか、本当にもっとメスを入れるべき場所があるんじゃないかと、これ国民の当然の疑問だと思います。
 総理は、国民に痛みに耐えろとおっしゃるんであれば、その前にやるべきことがあるんじゃないですか。税金の使い方を徹底的に見直す、私はこれをやるべきだというふうに申し上げているんです。はっきりお答えいただきたい。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) はっきりお答えしましょう。
 税金の構造を変えたんです。来年度、十四年度四月から執行されます総額一般会計八十一兆円程度の約、予算を組んでおりますが、その中で、公共事業費は一〇%減らしたんですよ。今、この国民の中で、どの項目に日本政府は一番税金を投入しているか、社会保障費ですよ、社会保障関係ですよ。公共事業は一〇%減らしました。社会保障は増やしました。社会保障費、何と十八兆円を社会保障費に使っています。公共事業、八兆四千億円です。私は、むしろ公共事業を減らして、必要な社会保障関係は付けるということをはっきり今回めり張りの付けた予算を組んでいるつもりであります。

○小池晃君 公共事業を減らしたなんて、とんでもない話ですよ。二次補正と比べ、付け加えれば、二次補正で前もって前倒しで付けているんですから、トータルで見れば増えているんです。
 しかも、あなたは何か社会保障を増やした、増やしたというふうに胸を張っておっしゃるけれども、例えば一般歳出予算の中に占める医療費の国庫負担の割合、見てみるとどうか。一九八〇年には一一・七%だった。一九八〇年から高齢者はどれだけ増えたか、二倍以上ですよ。それなのに、一般歳出予算に占める医療費の国庫負担、来年度予算で一五%しか付いていない。高齢者は二倍に増えているのに医療費、四%しか増えていない。
 私、医療費が大きい、社会保障給付が増える、その割合が大きい、当然ですよ、高齢者が増えているんですから。二倍に高齢者が増えているにもかかわらず、医療費に対する国庫負担はわずか四%しか増えていない。だから、これだけ一人当たりの医療費が削られて、みんな大変な思いをしているんじゃないですか。ここに最大の問題があるんです。
 総理、私たち日本共産党は、これをごらんに。(資料を手渡す)これは、三月十四日に医療制度改革の提案を行いました。この中で私ども何を言っているか。
 まず、削られた医療保険に対する国庫負担割合、これを計画的に戻すべきだということであります。
 これは、もう八〇年代を通じてばさばさ削ってきているんですよ。老人医療は一三%。国民健康保険は八〇年には五七・五%国庫負担だった、それが二〇〇〇年度には三六%。政管健保も九二年に国庫負担、削りました。こんなことをするから、窓口での負担も増えるし保険料も上がるわけです。私ども、これを元に戻すべきだ、そうすれば患者負担も保険料も引き下げることができる、先ほど言ったような無駄を削れば十分できるんだというふうに考えます。
 第二に必要なのは、高い薬価そのものを適正な価格に引き下げることであります。ヨーロッパに比べて高過ぎる薬剤費を適正化すれば一兆五千億円の医療費が削減できる、これが経済産業省の試算です。これだけでも今回の改悪はストップできるわけであります。
 そして第三に、先ほども総理おっしゃった、国、自治体を挙げて病気の予防、早期発見、早期治療、これを保障する体制を作ると。長野県は一人当たりの医療費が全国で最低であると、老人医療費が。これで有名です。国保の医療費を軽減していること、保健師さんが多いこと、こういったことが原因だと言われている。あなたも以前、国会答弁で長野県を参考にしなきゃいけないというふうにおっしゃった。こうした取組に政府が本腰を入れて取り組むということが、そしてこれを全国に広げれば私は持続可能な医療制度を作ることができる。
 一番大切なのは、でも総理、国庫負担を増やすことですよ。私はこのことは、この道に今こそ足を踏み出すべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 長野県の例を見ましても、医療費を増やせば健康な人が増えるか、長生きできるかというものではないということはよく分かる思います。我々も、医療費が一番少ないのになぜ長野県は長生きできて健康なお年寄りが多いのかということについては、よく参考にし、見習わなきゃならないと思っております。
 と同時に、国庫投入を増やせということは、もっと税金を入れろということでありますから、これは、日本は今まで先進国の中で税負担は一番低いんです。この際、この間、いろいろ減税もしてまいりました。そういう中で私は、税金を投入することによって別の負担が多くなる、そしてこのまま医療費が上がるにつれて税金を投入していくことになると、医療費は必ず国民の経済成長率よりも国民所得よりも上がってきますから。高齢者の人口構造見てもそうであります。そうすると、病気にならない人の負担も多くなるということを考えなきゃならないという点を考えますと、私は、今言った健康づくりも同時に大事です。そして、御指摘の薬価の引下げ、これについても、これまでも進めてまいりましたけれども、更に薬価の問題、節約のために直さなきゃならない点があるということは認識しております。
 そういう質の点も含めて、いかにこの国民皆保険制度を維持して、多くの国民がいざ病気になったらばできるだけ軽い負担でお医者さんに診ることができる、診てもらうと。あるいは、健康づくりにそれぞれが意識を持って取り組んでもらうということによって、戦後かち得た世界で最も長生きできる国になったという、この問題について私はもっと多くの国民に認識持ってもらって、どうせ世界で一番長生きできる国になったんだから、長生きを喜べるような社会にしていきたいと思っております。

○小池晃君 あなた、言っていることとやっていること全然違いますよ。あなたの言っていることを実践しようとしたら医療費の窓口の負担安くするという結論しか出ませんよ。全く言っていることとやっていることと違う。
 しかも、薬剤費下げたというふうに自慢するけれども、実態見てみるとどうか。最近十年間で確かに薬剤費は、額は減っています。ただ、十年間で六兆四千四百億円から六兆七百億円、三千七百億円しか減少していない。その一方で何が減っているかというと、薬剤の公定価格と実際の医療機関の購入価格の差額、いわゆる薬価差額ですね、これが十年間で一兆円減っている。薬価が下がったといってもそれ以上に薬価差額が減少している。つまり、差額による医療機関の収入が減っているわけです。
 製薬企業の売上げは逆に増えている。十年間で六千以上の増加。その証拠に、製薬大手十五社の今年三月期の連結経常利益は九千八百三十六億円、前年と比べて一〇・六%増えている。武田製薬と藤沢薬品、前年度比で三二%増益ですよ。こんな業種はほかにありません。薬価が高過ぎる最大の原因はこういう構造です、新薬の承認過程、価格決定過程。ここにメスが入っていないから製薬企業大もうけ続けている。私はここにメスを入れるべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各企業が利益を上げてもらうと税収も増えますから、これは歓迎すべきことでありますが、薬価の問題についてはいろいろ政府としても直す必要がある点はあると思っております。現に、薬価差益の減少にも努めてまいりましたし、これからもこの問題についてはさらに改善策を講じていきたいと。
 さらに、どうも高い薬を使いたがるというこのお医者さん、病院の姿勢ももう一歩踏み込んで、同じ効き目のある同じ成分だったら患者さんに対してもあるいは薬剤師さんに対しても安い薬が使えるような体制について、もう一歩踏み込んだ改善があるのではないかという点を含めて我々は不断の改革を続けていかなきゃならないと思っております。

○小池晃君 今日の議論ではっきり分かりました。あなたは、口先では改革と言うけれども、本質的なところには一切メス入れないということですよ。製薬大企業はぼろもうけを続けている。そこにはメス入れられないんですよ。
 なぜなら、二〇〇〇年の政治資金収支報告書によれば、製薬産業政治連盟から自民党議員に一億一千万円の献金が渡っている。小泉総理には四百万円です。このほか、製薬企業から国民政治協会への献金が約八千五百万円。合計二億円ものお金が製薬企業から自民党に流れている。こんなことをやっていれば、薬剤費にメス入れるなんということはできない。私は、あなたは恐れずひるまずとらわれず、既得権益を恐れずやるというふうに威勢のいいことを言うけれども、自民党を変えると言うけれども、あなたのやっていることはどうか。
 例えば、鈴木宗男氏からのムネオマネーは......

○委員長(真鍋賢二君) 時間です。

○小池晃君 自民党、公明党から五十八人のこれ政治家に渡った。

○委員長(真鍋賢二君) 時間です、小池君。

○小池晃君 加藤マネーは七十四人の政治家に渡っている。それなのに知らんぷりをして、トカゲのしっぽ切りと。あなたのやり方は今までの自民党政治そのものだということを私申し上げて、私の質問を終わります。


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