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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

154-参-厚生労働委員会・予算委嘱審議
2002年03月20日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 最初に、研修医の問題を質問させていただきます。
 九八年八月に関西医大の研修医の森大仁さんが過労死をされた問題であります。
 これは、去年の六月に私、大臣ともこの場で議論をさせていただきました。その後、昨年八月にはこの研修医は労働者と認められて、そして今年二月には長時間労働による過労死が認められて、大学に損害賠償を命じる大阪地裁の判決も出ております。
 医師でもある坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいんですが、大臣は昨年の議論の中で、森さんの死を無にしないようにしていかなければならないというふうに御発言されました。改めて、これは判決も出たという中で、二度とこうした事態を繰り返さないと、そのために研修医の労働条件を抜本的改善を図るという大臣の御決意を、まず御自身のお言葉でお聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 昨年でございましたか、小池委員から質問をいただきまして、そのときにも議論をさせていただいたところでございますが、今まで研修医の問題というのは、いわゆるどう研修をするかということはかなり細かく決められておりましたけれども、その経済的な側面、その研修医の置かれている立場というものは非常にあいまいな点があったというふうに私も思っております一人でございます。
 昨年来の議論も踏まえまして、そして検討会等も続けてまいりましたし、間もなくその結論が出るものというふうに思っている次第でございますが、その中で、今研修医の皆さん方が研修に専念をできる立場というものをどう作り上げていくかということを中心にして結論を出したいというふうに思っている次第でございます。

○小池晃君 そこで労働基準局にお伺いをしたいんですが、二月の十二日に通達が局長名で出されております。過重労働による労働者の健康障害防止のために、月百時間を超える時間外労働を行った労働者には必要な保健指導あるいは健康診断を受けさせるよう事業者を指導する。
 これ、森さん亡くなる前、六月の総労働時間は三百二十三時間、七月は三百五十六時間。ここで言う時間外労働百時間をはるかに超えている実態があります。多くの大学の研修医は同じような実態だと思います。
 そこで局長にお伺いしたいんですが、この通達というのは、研修医が労働者だというふうに認められれば、これは研修医ももちろん対象となっていくというふうに考えてよろしいですね。

○政府参考人(日比徹君) 御指摘のとおり、指導の対象となるということでございます。

○小池晃君 私、この指導の対象からいえば、ほとんどの労働者、ほとんどの研修医、まず労働者に当たる事例、多いと思いますし、必要な指導というのは強化されるべきではないだろうかと思うわけです。
 そこで医政局にお伺いしたいんですが、昨年、研修医の労働実態の全国調査をされたわけです、求めたわけです、私。調査結果が一部明らかになっておりますが、これ、肝心の労働時間についてはその中に示されておらないと。やはり、これでは実態を踏まえた改善を私できないんではないかと思うんですね。やはり労働時間の実態もきちんと調べて、緊急に、特にやはり私立医大については実態も調査していくべきではないか。同時に、研修医も労働者に当たるというふうにされれば使用者側には安全配慮義務があるという判決も出ておりますし、勤務時間に応じた賃金を支払えという判決も出ているわけですから、こうしたことをやはり、特に問題が指摘をされている私立医大についてやはり周知徹底するということが私は必要ではないかと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

○政府参考人(篠崎英夫君) 先生御指摘の調査につきましては、昨年の八月に文部科学省とともに調査をいたしておりまして、臨床研修病院四百七十六、大学附属病院百三十一の病院を対象として実施をいたしているところでございます。
 今、労働時間のところで御質問がございましたが、そこに該当するところに当たります、申し上げますと、例えば一週間当たりの平均勤務日数というところで見ますと、臨床研修病院では約五・二日、それから大学附属病院も同じ五・二日でございます。また、臨床研修病院の一か月当たりの日直は一・一回、それから当直の回数は二・六回というようなことでございまして、更に詳細に分析をしてその結果を出したいというふうに考えております。

○小池晃君 ちょっと日数の調査では、私は実態つかめないと思うんですね。何日といったって、一日といったって、八時間なのか十二時間なのか十六時間なのか、これで全然違うわけであります。
 そういう点でいえば今の調査というのは不十分であるし、私はもっときちっと実情を把握をして必要な手だてを求める、私立医大に対して、そういう手だてを私は求められていると思うんですが、局長、いかがでしょうか、もう一度。

○政府参考人(篠崎英夫君) 今御指摘のように文部科学省と共同でこの調査をやっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたデータとしてはいろんなものは取ってあるはずでございますので、更に詳細に分析をいたしまして、今御指摘のようなところが分かればそれは出しますし、また臨床研修医の処遇については、先ほど大臣からの御答弁がありましたように大変大事な問題でありますので、それに参考になるようないろいろなデータは必要ではないかと思っております。

○小池晃君 こういう実態の中で二〇〇四年から研修の必修化がされると。この財源の確保の問題であります。
 昨年十二月には国立大学医学部附属病院長会議が指針を示しておりまして、こうあります。研修医の身分、給与、保険は制度により保障されるべきである。特に、給与は国ないし全国的な機構から個々の研修医に直接支払われる体制とすべきと。それから、指導医への経済的保障も行うべきと。
 それから、昨日、全国医学部長病院長会議が厚労省に提出された提言では、国として法律により卒後臨床研修を義務付けたことから、国は研修医に対して研修実施期間中に手当を支給するなど、研修医が安心して研修に専念できる経済的保障、社会的な身分の保障を行うべきという提言も出されております。
 一昨年十一月の国民福祉委員会で、私の質問に対して津島当時の厚生大臣も、必修化する以上はみんな腹据えてやっていただけるようにしたいと御答弁されました。私、当然だと思うんですね。
 私は、これは研修医が必修化というふうになっていけば、きちっと適切な労働条件の下で研修に専念できるようにしっかり財政保障すべきだというふうに考えるんですが、この点、いかがでしょうか。

○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘のように、平成十六年の四月から、インターン制度廃止以降約三十五年ぶりの大きな改革ということでございまして、卒後臨床研修の必須化をするということになっているわけでございます。
 現在、研修医の処遇の問題も含めて検討をいたしておるところでございますが、私どもといたしましては、研修医がアルバイトをしないで、プライマリーケアに専念して医師としての人格の涵養を図る、そういう環境整備をすることが重要だということ、認識をいたしております。
 研修医の給与の在り方や勤務条件などの処遇に関する議論も今後深めていきたいというふうに考えております。

○小池晃君 大臣、先ほど専念できるようにするんだとおっしゃいました。必修化ということになれば、これは専念できるという、それにふさわしいやはり財政保障をしていくんだということだと思うんですが、この点での大臣の御決意といいますか、お聞かせ願いたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) そこは御指摘のとおりだと私も思います。
 ただ、専念するためにどれだけの額が要るかということは、これは人によって差もあるかもしれませんけれども、そこは常識的な線というのはあるわけでございますから、常識的な線で決めなけりゃいけないと思っております。

○小池晃君 今の補助金というのは、正にそういう意味では専念できるような常識的な水準じゃ私ないと思いますので、これは必修化ということであれば思い切ってきちっと財政的保障をするということを求めていきたいと思います。
 さらに、研修の場の問題なんですけれども、これも昨年来の医道審議会で六回にわたるヒアリングが行われてまいりました。その中で共通して語られてきたのは、今までの大学病院中心の研修では、基本的な新人医師の研修、臨床研修としてはやはり能力を身に付ける上で様々な問題があるんじゃないかと。やはり市中病院、第一線医療機関での研修が有意性があるんだということが私はこもごも語られてきたと思うんですね。
 大臣にこれ基本的な認識をお伺いしたいんですけれども、こういうヒアリングなども踏まえて、やはり今後の基本的な方向として、今までのような大学病院中心の研修からやっぱり研修の場というのを大きく第一線医療機関、こういう研修に重点を移していくんだと、私、こういう基本的な認識で臨むべきだと思うんですが、大臣はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいというふうに思います。

○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘のように、臨床研修の審議会におきましていろいろ議論がされておるところでございますが、臨床研修の必修化は、先ほど申し上げましたように、プライマリーケア診療能力の習得を主眼としたものでありますので、必修化に当たっては、基本的には大学病院中心の研修ではなくて地域医療を担う病院における研修が重要であるというふうに考えております。
 必修化後の臨床研修におきましては、地域医療における研修が十分に実施できるような体制の整備が必要であると考えておりまして、そのためには、例えば病院群の仕組みなどを通じて市中病院の活用を図っていくことも大切であろうというふうに思っております。

○小池晃君 私もそういう基本的認識については一致をいたします。やはりそういう方向で日本の臨床研修というのを、やはりこれ必修化ということをきっかけに私は大きく切り替えていくべきだというふうに思っております。
 その点で、やっぱり市中病院で研修の場を拡大する上で、例えば二月二十七日の読売新聞の社説でもこうあります。三百床以上などとされる臨床研修指定病院の基準を緩和して研修場所を増やす必要があるんだと。
 やはり市中病院での研修に重点を置いていくということであれば、そういう研修の場を選択できるように臨床研修指定病院を増やしていくべきだというふうに考えますし、そのために、内容面はもちろん必要なチェックはしながらも、ハード面での基準というのは私はできるだけ広く認定できる方向に緩和していくべきであるというふうに考えますが、この点、いかがでしょうか。

○政府参考人(篠崎英夫君) 研修医に研修の機会を幅広く提供してその選択を可能とすることは大変重要なことであるというふうに思っております。
 御指摘の臨床研修指定病院のただいまの基準につきましては、ベッド数ですとかあるいは剖検率等の基準がございますが、あくまでも研修の質は確保しつつということではありますけれども、市中病院での研修がより幅広く可能となりますように、病院群などによる指定の方法の拡充も含めまして、指定基準の見直しについて検討してまいりたいと考えております。

○小池晃君 その見直しの中身なんですけれども、例えば、私、これ前回、一昨年指摘をしたんですが、舞鶴市民病院なんというのは非常に研修の場としては有名なところですね。ここは二百三十六床なわけです。現状の基準でいえば入らないわけですね。私、この基本的な方向は正におっしゃるとおりだと思うんですが、その中で選択の幅を広げるということを考えるのであれば、やはり三百床という基準を見直して、二百床台前半まで基準緩和していくというふうに踏み込むべきでないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(篠崎英夫君) ただいまのところ、病床数を幾つにするかというところまでは申し上げる段階にはないと思いますが、その基準になっております必要な病床数につきましても、質の確保が図れるという前提で幅広く地域の病院での研修が可能となるよう、そういう方向で検討したいと思っております。

○小池晃君 別に小さければいいという議論をしているわけでは私もないわけですね。やはり、病院の特性からいって、そういう地域の一般病院中心の研修という方向性は一致をしていると思いますので、是非そういう方向で研修医が本当にそういう場所を選択できるような条件づくりを進めていっていただきたいというふうに思います。
 引き続いて、この問題の次に、准看護師さんの移行教育の問題について質問させていただきます。
 この准看護師さんから看護師さんへの移行教育について、九九年四月の当時の厚生省の移行教育に関する検討会の報告では、移行教育の受講を希望する就業経験十年以上の准看護師を対象に三十一単位九百三十時間の教育時間で移行教育を行うという方針が出されました。
 ところが、これは方針が出てから、報告が出てから三年経過したわけですけれども、いつから移行教育が始まるのか決まっておりません。これ、局長で結構ですけれども、これいつまでもこのままにしておいて私は良くないと思う。これいつまでもこのままにしておいていいというふうにお考えなんでしょうか、その辺をちょっとお示しいただきたい。

○政府参考人(篠崎英夫君) 確かに、十一年、平成十一年に報告書をいただいております。いろいろ検討をいたしておるわけでございまして、その開始時期につきましてなるべく早く早期に実施できるように鋭意検討したいと考えております。

○小池晃君 なるべく早くというのも、以前の答弁に比べればこれは一歩踏み込んでいるのかなと思うんですが、私はこれでは、もう少し現場の人たちに展望というか希望が見えるようなお話いただきたいなと思うんです。
 といいますのは、准看養成所が大幅に減少しているんですね、今。高等学校の衛生看護科と養成所を合わせた一学年定員はこれは最も多かったときは一九七三年で約三万四千人であります。九九年二万八千三百人、今年の四月の募集見込みだと一万五千七百二十四人ということで、急激に減少をしてきているわけであります。衛生看護科では、今年四十校が募集停止です。六十五校が五年間の看護師養成課程に切り替えているということで、現実には准看護師さんの養成というのは減少をしてきている。
 同時に、私、注目をしておりますのは、旧厚生省の調査でも、准看護師さんの七三・二%の人が移行教育を受けたいと。これ私、すばらしいことだと思うんですね。これだけの人が、やはり勉強して是非看護師になりたいんだと、こういう希望を出しているわけですね。私、これ放置しちゃいけないと思うんですよ。このことをしっかり受け止めるのが私は政治の責任だというふうに思うんですね。地域医療を支えて第一線で頑張ってきた多くの准看護師さんたちが、看護のレベルをアップしようということで移行教育を待ち望んでいるわけであります。私も現場で働いていて准看の方なんかにもお仕事を一緒にしたときにも、非常にベテランで能力も高い、経験も豊かだという方一杯いらっしゃるんですね。
 ですから、私、これは政治の責任で三年間放置した、しかも准看の養成これだけ減ってきている、これだけの方がその中でもやっぱり移行教育を受けたいということを望んでいると。私は、これ正面からこたえる、大臣、責任あるんじゃないかと思うんですよ。
 そういう点では、報告から三年たったこの今の段階で、いよいよ動き始めるんだなということが現場の方々にも見えるような、希望のある、持てるような答弁を是非私していただきたいというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) いよいよ動き始めたようにいたします。

○小池晃君 いや、本当に動かしていただきたいと。これは私は本当に責任問われていると思うんですね。こんな放置している、ほかにこんなことないと思うんですよ。関係団体の意見とかいろいろあるのかもしれませんが、是非やはり待っている方の七割以上が望んでいるということに正面から、まあ動かすというふうにおっしゃいましたので是非そういう方向で私大いに期待したいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 引き続き、ちょっと別の問題をお聞きしたいんですが、これもちょっと以前この委員会で私取り上げさせていただいた問題であります。国立秋田病院の問題です。
 これ、大臣も覚えておられると思うんですが、私は国立秋田病院、何で廃止するのかと、おかしいじゃないかという議論をかなり時間掛けてやりました。非常に環境もいいのにわざわざそれつぶしてがけを削ってへんぴなところに道川病院というのを整備して、そこに統合するという話であります。これは税金の無駄遣いだというふうに私、指摘をいたしました。
 ところが、この道川病院の整備工事の入札をめぐって、重大な疑惑が参議院の予算委員会でも取り上げられております。事前の談合によりまして、道川病院の建設工事は大林組が落札するという情報が流れました。昨日予定されていた入札は、これで延期をされたわけであります。
 この国立病院の建設、新築、増設工事をめぐる談合の疑惑については、私は徹底解明が必要だというふうに思いますが、これ徹底的に調査すべきだと思うんですが、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) これ予算委員会でも御答弁を申し上げたとおりでございますが、何か国立病院の落札について前もってどの企業が落札をするかという一覧表が出ているというお話でございまして、もしそれが事実でありましたら、それは白紙撤回をさせていただきます、こう申し上げたわけでございまして、今日まで既に入札の終わっているところもございますが、一時契約をストップをいたしまして、そしてもう一度再調査をしているところでございます。これからのものにつきましても少し延期をして、そうしたことがないようにもう一度調査をしたいというふうに思っております。
 しかし、余りこれは、予算の付いている話でございますし、遅らすわけにもいきませんから、早く結論を出して、そして透明な形で実施に移したいと思っておるところでございます。

○小池晃君 みんなが待ち望んでいる施設であれば、疑惑が晴れればそれは進めて結構だと思う。しかし、この秋田病院の廃止計画についてはみんなが待ち望んでいる計画とは言えないわけであります。これ、秋田病院の廃止の問題について、現地、秋田県の本荘市では、住民投票の取組が始まっています。国立病院の統廃合で住民投票というのは初めてのケースだと思います。これ、廃止計画の賛否を問う条例を制定を求める直接請求署名、三月八日から始まりました。一か月間署名集めるわけですけれども、地方自治法が定める必要署名数は、有権者三万六千人の五十分の一、約七百人なんですね。ところが、現時点どうなっているかといいますと、既に署名を集める側のいわゆるその受任者、この受任者の方だけで千七百人を超えて、日々これ運動が広がっているわけです。
 大臣、この本荘市で秋田病院の廃止をめぐって住民投票運動起こっているということ御存じでしょうか。

○副大臣(宮路和明君) そういうお話は先般も私、委員からお聞きをさせていただいたところでございます。

○小池晃君 私は副大臣にはこの間直接お会いして言いましたから、だから大臣に聞いた。大臣は副大臣からお聞きになっていると思うんですが。
 住民の意思を示すこれだけの運動が行われているわけですね。やはり厚生労働省として、こういう大きな運動がある、住民投票やるという運動起こっている中でやっぱり一方的に廃止計画を進めるということを私はしちゃいけないんじゃないかと、慎重にこういう地元の声は聞くべきではないかと。しかも、ここに談合疑惑まで出てきているわけですよ。だから、現地では大騒ぎになっているわけですね。
 大臣は、昨年のこの委員会で、この問題で私が質問した際、地元の意見を無視しないようにするとおっしゃいました。この方針に私は当然変わりはないというふうに思うんですが、大臣、御確認させていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょう。

○国務大臣(坂口力君) 地元の、これは町ですかね、町長さん、市ですか、市長さんあるいはまた市の当局者の皆さん方の御意見も聞かなければなりませんし、もちろんまたお住まいの皆さん方の御意見も拝聴したいとは思いますが、しかし、この国立病院あるいは療養所の再編成ということも国が決めました大きなこれは方針でございます。やはり、国公立の在り方というものをこれから変えていかなければなりません。そうした大方針の中で行われていることでございますから、そのこともよく御理解をいただくように、我々もその理解を求めなければならないと思っているところでございます。

○小池晃君 市長の御意見もというふうにおっしゃいました。本荘市長さんは市議会でこう答弁されています。秋田病院の廃止に合意する旨の発言は一言も申し上げておりませんというふうに答弁もされているという状況であります。
 大きな方針があるからと。大きな方針自体我々はこれはいかがなものかと思っているわけであります、御承知のとおり。しかし、今回の問題についていえば、この大きな方針に賛否を、賛成をしている人の中でも、この秋田病院のケースに関しては、これはおかしいんじゃないかと。だから、現地へ行くと、本当に党派を超えて、社会党、旧、社民党の方から、自民党の方から、もう地域の名士のような方まで含めて、守る会、反対する会を作ってやっているわけですね。
 ですから、私この問題は、大きな方針があるからといってやはりどんどん進めるということではなくて、大臣が今おっしゃいましたように、地元の声を、市長さんの声あるいは地元の住民の声、しっかり聞きながら進めるという立場をきっちり守ってやっていただきたいというふうに思いますし、入札については疑惑もあるわけですから、これは徹底的に解明する必要あるし、住民のこの声が起こっている中で進めることは大変問題だというふうに思います。慎重に地元の声を聞きながら進めるべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
 最後に、残された時間で、私は障害者の問題で支援費のことについて幾つかお伺いをしたいというふうに思っております。
 厚生労働省は、社会福祉基礎構造改革の中間まとめの中で、支援費制度の下では、障害者がサービスを選択できるようにでき、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより利用者本位のサービスが提供されるようになると、地域で自立した生活を送れることができるというふうにしておりました。
 しかし、障害者プランの遅れ、プランが達成されたとしても、これ障害者の要求に私は十分にこたえるものになっていないというふうに思うんですね。応諾義務が課せられているわけでありますが、幾ら応諾義務が課せられていても、定員を超えていたら、この規定は何の効力もないわけです。
 私、この厚労省がうたわれていた選択制や対等性ということを保障するためにも、施設やホームヘルパーをもっと増やす必要があると。私、この障害者プラン達成する、これはもちろんですけれども、二〇〇三年から予定されている新たな障害者計画の中で、これ大幅な拡充を図るべきだというふうに思うんですが、まず最初に大臣にこの点についての基本的な御認識をお伺いしたいというふうに思います。

○国務大臣(坂口力君) 厚生労働省といたしましては、いわゆるこの支援費制度の導入につきまして、障害者が自らに適した福祉サービスというものを選択できるようにしますために、その量的あるいは質的な整備を推進することが重要だというふうに思っておりますし、現在、来年度を目標年度とする障害者プランに基づきまして、今積極的にこれに取り組んでいるところでございます。
 平成十五年度以降につきましては、政府の障害者施策推進本部において、今後この障害の方々の関係団体の意見を十分に聞きながら、新しい障害者基本計画、あるいはまた障害者プランを策定して検討していくこととなっているところでございます。
 この大きな方針の中で、我々も障害者に報いることができるように、我々もしていきたいというふうに思っております。

○小池晃君 こういう希望に報いるように本当に、本当の意味で実質的に選択できるあるいは対等の関係ということが保障されるためには、私は大幅な基盤整備というのが前提だというふうに考えておりますので、是非進めていただきたいというふうに思うんです。
 ちょっといろんな不安が現場から出されておりますので、政府参考人に個別的な問題をお伺いしたいと思うんですが、これ扶養義務者の負担を前提とした制度になっているわけですね。私は、自立を促進するということを言いながら家族の負担を当てにする扶養義務者の政策というのは、世界から見ても、成人期の障害者政策という点から見て非常に前近代的だというふうに思うわけです。障害者本人の所得を基準にすべきであるという意見を持っております。
 しかし、今日はちょっとその問題について議論するとこれは平行線になると思いますので、個別的な問題をお聞きしたいんですが、制度間で扶養義務者の範囲がばらばらであるということが指摘されている。これは、やっぱり統一、整合性を図るべきではないかと。あるいは、知的入所更生施設の扶養義務者からは今までは親を除外していたわけでありますけれども、こうした今までの対応についてはやっぱり従来どおり実施するんだということを私確認させていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 委員御案内のとおり、現在の措置制度におきましては、扶養義務者の範囲について若干の差違が見受けられます。支援費制度における扶養義務者の範囲につきましては、できる限り整合性を持った取扱いがなされるよう検討しているところでございます。
 それから、知的障害者の入所更生施設の施設サービスでございますが、現在、委員御指摘のとおり、障害者が成人の場合には親からは徴収しないということにしているところでありまして、支援費制度においてもその取扱いを維持してまいりたいと考えております。

○小池晃君 さらに、現在措置されている障害者の方から不安として出されているのは、支援費制度になることによって認定から外される、あるいは負担増になる、あるいは処遇が低下する、そういう心配、不安が出されているわけですけれども、こういうことはないというふうに思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 委員御指摘のとおり、そういうことはないように考えております。

○小池晃君 さらに、申請の問題でありますけれども、これは障害者の方々です、非常に手続自体に不安があるわけであります。支援費の申請が円滑に進むように、例えば点字での申請あるいは手話通訳の配置、こういったことが必要なんじゃないだろうかということがあります。
 それから、判断能力に欠ける、そういった申請困難な方については、成年後見法の活用を含めた機構を市町村の附属機関として設置するといった、私、きちっとしたきめ細かいフォローの体制が必要なんではないかというふうに思うんです。
 あわせて、この成年後見というのは結構費用が掛かるわけですね。この成年後見の費用については公的に援助していくということが必要ではないかというふうに思うんですが、ちょっと三つほど申し上げましたけれども、それぞれについてお聞かせ願いたいというふうに思います。

○政府参考人(高原亮治君) 本人の力だけでは各種の申請が困難な方々に対しまして、利用契約の締結等のサービスの利用の支援を図ることは極めて重要であるというふうに考えております。
 従来より都道府県におきまして福祉サービスの利用援助を行います地域福祉権利擁護事業の推進というふうなものを考えておりまして、例えばそういうふうなものに今御指摘のありましたようなコミュニケーションがうまくいかないような方々を含めるというふうなことも十分検討の課題になると思いますし、申込みの手続の動向とか利用援助とか、そういうふうなことについてもこういった生活援助員による援助の枠組みで進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、御指摘の成年後見制度の費用でございますが、現在、市町村が成年後見制度に対しまして積極的な取組を行っていただきたいと、これは私どももそう考えておるわけでございまして、成年後見制度促進のための広報普及活動の実施等々の事業ないしは直接的に成年後見制度の申立てに要する経費、これは登記手数料、鑑定費用及び後見人の報酬等があるわけでございますが、こういった費用の全部若しくは一部に対しまして、支援費制度を利用し、又は利用しようとする身寄りのない知的障害者等の障害者の方に対しましては助成できるような、そういうふうな取組をしております。

○小池晃君 さらに、支援費制度ではケアマネジャーがいないわけです。介護保険ではこのケアマネジャーがかなり大量にできた。
 その中で、障害程度区分の認定というのはかなり専門的知識が必要だと思うんですね。私は、職員がきちっと障害程度区分を認定できるための研修や体制を整備することが非常に重要だと思っております。初年度は予算が組まれている、来年度は。ただ、それ以降はまだ見通しが示されておりません。私は、これはそれ以降も含めて、この制度がやはり安定的に軌道に乗る、円滑に進むというためにきちっと整備を続けるべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 御案内のとおり、平成十五年から施行されます支援費制度を円滑に実施するため、制度施行に伴う一時的に増加する事務につきましての地方公共団体を支援する経費を平成十四年度の予算案に計上しております。
 御指摘の平成十五年以降の対応についてでございますが、これにつきましては、取りあえず十四年度の業務増加の実情等を十分把握いたしまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

○小池晃君 私は、是非、そういう動向を見ながら、これがきちっと進むように責任を持つべきだと思います。
 さらに、障害程度区分を決定する際に、障害者の状態をよく分かっている方、例えば御家族、あるいは入所している方であればその施設の意見、これが反映できるようにすべきだと考えるんですが、いかがですか。

○政府参考人(高原亮治君) 障害程度区分の決定を含みます支援費制度の詳細につきましては、御案内のとおり、現在、社会保障審議会障害者部会において御審議いただいておるところでございます。障害程度区分についての的確な判断ができる仕組みとなるように検討していただいております。
 その際、施設に入所されている方につきましては、必要に応じまして施設の職員の意見も考慮すべきであるという意見も寄せられておりまして、これについては的確に対応したいと考えております。

○小池晃君 さらに、支援費の支給の問題なんですが、これは介護保険が始まったときと同じことが言えると思うんですけれども、サービスを提供された翌月に事業者から請求されて、審査等の手続があると。結局、二か月遅れで、措置制度だと前もって入ってきたのが二か月遅れると。これはもっと早くできないのかという意見が出ているわけですね。その間の資金の問題があります。
 私は、この二か月というのをとにかくできるだけ早くするという方向で努力すべきではないかというふうに思いますし、また、無利子の緊急貸付制度などを作るといった対応も必要なのではないかというふうに思うんですが、とにかくこの二か月をもっと早くするということでやっていただく件と、貸付けの問題について、是非前向きに御検討をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君) 支援費の支払時期につきましては、御指摘のとおり、現在のところ介護保険と同様、サービス提供の翌々月末までとする旨の案をお示ししたところでございます。
 しかしながら、支援費の支払時期は各市町村において定めることとなりまして、私どもといたしましても、支援費制度への円滑な移行を図る観点から、支払時期を早めることができないのかと、今後、市町村等の意見を聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。これは、どのくらい早めることができるのかということにつきまして実態を把握した上で、早く払うということ自身にはもちろん問題はないわけでございますので、無理のないところはどこら辺までできるのかというふうなことだろうと考えております。
 それから、制度施行時に事業運営に支障が生じるのではないか、いわゆる資金ショートが生じるのではないかということでございますが、介護保険制度導入時と同様な、社会福祉・医療事業団におきまして臨時的、特例的な運転資金の融資制度の創設ができないかどうか、現在検討しておるところでございます。

○小池晃君 それから、支給期間が設定されることになっておりますけれども、成人期の障害者の方というのは障害の状態に変化が起こることというのは極めて少ないわけでありまして、私はその期限を設ける必要があるんだろうかということを常々疑問に思っているわけです。支給期間を設定した理由は一体どういうことなのか、簡単に御説明願いたいと思います。

○委員長(阿部正俊君) 時間もありますので、簡潔にお願いします。

○政府参考人(高原亮治君) 一つは、状態が変わることが少ないということはおっしゃるとおりでございますが、そこら辺のところを一つは確認するということ、それからもう一つは、これは所得といいますか、いわゆる所得の状況等を確認させていただくと。そういうふうなことで、本人の状況、所得の状況等につきまして、できる限り簡素な手続が必要であると思いますので、その簡素化の余地がないか、検討してまいりたいと思っております。

○委員長(阿部正俊君) じゃ、時間もありませんので、簡潔にお願いします。

○小池晃君 もう終わりますけれども、やはりこういう期限があるということに関して障害者の方からは物すごい不安が出ているわけですね。ですから、やはり期限満了時に障害程度が変わっていないのに継続利用できないとか、所得に変更ないのに負担金が増えるとか、そういったことがやはり起こらないようにきちっとしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

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