○委員長(真鍋賢二君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。 ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 まず最初に、北方四島支援事業の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。支援事業で建造されたはしけ、希望丸の入札をめぐる問題であります。 最初に国土交通省の政府参考人にお伺いをしたいんですが、北海道開発局は入札に当たって船を造ったりする場合の参加資格というのをランク付けをしていると思うんです。船舶の製造でAランクそれからBランク、これらの企業が受注できる価格というか、そういう価格帯、それぞれ幾らになっているか、お示しいただきたいと思います。 ○政府参考人(林延泰君) ただいまの御質問にお答えいたします。 北海道開発局が発注する船舶の発注標準でございますが、平成九年度、十年度の北海道開発局発注の船舶機械の製造におけますAランクの場合の発注標準の金額は一千五百万円以上、それからBランクの場合の発注標準の金額は三百万以上一千五百万未満でございます。 ○小池晃君 当時、Aランクの企業は北海道で何社ありましたか。企業名もお示しいただきたいと思います。 ○政府参考人(林延泰君) 平成九年度それから十年度の北海道開発局のAランク企業は、船舶機械製造で二百七十三社でございますが、このうち営業品目に船舶関連を含む企業は三十三社でございます。 三十三社の...... ○小池晃君 船舶だけで。 ○政府参考人(林延泰君) 三十三社でございます。船舶関連ということで拾い上げましたら、三十三社ございました。 ○小池晃君 それの中に根室造船は入っておりますか。 お答えいたします。 この中には根室造船は入っておりません。 ○小池晃君 希望丸の建造を入札した根室造船は、そうするとどのランクだったんでしょうか。 ○政府参考人(林延泰君) Bランクでございます。 ○小池晃君 根室造船はBランクなんですね。これ、Bランクというのは、先ほど御説明があったように三百万円以上千五百万円未満の船しか受注できない会社であります。ところが、その根室造船が一億円以上のはしけ希望丸、一億円で受注していると。何でそんなことができたんだろうか、私、これ聞いて大変不思議に思ったわけであります。 外務省にお聞きしたいんですが、希望丸の入札参加資格は、北海道開発局の競争参加資格ではどのランクというふうに示したんでしょうか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 希望丸の入札参加資格でございますが、A又はBに格付されたものであることということになっております。 ○小池晃君 これ、私、大変おかしいと思うんですね。何でこんなことになったんだろうかと。だって、参加資格ランクAだったら分かるんですよ、これは一億円の船を造るわけですから。ところが、Aだけじゃなくて今度の入札参加資格はBランクも参加できた。すなわち、どういうことかというと、一億円以上掛かるような船を千五百万円未満の受注しかできない企業も参加して、入札参加資格を設定して、結論としてはそのBランクの千五百万円未満の船しか造れない根室造船が受注したわけです。これ、もう一つのはしけ友好丸も全く同じなんですね。友好丸はもっと値段高いんですよ、一億八千万円。根室造船に入札されている。 これ、私、今回の入札ならば、本来は入札資格というのはAランク、つまり千五百万円以上の受注ができる企業に限定されるはずなんです。これは入札参加資格のねじ曲げですよ。何でこんなふうにA又はBとしたのか、これ、お答えいただきたい。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 園部参与に調査していただきまして報告書が出されておりますけれども、その報告書の中で、希望丸につきまして、「当初の審査基準を一部緩和したことを示唆する文書がある」というふうに記載されております。 それで、これについて調べましたところ、支援委員会事務局の文書として競争参加資格審査結果報告書というものがございまして、その中に、なお、審査の過程において地元企業も競争に参加させるべきとの政策判断に基づき、当初の審査基準を一部緩和した経緯がありますという記述があることがわかりましたけれども、それから、審査基準を一部緩和いたしました際に根室造船が念頭にあったことをうかがわせる手書きの書き込みのある文書が存在しておりますが、今回の調査におきまして、聞き取り調査等によりましていろいろ調べたわけでございますけれども、この意味するところについてこれ以上確認することはできなかったということでございます。 ○小池晃君 これね、重大な事実ですよ。これね、つまり、もうはっきりしていますよ、根室造船にやらせるために入札参加資格をねじ曲げたんですよ。これ、今の文書を直ちに提出をしていただきたいというふうに思います。 これ、はっきりしたと思うんですが、この決定過程において、根室造船に何とか仕事を回したい、そのためにはAランクという資格では駄目だ、だから無理やり千五百万円未満の船しか造れないようなBランクということにしたわけですよ、広げたわけですよ。これ、私、一連の経過から見て、この政策決定過程の変化、これは正に鈴木宗男氏の働き掛けがあったからだというふうに思わざるを得ないんですが、どうですか、違いますか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほど申し上げたとおり、文書がございましたけれども、その趣旨を今回の調査において鋭意解明すべく努力いたしましたけれども、確認することはできなかったということでございます。 ○小池晃君 こんなのじゃ話にならないですよ。こんなことで、外務省報告書で解明しましたなんてとても言えません。 総理、私、今この問題明らかにしました。これは明らかに根室造船に落とすための何らかの力が働いた。これ、だれが見てもはっきりしていると思うんですね。これ、私、この問題は徹底的に解明する必要がある。これ、ムネオハウスと、私、同じだと思うんですよ。結局、はしけについては鈴木議員の関与は確認されなかったというのが報告書の結論ですけれども、私、これ、はしけだって真っ黒だというふうに思うんです。 総理、これ、どうですか。これ、解明する必要あると私は思うんですが、認識を伺いたい。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、外務省の調査を基にして質疑が行われているわけであります。この質疑の指摘に対して、疑問があればその解明に外務省は努力すべきだと思います。 ○小池晃君 これ、私、当然直ちにやるべきですよ。こういう重大な疑惑、報告書の中身読んでも、この根室造船に落とすようなことになっているなんてことは書いてなかったわけですから、これは直ちに明確にすべきだ、この問題について再調査すべきだと。 外務大臣、どうですか、直ちに再調査するとお答えいただきたい。 ○国務大臣(川口順子君) 今、齋藤局長がお話を申し上げたことは、多分決裁文書であったかなというのはちょっと私、今確認ができませんが、思いますけれども、その過程でだれかがペン書きでそこを書き込んでいるということではあるんですけれども、じゃ、だれがどういう経緯でそれを書き込んだかということについて、私、聞きましたけれども、これについてはよく分からない、経緯を語るものは何も残っていないということでございまして、その結果として報告書に、経緯、鈴木議員の関与については明らかではないというふうに書かせていただいたわけでございます。 ○小池晃君 もう、私、この外務省の報告書の中身というのは、私どもが国会で追及したら、はい、そうですと。追及して出てきたら、はい、そうですと。今の問題だって聞かなきゃ分からなかったです。こんなにはっきりした手書きのメモがあったなんてことは私が質問して初めて出てきた。こういう姿勢では真相の解明できないということを申し上げたいと思う。 同時に、ムネオハウスも、これ、取り上げたいと思うんですが、ちょっとその問題で一点お聞きしたいんですが、この外務省の報告の中にある公開された内部文書、内部資料によれば、これ、九九年五月二十七日に鈴木宗男氏がこう言ったということで記載あります。根室管内にムネオハウスを造る場合の企業として、根室管内にBランク以上は何社かと質問しているわけですね。これ、質問している以上、その後もちろん説明に行ったと思うんですが、そのことについて事実関係をお示しいただきたい。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 検討結果を説明に行ったというふうに理解しております。 ○小池晃君 いやいや、どういう中身を説明したのかと。いつ説明に行ったのかということを説明していただきたい。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 二十七日に行ったときのやり取りは公表させていただいたメモにあるとおりでございますが、その結果について、検討結果をいつ報告に行ったかということについては、明確な日にちは覚えていないということであったかと思います。 ○小池晃君 覚えていないというのはどういうことですか。だれが一体覚えていないんですか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) この二十七日に参りました者が、結果を報告したと思うと、しかし日にちは明確に覚えていないと、こういうことだったと思います。 ○小池晃君 これね、これもひどい話ですよ。これ、鈴木宗男さんと同じですよ、答えは。鈴木宗男さん、こう言っているんです。そういう個別の業者の名前の説明を受けたという記憶はございません。外務省はどうか。担当の説明に行った人は覚えていません。両方とも覚えていないと。これは正に鈴木宗男さんと外務省が一体となって真相を隠しているということじゃないですか。 これ、明確に答えていただきたい。これ、説明文書があるんですよ。この外務省報告書の十五ページにちゃんと根室管内は一社だと、渡辺建設工業だと。だから、この内容で説明したに決まっているじゃないですか。これ、説明に行ったということを確認直ちにしていただきたいと思うんですが、どうですか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) その申し上げておりますのは、説明に行ったと思うと、しかし明確な日にちについては記憶にないというのが...... ○小池晃君 中身は。説明内容。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 恐らくこういう形で公告するという話を説明したのであろうというふうに思います。 ○小池晃君 全然だめですよ。鈴木宗男さんが質問しているんです。質問しているんです。根室管内にBランク以上は何社かと聞いているんです。私は、鈴木宗男さんだったらこんな質問したら直ちに催促すると思いますよ、答えを。こんな、黙っているはずないですよ。それに答えたはずなんです。その答えの中身を教えていただきたいんです。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) 最終的な入札参加資格について、こういうことになるという説明をしたというふうに聞いておりますけれども、それがいつであったかということについては、本人は記憶してないということでございました。 ○小池晃君 だめですよ。そんなこと聞いているんじゃないんです。鈴木宗男さんの質問は、Bランク以上は何社ありますかと聞いてるんです。この質問にどう答えたのですかと聞いていますから、私はそう質問しているんですから、それに答えていただきたい。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) この五月二十七日のやり取りについてはそこにあるとおりでございまして、確かにそこで鈴木議員の方から根室管内にはB以上は何社かという質問が出されておりますけれども、その質問に対する回答を後日したのかどうかということについては、今ちょっと確認できません。(発言する者あり) ○小池晃君 どういうことですか。外務大臣。 ○国務大臣(川口順子君) 報告書の十四ページを見ていただきますと、そこの三と書いてあるところですけれども、「現在、以下の案で上げてみることを事務局と共に検討中である」と。「(来週早々にも説明に行く予定)。」というふうに書いてありまして、これが五月二十八日、何曜日か分かりませんが、その後次の週ということでして、そこで何を説明をしたかという内容については、これは外務省で資料を探しましたけれども、そのときの説明をした記録が残っておりませんので分からないんですが、内容は恐らくこの十四ページに書いてあるようなことを御説明をしたんだろうということが推測でございます。 ○小池晃君 推察すれば、推測すれば十四ページじゃないんですよ。十五ページに五月二十七日付けの内部資料があるんですよ。ここに根室管内Bランク一社のみ、こういうこと聞いているんですから、これを説明に行ったのに間違いないじゃないですか。どうですか。 ○国務大臣(川口順子君) 推測としてはそれについても御説明をした可能性あると思いますけれども、確たる、そうであるという記録が残っていないということを申し上げております。 ○小池晃君 さらに、報告書の四ページで、入札参加資格案について鈴木宗男議員に説明し、同議員はこれを了承したというふうにしています。これはいつだったんですか。これは説明の内容は文書になっているんですか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) この了承したということ以外、文書において確認することはできておりません。 ○小池晃君 続いてムネオハウスの問題についてお聞きしたいと思うんですが、ムネオハウスの入札資格の決定について、これは報告書はこう言っているんですね。これは、当初案においては総合評定が千二百点以上であることとされていたのに対して、入札公告においては入札参加資格は同九百点以上とされていると。ここでもやっぱり、最初は千二百点以上だったのが、なぜか九百点以上になった。何でこういう変更を行ったんでしょうか。 ○政府参考人(齋藤泰雄君) この点につきましては我々としても大変関心のあったところでございますけれども、いろいろ文書に当たり、また関係者の聞き取りを行った結果、その経緯についてはこれを明らかにするものは見付かりませんでした。 ○小池晃君 これも同じように重大な問題なんです、さっきのはしけの入札基準の変更と同じようにね。これも分からないで済ませようとしていますが、これなぜ九百点に下げたのか。これ重大な疑惑があるんですよ。 外務省の報告書を見ると、経営事項審査における総合評定の点数は、九九年当時、渡辺建設は九百十六点、犬飼工務店は九百六点なんです。ということは、これで九百点という意味分かるんですよ。やっぱりこの二社に、さっきと同じなんです。さっきは根室造船に落とすためにBまで広げた、今度は渡辺建設に落とすために九百点に基準を下げた、そういうことじゃないですか。(発言する者あり) ○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、その経緯について明らかにならなかったということでございまして、推測の域を出ないと思います。 ○小池晃君 財務大臣、今、そういうこっちゃというふうにおっしゃいましたけれども、やはりそういうふうに思われますね。どうですか、通告していませんけれども。質問に答えてくださいよ。 ○国務大臣(塩川正十郎君) 何かそこに非常に政治的に動いているなという感じですね。 ○小池晃君 いやもう、本当に。 これ、国土交通省にちょっと続けてお聞きしたいんですが、渡辺建設の発注できる工事の金額は、これ九九年当時の基準でいえばどれだけの発注ができたかといいますと、一億円以上二億五千万円未満、そういうことでよろしいですね。 ○政府参考人(林延泰君) お答えいたします。 そういうことで結構でございます。 ○小池晃君 これまた同じなんです。ムネオハウスというのは四億円以上だったんですよ。国土交通省の入札基準でいえば、この渡辺建設の発注基準というのは二億五千万円未満ですから、とても渡辺建設が受注できる仕事じゃないんです。渡辺建設が発注、規模で発注できる工事の二倍以上の仕事なんですね。 これもやはりその入札基準が同じようにゆがめられたわけです。要するに、当初の、もう先ほど財務大臣まで政治的な背景があったとおっしゃいましたけれども、渡辺建設は千二百点では引っ掛からないわけです。だから、九百点まで合格ライン下げて渡辺建設、犬飼工務店に資格を与えたと。そうすると、広がり過ぎちゃうわけですよ。二百社になっちゃった。だから、根室管内に限定をしたと。これで、すべてこの経過が解明されるわけであります。 外務省の報告書というのは、根室管内に限定した過程に、これ根室管内に限定したところは鈴木議員が関与したってはっきり言っているんです。私、これ九百点まで下げたのも、全体の経過を見れば、これは正に鈴木議員が関与したと私見るのが当然の、普通の見方だと私思うんですが、総理、これ、どうですか。私の見方というのはちょっと特殊ですか。普通じゃないかなと思うんですけれども、どうですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私も、確認はできませんが、お話を伺っているとどうも変だなという気がするんですが、確認はできません。 ○小池晃君 私ね、これ、変なんですよ。もう明らかにおかしいですよ。この経過についても、私、徹底的に調査しなくちゃいけないと。 外務大臣、この経過についても、この九百点に下げた経過、外務省報告書では分からないというふうに言っておられるけれども、私はこれは実に怪しいと。ここのところを解明することなしに、この問題での国民の疑問に答えることできないと。外務大臣、是非再調査すべきだというふうに思うんですが、いかがですか。 ○国務大臣(川口順子君) この点は園部参与も非常に関心をお持ちになられて、外務省の持っている資料、あるいは人に話を聞くということで、きちんと調べてくださいました。その上で、これはもう強制権のない調査でございますので、その制約の中で園部参与は最大限の、でき得る限りの調査をやった結果をまとめたものでございまして、そういう性格のものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。 ○小池晃君 そんな説明では到底これは納得するわけいかないわけであります。もう外務省の姿勢は、本当、腰引けていますよ。こんなふうに、だれが見たって常識で考えればおかしいということが一杯残されているのが今の報告書なんです。私、これ、もう徹底的にやり直しをすべきだということを申し上げたいというふうに思います。 同時に、昨日、鈴木宗男議員は証人喚問の中でこう言っております。個別具体的な企業の話はしていないというふうにはっきり言っているんですね。しかし、先ほどの外務省の答弁で、私は、こういうことを説明したというのは一社しかないんだと、根室管内には。それは渡辺建設だということを説明したということにほかならないというふうに思うんです。その点でいえば、鈴木宗男さんの昨日のこの証言は明らかに偽証であるというふうに思います。当委員会においても鈴木宗男衆議院議員を証人喚問するということを求めたいというふうに思います。 ○委員長(真鍋賢二君) 今日の理事会において資料提出等がありましたので、もうこれは返答済みでございます。各党において審議した結果を持ち寄って理事会でお諮りするということになっておるわけでありまして、重ねての質問というふうに受け止める以外、もう質問済みでございます。 ○小池晃君 今朝も要求いたしましたけれども、今日の質疑を通じて新たな事実、私、出てきているということは明らかだと思うんです。そういう点ではやっぱり鈴木宗男衆議院議員を必ず証人喚問すべきだということを申し上げて、引き続き次の問題に行きたいと思うんですが、私、次に取り上げたいのは、コンゴ臨時代理大使のIDカードの発給の問題であります。コンゴの臨時代理大使のングウェイ・ンダンボ氏に対するIDカードが発給されなかった問題、このことについてお聞きをしたいと思う。 これは、着任した外交官に半年以上もIDカードを発給しない、これは結局、ングウェイさんはIDカードもらえないまま、発給されないまま交代をしてしまうわけですね。これは外務省報告、これは正に異常なことだと私は思います。 外務省報告書にこう書いてあります。「外交関係に関するウィーン条約上、臨時代理大使の任命には、接受国の同意は求められておらず、派遣国からの通告があった以上、IDカードを発給すべきものと考えられる」、これはもう当然だと思うんですね。だからこそ、外務省は、これはいったんは方針としてングウェイ氏にIDカードを発給する方針を固めていたと、そういうことでよろしいんですね。 ○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。 通常、臨時代理大使の任命には接受国の同意は求められておらず、派遣国から通告があった以上、IDカードを発給すべきと考えられます。 本件におきましては、前任者であるンガンバニ氏が離任することなく、ングウェイ氏と相争って、それぞれが自ら臨時代理大使であると主張する異常な事態が生じており、こうした事態を解決するためには、異例ではあるものの、あえて本国政府の意向を確認する必要があるとの認識がございました。しかし、その過程におきまして、中近東アフリカ局関係者が鈴木議員の秘書であるムルアカ氏の発言に影響を受けたことは否定もできませんし、また、鈴木議員の発言を受け、同議員に対する配慮を加えて方針を決定したことは問題であり、反省すべきことと考えております。 報告書の中におきましても、内部におきましてングウェイ氏に対するIDカードを発給するとの対処ぶりを内々固めたということは五ページにも書いてございます。それを受けまして鈴木議員の方から発言がございまして、これを、この意見に、発言を受けて同議員に対する配慮を加えまして、方針を改めて決定したということは報告書のとおりでございます。 ○小池晃君 これはいろいろと複雑な事情はあったと言いますけれども、私、経過を見ると、もう何度も何度もコンゴの側は、先方の側は意思は示しているんですよ、新しい方を正式な臨時大使であるという意思は。五月二十九日に口上書が出た。七月十八日にまたングウェイ氏任命の口上書が送られてきている。八月十四日には、駐コンゴ大使にングウェイ氏が臨時代理大使だと大統領府の外交顧問が言っている。八月二十三日にも同じような答えをしている。十月五日にも表明している。そして、ようやく外務省はングウェイ氏へIDカードを発給する方針を固めていたと。だから、これまでの経過だって異常なんですよ、こんなに何度も何度も相手国から言われてようやく出すと決めた。 ところが、今お話があったとおりなんです。方針がまたここで転換するわけですね。鈴木宗男氏が登場するわけです。外務省報告書によれば、そういう説明をしたら、鈴木宗男さんが、適当でないと強い反応を示したというんですね。外務省は方針を転換して、わざわざ審議官がはるばるキンシャサまで行って、それで、ングウェイ氏の臨時代理大使の資質を大いに疑う、あるいは、仮に同人を臨時代理大使として遇することとしてもまともな外交活動ができるかどうか疑問、そういうふうに議論をして、わざわざ派遣して人事の再検討を求めた。 総理、私、これ異常なことだと思うんですよ。国際社会のルールから照らしてこれはとんでもないやり方ですよ。ウィーン条約の明らかに違反じゃないですか。総理はこの経過について、これは重大な国際問題だという認識をお持ちですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) おかしいと思っています。 ○小池晃君 おかしいの一言で済ませていいのかと。笑い事じゃないですよ、これ、本当に。我が国の外交方針が、一議員が介入して、国際社会の、国際法上の、厳密なものではないかもしれないけれども、ルールまでゆがめたと。それで、先方から何度も要請があったのにIDカードを発給しなかった。我が国が国際的な役割、責任果たしたとは言えないという経過だと思うんです。 私、このときの日本政府の対応は明白な誤りであったということをコンゴ政府に伝えて、これ謝罪をするべきじゃないかというふうに考えますが、外務大臣、いかがですか。 ○国務大臣(川口順子君) この問題についての外務省の対応は、常識で考えていきますと非常におかしい不思議な点が様々あります。ウィーン条約との関係をもし御希望でしたら後で御説明をさせていただきたいと思いますけれども、そういったおかしい対応があったということは、私としては誠に遺憾だと思っております。 この点については、やはり日本政府はコンゴ政府に対してきちんと経緯を説明して理解を仰ぐべきであろうと思っております。 ○小池晃君 これ、当然のことです。これだけ国益を損なうようなことをやったということについてきちっと説明する責任が私はあると、そして謝罪する責任もあるということを申し上げたい。 さらに、この鈴木議員の介入による外交方針の転換に大きな影響を与えたという問題では、昨日の質疑でも取り上げられた問題、今日も議論、先ほどされた問題ですけれども、鈴木議員のその北方四島問題での発言について問題にしたいと思うんです。 これは九五年の六月十三日付けの内部文書で、鈴木宗男氏はこう言っていたわけですね。そもそも北方領土問題というのは、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない、我が国は領土返還要求を断ち切って四島との経済交流を進めていくべきなどと述べております。驚くべき発言であります。 昨日の証人喚問では、彼は何と言っていたかというと、北方四島の返還は民族の悲願だと、そんなことを言っていたわけですよね。私どもは四島返還の立場に立ちませんけれども、その私どもの立場から見ても、これは鉄面皮というような態度だと思うんです。 総理は、鈴木宗男衆議院議員のこのような立場、主張、これは正に日本の国益を損なう、私は見過ごすことのできない大問題だというふうに考えておるんですが、認識はいかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この文書にあります発言、「そもそも、北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているに過ぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、戦後五十年もたって返還されないという事実を踏まえ、我が国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めて行くべきと考える。」と。 これは驚くべきとんでもない話で、私も信じられません。これが本当に政治家が、日本の政治家がしたとは信じたくないです。 ○小池晃君 信じる信じないの問題じゃないんですよ。これは外務省、文書で公表しているわけですから、この文書は間違いない。先ほど答弁もありましたけれども、外務大臣、これは事実として間違いないということでよろしいんですね。 ○国務大臣(川口順子君) 先ほどこれを、メモを作ったといいますか、この対話の当人であった人間がそう言っておりました。私としてはそれが事実であったと考えます。 ○小池晃君 総理、事実なんです、これ。だから恐るべきことなんですよ。 そして、鈴木宗男さんというのはただの人じゃなかったわけですね、これ、ロシアとの関係では。これは政府の特使として、与党の代表として何度も何度も行っているわけですよ。それで、プーチンさん、イワノフさん、会っているわけですよ。私、こんな立場でロシア首脳との会談を行ってきたんだとすれば、このようなメッセージをもし送っていたとしたら、これは私、極めて重大だと言わざるを得ない。 これね、これまで鈴木議員が何度も何度もロシアへ行っている。私、行った際にロシアの政府の代表に一体何をしゃべったのか、全部洗いざらい徹底的に調査をして明るみに出す、この当委員会にそのことを文書で提出するということを断固としてやるべきだと。これは国益にかかわる重大問題だと考えますが、いかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) この発言が事実なら私も重大な発言だと思います。あと、国会の対応については国会に任せるべきだと思っています。 ○小池晃君 国会の対応じゃないです。これは政府として重大な外交問題だと私は申し上げているんです。だから政府の責任で、鈴木宗男さんがロシアに行った際に一体どういう発言をしてきたのか、もう一度洗いざらい調査するべきでないかと言っているんですが、どうですか。 ○国務大臣(川口順子君) 鈴木議員がそういう、先ほどのことを自分の部屋でなさったということだろうと思います。 政府の方針としては、今まで申し上げたように、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという方針は変わっておりませんし、鈴木議員が公的な役割を持って外国に行かれたときも、それなりに事前に打合せをしたりして行っていただいていますので、公的な政府の方針について御協力をいただき、御発言をいただいたものと承知をしております。 ○小池晃君 駄目ですよ、そんなんじゃね。公的な立場で行ったと。私的な立場でも行っているときだってあるわけです。そういうときに鈴木宗男さん、どういうふうに見られるか。これは、日本政府のロシア問題の一番の専門家だと、日本政府の意思を、メッセージを伝える人だと、そういうふうに見ているわけですよ、相手は。 だとすれば、彼がロシア訪問した経過については、これは洗いざらい徹底的に調べる、最低限やるべきことじゃないですか。このくらいやると言って当然だと私は思いますよ。財務大臣もうなずいていらっしゃる。是非そういうふうに答えていただきたい。 ○国務大臣(川口順子君) 鈴木議員が公的な役割を担って行かれたことについては、それなりに事前にどういうラインの御発言をいただくかというようなことも打合せをいたしております。それについては、政府のラインで、対処方針で対応していただいたというふうに私は承知をしております。 ○小池晃君 これでは納得できません。国民は納得しないと思います。 総理、総理に答えていただきたい、やっぱり。これは政府の責任で、私は、外交というのはこれは総理の重大な専管事項ですよ。やはり総理の責任でこれはやはり調査するというふうに答えるのが国民に対する私責任だと考えますが、いかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは鈴木議員に確認したわけではありませんが、今、この外務省の資料で事実なら私もこれは看過できないと思っておりますし、この発言に政府は影響されません。一貫して領土返還要求は行っていきますし、たとえ鈴木議員がこのような発言をしても、外務省も政府も影響されるものは何もない、全くないということを御理解いただきたい。 ○小池晃君 こんなことも答えられないのかというふうに私はあきれてしまいますが、これはやはり国民に対してきっちり責任、どういう経過だったのか説明する責任が私はあるということを申し上げて、もう一つ質問したいんですが、今日、実は秘密指定文書を外務省は一杯持っていたようでありますけれども、秘密指定解除をしたものは出してほしいというふうにお願いをいたしました。 そうしたら、先ほど私のところに四通ばかり秘、無期限と書いてあって、秘密指定解除とされた文書が送られてまいりました。ちょっと言っただけでこれだけ出てくるんだと。外務省というのは、こういう一つ一つの、これ、見ると、中身を見ると、それほど国家の外交上の重大な秘密が含まれている文書とは思えないような中身のものがマル秘、無期限となっている。外務省というのは何か倉庫でもあって、マル秘文書が一杯、山のように積んであるんですか。こんなふうに一杯、外務省というのはあるんですか。こんな中身の文書まで、政治家との個々の、個別の本当に細かいやり取りまで秘密文書ということで扱っているんですか。 ○国務大臣(川口順子君) 文書規程がございまして、それにのっとって外務省の職員は行動をするということでございます。 それで、その具体的な文書が秘になっているということは、今ちょっとどの文書のことをおっしゃっているか分かりませんけれども、通常、相手の方がいて、その方との関係で、会話を表に出すということがふさわしくない場合には秘扱いという判断を、それぞれしかるべき立場の人間がこれはやることになっております。 ○小池晃君 私、この文書を見ると本当に驚くんですよ。 六月十三日、例の、今議論した北方四島に関する鈴木宗男氏の発言が書かれているわけです。ここで鈴木宗男氏がプレハブ診療所について強い、激しい口調で必要性について指摘をしたと。そうすると、これは参事官が行っているわけですね、十三日は。そうすると、翌日の文書、六月十四日。これは欧亜局長が慌てて鈴木さんのところに説明に行くわけですよ。中身を見ると、プレハブ診療所については是非実現するようにという大臣の指示があったので、貴議員にお伝えしたいと。もう一日で態度変更しているわけですね。 私、これを見て本当に、こういう経過があったのかということにあきれると同時に、まだまだこのような文書が外務省の中にはあるのかということについては、こういう鈴木さんとの、鈴木宗男議員との個別のやり取りも含めて、もう洗いざらい徹底的に調査をするということを求めたいというふうに思います。 最後に、ムルアカさんという鈴木さんの秘書の、私設秘書の問題についてお聞きをしたいと思います。 鈴木宗男さんの問題というのは、外務省、防衛庁だけじゃない、もう各省にまたがっているということを私、この問題で実感をいたしたわけです。 鈴木宗男さんの私設秘書であるムウェテ・ムルアカさん。実はこの方には旧科学技術庁から奨学金が支給されていたと思うんですが、ムルアカさんはいつからいつまでこの奨学金を受け、その受給総額というのは一体幾らになるんでしょうか。 ○政府参考人(山元孝二君) お答えいたします。 旧科学技術庁におきますSTAフェローシップ、この制度に基づきましてムルアカさんが、ムルアカ氏がフェローをいただいている期間でございますが、平成十一年の三月三十一日から平成十三年三月三十日までの二十四か月でございます。そして、支出金額でございますが、二年間でございますその間の生活費、家族手当及び住居手当、二年分総計一千八十三万円が支払われております。 ○小池晃君 これまた驚くべきなんですよ。ムルアカさんというのは、これは受けていた奨学金、今御説明がありましたSTAフェローシップ制度というんですね。これは、対象年齢は三十五歳以下じゃないんですか。 ○政府参考人(山元孝二君) 先にSTAフェローシップ制度の趣旨を一言申し上げさせていただきますと、本件は、若手外国人研究者に我が国で研究活動を行う機会を提供しようということで、昭和六十三年度から続けられている制度でございます。 本件につきましては、旧科学技術庁所管の特殊法人でございます科学技術振興事業団、ここにおいて実施されているものでございます。 この科学技術振興事業団におきます資格要件の中で、年齢上の制限は、原則として年齢は三十五歳以下であることということになってございます。 ○小池晃君 これ、ムルアカ氏は受給開始当時、三十八歳なんです。そもそも資格に疑問があるわけです。これは例外もいるそうですから、このことについては余り突っ込まないようにしましょう。 でも、更に重大なのは、当時、ムルアカさんは何をやっていたか。これ、九九年からでしょう。九八年十二月二日の朝日新聞、もうしっかり紹介されていますよ。「鈴木宗男官房副長官の秘書、ジョン・ムウェテ・ムルアカさん」、「二〇九センチの長身を原色のスーツでかため、国会内を走り回っている。」と、新聞でもう堂々と公開されている。テレビにも出演している。もうだれから見ても、これ、鈴木宗男さんの秘書だとしてもう既に有名な方であります。その方に二年間で総額一千八十三万円の奨学金、今説明がありました。この項目を見ると、往復交通費、生活費、家族手当、住居手当。 私、こんなふうに内閣官房副長官の私設秘書としてもうだれでも知っているような、新聞にも出るような、秘書といったってみんなそんな新聞に出たりしないんです、もう有名な秘書だったわけです。そういう人に内閣官房副長官の、文部科学大臣にお聞きしたいんですが、内閣官房副長官の私設秘書に対して奨学金が出されていた。私、こんなことが許されるのかと、お伺いしたい。 ○国務大臣(遠山敦子君) このフェローシップ制度の目的につきましては先ほど局長が御説明したとおりでございますけれども、私、また調べてみましたところ、科学技術振興事業団によりますと、ムルアカ氏は肺内の粉じんの測定方法に関する研究というのを長年行ってきたそうでございます。これは、コンゴにおいて鉱山の労働者の健康に資するためということでございまして、そして、このフェローシップを出しますには受入れ機関がしっかりしていないといけないということで、それを放射線医学総合研究所が引き受けるということで、そのことについての確認を行い、その上でJSTに対して平成十一年二月にSTAフェローシップの申請がなされたと聞いております。 STAの方では、私設秘書としてのムルアカ氏ではなくて、研究者としてのムルアカ氏の内容について審査をしたというふうに聞いております。 ○小池晃君 あのね、どんなに研究していたか知りませんよ、優秀な研究者か知りませんよ。それはそれでいいと思う。秘書なんですから、ムルアカさんが鈴木さんの秘書だということは周知の事実だったんですから。私、こんなことで、研究やっていたからですということで、とてもこんなの正当化できるものじゃないというふうに思いますよ。 私、この奨学金というのは、言ってみれば鈴木宗男さんの私設秘書の給与を、これはSTAフェローシップの原資は国の一般財源から、国の税金から出ているわけですから、これ、国が税金で鈴木宗男さんの私設秘書の、総理、ちょっと聞いていてくださいね。これ、鈴木宗男さんの私設秘書の給与がこれは言ってみれば事実上国の税金から出ていたということになるじゃないですか。これは私、重大な問題だと思う。 総理、この支出は異常だと、この給与、奨学金を出したということは、私、異常なことだと思うんですが、総理いかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、研究者として授与資格がある、だからこのフェローシップ受けていたというんだったら問題ない。しかし、私設秘書だから受けていたというんだったら問題ある。しかし、研究者として優秀だというんだったらば、これは私は問題ないと思うんですけどね。 ○小池晃君 驚くべきです。私は、これは異常だと総理は言うと思っていました。これはどう考えたって、それはもちろん研究者であるかもしれない、でも、それは申請するときに秘書ですと言って申請するわけないじゃないですか。研究者として申請しているわけです。でも、どう考えたって、この方に国の税金から往復交通費、生活費、家族手当、住居手当に当たる一千八十三万円を支出する理由、私はないと。だって私設秘書なんですから。何かだれも知らない、ひっそりとやっている私設秘書だったら分かります。もうテレビに出たり新聞に出たりしている、そういう人に対して出した。私は異常だと思いますが、いかがですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、私は今言っているでしょう、研究者として優秀だったらばこれは問題ない、しかし、私設秘書だからという理由でやったならばこれは問題だと。事情をよく調べてみなきゃ分かんないじゃないですか。 ○小池晃君 すり替えですよ、すり替えています、すり替えていますよ。私は、これ、私設秘書だから出したなんて、そんなこと言っていない。研究者として出したのかもしれない、でも、事実上だれが見たって私設秘書とはっきりしている人に出したのは問題ではないかというふうに聞いているんですから、はっきり答えてください。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それはどういう資格で出すかというのは、文部科学省よく調べてください。 ○小池晃君 私、こういうことに対してもきっぱり物を言えない。もう小泉さんというのは、自民党政治変えるんだと、正しいことは正しいんだと、間違っていることは間違っているんだと言う人かと思ったけれども、こんなことまで間違っていると言えない。もうあなたの言う改革がでたらめだということ、私よく分かりましたよ。 私、今度の問題ではっきりしたのは、汚染されていたのは外務省だけではないと、もう霞が関全体が宗男ウイルスに汚染されていたんだということが私ははっきりしたというふうに思います。 この問題について徹底的に国会で究明する、これ国会の責務だということを申し上げて、私の質問を終わります。 ○委員長(真鍋賢二君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)