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153-参-厚生労働委員会
雇用臨時特例法案に対する反対討論
2001年12月6日


 私は、日本共産党を代表して、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。

 先日発表された十月の完全失業率は、過去最高の五・四%に達しました。新規求職者のうち事業主都合による離職が前年同月よりも四六・五%もふえ、リストラ離職が深刻化しています。今こそ、大企業の身勝手なリストラ・解雇を規制し、サービス残業を根絶するなど、雇用を守るための実効ある施策が求められています。しかし、本法案にはそのための具体策が何一つありません。

 反対する第一の理由は、そもそも本法案が不良債権の早期処理による新たな失業者の増加を前提にしたものであり、失業者をふやさないための施策は何ら講じられていないからであります。

 政府は、本来、労働者の雇用確保に責任を負うべき立場にあります。しかし、その政府が、不良債権処理のためには中小企業の倒産を当然とし、企業存続の危機とは無縁な大企業が転籍や希望退職の名目で事実上の大量の整理解雇を進めることを野放しにしています。これでは史上最悪の雇用情勢はますます深刻になるばかりであります。

 第二の理由は、中高年労働者の派遣期間を三年間に延長する派遣労働のなし崩し的な拡大が雇用を一層不安定にするものにほかならないからであります。

 一般派遣の期間を一年に制限していたのは常用雇用の代替を防止するためというのが政府のこれまでの説明でしたが、本法案により、それすら全く骨抜きになります。厚生労働省のアンケートによれば、派遣労働者が現在行っている業務の七割以上が以前は常用労働者が行っていた業務であります。派遣労働が常用雇用の代替となっていることは既に実態で明らかであるにもかかわらず、本法案によってさらに派遣期間が延長されれば、常用雇用の代替が今まで以上に進行します。

 政府は、派遣労働はあくまで選択肢と言いますが、弱い立場の中高年労働者にとっては、本当に選択したい常用雇用の場はますます狭まります。常用雇用を減少させ、不安定雇用に置きかえるようなやり方では、中高年労働者の雇用不安は解消どころか、高まるばかりであります。

 派遣期間の延長は、企業にとっては派遣労働者を一層受け入れやすくするものにほかなりません。不安定雇用の拡大だけでなく、偽装請負などの違法行為もはびこっている現状で、政府が約束していた労働者派遣事業の実態の調査、検討もせずに、財界の要望だけで派遣労働のなし崩し的な拡大を行うことは、労働行政の責任を投げ捨てたものと言わざるを得ません。

 本法案は、雇用保険法の訓練延長給付など改善の部分もありますが、全体としては派遣法の歯どめすらなくし、不安定雇用を一層拡大しようとするもので、到底賛成するわけにはいきません。

 最後に、日本共産党は、サービス残業の根絶や解雇規制法の制定など、労働者の雇用を守るために引き続き全力を挙げることを表明し、反対の討論とします。
 

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