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153-参-厚生労働委員会
児童福祉法改正案に対する反対討論
2001年11月22日


 私は、日本共産党を代表して、児童福祉法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の理由の第一は、待機児童の解消のためには公的責任の強化こそ求められているのに、本法案は国の責任を後退させるものであるからであります。

 男性も女性も、仕事と子育てを両立させるために、保育所の待機児童の解消は緊急の課題です。待機児童数は昨年十月時点で五万六千人、最初から入所をあきらめている潜在的な待機児は十万人から十五万人と言われています。保育所整備の計画を持たず、保育士配置基準や面積基準は五十年前のまま、保育運営費の予算の比率を後退させてきた政府の責任は明らかです。待機児童解消のため、緊急に政府の責任で保育所整備を進めるとともに、最低基準を改善し、保育所運営費の国の負担率を早急に十分の八に戻すべきです。

 ところが、自民、公明、保守の与党三党が提案した本法案は、待機児童の解消を公的責任の強化ではなく、株式会社などの企業にゆだねて安上がりに進めようとするものです。子供を預けたくても預けられないという国民の願いに正面からこたえるためには、政府の責任による保育の整備、改善こそ中心に据えるべきです。

 反対の理由の第二は、営利企業の参入により、保育の質の低下が懸念されることです。

 これまでも通達により株式会社への業務委託が認められてきましたが、本法案により社会福祉法人以外の民間事業者の参入が一層強力に進められます。さらに、今年度中に関係通達の規制緩和を行い、営利企業の利潤追求を認める検討がされていますが、このままでは人件費の削減による労働条件低下や保育の質の低下につながるのは必至です。参入した企業の撤退にどう歯どめをかけるかも明確でありません。こうした方向は、安心して預けられる保育所をという父母の切実な願いに逆行するものであります。

 反対する理由の第三は、保育所整備へのPFI方式の導入により、営利企業に公的財産が提供され、公費である運営費が株式配当に回される可能性が生まれることです。

 以上、今後の保育所のあり方に重大な変更をもたらす法案であるにもかかわらず、関係者、関係団体の意見を聞く場も設けず、わずか二時間余りの議論では全く不十分です。これでは到底立法府の責任を果たしたとは言えません。

 従来から我が党も提案してきた認可外保育所の届け出制や保育士の法定化、児童委員の法定化などは当然必要な改正ですが、同時に認可外施設への財政支援なども欠かせません。全体として、待機児解消、保育所増設という国民の切実な要求に対する国の責任を棚上げにし、保育を市場原理にゆだね、公的保育制度の解体をもたらす本法案には賛成できないことを申し述べ、反対討論を終わります

 

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