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153-参-外交防衛委員会-3号
2001年10月25日


○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本日は、テロ特措法とともに提出されている自衛隊法の改正についてお聞きしたいと思います。
 今回、現行憲法九条、前文のもとで初めて防衛に関する秘密保護規定、これが設けられると。漏えいした場合には五年以下の懲役という厳罰に処すということであります。さらには、対象をこれは防衛庁、自衛隊だけではなくて民間人にまで拡大しようとしていると。この問題点についてきょうはただしたいというふうに思います。
 まず最初に防衛庁長官にお伺いしますけれども、今回なぜこのような防衛秘密条項を設けたのか、そのきっかけといいますか、なぜ設けたのか、お伺いしたい。

○国務大臣(中谷元君) これは昨年、防衛庁の部内におきまして、幹部自衛官が外国の駐在武官に我が国の防衛上必要な資料を渡したという犯罪行為がございまして、やはりこれは冷戦時代で非常に各国との交流も深まって、何らかのルールをつくる必要があるというふうに思っておりまして、そのためにはその根元から考えなければならないという認識のもとに、新たに防衛庁長官が防衛秘密というものを指定をし、そしてそれを取り扱う者を指定をいたしまして、その者が秘密の漏えいがあった場合に法律によって罰するというふうにいたしたのが今回の法律改正の理由でございます。

○小池晃君 この事件は、防衛庁職員による機密漏えい事件であります。民間人が起こした事件じゃないんです。それなのに今回の法案では、秘密漏えい罪の正犯の対象者は、「防衛庁との契約に基づき防衛秘密に係る物件の製造若しくは役務の提供を業とする者」ということで、民間企業の従業員にまで広げている。
 民間企業の従業員にまで対象を広げた、その理由は一体何なんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) やはりその漏えいが、根元から考えないと、防衛庁の職員だけ気をつけていても、その防衛上必要な秘密を業務とする人が漏えいをした場合に、もう取り返しのつかないような事態も発生するわけであります。今さら指定された秘密の内容を変更できないような場合もありまして、我が国の安全保障上支障が出るというケースもございますので、現時点において、防衛庁との契約に基づいて防衛秘密に係る物件の製造とか役務の提供をしている者に限りましてそういった秘密の漏えい行為が起こらないように、そういう必要性が生じまして、今回その罰則の対象者というふうにいたしたわけでございます。

○小池晃君 おかしいと思うんですね。きっかけは防衛庁職員が起こした事件なのに、対象を防衛庁職員以外にまで広げたということ、大変不思議に思うわけであります。
 この規定、先ほどの規定がありましたけれども、これに該当する民間企業の数というのは一体どれくらいの数になるんでしょうか。

○政府参考人(首藤新悟君) お尋ねの民間企業数という趣旨でございますが、これは、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者として防衛秘密の漏えいに係る罰則の対象者、すなわち正犯でございますが、これとなり得る民間人が属する企業の数という趣旨でございますと、この防衛秘密は、今お願いしてございます自衛隊法改正案の施行以後に現行の守秘義務に係る秘密の中から一定の要件に該当するものに限って選び出すということになりますので、現段階においてお答えすることは困難でございますけれども、なお、ちなみに、平成十二年度に防衛庁と中央調達によります契約実績がある企業は八百三十四社でございますけれども、この中で秘密保全に関する訓令に基づき指定された秘密、いわゆる庁秘を保有しております企業数は、平成十三年六月末現在で六十一社でございます。

○小池晃君 既に秘密となる契約を持っている企業だけで六十一社あると。それから、調達契約がある八百三十四社ということでありますが、この八百三十四の中にもさらに防衛秘密の契約の対象となる企業が出てくる可能性が私はあると思うんですが、いかがですか。長官いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) それ以外。──ちょっと政府委員から。

○政府参考人(首藤新悟君) ただいま申し上げましたとおり、防衛秘密の対象というのは、現行の守秘義務に係る秘密の中から一定の要件に該当するというものに限って選び出すことになりますことからいたしまして、防衛庁と中央調達の契約実績がある企業の中で防衛秘密を取り扱うことを業務とする者として防衛秘密の漏えいに係る罰則の対象者、すなわち正犯になり得る民間人が属する企業の数というのは、したがいまして限定的なものになると。そう大きなものになるというふうには考えておりません。

○小池晃君 そう大きなものになるとは限らないとはいっても、六十一社というのが既にあると。しかも、その八百三十四という対象にまで広がっていく可能性があるわけであります。こうした企業の家族なども含めた関係者も含めれば、この処罰対象に加わってくる人数というのは相当の数になることが私は予想されるだろうというふうに思うんです。
 長官に引き続きお伺いしますけれども、今まで民間人が防衛情報を漏えいしたという事案はあるんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 外務省に関しては事件が発生したことはありますけれども、防衛庁の防衛情報に関する機密の漏えいの事案はございません。

○小池晃君 ないわけであります。ですから、これまで漏えいしてきたというのは、いわば身内の不祥事なんですね。みんな防衛庁の職員が漏えいしてきたと。
 昨年十月の二十七日に、防衛庁の秘密保全等対策委員会報告書、「秘密保全体制の見直し・強化について」と、これ出ております。これも読んでみましたけれども、これ全文通して見ても、民間人の問題、民間人による防衛秘密の漏えいという問題については一切言及がないと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(首藤新悟君) 今、手元にその先生おっしゃいました報告書、申しわけございません、ございませんが、私の記憶では、主として自衛隊員による秘密の厳守といったようなことが中心だったと存じます。
 しかしながら、先ほど大臣の方から申されましたように、根っこから防衛秘密の漏えいを防ぐということからいたしまして、今回、企業においてこの防衛秘密を取り扱う者に限りましてはその正犯の対象とするということにしたものでございます。
 先ほど先生おっしゃいました、民間人の方の家族も含めると大きな数になるとおっしゃいましたが、家族の方はここで言う業務とする者には入りませんので、あくまでもその会社において、あるいは工場においてこういった防衛秘密を取り扱うことを業務とする者、つまり会社員の方々に限られるということでございます。

○小池晃君 基本的にすべて長官に聞くと事前に通告しておりますので、必要があれば私求めますけれども、基本的に長官にお答えいただきたいと思います。
 今お話あったように、民間人の問題に触れていない、十月二十七日の報告書にも触れていないわけです。
 さらに、防衛庁の秘密漏えい事件調査報告書も拝見しました。これは、例のこの法案の提出のきっかけとなった事件の調査報告書ですね。これ、私、読みましたけれども、本当にひどいと思うんですね。コピーはしたい放題だと、民間企業のコピー機使ってコピー勝手にしているんですよ。極秘、機密の文書だって簡単にコピーしている。それから、フロッピーディスクもMOも自宅に持ち帰っているわけですね。こういうずさんな管理がされている。
 私、これ、そもそも法案をつくるきっかけというのは、こういう本当に民間人に関係ない事件であった。それ以外でも、この事件以外でも民間人による機密漏えい事件というのは起きていない。しかも、昨年十月の報告書でも民間人の問題など全く触れていない。今まで起こった事件、みんな防衛庁職員の身内の不祥事だと。ということでいえば、今回の法案で民間人を処罰の対象とする必要など私は全くないというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) 民間人の方も非常に細心の注意を払ってやってきていただいているわけでございますけれども、やはり基本的にこの秘密が漏えいすることの大きさをかんがみますと、ただ単に防衛庁の職員が責任をしっかりするというのみならず、やはり防衛庁としても、民間の人が万が一秘密を漏えいした場合の事の重大性と、またそのことに対する責任を負う立場といたしまして、防衛庁といたしましても、何らかのルールをつくって罰則を強化するということが責任ある仕事が果たせるのではないかということを検討いたしまして、今回その業務を行う方についても罰則を適用したわけでございます。

○小池晃君 非常に説得力ないと思います。きっかけとなった事件もそうでないし、民間人による漏えい事件も起こっていないのに、民間人までいきなり広げる。これは、民間人を処罰対象とする法案を出してきた背景には一体何があるのか。
 昨年十月にいわゆるアーミテージ・レポートが出ております。ここでは、アメリカの防衛技術の日本への優先的移転、米国の防衛産業が日本企業と戦略的同盟を結ぶよう奨励するということがうたわれている。日本の指導者たちは機密情報を保護する法の立法化に向け国民の支持と政治的支持を得なければならないとアーミテージ・レポートでは強調されている。
 中谷長官はことし一月に山崎自民党現幹事長とともに訪米をされている。そこでアーミテージ氏とも会っております。中谷長官のホームページも拝見しましたけれども、アーミテージさんと握手している写真を大きく載せているわけであります。ここで民間人も含む機密情報の保護法の立法化というのは要求があったんじゃないですか。
 中谷長官は二月二十七日の衆議院の安全保障委員会で発言の中で、アーミテージさんに会った、あるいはNSCのアジア部長のパターソン氏に会った、このことを認めておられる。認めるというか、堂々と語っておられるわけですね。アーミテージ・レポートの内容をるる説明をして、最後にこう言っているんです。「今後さらにこの進捗のために、政府としても真剣にレポートの内容等もとらえていただきたい」、非常に熱意を込め語っておられる。
 私、このアメリカから防衛産業も含めて機密情報保護をきちっと立法化せよという要求が、やはり今度のこの法案の背景にあるというふうに思わざるを得ないんですが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) 二月二十七日には、アーミテージ氏と面会をしたのは事実でありますけれども、その際話をした内容は、非常にこれからの日本の国の歩むべき姿勢についてどうあるべきかということで意見交換をしたわけでありますが、そのときに特に言われたのは、今までの役割の分担ではなくて、責任の分担をしていくことが大事だというふうな大きな話でありました。
 この秘密漏えいとは直接言及したお話はございませんでしたけれども、このお話の中でも、責任の分担という点においては、我が国としての安全保障に対する責任、これは非常に重いものがありまして、この秘密を守るということも我が国の責任の一環でありまして、防衛庁といたしましては、防衛上必要な防衛秘密においては、防衛庁が責任を持って守る必要があるというような、現在においては認識を有しているわけでございます。

○小池晃君 やはりこの一つの背景としてあるということだと私は思うんです。
 さらにお聞きしたいんですけれども、これは参考人で結構ですけれども、現行法のもとで防衛に関する情報の保護というのは今どのように行われているのか、ちょっと御説明願いたいと思います。

○政府参考人(首藤新悟君) 現行の自衛隊法では、守秘義務という、服務規律の中に守秘義務がございまして、知り得た隊員はその知り得た秘密を、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない、隊員をやめた後も同様であるということで、それに違反した場合には一年以下の懲役または三万円以下の罰金ということになっているわけでございます。

○小池晃君 その法律の仕組みをちょっと説明していただきたいんですけれども、そこのところをちょっとお願いします。

○政府参考人(首藤新悟君) 現行自衛隊法では、まず保護法益といたしましては、自衛隊の保有する秘密でございますけれども、服務規律維持を目的としております。それから、対象者、すなわち正犯は職務上秘密を知り得た自衛隊員でございます。それから、罰則規定は一年以下の懲役または三万円以下の罰金。なお、未遂及び過失漏えいは処罰しないと。それから、共犯等の処罰範囲等でございますが、企て、教唆、幇助については一年以下の懲役または三万円以下の罰金というふうになっております。

○小池晃君 国家公務員法をベースにして、自衛隊法で知り得た情報に対する機密規定があると。その上で訓令というのがあると思うんですが、その関係はどうなっているんでしょうか。

○政府参考人(首藤新悟君) 防衛庁長官によりまして秘密保全に関する訓令というのがございまして、その中ではいわゆる庁秘については、機密、極秘、それから秘と三段階に分けた上で、それの取り扱いに関する規定などが定められているということでございます。
 もっと具体的に──よろしゅうございますか。

○小池晃君 いや、いいです。
 そういう現行法のもとでの制度がある。今回の防衛秘密規定の新設と、今までの現行法のもとでの防衛秘密の扱い方というのは基本的にどこが違うということになるんでしょうか。


○政府参考人(首藤新悟君) まず、保護法益が、先ほど申しましたとおり、今の自衛隊法では服務規律維持を目的としておりましたけれども、今回の法案では自衛隊の保有する特に秘匿が必要な一定の秘密、すなわち防衛秘密にしておりまして、ここが秘密保護を目的とするということでございます。
 それから二番目に、対象者としては、現行では自衛隊員に限っておりますが、今回の法案では、防衛庁職員に加えて、「国の行政機関の職員のうち防衛に関連する職務に従事する者」、さらには「防衛庁との契約に基づき防衛秘密に係る物件の製造若しくは役務の提供を業とする者」というのが追加されております。
 また、罰則規定につきましても、現行法では一年以下の懲役または三万円以下の罰金が今回五年以下の懲役というふうになっておりますし、さらに現行では未遂、過失漏えいが処罰しないのに対して、未遂、過失漏えいも処罰となっております。
 それから、国外犯規定は現在ございませんけれども、今回は日本国民の国外犯について規定しているというようなところが違いでございます。

○小池晃君 本法案で言う、大臣にお伺いしたいんですけれども、今度出されている法案で言う防衛秘密というのは一体どういうものなのか、何か。一体どういうものが防衛秘密になるのか、御説明願いたいと思います。

○国務大臣(中谷元君) 自衛隊の改正法案の中に別表四というのを記しておりますけれども、自衛隊の運用等の見積もりとか研究、計画、また電波情報、画像、そして武器、弾薬、航空その他の種類とか数量とか、暗号とか通信網の構成図とか、そういう項目を十項目列挙しておりますけれども、この中でさらに公になっていないもの、さらにこの中で防衛上特に秘匿をすることが必要であるものと、さらにその中で防衛庁長官が指定したものということになっておりまして、この防衛庁長官の指定によって秘密の範囲を明確に定めまして、現行の守秘義務に係る秘密の中からさらに防衛秘密の要件に該当するものに限って選び出すというふうに限定をいたしております。

○小池晃君 限定していると言いますけれども、この十項目では余りに網羅的で、何が限定されるのかはわからないですね。これは長官の専権事項で指定をするということであれば、やはりどういう基準で指定されるのかというのは極めて重要だと。この防衛上特に秘匿することが必要なものというのは一体どういう意味なんですか、それでどういう基準でそれは指定されるんですか。長官、お答え願いたいと思います。

○国務大臣(中谷元君) 防衛に該当するものの中で特に秘匿の程度が高いものという概念で、それぞれ業務をしている担当の者から、これは秘匿に値するというものを総合的に挙げさせまして、その中から我が国の防衛上特に秘匿することが必要だというふうに決定をいたすわけでありますけれども、具体的には、それを秘匿しなければ、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対して我が国を防衛するという自衛隊の任務の円滑な遂行に支障を生じるおそれがあるということを意味するものでありますし、また実質秘というものがありますけれども、非公知性と秘匿の必要性の二つの要件が必要でありまして、防衛秘密においてもこの二つの要件は当然に必要でありますが、秘匿の必要性については、単なる秘匿の必要性だけでなく秘匿度が通常以上に高いものであることが必要であるということから、我が国の防衛上特に秘匿することが必要であるというものにしているものでございます。

○小池晃君 直接侵略、間接侵略と言われましたけれども、この十項目には警備が入っていません。それは一体なぜなんでしょうか。

○政府参考人(首藤新悟君) まさに防衛庁の主たる任務でございます防衛という観点から防衛秘密というものを指定したわけでございまして、警備というのは防衛庁の一番主たる任務ではないということから、また防衛独自の秘密というのはやはり防衛秘密であるという観点から、警備は除いて防衛秘密というものに限ったわけでございます。

○小池晃君 いずれにしても、先ほどの説明でもどういう基準で指定されるのかというのは極めて不明確だと思うんですね。
 指定された後の問題なんですが、これは標記か通知がされるということになっておりますけれども、これは標記とか通知というのはどのように行われるのか、これはだれに対して標記、通知するのか、お答え願いたいと思います。これは参考人でも結構です。

○政府参考人(首藤新悟君) 具体的な方法は、この法案が成立しました後は政令などによりまして具体的な標記の様式あるいは大きさとか、いろんな細かいことは決めていくことになると存じます。現段階ではまだ具体的に固まっているわけではございません。

○小池晃君 どの事項に標記なり通知なりがなされたかということは、これは公開されるんですか、されないんですか。あるいは、何件、件数はどのくらいになったのかというのは公表されるんですか、されないんですか。イエスかノーかでお答え願いたいと思います。

○政府参考人(首藤新悟君) 今回の改正案におきましては、標記あるいは通知によりまして防衛秘密と指定することにしているわけでございますけれども、個別の指定にかかわる標記あるいは通知行為について公開することは考えておりません。

○小池晃君 結局、何が防衛秘密とされたかは国民にはわからないわけですね。さらに、まともな基準もない。
 これ一体幾つぐらいの数になるのかということで確認をさせていただきたいんですけれども、先ほど御説明ありました。現行でも防衛庁の訓令で秘密事項の指定がされている。現在、防衛庁の訓令で秘密とされているものの数、現在の機密、極秘、秘の数でお示し願いたいと思うんです。

○政府参考人(首藤新悟君) 秘密保全に関する訓令に基づいて指定された秘密、いわゆる庁秘のうち、機密は約二千二百七十件、極秘、約一万一千三百五十件、秘、約十二万一千四百二十件で、合計が約十三万五千四十件でございます。

○小池晃君 膨大な数なんですよ。私、こうしたものが今後防衛秘密になっていくとすれば、大変な数の情報が秘密というふうにされる。これが全部そのまま今回の法の中では防衛秘密というふうになっていくのか。この三つの区分というのはそのまま移行していくんですか。どれぐらいの数になっていくと考えられるのか、それをお示し願いたいと思うんです。

○政府参考人(首藤新悟君) まず、最後の御質問のどのぐらいの数というのは、現在具体的な数を申し上げられる段階にはございませんが、今申し上げました合計の十三万五千四十件、これがそのまま防衛秘密になるということは常識的に考えられません。
 先ほど大臣の方から申されましたような、四つの条件から絞り込んでいって該当するものを防衛秘密として指定するということになりますので、この十三万五千件の中でも限られたものが防衛秘密になるということと認識いたしております。

○小池晃君 機密と極秘、この部分というのは、これは防衛秘密というふうになっていく可能性が高いと、長官、そういうことでよろしいんですか。あなたが決めるんですよ、だって。

○国務大臣(中谷元君) この法律が成立いたしますと、それらの実施の方法につきましては政令等で定めまして運用していきたいと思いますが、機密と極秘がすべて防衛秘密に指定されるというふうなことではございません。

○小池晃君 全く今の答弁じゃ納得できませんよ。やみの中ですよ。
 今、十三万件ある、これだけの数の機密があると。それがどういうふうに扱われていくのか、その三つの区分はどうなっていくのかすらお答えになりませんでした。機密と極秘だけ合わせても一万件を超えるということになりますから、これは大変な数の情報が秘密のベールに包まれると、まさに、そういう危険があると。
 さらにお聞きしたいんですけれども、これは防衛庁長官によって指定されると。一たん防衛秘密というふうに指定された場合に、それがその後指定した事項の妥当性ということが検証されるということはあるんでしょうか。長官、お答え願いたいと思うんです。一たん指定された後、解除されたり妥当性を検討する仕組みがあるのか。

○国務大臣(中谷元君) この改正案で別表の四に項目を挙げておりますが、それらの要件を満たしたものを、特に秘匿が必要なものを指定するわけでございますが、この指定された事項がこれらの要件のいずれかを満たさないということになった場合にはこの防衛秘密ではなくなるわけでありまして、法律上は防衛秘密の指定の解除の規定を設けておりませんけれども、政令によりまして具体的な解除の手続について定めることを検討といたしております。
 また、防衛秘密の指定を解除する場合としては、例えば防衛秘密として指定された事項が防衛秘密としての要件を満たしている場合であったとしても、この事項を公にすることによって得られる利益がそれより、我が国がこうむる不利益よりも大きいと判断した場合は、この指定の解除をするということもあり得ると考えております。

○小池晃君 逆に、その利益がないと考えれば指定の解除をしないということもあり得るわけですね、大いに。
 要件を満たす、満たさないというのは、最初に指定をするのは防衛庁長官の専権事項だと。では、その要件を満たさないというふうに判断する判断権者はだれなんですか。

○国務大臣(中谷元君) これは情報公開法等がございまして、一般の国民の皆さんからこの情報はどうだというようなことで手続を踏まれて司法の場に持ち込まれましたら、その司法の場においてその防衛秘密が犯罪の、その防衛秘密についての是非についてはその司法機関において判断されるべきものだというふうに考えております。

○小池晃君 これはひどいと思いますよ。だって司法というのは事後審査なんですから、個別の事件、事案に対する判断にすぎないわけですよ。防衛庁長官による秘密指定の全体としての妥当性をチェックするということではないわけですよね。しかも、何が防衛秘密に指定されたかすら明らかになっていないわけですから、国民から見れば一体何が秘密かもわからないわけですよ。そういう中で、すべての情報から遠ざけられた中で、司法判断があるからそこでチェックされるんだというのは、私は全く議論として成り立たないというふうに思う。
 アメリカなんかではどうなっているかというと、アメリカの国家安全保障情報は秘密指定期間というのは大統領令で決められているんです。クリントンの政権下でも原則として十年以内となっている。延長可能だけれども、二十五年を経た記録は国立公文書館に移管をされて、そしてその後、秘密指定が自動解除されるという仕組みがあります。
 ところが、日本の規定は全くそういう、一たん秘密と認定した場合に、それを検証する手段も解除される規定も全くないじゃないですか。これだったら、一たん防衛庁長官がこれは秘密ですとしたらば、もう永遠にやみの中ということになるんですよ。どうなんですか、そこは。

○国務大臣(中谷元君) 先ほど防衛局長もお話ししましたけれども、現在においても、機密、極秘、秘の指定等、合計十三万五千件の指定をいたしておりまして、きちんとした管理を実施いたしております。
 当然のことながら、防衛秘密に指定をされることにつきましては、防衛庁が責任を持ってその件数についても内容についても管理をしておきたいというふうに思います。

○小池晃君 全く答弁になっていないですよ。我々を信用しろということだけじゃないですか、今のは。
 だって今までだって、那覇市の情報公開請求事件だって、司法による判断だって十三年もかかっているんですよ。もう公開する建築情報すら情報公開しちゃいかぬと。そんなことをやってきた防衛庁に信用しろなんて言われたって、だれだって、だれ一人だってそんな信用できませんよ、今の言い分じゃ。全く今回の法案が余りにも危険な法案だということがはっきりしてきたと思います。
 しかも、これは量刑が大変なんですね。漏えいで五年以下の懲役、未遂も同様。過失ですら一年以下の禁錮。うっかり漏らしてしまっても、うっかり教唆しても一年以下の禁錮と。過失に対してもこのような重罰を科す。こんな法律なんというのは私は許されないんじゃないかと思う。しかも、民間人の場合どうだったかというと、今まで規定なかったわけですから、民間人の場合は今まで漏えいした場合の扱いというのは、民間人の場合、今までの漏えいした場合の扱いは長官どうだったんですか、今までは。

○政府参考人(首藤新悟君) いわゆる庁秘の方につきましては、民間人の過失あるいは故意の漏えいに関する罰則はございませんでしたが、いわゆるMDA法に、いわゆるアメリカから技術供与を受けた装備品に関する秘密保護法でございますが、このMDA法、秘密保護法につきましては、民間人による漏えいについても罰則はございました、過失によるものもございました。

○小池晃君 私は、今までの自衛隊法に基づく処分と比較をして言っているんです。
 今までどうだったかというと、企業がせいぜい契約を断られるだけだったんです。それが、過失であっても一年以下の禁錮と、いきなり五年以下の懲役と。大変な重罰化だと思うんです。
 しかも、これ確認したいんですけれども、公務員の場合も民間人の場合も、防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなった後においても同様だと。すなわち、業務が変わった、場所が変わった、部署が変わった、あるいは退職した。もう墓場に行くまで一生その秘密保持が義務づけられる、罰則が科せられるということですね、これは。長官、そうですね。

○国務大臣(中谷元君) そのように法律に明記をいたしております。

○小池晃君 大変な法律なんですね、これ。
 具体的にじゃどういうケースが処罰対象となるのかお聞きをしたいと思うんですけれども、例えば、防衛産業の従業員がおうちに帰った、奥さんと話をしていたと。そのときに、防衛秘密に指定されている自分の業務内容を妻に話してしまった。こういう場合というのはこれ、漏えい罪に当たる可能性があるんじゃないですか、どうですか。長官、どうぞ。

○国務大臣(中谷元君) 妻に防衛秘密を漏らした場合、また偶然それを耳にしてその内容を知った場合等などについては、その漏えい行為の対象となる事項がその当該業務者たる民間人が業務によって知得した防衛秘密であるか否か、また防衛秘密を漏らす行為、すなわち防衛秘密に接する権限のない者に防衛秘密を漏らすことに当たるか否かによって個別具体的に判断されるべきものでありまして、個々のケースについては具体的な事案に即して判断すべきものであって、一概にこの正否をお答えすることは困難でありますが、最終的には司法機関において判断されるべきものだというふうに考えております。

○小池晃君 個別具体的にと言うけれども、こういうケースの場合、これは当たらないということじゃないですね。可能性はありますね。それははっきりしていますよね。

○政府参考人(首藤新悟君) 今、基本的には大臣が御答弁されたとおりでございますけれども、その個別ケースごとに、最終的には裁判所の判断によると思われますし、例えばちょっと具体的に申しますと、その奥様自身が社員であったとかいうような場合には、やはりその妻が業務とする者であるというようなケースもございますし、やはりその時々における非常に具体的ないろんな事情を見てみないと一概に申し上げるのは困難であろうと思います。


○小池晃君 だから、一概に申し上げられないといっても当たらないとはおっしゃらないわけで、こういう可能性あるわけですよ、こういうケースでもね。
 あるいは、これは過失の場合もあるわけですから、例えば、防衛産業の企業の労働者が防衛秘密に関するメモをうっかり落としてしまったと、そういう場合。あるいは、何の気なしに自分の仕事の内容をしゃべってしまった場合。こういう場合も、過失であっても処罰されるわけですから、それが防衛秘密だったような場合には対象になる可能性は、これは否定できないんじゃないですか。否定できないかどうかだけ答えてください。

○政府参考人(首藤新悟君) 今おっしゃられたような場合につきましては、やはり当該業務者たる民間人に過失を認めるに足りる程度の注意義務違反が認められるか否かによって個別具体的に判断されるだろうと思います。ですから、いわゆる注意していたけれども何か不可抗力もあったかとか、あるいは明らかな本人の注意義務違反であったとか、そういった具体的な状況で最終的に判断されるべきだろうと思います。

○小池晃君 注意義務違反だったらもう問われちゃうんですよ。大変ですよ、これ。
 あるいは、こういうことについて言われていますけれども、マスコミの問題についてちょっと触れたいと思うんですけれども、マスコミが防衛秘密の取材をしたときに、これは教唆扇動に当たるのではないかと。このことは何度も国会でやりとりされていますけれども、このことについてはどうなんですか。

○国務大臣(中谷元君) そのいい例が、西山事件というものがございまして、これによって最高裁の判決が出ております。これちょっと、この基準で我々考えていきたいというふうに思っておりますので御紹介させていただきたいと思いますが、報道機関が取材の目的で公務員に対して秘密を漏示するよう唆したからといって、そのことだけで直ちに当該行為の違法性が推定されるものと解するのは適当でなく、報道機関が公務員に対し根気強く執拗に説得ないし要請を続けることは、それが真に報道の目的から出たものであり、その手段、方法が法秩序全体の精神に照らして相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き、正当な業務行為と言うべきであります。
 しかしながら、報道機関といえども、取材に関し、他人の権利、自由を不当に侵害することのできる特権を有するものでないというのは言うまでもなく、取材の手段、方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合はもちろん、その手段、方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しくじゅうりんするなど、法秩序全体の精神に照らし、社会観念上是認することのできない形態のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し、違法性を帯びるものと言わなければならないという判決が下されておりますけれども、いわば刑法によって処せられているわけでありまして、今回の法律の改正におきましても、この考え方によって対処されるものであるというふうに思っております。

○小池晃君 この最高裁判例は確かにいい例だと思うんですね。というのは、報道機関の取材活動そのものは国家公務員法の唆し罪の構成要件に当たる、このことは争いがないんだということは判例でも明確なんですよ。その上で、正当な取材であるかということについては違法性が阻却されたということですね。
 ですから、あなたが幾ら、きょうの先ほどの議論でもありましたけれども、報道の自由を侵さないんだ、正当な取材活動を阻害しないんだ、そういうふうに言っても、唆し罪の構成要件に当たるということはこれは明確な事実ですから、そういう点ではこの法案の条文の中にそのような限定が一切なされていないということが重大な問題だと私は思うんです。あなたはそう言っても、法案の条文には一切そういうことは、取材活動にはこれは当たらないということは書いていないじゃないですか。そこは事実ですよね。認めますよね。これは重大な問題ですから、長官、答えてください。

○国務大臣(中谷元君) 報道活動においての規定は書いておりませんが、実態としては今と変わることはございません。どんどんそういう報道のための質問や調査をされることは、刑法に触れなければ是認されるというふうに思います。

○小池晃君 今と変わらないなんというのはでたらめですよ。量刑が全然違うんです。防衛秘密ということを指定しているわけですよ。これは非常な大変なやっぱり抑止効果を生みますよ。防衛にかかわる問題の取材、報道をやったら、これはもう地雷原みたいになるわけですから。何か触れたらこれは秘密漏えいに当たるかもしれないという、そういうことになってしまうわけです。
 そもそも、何も変わらないというんだったら、何でこんな法律をつくるんですか。全く矛盾していますよ、言い分が。私は、本当に今のは全然説得力がない。報道の自由は侵さない、今までと全然変わらないというんだったら、この法文の中に明確にすべきだと。それがされていない以上、これは取材活動そのものが、長官、取材活動そのものが教唆の構成要件となる、これはもう否定できない事実ですよね。長官、どうですか、それは。それは否定できないと思うんですけれども。

○国務大臣(中谷元君) 確かに量刑は変わっておりますけれども、現状においても一年以下の禁錮または三万円以下の罰則に処するということで刑法で取り扱われておりまして、確かに量刑はふえたわけでございますが、取材のあり方等につきましては現在の状況で、国会議員やマスコミ関係者の報道の自由、国会議員の国政調査活動に支障のない形で運用されるものでございます。

○小池晃君 いや、答えていないんです。私が聞いたのは、それは全般のことは別にいいんです。量刑はもう大いに変わるんです。今のは説得力がない。
 その上で、そういうふうに今までと変わらない変わらない、報道の自由を侵さないというんだったら、法文に明確にすべきでしょうと。されていない以上、これは取材活動は教唆の構成要件に当たると。これはだって判例で明らかなんですから、そこまではお認めいただけるでしょう。長官、どうですか。これは重要な問題ですから長官に答えてもらわないとだめです。だめですよ、こんなの。これはこれからの日本の二十一世紀の未来にかかわる重大問題ですよ。中谷さん、答えてください。

○国務大臣(中谷元君) この教唆の行為自体は刑法で定められておりまして、何ら変わるものはないわけでございます。
 先ほど西山事件の判決を紹介いたしましたけれども、手段、方法が刑罰法令に触れる場合、それから取材対象者の個人としての人格を著しくじゅうりんする……

○小池晃君 それはさっきしゃべったからいいです。

○国務大臣(中谷元君) はい。そういう行為でございまして、どういうふうに罰せられるかという点でありますけれども、逮捕とか起訴をなし得るか否かは基本的には司法の世界でありまして、基本的に防衛庁としてはお答えする立場にございませんが、その逮捕、起訴は構成要件に該当するだけでなく、違法かつ有意な行為であることについての嫌疑が前提となるものであって、少なくとも違法性が阻却されることが明らかなものについて逮捕または起訴されることはないというふうに承知をいたしております。

○小池晃君 これ全然答えてないです。それは結果論として言っているだけであって、犯罪の構成要件として取材活動というのは教唆に当たるだろうと。そのこと自体、そこまではだってもう判例で認めているんですから、これは認めてくださいよ。それがその後で正当なものでなければ違法性が阻却されたというだけなんだということでしょう。それは事実ですよ、認めてください、それは。だめです、長官です、長官。

○国務大臣(中谷元君) 先ほどお話ししましたけれども、違法かつ有責な行為である、そのことについての嫌疑が前提となるものであって、少なくとも違法性が阻却されることが明らかになるものについて逮捕、起訴されることはないというふうに承知しております。

○小池晃君 じゃ、逮捕、起訴されることはないとしても、捜査機関が取材活動を監視することになるということは当然ありますよね。それは、そういう監視活動をしなければそういうところに至らないわけですから。少なくともそれはあるでしょう。これはイエスかノーかで答えてください。
 その判断を捜査機関が──だめです、長官に答えてもらいたい。

○委員長(武見敬三君) 首藤防衛局長。

○小池晃君 だめですよ、長官に言っているんです。

○政府参考人(首藤新悟君) 委員長から御指名いただきましたので……

○小池晃君 その判断を捜査機関がするためには、捜査機関が取材活動を……

○委員長(武見敬三君) 委員長がただいま指名いたしました。議事の進行は委員長が行います。

○政府参考人(首藤新悟君) 捜査活動としては、先ほど来、大臣から申されておりますように、例えば贈賄や脅迫とか……

○小池晃君 それはもう聞いているからいいですよ、だから。同じことを繰り返すのは時間のむだだよ。だめだよ、こんなの。

○政府参考人(首藤新悟君) そういったような手段による取材とかいったようなことの場合にはそういうこともあるかと存じますが……

○小池晃君 委員長、私が聞いていることに一切答えていない。時間のむだですよ、こんなのは。だめだ、こんなの。

○政府参考人(首藤新悟君) 通常の一々の取材活動が捜査の対象になるとは思われません。

○小池晃君 だめだ、こんなの。私が長官に聞いているんですよ。私が聞いているのは、捜査機関がその判断をするためには取材活動を監視する、当然でしょう、今の話でいけば。そうしなければ逮捕、起訴の判断に至らないのであれば監視することは間違いないじゃないですか。それは認めるでしょう。

○国務大臣(中谷元君) 現在においても一年以下の懲役に罰せられるわけです。ですから、考え方は現行の自衛隊法の守秘義務規定に係る教唆犯においても同様でありまして、現在のそういう捜査活動と何ら変わるものはないというふうに思います。

○小池晃君 要するに、捜査機関が取材活動を監視することに当然なるんですよ、これは。教唆が構成要件になっちゃうんですよ。これは本当にマスコミにとってみれば重大なやっぱり取材活動の萎縮につながる可能性。
 私、大臣ね、こんなことをやれば、防衛秘密にかかわる問題について取材をすれば訴追される危険性があるということだけで重大な報道の自由に対する抑制効果が働く、このことは当然予想されると思うんですけれども、大臣、いかがですか。これは大臣、自分の言葉で答えてください。

○国務大臣(中谷元君) それでは現行の公務員の守秘義務違反の件に関する捜査はどうなんでしょうか。これは全く同じだと私は思います。

○小池晃君 だから、それはさっきの話に戻るんですよ。量刑が全然違うわけですよ、全く。
 さらに、防衛秘密ということで明確に指定されると。そもそも全然変わらないのだったら、何でそういうことをやる必要があるのかという議論になるじゃないですか。
 これね、もう一度答えていただきたいんですけれども、こういう形で防衛秘密ということが指定をされるわけです。それによって、それを漏えいする、あるいは教唆するということになれば懲役五年以下の実刑、十年以下の実刑、過失でも禁錮ということになるわけで、こういうことになれば報道関係者は教唆に問われる可能性は当然出てくる。これは裁判で最終的に違法性が阻却されるまではわかりませんけれども、それまでは教唆に問われる可能性というのはあるわけですから。だとすれば、マスコミの取材活動を今までとは全く違う質で萎縮させる危険性があるということは間違いないんじゃないですか。

○国務大臣(中谷元君) 基本的には刑法に違反をしなかったら正当な業務行為として違法性が阻却されるわけでございまして、この考え方は現行の自衛隊法の守秘義務規定に係る教唆犯においても同様であります。量刑は違っても捜査をするやり方は同じであると、私は司法当局を、そういうふうに思っております。

○小池晃君 最初にも言いましたように、取材活動そのものが教唆の構成要件になるかどうかということについて一切答えていないんですね、今までと同じだというふうに言っているだけで。そのこと自体について回答していただきたい。
 今回の法律に基づく防衛秘密に対する取材活動そのものが教唆の構成要件となること、これは、要するに今までの制度と同じということであれば、それが構成要件になるということは事実としてお認めになりますね。

○国務大臣(中谷元君) 現行の公務員の守秘義務違反についても刑法によって裁かれるわけでございます。
 したがいまして、今回の件につきましても同様の対応はとられるわけでありまして、何ら問題はないというふうに思っておりますし、マスコミの方々も今まで同様の考え方でマスコミの方からの取材活動をしていただいて結構だというふうに思います。

○小池晃君 今、きょうの議論を通じても、防衛秘密の指定の過程も、その後の検証もない。一生それがついて回る。しかも、重罪である。マスコミの報道に対する、マスコミの取材ということが教唆の構成要件となるということも否定されなかったと思うし、そういう意味では、これが報道の自由に対する重大な侵害になるということは私は明らかだというふうに思います。
 アーミテージ・レポートでも言っている。さらに、ことしの五月に防衛庁の長官の経験者が訪米したときも、やはりNSCのアジア上級部長は、話をしてもそれが日本で筒抜けになる、その場合の秘密保持をしてくれないときちんとした議論ができないというふうに発言したというふうに報道されています。
 私は、今回の自衛隊法による防衛秘密規定の導入というのは、時限立法であるテロ特措法と同時に全く関係のない、しかも無期限の条項を潜り込ませた。大変これは日本の言論の自由、報道の自由にとって将来大きな禍根を残すということ、危険性が明らかになったということを指摘したい。
 このような重大な法案、やはり徹底的に審議しなくちゃいけないということを最後に強調して、私の質問を終わります。
 

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