本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

ホーム > 国会論戦ハイライト > 2001年 >

151-参-厚生労働委員会-9号
2001年04月12日


○小池晃君
 日本共産党の小池晃です。
 二月の完全失業率は四・七%と引き続き大変厳しいと。さらに、政府の緊急経済対策では不良債権処理をやるんだということですから、さらに大量のリストラが行われる危険がある。雇用危機というのは一層深刻化するのではないかと危惧されるわけであります。こうした雇用の危機に対応するための雇用対策法の改正ということであります。
 ただ、大きな問題点、今、井上議員が指摘をされましたけれども、果たしてこの雇用の危機に対応するものになっているのかということについて、若干細かいことに踏み込んでお聞きをしたいというふうに思います。
 まず、この法律の二十四条で言う「離職を余儀なくされる」者、これは一体どういうことを指すんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 「離職を余儀なくされる」という定義のお話だろうと思いますが、事業規模の縮小等に伴いやむを得ず離職をしたこと、別の言い方をいたしますと事業主との雇用関係の終了が事業規模の縮小等により労働者の意に反して行われるものであることが客観的に明らかである場合というふうに考えております。
 そうした場合に、一見自分の都合で退職したように見える場合が問題になるわけでありますが、自己都合のように見えても実際は事業主から勧奨があったというようなことが客観的に明らかな場合には「離職を余儀なくされる」という範疇に入るものと考えております。

○小池晃君 その離職を余儀なくされる個々の労働者に対して、再就職を希望するんですかどうなんですかということをやはり個々に聞いていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画に書くべき事項につきましては、今後、労働政策審議会で議論していきますが、計画中のかなりの重要な事項としては再就職援助措置の内容がどうであるかということが大きなことになると思いますが、そうした再就職援助措置の内容については、対象労働者がどういう希望を持っているかということが反映されることが必要だろうというふうに考えております。
 したがいまして、援助計画において、事業主の方が対象労働者から計画に書いている再就職援助措置についてあなたは希望をしますかしませんかという確認は考え得るんではないかというふうに現段階では思っております。

○小池晃君 労働者とその問題について事前に協議して、再就職するかどうかについて個別の希望を聞くと、現段階ではそう考えているんだと。当然、希望をしない、私はもう再就職援助計画は希望しないという労働者に、いや、だめだ、再就職援助計画を強要すると、こんなことがあってはならないと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助を希望しない労働者に対して援助を強要するということは、なされるべきではないと考えております。

○小池晃君 結果としてその労働者が再就職を希望しない、かつその人が不当解雇だ、整理解雇は不当だというふうに訴えている場合、争っている場合、これは当然、労使間の協議にゆだねられていくということになると思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 労働者自身が再就職援助計画の対象者になることそのものに異を唱えて争っているということであれば、それはまずは労使間で話し合っていただいて自主的に処理することが第一義的に大事だろうと思っております。

○小池晃君 その場合ですけれども、その場合というのは労使間の協議ということですから、当然これは整理解雇四原則などの過去の判例法理に従って処理されていくべきものであるということでよろしいですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 整理解雇に当たるかどうかという、そこの問題も含めて最終的には裁判で解決することになると思いますが、それはまさに最終的な姿でありまして、その前にいわゆる整理解雇四要件につきましては既に確立した判例法理として労使の間に周知、定着しているものと承知しております。

○小池晃君 さらにお聞きをしていきたいと思うんです。
 再就職援助計画の記載事項として現段階でどのようなものを考えておられますか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 今後、労働政策審議会で関係労使公益委員の御意見を踏まえて決まることになりますが、現段階で事務当局として考えておりますことは、まずはそうした再就職援助計画作成に至った経緯を書いていただきます。そして、再就職援助の対象となる労働者が確定されなければなりませんので、対象労働者の氏名、そして対象労働者がいつ離職するか、そしてそうした方々に対する離職前の再就職援助措置がどういうものなのか等々、もう一つ、それから計画作成そのものについての労働組合の意見聴取が当然入りますけれども、こうしたことは根幹的な事項であろうと考えております。

○小池晃君 そこで、法の第二十四条の第四項でこうあるんですね、「公共職業安定所長は、前項の認定の申請があつた場合において、その再就職援助計画で定める措置の内容が再就職の促進を図る上で適当でないと認めるときは、当該事業主に対して、その変更を求めることができる。」と。
 この変更命令でありますけれども、ここで言う公共職業安定所の所長が変更を求めることができる内容というのは、再就職援助計画で言うとどの部分になるんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 援助計画の中に書かれるであろう再就職援助のための事業主が講ずる措置、それが変更を求める対象になります。

○小池晃君 ということは、計画作成に至る経緯などの部分というのは、これは変更を求める対象ではないと。
 さらに、法の二十四条の第二項で、再就職援助計画を作成するに当たって労働組合の意見を聞かなければならないというふうにしているわけでありますけれども、ここで言うその労働組合の意見を聞かなければならないという意見は、これは再就職援助計画全体を対象とするものと理解してよろしいんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、そのように考えております。

○小池晃君 ということは、ここで言う再就職援助計画の全体ということは、再就職援助計画作成に至る経緯、すなわちリストラが行われた経緯の是非あるいは余儀なき離職に至った経緯の是非、こういう部分も含めて全体をその労働組合の意見を聞かなければならないというふうに理解してよろしいということですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 再就職援助計画の記載事項が確定しますれば、その確定した記載事項について事業主の方から労働組合、労働者代表等に意見を聞くという仕組みになるのは、いわば当然であります。

○小池晃君 ですから、今私が申し上げたような事項も含めて、それは労働組合の意見を聞く対象ですねということを確認したいんですけれども、確認していただけますか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) はい、対象であります。

○小池晃君 それで、再就職援助が行われると。いろんな教育なりが行われた、結果としてその人が終わったけれども再就職できなかったと。こういう場合のこの労働者というのは一体どういうことになるんでしょうか、どういう扱いになっていくんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 残念ながら、事業主の支援措置あるいは国の支援措置等で再就職できなかったという方が出た場合には、第一点は、今回の改正雇用保険法に基づきまして、求職者給付について自発的離職者と非自発的離職者に分けて、非自発的離職者については手厚くいたしましたが、その非自発的離職者という範疇で所要の給付を受けるということが一点であります。そしてあとは、公共職業安定所におきまして、求職者という形で職業相談、情報提供、紹介あるいは大量に発生する場合の特別の求人開拓等々を行うことになります。

○小池晃君 結局、雇用保険は手厚い給付をされるんだということなわけですけれども、私、これはやっぱり、再就職が結果としてできなければ、これは原職に復帰させるようにするのが筋じゃないかと。そうでなきゃ結局この法律というのは、再就職促進法というふうに言われていますけれども、実は整理解雇リストラ促進法ということになってしまうじゃないかという危惧がぬぐえないわけであります。
 さらに、ちょっとお聞きしたいんですけれども、この法案の中で目玉とされているのが採用、募集における年齢制限の緩和であります。しかし、これは果たして実効性はあるんだろうかという指摘がされている。これは指針を何かつくるというお話なんですが、その指針で今検討されていることは、求人の場合に、職務に必要な能力を具体的に書くんだということが言われている。それから、年齢制限をつけることがやむを得ないものを例示するということが検討されているようでありますけれども、結局こういうことであると、その職務に必要な能力がないという口実で中高年の雇用が拒否されかねないという指摘がされているわけです。私、これは実効性を伴うものとするための具体的な措置が必要ではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) これまでの議論でも再三出てまいりますが、労働力需給のミスマッチの中で年齢、能力のミスマッチが大きいということで、特に能力のミスマッチの問題について言えば、雇う方も就職を希望する方も、それぞれの求める能力、提供する能力を明確にすることがミスマッチ解消の大前提であると、こう考えております。
 そうした意味で、中高年齢者の年齢ミスマッチを解消する上でも、求人の方にこの仕事はどういう能力を必要とするかということを書いてもらうことが能力ミスマッチの解消を媒介にして年齢ミスマッチの解消につながると、こういうふうに私ども考えておりますので、委員御指摘のように、そればかりではないという、いわばマイナスの影響が全くないとは申しませんが、そうした考え方を求人者、求職者両方に広めていくことが基本的には大事だろうと、こう思っております。

○小池晃君 結局、新たな考え方でそれを示すんだと、そういう程度のお話だと思うんですけれども、実効性を伴う措置というのは具体的には余りないということになるわけです。結局、法律そのものに立ち返ってみても、これは年齢制限禁止じゃないわけで、制限の緩和であります。しかも、それは努力規定だということにすぎないわけでありまして、やはり本当にこれが中高年の雇用危機を打開するものになるのかどうかという点では、私、甚だ疑問を持っているわけです。
 さらに、引き続きちょっと別の問題について議論をしたいと思うんですが、雇用をどうやってふやしていくかという問題であります。
 政府は四月六日に緊急経済対策を発表いたしましたけれども、この緊急経済対策の中で、新たな雇用を創出するということについて、一体どのような対策を厚生労働省としてうたっていらっしゃいますでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 今回の緊急経済対策では、新たな雇用創出という観点では、長期的な経済活力を引き出す規制・制度改革等への取り組みというのがあります。
 厚生労働分野では、具体的には保育分野におきまして、公立保育所の業務の委託先を社会福祉法人以外の民間事業者とすることが既に可能である旨の周知徹底を図ることとか、介護分野におきまして特別養護老人ホームと同様の要介護者に対応できるようなケアハウスについて、一定の要件を満たす民間企業等が都道府県知事の許可を受けて運営可能となるよう検討を進めることということが盛り込まれております。

○小池晃君 今のが一体どうして雇用創出なのか、私全然理解できないです。だって、厚生労働省の雇用創出の項目で言っているのは、一つは医療のIT化です。それから今おっしゃった介護、保育の民間委託だと。
 医療のIT化というのは、これは人減らしですよ。結局一時的には人減らしになっちゃうんです。それからさらに、介護も保育も民間委託だと。これは、公的サービスから民間委託していけば実態としてどうなっているかといえば、介護現場でも常勤職員がどんどん首切られて、そしてパートにどんどんかわっているんです。だから、この雇用対策というのは本当に私は見てあきれてしまった。一体何でこれが雇用対策かと、雇用創出じゃなくて、これは逆に雇用減らしだというふうに言わざるを得ないような中身、そんなものしか出ていないわけです。
 私、本気で雇用創出と言うのであれば、こんな民間委託とIT化なんということじゃなくて、やっぱり本腰を入れて社会保障対策を進める、公共事業から社会保障に予算配分を大きく変えると。これがなければ雇用創出とはとても言えないというふうに思うのであります。
 一方、じゃ具体的に雇用創出ということで、さらにやっていることはどうかということで、ちょっと取り上げたいのが緊急地域雇用特別交付金の問題であります。
 九九年六月の緊急雇用対策で緊急地域雇用特別交付金が創設されております。総額二千億円の基金なんですね。これを地方自治体に交付して、地方自治体が独自の工夫で事業を起こす、雇用創出効果があって、かつ住民に役立つ事業を行うと。これ全国の自治体で活用して失業者の就労事業が行われているわけですけれども、九九年六月の緊急地域雇用特別交付金、この制度をつくった理由を御説明願いたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 平成十一年六月の緊急雇用対策、図らずも今回と名称が同じでありますが、当時の緊急雇用対策は、やはり当時として厳しい雇用失業情勢があったということが背景であります。そうした中で、地方公共団体が地域の実情に即して創意工夫に基づく事業を実施すると。その場合に、ポイントは臨時的な雇用就業機会を図るということが目的でございました。したがいまして、平成十三年度末までの臨時応急の措置ということでこの二千億の基金ができた次第であります。

○小池晃君 非常に景気が悪いので、臨時的であったけれどもやったんだと。これは失業者からも住民からも大変歓迎されています。
 京都では二〇〇〇年度に交付金を使って何をやっているかというと、地下鉄の駅の放置自転車の防止啓発事業というのをやっているんです。一駅に二人から六人配置して、自転車を持ってきてとめようとする人に、近くの駐輪場に置きなさいと案内したりあるいは放置された自転車にチラシを配ったりする。これをやって、それまでは歩道に自転車がいっぱい散らかっていたのが歩けるようになったということで、住民からも大変好評だと。ところが、事業期間が終わったらもとどおりになってしまったというんですね。これは引き続きやってほしいという要望があって、二〇〇一年度は対象となる駅をふやす、一日当たり七十二人新たな仕事がふえると。これは大体高齢者が応募してきているんです。ある委託先では、十六人の募集に五十人以上が応募した。その半分は六十歳代だったそうです。
 この緊急地域雇用特別交付金、金額が少ないとか期間限定が六カ月だとかいろいろ問題点はあるんですけれども、でも全国で二〇〇〇年度までに二十三万人が就労の見込みだと。地方自治体がさまざまな工夫をして交付金を使った事業を行って住民にも喜ばれている、失業者の臨時的なつなぎ就労という点でも一定の役割を果たしているんじゃないかと思うんですが、この評価、いかがでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) この二千億基金は、十三年度末までに三十万人の臨時的な雇用就業機会をふやすという目標でございます。今、小池委員おっしゃるように、二十数万人、十二年度で見込まれますので、そうした意味では着実に取り組みが進められていると私どもも考えております。

○小池晃君 ところで、九九年六月の緊急雇用対策というのはこれだけじゃない、いろんな施策があるわけです。四つぐらい雇用の奨励金、交付金があると思うんですが、それぞれの事業の目標と到達をお示し願いたいと思います。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 四つございまして、一つが新規・成長分野雇用創出特別奨励金でございます。これは十三年度末までで十五万人を対象にしておりますが、本年二月までで奨励金の支給申請が約二万六千人という状況でございます。二つ目が緊急地域雇用特別交付金、これは先ほど申しましたように三十万人目標に対し十二年度の見込みを合わせて二十三万人。三点目は人材移動特別助成金でございまして、十二年度末までのこれは助成金でありますが、対象者七万人想定のところ、十三年二月現在、支給決定一万一千人。四点目が緊急雇用創出特別奨励金、十三年度末までの対象者二十万人を想定しておりますが、十三年二月現在、支給申請ベースで七千人となっております。
 この四つの奨励金等でございますが、それぞれ性格が違いまして、常用労働者を雇い入れることを目的とするもの、あるいは六カ月以内の短期の雇用就業機会に限り対象にするもの、さらには地域の完全失業率が著しく悪化した場合に限り発動されるものと種々ございますので、目的に応じてこの実績等が出ておりますから、その活用度合いを横に並べて一概に評価はしがたいと、こう思っております。

○小池晃君 いや、でも性格の違いはありますよ。それはありますけれども、でも目標に対する到達という点では、今おっしゃったとおり、四つの中では緊急地域雇用特別交付金がその目標に照らす実績という点でいえばこれはやはり一番目標に近い、一番言ってみれば活用されているということはこれは事実として明らかじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 六カ月以内の臨時応急の雇用就業機会の創出という目的三十万人に対して二十三万と、これは目的にかなり近づいていると思いますが、四番目に申しました緊急雇用創出特別奨励金、これは例えば失業率が五%を超えたときに発動するという要件でございますので、現在、幸いにも失業率が五%に乗っていないという状況では発動されないので実績が伸びないということで、これは非常にいいことではないかと、こう思っております。

○小池晃君 目標に対して達成していると珍しく褒めているんだから、そのくらい素直に認めてくださいよ。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 なぜこの交付金が活用されているのか、私はこの交付金の性格にやはりポイントがあると思うんです。ほかの補助金というのは、既存の事業、既存の仕事を対象にして、雇用したその事業主にお金が渡されると。それに対してこれは全然違うんですね。これは新たに就労事業を起こした自治体に交付するんだと。だから、ただ単に事業主にお金を渡すんじゃなくて仕事起こしがあるわけですよね。ここがほかの制度と決定的に違うと。雇用のミスマッチが言われているわけです。特にやっぱり中高年に厳しいと。そういう中で、最もそういう厳しい層に合わせた職起こしがやられている、だからこそ私はこれの達成率が高いんじゃないかなというふうに思うんです。
 実際、大阪で私が見てまいりましたのは、西成区の高齢者の特別清掃事業という釜ケ崎地区の事業です。これは釜ケ崎地区、いわゆるあいりん地区の労働者の平均年齢は五十四・四歳、高齢化しているんですね。その上、不況で職がないと。生活道路の清掃事業とか公園の掃除とかペンキ塗りとか、こういう作業で一日五千七百円の賃金だというんです。これは、昨年度二千八百十五人の登録だったのがことしは三千三十人ということで年々ふえている。これ最初は地方の単費事業でやっていたんだけれども、九九年から先ほどの特別交付金、これを使ってNPOに事業委託をすると。規模を拡大しているんですね、一日百二十五人分ふえたと。生活が少し変わったんだという声も上がっています。これだけやってもようやく一人の労働者が月に二、三回しかできないそうであります。それでも非常に歓迎されていると。
 ところが、特別交付金というのは、今まで議論してきましたけれども、実は先ほどから強調されているように来年の三月で終わりだと。これがなくなると一体どうなっちゃうんだという声が上がっているわけです。先ほど局長も、これを始めた理由というのは大変雇用情勢が厳しかったから始めたんだと。その始めたときに比べて雇用情勢がじゃよくなったのか。これは全然よくなっていないわけで、むしろ悪化している。それなのにこの特別交付金事業はこのままでは来年の三月までに終了だと。
 雇用対策を本当に強めるというのであれば、これをやめるなんというのはとんでもない、これはやはりもっと使い勝手をよくして、期間を延長して、金額もふやすべきでないかと、そう思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 臨時応急の措置としてできたものであります。したがいまして、当初決められた来年三月末までの期間、あと一年弱ございますので、その間にこの制度が当初の目的を十分達するようにその活用を促進していきたいということが現在考えていることであります。

○小池晃君 臨時応急でやったということは百も承知なんですよ。それでも雇用情勢がよくなっていないんだから、それを続けなさいと言っている。いまだ雇用情勢が改善していない、むしろ悪化しているわけです。本当に実効性のある、やはり空手形じゃない、本当に雇用を生み出す力のある雇用対策が今求められているんじゃないか。
 この交付金事業の改善、継続の決議というのが全国の地方自治体で上がっているんですね。例えば、福島県では三月末までに九十の市町村のうち五十三自治体で意見書が採択されている。北海道では二百十二市町村のうち六十一自治体で意見書が採択されています。それから、三月には高知県議会、福島県議会でもこれを継続せよという決議が上がっております。
 今年度いっぱいの制度ということなんだけれども、じゃもうそれは終了したとして、この交付金制度が終了しても、緊急のつなぎの制度として、つなぎの公的就労制度として、別の形でもいいからやはりこういう仕組みの、地方自治体に補助金を出して、そして地方が創意工夫を生かして就労事業を起こすと、こういう仕組みのやはり雇用対策を、これは今のが終わるんだということであれば、別の形でもいいからこれはやはりやるべきでないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 私どもが基本的に追求し、また期待したいのは、地方におきまして地域の実情に即しつつ安定した雇用就業の機会がふえていくということであります。したがいまして、今回御提案しております雇用対策法等の一部改正法案の中でも、地域法を改正いたしまして、地方自治体主導の形での雇用創出という仕組みをつくって、国もそれに協力をしていくということを提案しているわけであります。したがいまして、本法案を成立させていただきまして、十月一日からその仕組みで本格的な安定した地方におきます雇用就業機会の創出に邁進していきたいと、こう思っております。

○小池晃君 私が言っているのは、雇用情勢は九九年六月にこれを始めたときに比べればむしろ悪化をしているじゃないかと。大臣は衆議院の委員会で何と言ったか。この交付金は緊急のときの当座の手当てだとおっしゃったんですね。
 そういうことでいえば、今はむしろそのときに比べれば緊急性は高まっているんじゃないですか。今こそ緊急のときなんじゃないですか。恒久的な措置をもちろん考えていただくのは結構だけれども、臨時でやったけれども結構成果が上がっている。そういうものであれば、これは今まさに緊急のときで、九九年六月つくったときよりもさらに悪化しているわけですから、これはやはり形を変えてでもこういう就労を起こすと。今もう本当に何でもやらなきゃいけないときじゃないですか。これだけ深刻な雇用不安が広がっている、そんなときに格好をつけていられないでしょう。せっかくこれだけうまくいった制度があるのであれば、これをぜひやるというふうに、大臣、何でできないんですか。どうですか。

○国務大臣(坂口力君) 先ほどから議論が続いておりますように、この制度そのものは応急臨時に行われたものでございます。これは一応期限を切ってスタートしたことでございますから、この制度は制度として、一遍これはその制度で終わらざるを得ないんだろうというふうに思います。

   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕

 しかし、これからのこの雇用動向というものを見て、そしてどういう雇用対策がこれから一番適切なのかということを考えてまた新しい何か対策を立てるか、そして過去のものも参考にして考えるか、その辺のところはこれからの検討になるだろうというふうに思います。

○小池晃君 そんなのは何も言っていないのと同じですよ。
 私は、実例でちゃんと検証されている、実際にこれだけやってきているじゃないか、目標に照らしたって結構いい線いっているじゃないかと。だから、これを参考にして、これをモデルにしてさらに続けるということは、何も私、全然理不尽なことじゃないと思いますよ。
 そのことを検討しないのか。一般的にいろいろある中で検討していきたいというのではなくて、やはりこの緊急地域特別交付金、これを参考にしてやはり検討していく必要がある、そのくらいのことは言えないんですか。

○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほど精いっぱいのことを申し上げているわけで、この制度そのものはこれは一応終わるわけですから、この制度をこれから継続するということは申し上げるわけにもいきません。
 これから新しい対策が必要ならば必要に応じて練られるわけであります。ですから、過去のいろいろやられたことの中で非常によかったものはそれは参考にしながら新しいものがつくられるでしょうということを申し上げているわけで、それ以上のことは申し上げられませんけれども、しかし、かなりお答えをしているように思いますが。

○小池晃君 私も、本当に本気で雇用対策というのであれば、やっぱりこういう公的就労事業を起こすというやり方をぜひ続けるべきだというふうに考えます。
 最後に、残された時間で職業能力開発促進法の改正の問題について何点かお聞きをしたい。
 これは法の基本理念が変わるわけですね。「この法律の規定による職業能力の開発及び向上の促進は、」「経済的環境の変化による業務の内容の変化に対する労働者の適応性を増大させ、及び円滑な再就職に資するよう、労働者の職業生活設計に配慮しつつ行われることを基本理念とする」と。これは、本来、職業能力の開発というのは、これはもう転職しようがしまいが個々の労働者にとって大変大切なものだと。私は、労働者の適応性を増大させ円滑な再就職のために行うということでは、職業能力開発の基本理念がゆがむことになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(酒井英幸君) 今回の改正の第三条にその基本理念を書いておるわけでございまして、先生今お読みになりましたような規定でございますが、今回の改正の基本理念に関しましては、労働者のさまざまな変化によります業務内容の変化に対する労働者の適応性を増大させるということが一つありまして、及び転職に当たっての円滑な再就職に資するよう、この理念、この二つでございまして、しかもそれを労働者の職業生活設計に配慮しつつ行うと、こういうようなことでございます。
 でございますので、基本的に労働者の雇用が安定してまいりますための職業能力開発の重要性ということにつきましては従来どおり堅持しておるところでございまして、それは転職を予定しておられる方であろうとなかろうと、そのようなスタンスであるわけでございます。ただ、今も申し上げましたように、転職をするというようなことがあった場合にも円滑な再就職ができるように、そういうような側面を今回加えて、労働者の立場をより一層職業能力というサイドから強化しようと、そういうような基本理念の改正であるところでございます。

○小池晃君 そうはいっても、その基本理念の第三条は変わったんですよね。これは事実であります。
 さらには、中央職業能力開発審議会がまとめた「今後の職業能力開発施策の在り方について」というのを読むと、こう書いてあるんですね。
 「最近、企業内において、」「長期の明確なキャリア・パスを描きにくくなるとともに、短期の即戦力志向が高まり、全体として長期的視点からの人材育成に対する取組が弱まりつつある。」、「もはや、企業に長期的視点からの人材投資を期待するだけでは、十分な能力開発の機会を確保することは困難である。」と。
 要するに、企業は長期的視点からの人材育成というのはもうできないんだ、できなくなってきているんだと。それなのに何で労働者には長期にわたる職業生活設計ができると。私はちょっとこれはおかしいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(酒井英幸君) 先生お読みいただきました、大変ありがとうございます、建議の中に確かにそのように前段に書いてあるわけでございますが、であるから、少し後の方に、したがって今後は企業と労働者がそれぞれの取り組みによる能力開発を自発的な形で進めていくべし、そういうことによって全体として職業能力開発を推進することが必要であると、こうも言っておるところでございまして、確かに企業がいろんな競争の中で即戦力志向といったような企業戦略もこれはいや応なく出てきている状況の中で、人材育成戦略が描きがたくなってきている。
 そういうことでございますので、むしろ、企業主導の職業能力開発に頼るだけでなくて、労働者自身が職業生活の節目節目におきまして自発的にみずからの職業生活設計に基づいて能力開発をやっていくということが重要であるというのが建議の趣旨でもあり、またそれを踏まえた今回の改正であるわけでございます。もちろん、先生御懸念のように労働者だけに任せるわけではございませんで、これは国、都道府県あるいは事業主がこれを当然支援していかなければなりませんし、また事業主の追加的に今回盛り込みますところの自発的な職業能力開発ということにつきましては、事業主の負う責務、そういうことを支援していくのは事業主の責務ということもここに書きまして、事業主の責務につきましては厚生労働大臣がまた指針を示すといったようなこと、その他いろんなこの法律に基づきます私どもの能力開発のための国あるいは事業主が行う体制整備のための、キャリア形成支援のための体制整備ということにも取り組んでいこうと。
 そんなことで、ぜひともこの自発的な職業能力開発ということを積極的に推進させていきたいと実は思っているところでございます。

○小池晃君 だから、今おっしゃった趣旨そのものが大変私は問題だと思うんですよ。
 要するにおっしゃりたいことというのは、結局雇用が流動化していくんだ、だから企業というのは長期的な職業能力開発というのはもうしないしできないんだ、やはり労働者の自己責任で労働者みずからが職業生活設計をせよ、キャリアアップをしていく、そういう努力を労働者はしなさいねということなわけですから、やはりこれは、この法律一つとってみても、結局今回の雇用対策法等の改正全体像の本質というのは、企業の責任というのは免罪してリストラを促進していくということになっているんだというふうに、まさに今おっしゃった趣旨はそういうことだと思うんですよ、私は。そのことをちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 それから、教育訓練給付制度がありますけれども、これは一九九九年三月から二〇〇〇年十二月まで、この累計が三十七万人受講して三百五十六億円が支給されております。これは、資格取得とか再就職に、実際にこういう教育訓練を受けて実際どれだけ役立っているかということについて追跡調査みたいなのはなさっているんでしょうか。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 昨年、雇用保険制度を見直す際の関係審議会からの報告がございまして、その中で「教育訓練給付が真に再就職促進等に資するものとなるよう、」「指定された講座に係る再就職促進等の効果の検証に努めるべき」と、こう報告をいただいております。したがいまして、私ども、その効果の測定についてどういう形の検証が可能か、検討を進めてまいりたいと思っております。

○小池晃君 私が聞いたのは、そういう追跡調査をしているかということなんです。していないということなんですね。

○政府参考人(澤田陽太郎君) 制度発足後、しておりませんので、審議会の報告に沿ってこれからしていきたいと思っております。

○小池晃君 私は、この点でも本気で労働者の能力開発を効果的に進めようという気があるのであればやはり当然調査が必要だと。審議会から指摘されているということで、やるということですので、これはぜひやっていただきたいと思いますけれども、直ちに実施をすべきだというふうに申し上げたいと思います。
 全体として見ると、今回の法案ですけれども、緊急経済対策の中身を見ても、本当に雇用の創出に資するような中身は全然出されていないと。一方で、今度の雇用対策法というのは、まさに雇用の流動化という実態に合わせて、再就職支援という名前だけれども結局はリストラを進めていくような中身であるし、能力開発についても、長期的な企業の職業能力開発という責任を投げ捨てて、労働者個人にキャリアアップの責任を押しつけるというような中身になっているということを指摘せざるを得ません。
 全体としては非常に重大な中身を持っている、今後の労働行政に大変大きな影響を与える法案であるにもかかわらず、お聞きしているところでは、きょうのこの審議が終わった段階で採決をするというようなことも言われているようであります。大変憤りを持っております。これは徹底的にやはり審議をすべき内容の法案であるし、そういう意味では本日の採決なるものに断固抗議をして、私の質問を終わりたいと思います。

 

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.