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154-参-厚生労働委員会・予算委嘱審議
2002年03月20日
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
この年金特例法については、この厳しい消費不況のもとで年金生活者を守るために据え置くという趣旨には賛同をいたします。
そういうことを踏まえて質問をしたいと思うんですが、坂口厚生大臣は衆議院の厚生委員会でこう答弁されているんですね。年金そのものに対する、これからどうしていくかという大きな問題もあると思います。それにあわせて物価スライドをどうするかという部分的な問題もあると思います。全体の問題も一年か長くても二年の間に整理しなければならない話だと思っておりますが、物価スライドのことは来年までに、ことしのうちに決着をつけておかなければならない話だと思いますから早急に検討に入りたいと。
大臣言われた大きな問題、全体の問題というのは一体何を指すんでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) これは社会保障全体を見ましたときに、先ほども申しましたとおり、年金が中心であることは間違いがございませんが、年金制度というのと医療制度というのもかなり密接に影響をし合うものでございます。また、介護保険などに対します考え方も影響を及ぼすものでございます。したがいまして、中心になります年金の形をこれからどうしていくかということは、年金、医療その他社会保障全体に大きな影響を与えることでございますから、それらの問題も踏まえてこの年金制度というのは考えていかなければならないのではないかということを私は申し上げたわけであります。
森総理も来年の通常国会には年金制度の改革案を出すというお約束をしておみえになるわけでございますから、それは出さなければならないというふうに考えておりますが、そういたしますと、その医療保険制度の改正案を出すということになりますと、やはり年金にも影響をすることでございまして、あるいは年金の考え方ということがこの医療保険にも影響することでございますから、あわせてこの年金の問題も同時並行でやはり考えていく必要がある。そうしたことを私はトータルで申し上げたつもりでございます。
○小池晃君 この答弁を読むと、部分的な問題というのは物価スライドをどうするか、大きな問題というのは国庫負担をどうするかという趣旨だと私は思うんですね。
それで、この基礎年金国庫負担二分の一の問題でありますけれども、これはついに二〇〇〇年度予算にも盛り込まれなかった。これはこれ以上の先送りは許されないと思うんです。
大臣、この衆議院の答弁の中で、物価スライドをどうするかはことしじゅうに決着をつけるんだと。その問題は後で議論いたします。大きな問題、全体の問題は一年か長くても二年の間に整理しなければならないと。これは要するに国庫負担を二分の一に引き上げる。これはもうやることは決まっているわけで、時期の問題だと。これを一年か長くても二年の間に整理しなければならないと、こういう趣旨と理解してよろしいんですね。
○国務大臣(坂口力君) 先ほど私が申し上げた中で、森総理が言われたことで年金というふうに私申し上げたようでございますけれども、あれは医療制度についての改革を来年の国会に出すということをおっしゃったということを言いたかったわけでありまして、もしも言い間違っておりましたらお許しをいただきたいと思います。
今御指摘になりましたように、大きな問題といたしましては、この年金制度をそうした社会保障の中でどう位置づけていくかということを中心にして考えていく。それは理念の問題もありますし、それから御指摘の財源の問題も含めてのことでございます。したがいまして、この一、二年の間にその大きい問題も決着をつけていかなければならないんだろうというふうに思います。
この基礎年金に対します国庫負担が現在三分の一でございますが、これを二分の一にするということにつきましては、これは国会におきましても合意を得ていることでございますし、このことにつきましてはできるだけ早くこれを実現していくという方向でやはりすべてを考えていかなければならないことも私は事実だというふうに思っております。
ただし、それには財源の問題があるわけでございまして、この財源の問題をどうするかということの決着もあわせてつかないことには、ただ単に年金だけを考えていたのではこれは解決にならないわけでございますから、トータルでそれをどうするかということもあわせて考えていかなければならないということを申し上げているわけでございます。
○小池晃君 さらに、物価スライドをどうするかという問題で、附則の話でありますけれども、これは次期財政再計算までの間にとなっているわけですが、大臣は答弁では年内に決着というふうに衆議院で言われました。これはことしじゅうに何らかの法案を提出するというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 年内に詰めるぐらいの覚悟でということを申し上げたわけでありまして、法律をいつまでにつくるというようなところまで私も頭の中を整理して申し上げたことではございません。
ただし、こういう状況をいつまでもずっと続けるということはよくないことであると。二年続けたわけでございますが、また来年も、ことしから来年に向けての経済がどうなるかよくわかりませんから予断は許しませんけれども、同じようなことをまた続けなければならないというのではこの法律をつくりました意味というものが問われてくるわけでございますので、そうした意味ではできるだけ早くこの法律のあり方というものについてもう一度検討するということをやはり考えていかなければならないのではないかという趣旨のことを申し上げたわけであります。
○小池晃君 物価スライドは一九七三年に実現したわけです。五%を超えて物価が変動しないとスライドしないということに当初なっていたのが、九一年四月から完全自動物価スライド制になってきていると。物価スライドはどうあるべきかという問題は、これは年金受給者に大変大きな影響を与えるものだと思うんです。
私、検討するのであれば、やはり財政再計算のときにあわせて、年金全体の将来像がどうなるかということとあわせて国民に示して検討すべき性格の問題ではないかと考えるんですが、それより以前に、あるいはことしじゅうにというような形で検討すべき問題ではないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) 私の方からお答えを申し上げます。
今、委員からもお話がありましたように、完全物価制が導入された経緯の御説明がありましたけれども、五%条項というものが確かにあったわけであります。仕組みがあったわけであります。この言ってみればゾーン制というような形でありますけれども、物価変動幅が小さい局面においては物価スライドのあり方の一つということであったわけでありますけれども、最近の経済状況等勘案をいたしまして、物価変動が低位に推移をしているということを受けまして今は完全物価制に移行してきたと、こういう経緯があるわけでありまして、これも大事な経緯だろうというふうに思っております。
いずれにいたしましても、大臣が先ほどから、前回のお話でも今年じゅうに決着をつけるというようなお話もされておられるわけでありますけれども、私どもが留意をしなきゃいかぬのは、平成十二年度、十三年度、二カ年にわたって特例措置を講じたことに伴います財政影響を考慮するということでございまして、次期財政再計算までの間に給付額等やスライド規定の見直しについて検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしているわけでございます。
現在のように、前年のみの消費者物価を指標とした自動物価スライド規定の見直しについてもあわせて検討はしていきたいというふうに思っているところであります。
○小池晃君 その検討の一つとして、今おっしゃったゾーン制、ある程度の幅を超えないとスライドしないということも選択肢の一つだということなんでしょうか。
○副大臣(桝屋敬悟君) ゾーン制については、今申し上げたように、今までゾーン制から毎年の完全物価スライドへ移行してきたということがあるわけでありますから、容易に前のゾーン制に帰っていいということではない。
ただ、本当に私ども悩んでおりますのは、これほど経済が激しく動いてきた、動いているということは、これは正直申し上げて大変に我々の想像を超えたところもあるわけでありまして、一つはこれからの経済がどう動くかという、もちろん大臣が先ほど言っておりますように、経済は我々は安定をさせる方向で一生懸命今取り組みをしているわけでありますが、そうした、これからの二、三年、あるいは中期的に見て経済がどう動くかということも十分勘案をしながら検討しなければならぬ課題だと思っております。
○小池晃君 続いて、障害年金の問題についてお伺いしたいんですけれども、無年金障害者の問題です。
これは、さきの年金審議の中で私も何度か質問して、当時の丹羽厚生大臣はこう言っているんです。個々のケースの場合において、どうしても知り得ない場合とか、加入できないような場合とか、そういうケースがあるのかないのか、そういうことを含めて検討しなくちゃいけないと。真にやむを得ない理由によってこの場合はというようなことを少し勉強していただけたらと、ケースを一つ一つ洗い直す必要もあるのではないか、こう考えておりますというふうに答弁されました。
これはやっぱり大変深刻な問題が続いていて、八九年当時に任意加入していた学生というのは、これは一%にも満たない。ほとんどが知り得ない、加入し得ないという、そのような環境に置かれていた方だと考えるべきではないかと思うんです。
障害者プランの見直しも始まったと聞いております。本来ならば、現在の障害者プランの終了時までに解決すべき問題であったはずでありまして、やはり直ちに検討、そして解決の道へ踏み出すべきでないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(辻哲夫君) ただいまの、前大臣のお答えになりましたところについての検討状況ということを御報告申し上げたいと思います。
それで、この議論の前提として、障害年金につきましては、六十年改正において障害福祉年金を障害基礎年金に裁定がえして、年金をそのように高めたといったような措置をとっているというようなことで、それに準じたような、あるいはそのようなことをしているから今御指摘のような個々で救えるものはないかというような御議論をされたというふうに承知しております。
趣旨といたしましては、二十歳に達する前に障害にかかった者について障害基礎年金を保障したという背景は、既に国民年金の加入者となる二十歳前に障害を発生しておられる、こういう方につきまして、いわば拠出制年金に加入する機会がなかったということでございますので、加入可能な二十歳になると同時に受給権を発生させたと。ところが、さまざま今議論になっているものにつきまして、それと同様に救えるものがあるのかという趣旨かと存じますが、すなわち二十歳前障害者と同様な事情にあると言えるものがあるのかどうか、ここをよく吟味してみたい、こういった御趣旨ではなかったかと理解するわけでございます。
その後、私ども検討いたしまするに、結局任意加入ができるのに任意加入しなかったケース、これにつきましてはむしろ強制加入に変えて、加入する機会を強制にいたしまして救おうとしたといったことを行いましたが、今度は強制加入であるにもかかわらず加入しなかった、すなわち保険料を納めていなかったケース。そして、今度は学生の納付等のいわば免除の特例申請というものができるようにして、負担能力のない方は免除申請をすればそれによって障害年金が保障できるようにと、また新たに措置をとり、これを救おうとした。
こういった中でやむを得ず、救える人はいないのかと、こういった議論をし、検討したわけでございますが、結局議論いたしまするに、保険料をそのような今までの経過の中で納めた方、そしてまた保険料納付の猶予の申請を現に行われた方、この方々との均衡を考えますと、事後的に救済を行うということはこれは社会保険の根幹にやはり触れてしまうということで、そこのところは困難だなというようなことでこれまで検討してまいった状況でございます。
○小池晃君 今のではやはりこの問題の解決につながるような議論ではないというふうに思います。やはり、こういう問題について一つ一つの事例についてよく検討すべきだと思うし、拠出をした人との公平性という問題だけでこの問題すべて切り捨てるという議論では私はこの問題は解決できないと思いますので、引き続き結論を出さず検討していただきたいというふうに思っております。
さらに、障害年金の中身の問題ですけれども、肝臓病の患者の問題についてちょっと取り上げたいんですが、肝炎患者の障害年金の認定基準の問題です。これは認定基準が大変古過ぎるという意見が出ております。検査項目とか検査方法がかなりこれは現在のやり方に合っていないんじゃないかと思うんです。
例えば黄疸指数なんという、ほとんど今やられていないような検査項目もある。それから、肝炎の予後に大変大きな影響を与えると言われている血小板の数なんかも入っていない。これは見直すべきではないかという意見も出ていると思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) お答え申し上げます。
障害の認定基準につきましては、内部疾患それから外部疾患いろいろありまして、それぞれ認定の基準をつくっておるところでございますが、内部疾患につきましては医学的な観点からもいろいろ検討する点が多うございまして、その時々の医学技術の進歩、こういったものを踏まえまして適時適切に見直していくことが必要かと思っておりまして、そういった努力を今後とも続けてまいりたい、かように考えております。
○小池晃君 それから、肝炎の場合に、対症療法によって一時的に検査データがよくなる場合もあるんですね。そういう際に毎年提出する現況届の数字がよいと支給停止になるという声も出されていますけれども、こういう問題についても、肝炎なんかは治療によっては検査データがよくなるということは間々あるわけでありまして、やめればすぐにデータはもとに戻るということがあるわけです。対症療法による数値の下降によって打ち切るようなことはやっぱりやめるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についても御検討いただけないでしょうか。
○政府参考人(冨岡悟君) お尋ねの点につきましては、肝機能検査の成績につきましては確かにその時々の検査によって変動しやすいという性格を持っておりますが、私どもの使っております認定基準におきましては、肝機能検査成績はその性質上変動しやすいものであるので、肝疾患の経過中において最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする、こういった基準に基づいて運用しております。
したがいまして、現在障害年金を受けておられる方につきまして、現況届の提出を受けまして障害の程度の確認をするわけでございますが、検査数値が一時的に下がった場合、そういった場合にその数値だけで認定するということではなくて、ある一定期間の検査成績の推移、それから障害の状態、それから日常生活全般の状態を総合的に把握することによりまして認定を行っているところでございます。
以上でございます。
○小池晃君 そういう実情をよく見ながら判定していくということを進めていただきたいと思うんです。
それから、腎臓病の患者さんのところからは、やはり今透析療法に移行する患者さんの三分の一は糖尿病性の腎症なんですね。ますますふえているわけです。糖尿病性の腎症の場合は、クレアチニンなんかのデータがよくても心不全なんかがひどい、あるいは合併症がひどいというケースというのは多々あるわけであります。ただ、障害認定、年金の認定上はクレアチニンの値で認定されるので軽く出てしまうという声が出ている。それから、腹膜透析をやっている患者さんの場合もデータは結構いいというケースが多い。しかし、認定上は低く出てしまうと。
やはり病態とか治療法に合った基準にしていくべきではないかという声が出て私も当然だと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(冨岡悟君) 今、腎臓病についてのお話でございましたが、私ども、認定の基準として、例示としてある一定の物差しみたいなものをもとにしていることは確かでございますが、実際の認定に当たりましては医師の判断等に基づきまして、実際の生活の状態、障害の状態を勘案いたしまして個別的、総合的に認定しているところでございます。
○小池晃君 ところが、その実態はそうなっていないんじゃないかという声があるわけですね。やはりクレアチニンのデータで機械的に認定が低く出てしまうということがあるんだと。やはりその実態に合わせてやるというのは当然のことでありますけれども、その認定基準自体も病態とか治療法に合わせてやはり変えるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(冨岡悟君) 現在の認定基準におきましては、一定の数値みたいなものは基準として必要なわけでございますが、この運用に当たりましては、私どもはこれは例示であるといたしまして、実際の認定に当たりましては障害の状況、生活の状況を勘案して総合的に認定するようにと、そのような方針で運用しております。今後ともそのような障害の実態に合った認定に努めてまいりたいと、かように考えております。
○小池晃君 実態に合った認定をしていっていただきたいというふうに思います。
それからさらに学生の特例納付制度、前回の年金改定で入った制度ですけれども、これについてお聞きしたいんですが、当時、これは定時制とか通信制の学校に通う学生には適用されないんだと、これが大変問題だという声がありました。
総務省がこの問題について意見書といいますか、厚生省に対してあっせんといいますか、申し入れをするというふうに聞いておるんですが、この趣旨について御説明を願いたいと思います。
○政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。
国民年金におきましては二十歳以上の者が被保険者ということでございまして、保険料を納付しなければならないわけでございますけれども、御指摘の二十歳以上でありましても一定範囲の学生等については、学生である期間、保険料の納付が免除されるというような特例制度でございます。ただ、これは御指摘のように高等学校の定時制課程などについては対象外ということでございます。
私どもに行政相談という制度がございますけれども、これに先ごろ二十歳を迎えた高等学校の昼間の定時制に在学する子を持つ親御さんから、定時制についてはそのようなことで除外されているけれども、実際親としては保険料を払う負担が大きいと。また、学生が免除されているのはこの方の理解では一般に学生の間は収入がないということが理由だというふうに聞いておるんだが、この定時制の昼間に在学している子供については、自分の子供、収入がないことは明らかであるのでこの特例制度の対象にしてほしいという申し出があったわけでございます。
これにつきまして私ども総務省で検討いたしました結果、高等学校の定時制の生徒もさることながら、同じく対象外とされております大学の夜間、あるいは通信制という学生さんと今の実態というふうに考えますと、従来はやはり勤労学生ということが主体であった、こういうことだと思いますけれども、現在の状況を見ると無職でその生計を親に依存しているという方々も増加しているんではないかということでございます。
そこで、これらの学生等も特例納付制度の趣旨になじむと考えまして、厚生労働省におかれてその実態を把握していただく、その上で特例制度の対象範囲のあり方について検討されるようにということを求めたものでございます。
○小池晃君 まことにもっともな私は考え方だと思うんですね。実態を踏まえた意見だと思うんです。
厚生省はこの要請に当然私はこたえるべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(辻哲夫君) 私ども、実は本日、今総務省より御説明のありましたようなあっせんをいただいたところでございますので、まずあっせんの内容等を十分に吟味させていただくということで分析させていただいているところでございます。
○小池晃君 これはやはり当然この要請に私はこたえていくべきであるというふうに思っております。
最後に、この四月からの定額部分の支給開始年齢の繰り延べの問題についてお伺いしたいんですが、参議院の予算委員会で年金局長は予算ベースで八百億円の減少となっているというふうに、要するに定額部分の支給開始年齢六十歳からの繰り延べの分の数字をおっしゃいました。この計算根拠をちょっと簡潔に御説明願えますか。
○政府参考人(冨岡悟君) お答え申し上げます。
平成十三年度予算におきまして、厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げの対象となる人数につきましては年度間の平均で約三十万人と見込んでおります。年度末では約六十万人となる見込みでございます。このうち、厚生年金の被保険者期間が二十年以上ある方、約二十万人につきましては、定額部分の平均年金額が約六十九万円となっております。それから、被保険者期間が二十年未満である方、約十万人でございますが、定額部分の平均年金額が約十三万円と見込んでおります。これらの方全員が六十一歳から定額部分を受給するならば、影響額は約千五百億円の減少となります。このうち、約半数の方が繰り上げ請求をするものと仮定して計算いたしましたところ、厚生年金の給付金の減少額は約九百億円と見込まれます。また、このような方は老齢基礎年金も一時繰り上げ給付を受けることになりますので、老齢基礎年金の給付について約百億円増加が見込まれます。差し引きしますと、両方合わせまして約八百億円の減少というふうに見込んでございます。
○小池晃君 私、この計算はちょっとおかしいと思うんですね。そもそも繰り上げ請求というのは、これは年金の数理上は中立であるはずですから、制度改定の影響の中にこの問題を読み込むというのは私はちょっとおかしいんじゃないか。要するに、いずれ八割支給になって最後には戻ってくるような計算になるわけですから、予算上の問題だけでいえばもちろんわかるんですけれども、年金の計算上これを読み込んでいくというのは私はちょっとどうかと。四月から実施される支給開始年齢の繰り延べの影響、支給停止される年金額というのは先ほどおっしゃった千五百億円というベースの数字、これ自体も人数に若干疑問があるとは思うんですけれども、やはりここがこの四月からの支給開始年齢の繰り延べで影響が出てくる額だと見るのが私は年金の考え方からいえば当然ではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(冨岡悟君) ただいま申し上げましたトータルの八百億円というのは、十三年度一年間の差し引きの影響額ということでございます。それから、御指摘のありました年金の年齢の繰り上げによりましての影響額は、先ほど申し上げましたように千五百億円ということでございます。
○小池晃君 三十万人という設定も老齢年金の受給者、新規裁定の中で九九年度で三十二万人、通老で四十二万人ですから受給者だけでも七十四万人になる。女性の分がありますからこれがすべて繰り延べになるわけじゃないですけれども、やはり先ほどの計算の三十万人という数字も私は疑問があると。ただ、繰り延べの影響額は千五百億円、ここがベースだということは確認できたと思うんです。
その上で、雇用保険の改悪もやられるわけですね。雇用保険の改悪で定年退職後の失業給付が三百日から百八十日になりますけれども、この一人当たりの給付減というのは幾らになるのでしょうか。──いいです。これは通告はしてあるんですけれども、一人当たりの給付減は六千二百十一円掛ける百二十日で大体七十四万円です。
さらに、現在の六十歳から六十四歳までの求人倍率はどうなっているか。これはどうでしょうか。
○政府参考人(上村隆史君) 平成十三年一月現在の求人倍率でございますが、五十五歳以上全体では〇・一四倍で、その内訳は、五十五歳以上五十九歳以下が〇・二〇倍、六十歳から六十四歳以下が〇・〇八倍、六十五歳以上が〇・二四倍という状況でございます。
○小池晃君 先ほど私が申し上げましたけれども、雇用保険の改悪で定年退職後の失業給付が一人当たり約七十五万円削られる。その上、六十歳から六十四歳の求人倍率というのは〇・〇八、全年齢でいうと〇・六六で、年齢層全体で見ればこの層は一番低いわけであります。厚生年金が男子、満額もらえなくなる。その上に雇用保険も四月一日から切られる。三月末に駆け込み退職をする人が少なくないというふうに言われているんですね。
大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、これだけ就業率が低下をしている。消費不況が加速している。さらに今議論されているような不良債権処理が進めば、リストラもどんどんふえていくだろうということも心配されているわけであります。この四月からの支給開始年齢の引き上げ、それから雇用保険の給付減、私はこれはまさに今の景気回復に逆行するものではないかというふうに思うんですね。四月からの改悪、私は中止、凍結すべきだ、景気対策から見てもこれは直ちにやめるべきだというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 給付日数の問題につきましては、既に法案も通った問題でございますし、そしてこれはいわゆるリストラ等に遭われた皆さん方、いわゆる非自発的におやめになった皆さん方に対して手厚くすることを中心にしたものでございますから、私は雇用が厳しくなるということがありましたならば、それに非常に適合した問題であるというふうに思っております。
ただ、今御指摘になりましたように、普通におやめになりました皆さん方の場合には日数が少なくなるわけでありますが、皆さん方も、定年退職をされる皆さん方は前もってわかっているわけでございますから、その皆さん方は恐らく前もって自分が定年退職をした後はどういうふうにしようということはいろいろとお考えになっておみえになるんだろうというふうに思いますから、私はそういう皆さん方がすべて駆け込みになられるというふうにはちょっと思っておりません。この皆さん方、できるだけ雇用保険のもらう日数が多ければいいなどというようなお考えはお持ちになっていないと私は思っております。
○小池晃君 もう時間ですので質問しませんが、雇用保険、重点化したんだというふうに言うけれども、非自発的失業でふえた分というのはごく一部ですよ。全体としては五千億円給付を削減しているんですから、これは規模拡大なんてとても言えないと思うんです。これはもう大臣もよく御存じだと思うんです。
私は、求人倍率がこんな低いわけですから、やはりこういう層にとって大変この四月からの仕打ちは冷たいものであるということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
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