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151-参-予算委員会-13号
2001年03月26日

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日米首脳会談についてお聞きをしたいと思います。
 まず総理、あなたはアメリカへ行かれてえひめ丸の衝突事件について、ブッシュ大統領にアメリカの迅速で誠意ある対応を感謝していると述べたと報道されております。一体何に感謝したんでしょうか。再発防止の保証でも約束してもらったんでしょうか。

○内閣総理大臣(森喜朗君) 午前中にも御答弁申し上げたんですが、迅速な対応に敬意を表すると申し上げたので、後にも先にも感謝を申し上げたということは一遍もございません。何か新聞の間違いじゃないですか。最近よく新聞が間違えるんです。

○小池晃君 あなたはアメリカに行って遺憾の意を表明したというふうに報道されている。遺憾の意を表明して、そして相手も受けとめたんだというふうに本会議でも言われてきたと思うんですが、それではアメリカは民間人を乗せたデモンストレーションってこれ中止したんでしょうか、あるいは緊急浮上訓練、もうやらないというふうになっているんでしょうか。

○内閣総理大臣(森喜朗君) 今回のようなこうした事故が再び繰り返されないためには、まずは事故原因を究明することがこれは極めて大事だというふうに我々も考えます。
 十九日に行われました日米首脳会談におきましても、私から、原因究明それから引き揚げ及び補償について米側の努力を強く申し入れいたしました。これに対しましてブッシュ大統領から、できることはすべて行う、御家族のためにも努力したいと、こういう御発言がございました。
 今御指摘の民間人の乗船に関してでございますが、二月二十三日、ラムズフェルド国防長官は、あらゆる軍事機器の操作を民間人に許可することを停止するモラトリアムを既に発出している、またファーゴ太平洋艦隊司令官は、審問委員会の結果が出るまでは緊急浮上のデモンストレーションを制限する旨、このように述べているようでございます。
 いずれにいたしましても、政府としましては米側に対し、今後とも事故の再発防止を含め艦船の航行安全に万全を期すように求めていく考えでございます。

○小池晃君 民間人は操舵桿は握らなくなったかもしれないけれども、事故後も搭乗しているんです。緊急浮上訓練だってこれはやめちゃいないんです。混雑した海域で訓練をやることだってこれは続いているんです。日本近海でも同じことをやっているんです。何にも変わっていないじゃないですか。
 このままでは同じような事件が起こる可能性、私、これは起こっても不思議はないと思う。日本の首相としてアメリカまで行ってブッシュ大統領に会ったのであれば、原因究明はもちろん、刑事責任の追及はもちろんです。十分な賠償を求める、これは当然であります。しかし、それだけではなくて、再発防止のために民間人はもう乗せるなとか、あるいはもう緊急浮上訓練をやめろと、こういうぐらいを言って実行を迫るのが最低限やるべきことじゃないですか。どうですか。

○内閣総理大臣(森喜朗君) それはアメリカが考えることでございまして、日本の政府はそこまで相手の国に対して申し入れる、そういう、私どもとしては必要はないと思います。

○小池晃君 とんでもない発言だと私は思う。日本の国民の命を守るのが日本の首相の最大の仕事なはずであります。それがアメリカの事情で左右されるようでは、あなたは一体どこの国の首相かということを言われても仕方がないじゃないですか。
 あなたは、えひめ丸の問題では、最低限アメリカに対して言うべきことすら言わなかった。しかし、一方で経済問題では、言うべきでないことまでいろんなことをいっぱい約束してきたようであります。続いて、経済問題についてお聞きをしたい。
 不良債権の迅速な処理、すなわちオフバランス化の問題でありますけれども、これはどのように進めるのか、ちょっと御説明を願いたいと思うんです。

○国務大臣(柳澤伯夫君) オフバランス化が必要だと。一つは、金融機関の収益力をもっと強めなきゃいけない。もう一つは、金融機関が収益力が弱い、あるいは不良債権を抱えていることによってリスクに対してどうしても過度に慎重になりがちだ、そのことが日本経済全体の再活性化の障害になっていはしまいか、もしそうであるとすればこれも除去しなければならない、こういう考え方でオフバランス化を進めるということを考えているわけでございます。
 その今、先生のおっしゃるどう進めるかということでございますけれども、これはかねがね申し上げているように、一つは売却ということもありましょうし、それから法的処理が進んだ場合に、受け身ではございますけれども、直接償却をしなければならないということもありましょうし、それからまたしっかりした再建計画に基づく債権放棄ということもあり得ましょうし、また部分償却というようなことによってこれは進めるというたぐいの話ではないわけですけれども、そういうこともオフバランス化というものの中には入ると、こういうことをかねがね説明させていただいているところであります。

○小池晃君 要するに、いろいろとあるけれども、せんじ詰めていくと大きく言って二つだと。不良債務を抱えた企業に対して、これはつぶして資金の一部を回収するか、あるいは債権放棄をして残った部分を立て直すか、せんじ詰めれば大きく言ってこういう二つの方法でこのオフバランス化を進めていくというふうに理解してよろしいでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 売却という場合に、それがどういう結果を貸出先企業に与えるかということはちょっとここで一概にお話しできるたぐいのものではないと思います。
 そうしまして、その後のそれでは再建計画に基づく債権放棄、これは先生がおっしゃったバイアブルな部分は生かして、収益力の見込みの立たないところは整理をする、こういうようなことだろうと、このように思います。あとは、何と申しますか、法的な整理が行われた場合に金融機関が受け身でこれに対応していく、こういうことであろうかと思います。

○小池晃君 一方で法的な整理、それから債権放棄と、債権放棄が大変問題になっているわけでありますけれども、総理にお伺いしたいんですが、これは今までも債権放棄というのはやられてきているわけです。より一層大規模に進める、今のようなやり方で進めようということであれば、これは債務免除される企業には一層のリストラが迫られるということは間違いないと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 再建計画の中では当然そういうことが行われ、そして企業が全体として再建される、こういうことが期待されるということでございます。

○小池晃君 麻生大臣もNHKのインタビューで、これは単独インタビューですね、こうおっしゃっています。この種のものを進めれば間違いなく失業率が一時期上がるということも十分覚悟してやらなくてはならないと。
 そういうことだと思うんですね。直接償却を行えば、これはリストラとか倒産が進んで失業者がふえていくんだ、こういう事態となるんだということで理解してよろしいんですね。

○国務大臣(麻生太郎君) 直接償却に限らずこの種の経済を立て直すときにおいては、いわゆる企業が競争をやっておりますので、その中で淘汰されていく企業が出てくるのは当然でありまして、そこの中においては必然的に非自発的失業者がふえてくるということはある程度覚悟せねばいかぬ。そのためには、セーフティーネット等々、失業手当等々を真剣に考えねばいかぬ問題だと思っております。

○小池晃君 企業が競争すればなんという超一般的な話をしているんじゃないんです。今進めている、最終処理を進めていくということをやれば、これはやはり失業率がふえる、リストラがふえる、倒産がふえる、これは当然考えられるじゃないですかと聞いているんです。お答えください。

○国務大臣(麻生太郎君) 私どもは、中央集権的共産主義による、何というんですか、いわゆる共産主義に基づく中央統制経済をやっているわけではありませんので、自由主義経済をやっておりますので、その経済の中においては企業間において競争が起きるのは当然であります。日本経済を立て直していくためには競争が必然的に起こってくるのは当然なんであって、その中においては、いろんな意味で規制が緩和されていったりする中で、規制によって保護されていた企業等々がある程度淘汰されていくことになり得ることは十分に考えられることだと思っております。

○小池晃君 そんな一般論じゃないんです。あなたはNHKのインタビューで、この種のもの、だからアメリカで約束してきたことでしょう、最終処理を進めると、こうすれば失業率が上がると言っているじゃないですかと。私、むちゃなことを聞いているんじゃないんです。物の道理としてそういうふうになっていくでしょうというふうに単純に聞いているんですから、答えてくださいよ。

○国務大臣(麻生太郎君) そのとおり答えているんだと思いますが。

○小池晃君 こういうやり方をすれば、それはリストラも進むし、倒産も進むし、失業者もふえるんだと。直接償却、最終処理という方法が雇用不安を高める危険があるということは、これははっきりしたと思うんですね。
 一方で債権処理の問題です、債権放棄の問題。
 不良債権の直接償却の中心となってくるのが債権放棄であります。そのためにどのように公的資金が投入されるか、あるいは減税などの公的な支援がどのように行われるか。私、きょう、パネルにしてここに持ってまいりました。(資料を示す)
 一番大きいのは、銀行に投入された公的資金、資本注入された銀行が債権放棄をする、つまり銀行につぎ込まれた国民の税金がゼネコン、流通、不動産という問題企業の救済に使われる、これが最大の問題であります。さらに、直接償却が大規模に進んでいけば、銀行の自己資本比率が下がって、さらなる公的資本の注入ということにもなりかねないわけであります。
 一方、債務免除された企業はどうか。今、検討されているのは、産業再生法による減税融資、これは無理やり産業再生法を適用しようとしている、それから債務免除で得た利益に対しては免税だと。一方、債権放棄をした銀行には無税償却をしてやろうという話であります。その上、株式買い上げ機構、ここでは、買い上げた株の売却益は、これは売却時に損失が出ればそれは公的資金で面倒を見てやるんだという話があります。それから、株式譲渡益に対する減税も検討されている。
 ありとあらゆる手段で、穴があいたら税金で埋める、それから取るべき税金はまけてやるというやり方で債務免除、債権放棄を進めようとしている。こんなやり方に、総理、国民の納得が得られるというふうにお考えでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 先生、やっぱり少し先に進み過ぎているんではないかと、このように思います。
 公的資金を入れた銀行について新たな公的資金が、ここはまあ、はてなと書いてはあります。先生のも書いてあります。書いてはありますけれども、これは私のかねてからの答弁で、この三月三十一日に健全化法は終了しまして、あとは協同組合立の金融機関のみということになりますし、それから、他方の減税の面につきましても、まだ債権放棄に対してストレートに無税償却というようなことがないと、それを一体どうこれから考えるだろうかというようなことでございます。それから、株式買い上げ機構に至っては、これはまだ何ともかんとも、まだ形も何もできていないものでございまして、早々と減税というようなことをお決めいただいているわけですが、ちょっと先を急ぎ過ぎた御議論かと思います。

○小池晃君 まず、公的資金を新たに注入することはないというふうにおっしゃいましたけれども、これは今、不良債権処理で例えば大和銀行、あさひ銀行、赤字決算となっている。公的資金返済のための剰余金取り崩して、これ、普通株の配当ができなくなるほどの大きな取り崩しをやっているんですよ。これを見れば、公的資金、これがどんどん注入されていく、そしてさらに銀行の自己資本比率がどんどん下がっていく、そして地価が下がる、株価が下がる、時価会計が始まる。来年度の九月決算で絶対に公的資金投入しないんだと断言できるんですか、あなた。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 先生、今いろいろなものを、ちょっと早口で私も記憶にとどめられなかったんですが、ありとあらゆる悪い現象を挙げられたような気がいたしますけれども、私も各銀行にとって厳しいことは率直に認めるところであります。しかし、それを何とかやり切らない限り、金融機関の活性化、日本経済の活性化というものもないというふうに考えておりまして、そういう考え方のもとで呼びかけをさせていただいておるということでございます。
 なお、公的資金の問題というのは、先生つとにもう御理解のとおり、これは個別の金融機関の救済のために入れたわけではありません。これは、あくまでも金融機関が構成するところの日本の金融システム全体が危機に、危殆に瀕しているんではないか、こういう考え方のもとで公的資金をそのシステムを構成する金融機関に入れたということでございます。
 したがって、個別の金融機関の問題が起こったときに、それがシステムの危機に結びつくのかどうか、システムの危機に結びつけばこれは金融危機対応という形の新たな制度が発動されるということにはなるんですけれども、個別の金融機関がそうしたことに直面したときに公的な資金を注入するというようなことがあってよろしいんでしょうか、むしろ、逆に私は共産党の先生にお聞きしたいと、こう思います。私どもはそういう考え方はとるべきではないんではないかと、こういうふうに考えているということであります。

○小池晃君 我々公的資金投入に一貫して反対していることは御存じのはずであります。今の答弁に私は納得できないんですけれども、お答えになっていない。
 今の状況が進んでいくと一斉に直接償却、最終処理がどんと進んでいく。そうなれば銀行の自己資本が新たに毀損していくじゃないですか。そういう状況が起こったときに、金融システム危機という名目がついていますけれども、そういう名目をつけて公的資金を投入する可能性がこれから幾ら株が下がっても、幾ら地価が下がっても絶対に今後公的資金投入しないと断言できるんですか、できないでしょう。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 幾ら株が下がっても、幾ら地価が下がってもというような前提で何か物を言うというようなことは、少なくともこういう場では国民にいたずらな不安を与えるような話になって全く適切さを欠いていると私は思います。このことについて私はコメントする立場にありません。

○小池晃君 あなたが公的資金の再注入はないというふうに断言するから、私は絶対にないと言えるんですかというふうに聞いているんです。これからそういう可能性だって否定できないでしょう、それだけの大胆な不良債権の最終処理を進めていこうという御決意を持っているんじゃないんですか、そういうだけの覚悟をしておっしゃっているんじゃないですかと私は聞いているんです。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権のオフバランス化を進めるという場合に、それぞれの金融機関に与える影響というのは私は違うと思います。それから、そもそもその原資となるものについて動員できる、用意できる資金というようなものも、程度もこれまた金融機関によって区々であろう、このように思います。そういう中で、今、先生がおっしゃったように、必ず自己資本を毀損しますというような前提でこれまたお考えになられるのはちょっと先走った議論ではないか、このように考えます。
 個別にそういうようなことが仮に出た場合にどうするかでございますが、ほかの銀行は悠々とやっている、個別にそういうものが起こった、個別の金融機関を公的資金の注入でもって救済するのかというように問題を立てられたとしたら、共産党の考え方であれば特にもう答えは明瞭ではないでしょうか。

○小池晃君 今の答弁は忘れないでおきたいというふうに思います。
 ところで、九七年、九八年、公的資金投入後、資本注入行はどれだけの債権放棄をやってまいりましたでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 債権放棄についての金額というのは、実は東証の開示規則によりまして大きなところについては開示の義務が課せられているということでございます。
 今、先生お尋ねになられる前に、実は事務当局の方に資料要求がありまして、私どもの方も鋭意この計算をし始めたわけですが、先生が当初おっしゃられたのは十二年四月以降ということで十二年度のことでございましたので、これについては六千六百八十二億八千九百万円という数字を計算できました。しかし、それ以前のものまでと急遽また追加で言われましたので、この点については現在私の手元に計算結果が届いておりません。大変恐縮です。

○小池晃君 再度の資本注入はないと言いながらこんなことも調べていないんだと。これ、最低限のことじゃないですか。公的資本を注入した銀行がどれだけ債権放棄するか、こんなことも金融庁は把握していない。こんなことでは再度の資本注入がないなんと言っても、ますます私、怪しいものだというふうに言わざるを得ないんです。
 例えば新聞報道では、九九年三月期一兆六千億円、二〇〇〇年三月期に一兆四千億円の債権放棄をしているんです。債権放棄の総額というのはゼネコンだけで二兆円に上るんです。これだけ巨額な債権放棄をやってきて、一体日本の景気というのはよくなったのか。私、こうしたやり方が景気の回復にはつながらないということはもはや実証されているんではないかというふうに思うんです。
 さらに、今度のやり方で中小企業がどうなるか。不良債権の直接償却で中小企業は切り捨てられる危険性が大変高いわけであります。それなのに、中小企業金融安定化特別保証を四月一日で打ち切るんだと。こんなことをしたら景気がますます冷え込んでしまうんじゃないですか。

○国務大臣(平沼赳夫君) 特別保証制度というのは、異常な貸し渋りという状況が起きまして、そこで政府系金融機関、信用保証協会におきまして、当初は御承知のように二十兆円、これの特別保証制度を行ってきましたけれども、さらに一年延長をして十兆円ふやさなきゃならないということで、三十兆の枠でやってまいりました。
 これは委員御承知のように、異例、特例の措置だったと思っています。そして、三月十六日現在でこれを集計してみますと百六十四万件利用がございまして、保証の総額も二十七兆五千億と、そういうことで非常に効果があったものと思っております。
 しかし、繰り返しになりますけれども、これはそういう異常な貸し渋りに対する異例、特例の措置でございましたので、さきの臨時国会におきまして、私どもはことしの四月から新たな一般保証制度というものを拡大いたしまして、そして中小企業の皆様方に幅広く利用していただく、そういう形に切りかえさせていただきました。ですから、特別保証制度というのは異例、特例の措置でございますので、延長する、そういう気持ちはございません。

○小池晃君 新たな制度で拡大したといっても総枠七兆円ですよ、三十兆円の特別保証に対して。今までの特別保証は、ネガティブリストで貸し渋りに遭っていれば簡単に借りることができる非常に借りやすい制度だった。私、一人、一件当たりの限度額をふやしても、これでは借りられなければ意味がないじゃないかというふうに言わざるを得ないんです。
 不良債権のオフバランス化、これを進めていけばバランスシートから切り離されるというのは、これは中小企業だと。一方でこういうやり方をしながら、中小企業を支援する仕組みは三十兆の枠組みを七兆円まで引き下げる、こんなやり方をしていたらもともとの実体経済はよくならない、景気回復しない、不良債権が次から次へと生まれていくだけじゃないですか。こういう悪循環を今きっぱりと私たちは断ち切る必要があるというふうに考えています。その点で、じゃ本当の景気対策というのは一体何が必要なのかという問題であります。
 私、こういうやり方で中小企業の足を引っ張る、そして失業者をどんどんふやすようなやり方では決して景気は回復しない。経済対策の実は軸足を銀行支援から国民の暮らしを温める、直接応援することに切りかえるべきだというふうに思うんです。
 その最も鮮明な、鮮烈なメッセージとなるのが消費税の減税じゃないでしょうか。総務省の家計調査では、消費支出が八年連続減少、とりわけ食料費がこの十年間で八九%です。衣服費は六四%、文字どおり食うものと着るものを切り詰めて生活をしているというのが実態だと思う。それも、消費税増税の影響が出た九八年以降落ち込みが最も激しいんです。消費税というのは物を買うたびにかかる税、物を買うたびにペナルティーがかかる。一方、消費税の減税というのは物事を買えば買うほど、買うごとに減税効果が出てくる。緊急の景気対策というのであれば、私はこの消費税を三%に戻す、ここを真剣に検討すべきではないかというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) しょっちゅう申し上げておりますとおり、なかなかそこだけをやるわけには私はいかないんだと思います。

○小池晃君 消費を温めるという一番鮮明なわかりやすい強烈なメッセージになるじゃないか、景気対策であればそれをやるのが一番効果的ではないかと私は申し上げているんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) それはゼロにすればもっといいというような話でして、なかなかそこだけをやるわけにはいきませんです。

○小池晃君 三月十三日の日経で、バンク・オブ・アメリカのチーフエコノミストのレビーさん、何と言っているかというと、日本の財政政策はどうあるべきかという質問に対して、「減税による景気刺激策で長期の経済成長をもたらすようにすべきだ。具体的には消費税率の引き下げだろう」とおっしゃっている。二日後の同じく日経、アメリカのコロンビア大学のパトリック教授、「消費回復のため、消費税率の引き下げを検討してもおかしくない。」、こう言っているんです。
 どうせ総理、アメリカに行ってくるんだったら、こういう意見を聞いてくるべきじゃないですか。消費税率を引き下げる、これは、(発言する者あり)聞いてくださいよ、日本政府が本気で景気回復に取り組む、日本政府がGDPの六割を占める家計消費を温める政策に根本的に切りかえたんだというメッセージを私は日本じゅうにも世界じゅうにも伝える、そういう意味があるんじゃないかと思うんです。
 私が言っているのは、景気対策として、国民に対するメッセージとして、そして世界に対するメッセージとして最も効果的なのが消費税の減税、これを検討するんだということになるんじゃないかと申し上げている。総理の見解をお聞きしたい。

○内閣総理大臣(森喜朗君) 税制を担当しておられます財務大臣が先ほど申し上げたとおりでございます。
 アメリカの方は、先ほどアメリカはけしからぬとおっしゃって、今度はアメリカはとてもいいというのはどうも余り納得できませんね。

○小池晃君 まじめに答えていただきたい。私は税制の問題で言っているんじゃない。総理に、景気対策として消費税の減税を正面から検討すべきでないかと言っているんで、そのことに対してお答え願いたい。

○内閣総理大臣(森喜朗君) 先ほど財務大臣がお答えしたとおりでございますと申し上げております。

○小池晃君 全体として、本当に景気対策と言いながら個人消費を温めることをしない、こういう姿勢がはっきりした。こんな予算では景気は決してよくならないし、私は不良債権の山がまた築かれることになるだけだと。消費税の減税に踏み出すべきだ、社会保障の負担増をやめるべきだ、そしてリストラを抑えて雇用危機を打開する、こういう道に踏み出すべきだというふうに思います。
 そういう方向で国政の根本的な転換を図っていく決意を表明して、私の質問を終わります。

 

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