○小池晃君 ぜひ前進をさせていただきたいというふうに思っています。 次に、介護保険についてお聞きをします。 介護保険が始まったら一体何を使いたいかという答えに、真っ先に挙がるのがショートステイなんです。横浜市が、昨年十一月に、要介護認定を受けた高齢者千二百人に対して介護サービス利用希望調査というのをやっております。これは、今どういうサービスを受けているか、そして介護保険が始まったら何を受けたいかという調査であります。この調査でも希望が一番ふえているのがショートステイなんです。現在利用している人が二六・九%、それが、介護保険が始まったらぜひ使いたいという人が五二・五%と倍増をしております。在宅介護を支える家族を支援する大切な制度だというふうに思うんですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。 ○国務大臣(丹羽雄哉君) まさにショートステイというのは、在宅の高齢者の方々について、一時的に例えば特別養護老人ホームなどに入所していただく、こういうことで大変重要な役割を果たすものと考えているような次第でございます。 かつて在宅三本柱と言われた中においても、どれもこれもみんな重要でございますけれども、今、先生が御指摘がありましたように、横浜を初めとしていろいろな地域においてこの利用のニーズが高まっておるということも私も十分に認識をいたしております。 ○小池晃君 しかし、このショートステイについて、二月十日に介護報酬大臣告示が出されました。介護保険になると利用日数に制限が加わってまいります。要支援だと半年で七日間、一週間ですね。そして要介護一、二でも十四日間、二週間であります。最重度の要介護五になってやっと一月に一週間という仕組みになっています。 そもそも、これは家族の負担軽減に着目した制度なんですから、利用日数というのは家族の側の事情で決まってくることが多いわけであります。介護を受ける本人の要介護度がたとえ軽くても、家族の健康状態とかあるいは仕事の事情などによってショートステイを多く利用せざるを得ないという場合も多くあるわけであります。要介護度でこれを区分するというのは実態に合わないんじゃないだろうかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(丹羽雄哉君) 介護保険制度におきまして、ショートステイにつきましてほかのサービスとは別枠で利用限度日数を設けましたのは、それだけ大変希望者も多いし、私どもといたしましては家族の介護の負担軽減を図る、こういうために大変ニーズも高いと。こういうことからできるだけ多くの方々に幅広く利用していただきたい、こういう考え方でございます。 特に、その中で要介護度、今、委員は要支援の場合六カ月一週間じゃないかということでございますが、これはごらんになっていただければわかりますように、例えば要介護五の場合には六カ月六週間ということでありまして、非常に開きがある。これは率直に申し上げて、要するに要介護度の重い方の方が介護をしている家族の負担も重いのではないか、こういうことを配慮してこのような措置をとらせていただいたわけでございます。 ○小池晃君 ちょっと実例を御紹介したいと思うんですが、東京にお住まいの老人性痴呆のある七十七歳の女性の例なんですね。これは夫と息子夫婦とそれから二人の小学生の孫と六人暮らしだというんです。痴呆で家の中を徘回しているんですね。夜はもう全然眠らずに同じ話をずっと繰り返すそうなんです。昼間は夫が面倒を見ている。ただし、夜は仕事から帰ってきた、セールスか何かをされているそうなんですが、息子さんが対応をしているんだそうです。 今は月に十日間ショートステイを利用して、週に二日間デイサービスを使っていると。息子さんのお話では、月に十日でもぐっすり眠れれば何とか在宅でやっていけるというふうにおっしゃっているんですね。ところが、この方は要介護認定を受けて要介護二なんです。そうすると、ショートステイは半年で十四日間ということになるわけです。息子さんのお話では、保険外で自費でやろうとすると一回一日一万円以上かかると。デイサービスも全部やめてもいいからショートステイを使えないものだろうか、何とかならないだろうかということで途方に暮れておられるんです。 ショートステイは今までは制度としてどうだったかというと、これは一回七日間までということが厚生省の基準で、回数は無制限なんです。さらに、事情に応じてこの日数七日間というのも延長してよいというふうになっておりまして、厚生省が進めている弾力化事業という中では最長三カ月まで認めていた。これは介護している家族が重病で入院する場合とかそういう例外措置ですけれども、そういうこともやっていた。しかし、介護保険では最重度の要介護五でもようやく月に一週間ということで、今より利用が制約されてしまうわけであります。 神奈川県の保険医協会が神奈川県内の老人保健施設にアンケートをやっています。介護保険実施後にショートステイの利用が制限される方の割合を調べたら、施設によってばらつきはあるんですけれども、最大一〇〇%、最小二〇%で、平均五九・八%の利用者の方が利用制限、被害を受けてしまうということです。 大臣、先ほど大切な制度だというふうに認識を述べられましたけれども、ショートステイというのはこれからどんどん発展させていくべき分野であるというふうに私も考えるわけであります。しかし、介護保険になると今よりも逆に利用制限というのはきつくなってしまうということは、これは在宅介護の推進という厚生省の方針に照らしても問題ありというふうに言えないだろうかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど、そのような利用回数を設けさせていただいたことについて、できるだけ多くの方々に幅広く利用していただく、しかもその中においてどうしても重い方が深刻に、要するに家族負担の軽減という観点から、重い方との幅を持たせたということを申し上げたわけでございます。 先生の御指摘は大変、私も認識においては同じでございますけれども、それぞれの市町村によってやっぱり違うと思います。そういうものを受け入れられるところと受け入れられないところが現実問題であるということが、これも大変大きな悩ましいところでございます。 要するに、家族が介護しているなどによってホームヘルプサービスなどを例えば六割未満しか利用しない場合については、ショートステイの利用日数を原則として今度は二倍に拡大する、こういうようなショートステイの柔軟的な利用について十分に配慮していきたい、このように考えているような次第でございます。 ○小池晃君 認識を同じくするということがございましたけれども、拡大措置というのをそういう問題点も認識されて出されたと思うんです。 しかし、今御紹介された拡大措置を例えば先ほど私が紹介した例で当てはめてみますと、先ほどのケースでも半年で四週間にしかならないんですね。これでは実態に合わないということなんです。さらに言えば、最初の半年間というのは適用になりませんから、この間激変してしまうわけです。制度が発足した当初の六カ月間というのは穴があいてしまうわけであります。これは今お話があったように、自治体によって大変ばらつきがあるというお話がありましたけれども、先進的に進めてきた自治体が今大変苦労しているわけですね。 例えば、新潟県の長岡市は一カ月の利用が一人平均七日間であります。一カ月二週間以上認めているという利用者が四百四十人いらっしゃるというんです。市の介護保険事業計画を拝見しましたら、介護保険の限度額を当てはめてみると六カ月で二千四百週なんです。ところが、今の現状のサービスの水準でやろうとすると、計算すると四千週なんです。実に一・八倍で介護保険ではとても賄えないということです。 これは新潟県の来年度予算に対する要望書なんですが、この要望書では、農山村地域において農繁期の利用が多いことを理由にして、短期入所サービスの利用拡大が容易に行えるよう支給限度額の弾力的な取り扱いをしてくださいというふうにしています。切実な自治体の声だと思うんです。介護保険の実施までの間にぜひ早急に見直すべきではないか、弾力的な取り扱いのあり方について検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(丹羽雄哉君) ショートステイの利用につきましては、一部の自治体から先生のお考えのような御意見をいただいていることも私も十分に承知をいたしております。今後、ショートステイの利用の希望状況や、地域におきますショートステイ施設の整備状況などについて十分に市町村の実態を調べた上で検討していきたい、こう考えております。 ○小池晃君 ぜひこれは緊急にやるべきだと思うんです。始まってからでは遅いと思うんです。先ほど言ったように激変する部分もあるんですね、当初の導入時。拡大措置がきかない六カ月の問題もあります。こういう場合、自治体が独自に上乗せで行うような場合にはやはり国が支援することも考えるべきじゃないだろうか。 例えば、兵庫県の芦屋市では、最初の拡大措置のきかない六カ月間の激変緩和のために、市の独自事業としてショートステイの上乗せをやるということを検討されているそうであります。ぜひこういう自治体の仕事を支援するということも検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(丹羽雄哉君) 介護保険以外の自治体の今のショートステイの支援ということにつきましては、これは介護保険の中においてこういうものはきちっと認められておるわけでございますので、それを公費をもって御支援をするということについては、今この場においてそれが適当であるということは残念ながら申し上げるわけにはいきません。ただ、先ほどから申し上げておりますように、今後、市町村の実態も早急によく調べまして、できるだけ早くそれについて結論を出さなければならない問題だと、こう認識しております。 ○小池晃君 ぜひ切実な問題ですので、大臣の今の答弁も二年先、三年先の検討という趣旨ではなかったと思いますので、これは実施までに早急に取り組んでいただくよう要望して、私の質問を終わります。
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