○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 私は、中小零細企業の経営に重大な影響を与える信用金庫、信用組合など地域の金融機関の整理再編がもたらしている事態についてお聞きをしたいというふうに思います。 地域金融機関の融資対象、これはもちろん中小企業が多いわけであります。そして、長期不況のもとで今中小企業の八割以上が赤字企業というふうに言われている。そういう状況のもとで地域金融機関が破綻に追い込まれると、その地域の中小企業も資金調達の道を失って倒産のやむなきに至る、そういう大変な事態が今起こっております。 そこでまずお聞きをしたいんですが、預金保険法に基づく資金援助の手続、この申請がなされた場合に、金融再生委員会は申請を受けて適格性の認定を行うわけですが、この適格性の認定のための三つの条件があると思うんです。それをちょっと述べていただきたい。 ○政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、破綻が起こった場合には、預金保険法第六十一条に基づきまして適格性の認定を行うわけですけれども、その際の三つの要件と申しますのは、第一に、当該合併等が行われることが預金者等の保護に資することでございます。第二に、預金保険機構による資金援助が行われることが当該合併等を行うために不可欠であることであります。第三に、当該合併等にかかわる破綻金融機関につきまして、合併等が行われることなく、その業務の全部廃止または解散が行われる場合には、当該破綻金融機関が業務を行っている地域または分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。この三つが要件になっております。 ○小池晃君 今の三条件の一つに、地域経済にとっての不可欠性ということがあります。つまり、その金融機関が地域または分野にとって不可欠である、これが条件となっている。つまりその地域経済を円滑に進めるための資金援助の認定ということになっています。しかし、現実には地域経済に今重大な支障が出ているんじゃないか。 実例を挙げたいと思うんですが、大阪では今信用金庫、信用組合の再編が急ピッチで進められようとしております。信用組合についていえば、大阪では現在ある十三の組合を三つに減らす、こういう猛烈な再編が進められている。例えば、信用組合大阪弘容、ここは昨年五月に大阪庶民信用組合への事業譲渡を発表されています。この両信用組合から資金援助の適格性の認定申請、これはいつあったのでしょうか。 ○政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。 先生御指摘の信用組合につきましては、適格性認定申請書がことしの六月十七日付で監督官庁でございます大阪府に提出されまして、その後、近畿財務局、金融監督庁を経由いたしまして、七月一日付で金融再生委員会に対し当該適格性の認定申請書の進達があったものでございます。今後、金融再生委員会におきまして、適格性の認定に関する審議を行う予定としております。 ○小池晃君 まさにこれからその審査が行われる。 ここの貸し出しですが、中小零細企業に二千三百億円ぐらいあるんですね。しかし、そのほとんどがRCC行きというふうになると言われています。数にして約二千五百社です。その九割は都市銀行も貸さないような零細業者。貸出先中小企業の経営危機を招いているわけですね。 ここに、実際の借り手の資料を持ってまいりました。これ、A社。ここは三期連続黒字の企業なんです。借入金は短期の運転資金のみです。預金も三百四十万円あります。優良だと思うんですね。ここはRCC行きというふうになっている。それからこれ、B社。ここも三期連続黒字です。売り上げも毎年毎年伸びていて、一昨年十二月期の売り上げは四億二千六百万円。担保預金は千七百六十万円ある。その他預金も一千二百十五万円ある。こういう企業がRCC送りにされようとしている。 そしてさらにこれは、この大阪弘容の受け皿である大阪庶民信用組合、ここの幹部が配ったものなんですが、営業活動地域は受け皿銀行の支店の半径二キロ以内までというふうになっているんですね。実際どうなっているかというと、その二キロより遠い融資先はこれはもうRCC行きだということがされているそうなんです。非常に乱暴な資産の振り分けがされている。 再生委員会委員長にお聞きしたいんですけれども、こういう非常に恣意的で乱暴な切り捨て、これを許していいんでしょうか。預金保険法の趣旨からして、先ほど言ったような趣旨からして、地域経済への配慮、これは必要だと思うんですが、こういうことを全くお構いなしのこういう合併や事業譲渡、これを適格と認定していいのでしょうか。お聞きしたいというふうに思います。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 信金、信組が破綻した場合、預金保険機構のいわゆる一般資金援助の枠組みで破綻の処理というか合併等がなされるという際の破綻側の資産の振り分けというのはどういうふうに行われるかというと、これは預金保険法の時代というか、そういうこの再生法等があるいは新しい金融二法が制定される前のことでございますけれども、受け皿との協議、つまり民間金融機関の間の協議によって振り分けが行われるということが規定をされておるわけでございます。したがって、そのことについては率直に言って個別的に我々が、行政の側が何らか介入できるという立場には立っておらないというのが実情でございます。 ただ、今先生が指摘をされたような適格性の認定、これは一般的な資金援助を行うのに適格かどうかということで、私はどちらかというと必要条件みたいなものを中心に考えるものですから、非常に今言われたこととの間を制度的にどういうように調整していくかということについてはちょっと今にわかに思い当たる仕組みがありませんが、ただ、この適格性の認定の趣旨にその地域経済あるいは地域金融の円滑化ということがあるがゆえに一般資金援助が行われるという趣旨は踏まえるような、そういう指導というか、そういうことは考えられるかと思います。 ○小池晃君 今言われたように、仕組みないんです。そして、その適格性の認定のところで、これはもうよく調べていただいて、やはりそこできちっと役割を果たしていただきたいと思うんですが、結局この適格性の認定、地域においては必要だというふうに言っても、もう受け皿が拒否すればまじめに働いている中小企業もどんどん切り捨てられるということが野放しになっているわけですね。今まさに言われたように、その後じゃそういうことが行われないような仕組みがあるのかというとないんだと。それが非常に大問題だというふうに思うんです。そのことをちょっと指摘しておきたい。 思い起こせばこの一年間というのは、借り手保護のために一体どうするのか、そういう議論をずっとしてきたわけであります。与党が出したトータルプランでも、今までのシステムでは借り手の保護に不備があるということで、健全な借り手保護と金融システム再生をこれは両立させるんだということでずっとやってきた。 こうした国会での借り手保護の議論を受けて出されてきたのがブリッジバンクのときですね。金融整理管財人の管理する金融機関からブリッジバンクが資産を引き継ぐとき、このときというのはちゃんと基準があるんですよ。このときは、引き継ぎが適当か否か、その資産を引き継ぐのが適当かどうかの再生委員会の資産判定基準というのがあります。 きょうここに持ってまいりましたけれども、これはどういう基準になっているかというと、この判定基準によれば、債務が五千万円未満の借り手については、これはたとえ赤字であっても、たとえ債務超過でも、二年で正常化する見込みがなくても、ちゃんとその予定どおり返済さえしていれば整理回収機構送りにはならないという、そういう判定基準があるんですね。これは長銀とか日債銀、こういう特別公的管理銀行にも使われているわけです。これは中小企業を考えてそういう基準ができた。 先ほど委員長おっしゃいましたが、事業譲渡の場合そういう仕組みがないんだというふうにおっしゃいましたけれども、まさにそうなんです。ぜひ合併や事業譲渡の場合、最低でもブリッジバンクに引き継ぐときの資産判定基準のような、この基準に合うところは融資が続けられるようにする、こういうことが私は必要ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。そうすべきではないかと思うんですが、お答えいただけますでしょうか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 今、委員がお尋ねのとおり、金融再生法系統の場合の資産判定におきましては、五千万円未満の債務者につきましては、これはもうその元利の支払いが行われている限り財務状況のいかんにかかわらず継続受け皿銀行に引き渡すということになってございます。それとの対照で、預保法上の今の一般資金援助の対象の場合にはそういう仕組み、対応する仕組みがないということは御指摘のとおりでありますので、これはもう少し何とか知恵が絞れないかということで、少しお時間をいただいて検討させていただきたいと思います。 ○小池晃君 ぜひこれは前向きに、大変な不備だと思うんですね、これは何とかしていただきたい。それを何とかしないと、中小企業にとってみれば下手な受け皿が名乗りを上げるよりもブリッジバンクになった方がいいということになっちゃいかねないんですよ。ですから、これはやはり基準をきちっとつくってやっていただきたい。 これは一年前、トータルプランの議論と並行して拓銀の最終的な処理が決まりました。その中でどういう扱いをされていたか、このことも紹介したいと思うんですが、北海道拓殖銀行の場合は、融資額一億円未満の債権については原則的にすべて北洋銀行に引き継がせる、こういうふうにやっているんですね。これはまさにトータルプランの議論の背景があったのでこういう扱いをされたのではないかと思うんですが、やはりやる気になればやれるんだというふうに私は思うんです。 大蔵大臣に最後にこの問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、信金、信組の破綻の中で今起きている私が紹介したような中小企業の切り捨ての状況、これはやはり一年前の問題意識に立ち返って何らかの措置をとっていただきたい、救う必要があるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(宮澤喜一君) 今具体的にお答えをする用意がございませんけれども、御指摘になりました問題は少しいろいろ検討させていただかなきゃならないと思います。 ○小池晃君 金融機関に公的資金を投入するのは、これは確実な預金者保護、貸し渋りの解消とかまじめな借り手保護、そのためにそういったことを通じて日本経済を立ち直らせていくということだったはずであります。資金面から中小企業を支える、そういう名分だったはずであります。 しかしこれは、一年たってみてどうかということで見ると、七兆四千五百億円注入された大手行は、みずから出した中小企業への貸し出し目標、これを達成していない、何の改善措置もとられていない。同じように今地域経済の現場では、目の前で融資をばさばさ切られているという実態があるわけです。 結局、公的資金がまじめな中小企業を切り捨ててゼネコンやノンバンクだけ救うものじゃないかと私たち一年間議論を通じてずっと指摘してきたんですが、まさにこの分野では表明したような危惧が現実のものとなりつつあるんじゃないかというふうに思いますので、前向きな御答弁もいただきましたので、ぜひ一歩前進させていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 次は、長銀の売却問題であります。先ほども若干御議論ありました、国有化された長銀の売却先の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。 新聞報道によれば、アメリカの投資会社リップルウッド・ホールディングスというところが長銀譲渡先の最有力候補というような報道もありました。買収額は一千億円から二千億円、そんな記事もありました。フランスの投資銀行という名前も挙がっております。 このリップルウッドという会社を見てみますと、ここは機関投資家から集めた資金で未公開企業や破綻企業を買収して経営再建して売却する、それで収益を上げるプライベート・エクイティー・ファンドを運用しているという紹介です。九五年に設立されて、アメリカの国内でのファンドの規模は四億五千万ドル。既に買収した五社は、買収額は合計八百万ドルに対して、三千四百万ドルで売却した。要するに、企業を買ってそれを転売する、それでもうけるということを中心にやっているような会社です。 国有化されたいわば国民の財産である長銀をこういう投資会社に売却する、これはもうもってのほかのことじゃないかというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 長銀の譲渡については、まだ話がすべて途中でございまして、今先生の御質疑に対して真っ正面からお答えするというような状況にもないし段階でもない、これは御理解いただきたい、こういうように思います。 ただ、今先生がおっしゃられた、アメリカでプライベート・エクイティー・ファンドと言われているものだそうでございますけれども、アメリカは御承知のとおり金融というものが非常に自由化されておって、いろいろな形の資本の調達あるいは投資というようなものが行われている中で、最近においてあらわれてきた一つの形態ということであるようです。 そのプライベート・エクイティー・ファンドの投資活動を見ますと、今一見先生が言われたようなプロセスをたどっておって、それはどうも日本の国民の税金を投入したようなファンド、投入したような金融機関の受け皿と言うには余りにも不適切ではないかと、こういう御指摘でありますが、私どもとしては、プライベート・エクイティー・ファンドを頭からだからといって排除できるか。 つまり問題は、経営、マネジメント、これが一体どういう形になるのかということが非常に大事であって、どういうファンドが直接的に長銀の受け皿になろうとも、仮にそれが最終的に上場されてしまうということになりますと、その金融機関のいわば株主というのは結局もう一般の株主ということになるわけであって、そこには余りだれが最初の金主であったか、投資家であったかということが最後まで問題になるという、その資本の何というか種類というか形態というか、そういうものが最後まで問題になるということはどうも余り考えなくていいのではないか。むしろそれ以上に考えるべきは、マネジメントの形態、マネジメントがどういう方であるか、マネジメントを担当する方がどういう方であるかということが最も大きな問題ではないか、こういうように考えておりまして、別に今申したことは今先生が御指摘になったプライベート・エクイティー・ファンドを念頭に置いて言っているわけではなくて、一般論としてそういう感じを持っております。 ○小池晃君 五月二十八日に大臣は記者会見で、基本的には短期の転売を目的に買収に名乗りを上げているところへの譲渡は考えていないというふうに答えておられます。 一般論として言われましたので一般論としてお聞きをしたいと思うんですが、一般論として譲渡先として、こういう記者会見での御発言があったわけですけれども、このような投資会社ということも対象としては除外しないということになるわけですか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 一般論としてお答え申し上げますけれども、短期というのをどの程度先生お考えになられて御質疑をなさっているかちょっとはかりかねますけれども、一般に例えば五年というようなことを短期とこう考えるときに、五年内に売り払ってしまうというような、それで一番その企業の価値がピークだと思われるときに売り払ってしまうというようなこと、こういうことを意図表明しているようなところに対して私たちはそれを受け皿銀行とするということは全く考えておりません。 ○小池晃君 もう一つの問題をお聞きしたいと思います。 これは先ほど議論になった問題なんですが、現在長銀の保有に適するとされている資産十九兆円というふうに言われています。しかし、その売却に当たってはさらにロスが生じる可能性があるのではないだろうかという問題です。実際報道では、譲渡の条件として追加引き当てを要求している、そういうところもあるようであります。 先ほど大臣は、時間の経過による資産の劣化があるので、その時点での資産の評価に応じた引き当てをしなければならないというふうにおっしゃいました。この中身をちょっと確認したいと思うんですが、そこで言われている評価というのは、これは相手側が、譲渡先がデューデリジェンスするわけですね、その評価のことを言っているのか、それともその時点で再生委員会としての査定を行ったその評価ということを意味して先ほどその時点の資産の評価とおっしゃったのか、そこをちょっと確認したいと思います。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 譲渡が行われるときには、当然相手方もデューデリジェンスをするということが原則的には考えられるというふうに私ども思っております。彼らは彼らなりのいろんなその自分たちの資産評価に基づいた引き当てなりなんなりを求めてくるであろう、こう思いますけれども、そこはもういわば取引の問題という範疇に入ってくるのではないか、このように考えまして、相手の言うがままに我々が一方的にそれをのまなきゃならないという立場には私どもはないのではないか、このように考えます。 ○小池晃君 さらに、この譲渡、今言ったように、まさに取引ということになってくるんだろうと。その場合にあり得る問題として、FAが絡んできて交渉が進んでいくと、長銀の保有資産の中から相手側が、これは受け取れる、しかしこれは受け取れないという要求をしてくることも考えられるわけです。 大臣は衆議院で二次ロスは負担しないというふうに答弁をされておりますが、そもそも初めの段階で、譲渡先側が二次ロスが発生するような資産の部分についてはこれは除外して継承しないということを言ってくることも十分あり得ると思うんですが、これはどう対応されるんですか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 今、先生御指摘のとおり、先般の衆議院の委員会の方でも二次ロスの処理について御質疑がありまして、私どもは二次ロスを処理するというようなスキームのもとにない、つまり私どもの運用に当たらせていただいている再生法にはそのようなことを想定した規定はないということを申し上げて、したがって私どもはそこは現行法に基づく限り不可能な道なのではないか、このように申し上げたわけでございます。 他方、今、先生がおっしゃられるとおり、私どもが適資産、適切な資産というか引き継ぎに適切な資産として分類したものについて相手方がこれを拒否して何らかの別の処分をする、その中にはRCCへの購入を求めるということもあり得るわけですけれども、そういう道が全くふさがれているかというと、実はふさがれておりません。そういうことを想定して預金保険機構ではお金が支出できるという仕組みになっておりますので、そういうことが否定されていないというふうに我々は法を解釈させていただいておるわけであります。 しかし、実態としてこの問題についてどのように私どもが対処しようと思っているかといいますと、基本的には、私どもが適資産と考えておったところのものについてはこれはそのまま引き継いでもらいたいというのがまず我々の原則的、基本的な立場でありまして、例外をつくることについてはこれは個々個別の判断ということになろうというふうに申し上げるほかないと思います。 ○小池晃君 結局、評価についても、時間的な経過による劣化というだけじゃなくて、相手側の言い値とこちらの評価とその差はどうなっていくのかという問題もあるし、すべての資産を引き継ぐかどうかということについても、可能性としてはそういうふうにしないということも仕組みの上ではあり得ると。やはりこれ一体追加の負担はどれだけになってくるのかというのは、これはいろんな要素がさらにつけ加わってくる可能性は十分にあるんだということだと思うんですね。 そもそも、こういう交渉がディスクローズされていない、全く秘密裏に行われているということも問題なんじゃないか。FAの契約も先ほどの議論の中でも明らかになっていない。これは、長銀は国有化されたわけですから国民の財産、二兆数千億円もの公的資金を投入して債務超過を消して売却する、国民にとって重大問題なわけですね。そこにさらに、プラスアルファで身ぎれいにした分をさらにきれいにするようなお金がこれからさらに注入されるかもしれない。 大蔵大臣は、昨年十月の当委員会で、長銀が国有化された後の処理について質問されて、こういうふうにお答えになっています。「恐らく処理の後にどこがそれを受け継ぐかということは、常識的には例えば競売とかなんとか、そういうことの方が経済の常識かもしれません。」と言われているんですね。 私これは、国有財産の売却で今言ったようないろんな問題がこれから起こってくる可能性がある、当然公開すべきではないか、価格設定の過程も含めて公開すべきではないかというふうに考えるんですが、これはいかがでしょうか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 今、先生いろいろな想定を置かれてこれからの道行きについて先生の予測されるところについての問題点を挙げられたわけでありますけれども、実にさまざまな問題に直面しているということについては率直に今認めざるを得ません。 私どもとしては、そういう中でいかに国民の負担を少なくするか等を一番、トッププライオリティーとして、いろいろなことを配慮してベストの選択をしていこうというように考えておるわけでございまして、これを公開すべきということについては、法律上そういうような規定は私どもないと承知いたしておりまして、国会への報告、例えば今度の報告もその一つでございまして、なおこれが内容的に不足するところもあるというような御指摘も午前中いただいたわけでありますけれども、これについては私どもはできる限り誠実に国会を通じて国民の皆さんに知っていただいて、私どものもし決定が行われた場合には、それが国民の支持を得られるように実態として努めていきたいし、またそのことについては詳細に御報告をして理解を求めていきたい、このように考えております。 ○小池晃君 誠実にとおっしゃいますが、相手は善意で買い取るのじゃないんですね。ボランティアでやるわけじゃない。もうかるから買い取るわけです。事業として利益が上がると思うから買収するわけです。企業の側は利潤追求のためにやるわけだから、やはりこれは競争入札のような形であるとか、そういった形がストレートにこの場合できるかどうかというのはこれは問題があるかと思いますが、やはり価格決定過程が公開される、ある程度のその根拠などが示される、こういう仕組みが必要なのではないか。 アメリカでは、承継先を選ぶ際にはプレミアムをつけたり、できるだけ有利なプレミアムをつけるところに承継するとかやっているわけです。最小コスト原則を貫くためのそういう仕組みができているわけで、日本の場合そういったものが全くないんじゃないかということを指摘せざるを得ない。 お聞きしますけれども、その過程は公開できない、そういう仕組みはないとおっしゃいましたが、国会に報告するというふうにおっしゃいましたけれども、譲渡された後で、どういう過程でその価格が決定されたのか、先ほどの御答弁では、現時点での資産評価と売却時の資産評価の引き当ての変化などについては報告するというふうに御答弁がありましたが、相手側がどういう価格設定をして交渉過程でどういう結末になったのか、どういう価格で売却されるという過程をたどったのか、ここについてもやはり国会に対して報告をしていただくというふうに、そのことを求めたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○国務大臣(柳沢伯夫君) 先ほど私が誠実にと言ったのは、別に取引の相手先に対して誠実にということを必ずしも言っておるわけではありません。私が誠実にと言ったのは、我々の法律を通じて持たされている金融の安定化という理念、これに対して誠実にということを申し上げたということをひとつ御理解賜っておきたいと思います。 そして、その上で申し上げますけれども、今、先生がおっしゃったように、どうしてこの相手先が選択されたかということについては当然私どもに説明責任がある、このように考えております。 ○小池晃君 終わりますが、このままでは本当に巨額の公的資金がやみの中に行くことになってしまう、これは明確にすべきだということを主張して、質問を終わりにします。(拍手)
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