ホームレスの生命と健康を守るための緊急申し入れ
2004年12月14日(火)
完全失業者が300万人を越した状態が続き、未だにその出口すら見えない中で、高年齢化し、安定した仕事に就くことが極めて困難なまま、ホームレスを余儀なくされる人が後を絶たず、主要都市から地方都市にまで広がっている。ホームレス自立支援法が制定され、03年8月に施行されたにも関わらず、名古屋市では、愛知万博を前に白川公園からのホームレス排除が行われており、自立支援法の趣旨にも反するものと批判の声が起こっている。
こうした人たちが、今厳冬期を迎えて、野宿生活という過酷な環境下での体調悪化や体力低下から凍死・病死者が出るなど、人道上、一刻も放置できない段階になっている。憲法が保証する基本的人権にも係る由々しき事態が毎年繰り返されており、政府が責任を持って具体的な解決策を緊急に実施することが求められている。以下の通り、国としてホームレスの具体的支援策を直ちに行うよう申し入れる。
一、就労事業の継続・実施で仕事の確保を
ホームレスの人たちの多くは就労意欲があっても安定した仕事に就けないでいる。この間、東京や大阪などホームレスが多数存在する地域で行われてきた「緊急地域雇用創出特別交付金」による地域の環境美化などの雇用創出策は、こうした人たちへの有効な就労支援となっている。この施策が継続できるよう、16年度で打ちきりとされる特別交付金制度の存続又は、それに代わる制度の創設など、引き続き国の財政的措置を講じること。また、これらの事業に従事する人たちの収入は月平均3万にも満たない実態であり、少なくとも生活保護基準に準じた賃金が得られる支援策として必要な財政規模を確保すること。
一、生活保護行政の拡充と国から自治体への財政支援を
大阪のあいりん地区(04年3月現在5517人と急増)をはじめ生活保護世帯が増えている。しかし、ホームレスが集中した地域では、ケースワーカーの配置が少ないために、個々の相談・援助に対応しきれていない。国が地方自治体に対して財政的支援をするとともに、ケースワーカーの増員などの相談援助体制の確立をはかること。
一、 ホームレスに十分な医療を
健康相談・診断を直接地域に足を運んで行うなど、ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関や地方自治体が責任をもつこと。国としても補助金をだすなどの支援をすること。
とりわけ、結核患者については、早期発見とDOTSなど必要な対策を国が責任を持って行うこと。
以上
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