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「貧困と格差」打開へ政治動かす
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「志位さんの話が、貧困で苦しみながら頑張って働き子育てしているお母さんに届けばいいと思った」(母子家庭で育った男性)
志位和夫委員長が二月十三日、衆院予算委員会で取り上げた、子どもに広がる貧困の問題は大きな反響をよびました。
貧困ライン以下の所得しかない家庭の子どもの割合が、OECD(経済協力開発機構)平均を上回り、とくに母子家庭では、OECD平均の三倍近くになっている実態を告発。母子家庭への児童扶養手当削減と、生活保護をうけている母子家庭への母子加算廃止を中止すべきと正面から迫ったのです。
「貧困が次の世代に引き継がれる危険をつくり出しており、日本の将来にとって重大問題」とただす志位氏。安倍晋三首相も「貧困が再生産される日本にしてはいけない」と答弁しました。
小池晃政策委員長は、三月六日の参院予算委員会で国民健康保険証取り上げ問題を追及。日本共産党が全国の病院を対象におこなったアンケートで、過去三年間で国保証取り上げで受診が遅れて病気が重症化したケースが九百三十件あり、子育て世代からも容赦なく国保証が取り上げられている実態を示しました。首相は「本当にそうであるなら、そんなことがないように指導しなければならない」と答えました。
日本共産党の論戦は、大企業奉仕の「成長底上げ戦略」を掲げる政府・与党はもちろん、「格差是正」をいいつつ、格差の原因を「市場原理主義のやや行き過ぎ」とする民主党とも鮮やかな対比をなしました。
人間らしい労働のルールをつくるために日本共産党は、現実政治を動かす重要な成果をあげました。
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)が違法な偽装請負を「労働者派遣法が悪い」と開き直って合法化を求めている―。市田忠義書記局長は財界の身勝手な態度を告発しました(一月三十一日の参院本会議)。安倍首相は「派遣会社だけでなく、派遣労働者を受け入れている企業にも厳格に指導する」と答弁せざるをえませんでした。これは厚生労働省が、三月一日に偽装請負問題での新たな通達を出すことにもつながりました。
財界が導入を求めている「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制の除外制度)でも、小池晃政策委員長が「長時間労働をさらに野放しにする」と同制度の問題点を徹底して批判(二月十五日の参院厚生労働委員会)。安倍首相に「(今国会への)提出を見送る」と、答弁として初めて明言させました。
小池氏は、日雇い派遣などで働きインターネットカフェに寝泊まりする“ネットカフェ難民”の窮状についても初めて取り上げました(三月十五日の参院厚生労働委員会)。質問は民放テレビのネットニュースでも配信され、多くの若者たちがブログで話題にしました。
運搬費があまりに低いため最低賃金以下の収入しか得られないダンプ労働者の実態をとりあげたのが、吉川春子議員です。「実態調査し生活できる単価にすべきだ」と質問(十二日の参院予算委員会)。柳沢伯夫厚生労働相は「労働者性があれば最低賃金以下は許されない」と答弁しました。
〇七年度予算は、庶民に一兆七千億円の増税を押し付け、大企業・大資産家にいっそうの減税を行います。異常な「逆立ち」税制を告発し、その転換を求めたのが日本共産党です。
安倍内閣は政府広報で「税源移譲によって所得税と住民税とを合わせた全体の税負担は変わらない」と宣伝しています。
ところが、佐々木憲昭議員が定率減税全廃の増税額を追及(二月八日の衆院予算委員会)したのに対し、政府は年収七百万円の世帯(夫婦と子ども二人)で年間四万一千円の増税になることを認めたのです。
一方、バブル期よりも大きな利益をあげる大企業への減税は、減価償却制度の拡充で国と地方あわせて七千億円以上。企業数でわずか0.36%の大企業が恩恵の約六割を占める実態が浮き彫りになりました。大企業グループへの減税となる「連結納税制度」(〇二年導入)では三年間で一兆円の減税です。
大門実紀史議員は、一年延長される証券優遇税制(金融所得への税を20%から10%に半減)について質問(三月十四日の参院予算委員会)。
尾身幸次財務相の答弁で、証券優遇税制によって、一年間に七千五百億円を超える減税がされることが明らかになりました。大門氏は、金融所得の大きい大資産家ほど減税となり、所得が大きいほど減税となる逆累進まで起きていることを批判。尾身財務相も証券優遇税制で大資産家ほど減税になることを認めました。
●「安全でゆきとどいた医療を 看護師不足を解決するための緊急提言」(3月19日)
●「いまこそ人間らしく働けるルールを―日本共産党の緊急提案」(3月15日)
●「無慈悲な国民健康保険証のとりあげをやめ、高すぎる国保料(税)の引き下げを―住民の命と健康をまもる日本共産党の緊急提言」(3月3日)
●「貧困と格差を打開し、暮らしと平和をまもる予算へ―2007年度予算案の抜本的組み替えを要求する」(2月21日)
●「深刻な医師不足を打開し、『医療崩壊』から地域をまもる日本共産党の提案」(2月7日)
庶民増税をただす立場からの質問は、実際に負担減となる成果もあげています。
例えば障害者控除。納税者本人や扶養家族などが障害者の場合、所得税・住民税の所得控除ができる制度で、高齢者の場合は、障害者手帳がなくても、「障害者に準ずる」人は控除を受けられます。しかし、「寝たきりでなければダメ」などと、自治体窓口で認定申請を拒否される問題が起きていました。
佐々木憲昭議員は二月二十八日の衆院財務金融委員会で、「手帳がなくても、福祉事務所長の判断で『老化による肢体不自由等の障害のある者』と認められれば、控除の適用対象となる」と迫りました。政府は「その通り」とし、認定から五年前までさかのぼって控除が受けられると答えました。
日本共産党は国会論戦と結び、二月二十一日には、予算案の抜本的組み替え要求を発表しました。暮らしをまもるため、(1)定率減税廃止など庶民増税の中止(2)最低賃金の抜本的引き上げ(3)生活保護の母子加算や児童扶養手当の削減計画の中止(4)国民健康保険証の取り上げ中止と減免制度の拡充(5)「障害者自立支援法」―の応益負担の撤回の五つの緊急重点要求を掲げました。
厚生労働省の職業安定局需給調整事業課は三月一日、労働者派遣の期間制限を「厳正に指導」するとする労働局長あての通達を出しました。小池晃政策委員長が指導の厳正化のために文書での通達を求めていたもので、〇六年九月の偽装請負への指導強化の通達に続くものです。
実質、派遣労働である偽装請負は、就労制限期間をすぎると雇用を申し入れる義務が企業に生じます。これを回避するために、キヤノンなどの大企業は、偽装請負から派遣労働に契約の形を変えるだけでごまかしてきたことが、告発で明らかになっています。
さっそく新しい通達にもとづき、法の厳正な指導を申し入れている労働組合もあります。
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