米牛肉 輸入再開で合意
日米、安全策不備のまま
7月下旬にも解禁狙う
BSE(牛海綿状脳症)の危険部位除去違反で輸入が禁止されている米国産牛肉について、日本側が三十五カ所の米食肉処理施設を事前に現地調査したうえで、輸入再開することを二十一日、日米で合意しました。政府は約一カ月の調査の後、七月下旬にも輸入を解禁しようとしています。
事前調査など追加措置は、月齢確認(生後二十カ月以下)や危険部位の除去違反防止にとって実効性がある対策とはいえず、再発防止の保証のないものです。二十九日に予定される日米首脳会談を目前に、輸入再開に反対する声が相次いだ消費者らとの意見交換会の集約結果もまとめられないまま、輸入再開にむけ追加措置を合意したことは、米政府いいなりの自公政府の姿勢を示すものです。
農水、厚生労働、外務の三省は二十日夜から、米側のランバート農務次官代理らとテレビ電話会談を開催。二十一日未明にいったん中断したものの、同日午前に協議を再開し、輸入再開にむけた追加措置を合意しました。
追加措置は、危険部位の除去や生後二十カ月以下に限るなどとした従来の輸入条件が守られるかを確認する米国の食肉施設の事前調査のほか、検疫所での米国産牛肉の全箱検査、米農務省の「抜き打ち査察」への同行など。対日牛肉輸出の実際の作業で米側のBSE対策の信頼性を直接確認するものとなっていません。
日本側は来週にも事前調査に着手する見通し。
今年一月、日本に到着後、輸入が再禁止されたため保税倉庫に保管されていた牛肉約千二百五十トンも、査察完了後に通関手続きを始める方針です。
首脳会談の手土産
小池政策委員長が批判
米国産牛肉の輸入再開合意について、日本共産党の小池晃政策委員長は二十一日、次の談話を発表しました。
政府は本日、米国産牛肉の輸入再再開でアメリカ政府と合意した。これは訪米の手土産に、国民の安全よりもアメリカの要求を優先するものであり、とうてい許すことはできない。
政府が十四日まで開いた各地の意見交換会でも、消費者や専門家から、アメリカのBSE対策に対し、全頭検査や特定危険部位の除去、肉骨粉の製造・利用の禁止、トレーサビリティー(流通経路情報把握)制度の未確立などに関し、強い不信や疑問が出されてきた。にもかかわらず、今回の合意は、こうした不安や疑問をいっさい解消しないまま、輸入再再開に踏み切るものである。
自国の農産物を相手国に輸出するには相手国の衛生条件にあわせるというのが、国際ルールである。そして全頭検査、危険部位除去は、BSEの危険を排除する最低限の措置である。
わが党は、拙速な輸入再再開を受け入れることに抗議し、この最低限の措置をアメリカ政府がとるまでは輸入しないことを強く求めるものである。
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