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はね返そう 大増税計画
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――〇六年度与党税制「改正」大綱をどのように見ますか。
与党は、“サラリーマン増税をしない”“サラリーマン増税をするという政府税調の考え方はとらない”とした自らの公約を踏みにじって、所得税・住民税の定率減税の廃止を打ち出しました。政府は、来年の通常国会に定率減税の廃止法案を提出。再来年に全廃を実施しようとしています。
その一方で、政府税調が〇六年度税制「改正」答申で、期限切れによる廃止を打ち出していた企業のための研究開発減税の2%上乗せ措置やIT(情報技術)減税などについては、一部縮小するとはいうものの、形をかえて温存するということを打ち出しています。庶民に大増税を押しつけながら、大企業優遇は継続する構えです。
さらに重大なのは、同大綱が、〇七年度をめどに「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでいく」とのべ、〇七年度には消費税の税率引き上げを含めたいっそうの大増税をするという方針を明確に打ち出したことです。
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――こんな増税が実施されたら、国民のくらしは大変なことになりますね。
小泉内閣になってから、さまざまな増税、社会保障改悪による負担増が実施されました。さらに今後の実施が決められているものもあり、これらの負担増が本格化するのは来年です。
例えば、定率減税の半減が実施されるのは来年です。高齢者の年金課税の強化という問題では、今年は所得税が増税されましたが、来年は住民税が増税されます。住民税増税は、国民健康保険料や介護保険料の引き上げに連動します。まさに負担が雪だるまのように膨らみ、今年の何倍もの負担増が高齢者を襲います。
業者の多くのみなさんには、消費税の免税点の引き下げによる打撃が深刻になります。
こうした状況の中で打ち出された定率減税の全廃は、庶民の家計に打撃的な追い打ちをかけることになります。
まさに、くらしや営業をがけっぷちに追い込むだけでなく破壊することになります。国民的大運動で増税をストップさせる大きなうねりをつくりだしていかなければなりません。
――大増税に反対する動きも広がっています。
国民の中には、庶民大増税に耐えられないという声とともに、怒りが広がっています。
例えば最近の世論調査を見ると、定率減税廃止の問題で、朝日新聞十一月二十九日付の世論調査では、定率減税の廃止に反対が57%、賛成21%でした。同紙十一月十九日付では、消費税が二ケタになるということに対して耐えられないと答えた人が61%、耐えられると答えた方が13%でした。
こうした声は新聞の投書欄にも反映されています。朝日新聞十一月十二日付の投書では「増税・改憲は詐欺に等しい」という声が。東京新聞十一月二十二日付には、「改革をさけび、増税案目白押し、富豪と同じ税金に不公平感。私は大増税路線憎む」という声が掲載されていました。
各地の運動の中でも、庶民の怒りにぶつかる経験が数多く報告されています。
庶民増税が直撃する労働戦線では、〇六春闘での最大の焦点が、増税にたいするたたかいです。
全国労働組合総連合(全労連)は第二の賃金闘争とし、増税反対署名を全組合員が一人五人分、五百万人をめざすという方向を提起しました。日本労働組合総連合会(連合)もサラリーマン増税反対で立ちあがっています。
――増税を阻止するために何が必要でしょうか。
増税勢力の攻撃をはね返す学習や宣伝が大切です。
庶民大増税の理由として政府・与党からは、“財政が大変だから”との声があがります。しかし、この財政危機をつくってきたのは、大型公共事業や軍事費の無駄づかいを続け、大企業に対しては減税の大盤ぶるまいを続けてきた自民党政治です。財政危機を口実にするなら、こうした原因をまず改めるべきです。
「景気が回復してきた」ことも、本格的な増税路線にかじを切る理由の一つとして強調されています。しかし、景気が良くなったのは一部の大企業のみで、家計の状況は依然低迷したままです。
こうした現状を顧みず、好調な大企業には減税を温存し、くらしが依然厳しい庶民には大増税を押し付けることにはなんの道理もありません。
庶民大増税の本質と庶民に押し付けられる負担増の痛みを、具体的に明らかにし、反対世論を広げていく取り組みをおおいにすすめていきましょう。
当面のたたかいとしては、十六年前に国会で消費税導入が強行された十二月二十四日を前後する数日間(二十二日から二十五日)に、大増税反対の全国いっせい行動をやろうと消費税廃止各界連絡会(各界連)が呼びかけています。
日本共産党も各界連の構成団体の一員として、この呼びかけにこたえて取り組みます。新しい署名用紙も「しんぶん赤旗」十一月二十九日付に掲載しました。
ぜひ、二十二日から二十五日の全国いっせい宣伝・署名行動に、日本共産党の党機関、党支部、地方議員が総力をあげて積極的に打って出ようということを呼びかけます。党中央の消費税増税阻止闘争本部でも、二十四日に国会議員が街頭にでて訴えます。
同時に、党支部がこうした大増税反対のたたかいを政策と計画に位置付けて取り組みをすすめるということも強調したいと思います。
大増税に対する怒りは、団体、党派をこえて広がっています。広範な人びとに共同を呼びかければ応えてくれるという情勢です。増税反対の一点で、広範な人々と手をつないで運動を広げていくことを重視したいと思います。
国会議員団もさまざまな消費者団体、中小企業団体などに、庶民増税反対の一点での共同の申し入れ活動を始めました。こうした活動を全国でもおおいに広げていくことを呼びかけます。私たちも、その先頭にたってがんばります。
《絶対反対》
「中小小売店に過度の負担を強いる消費税の税率引き上げ絶対反対!」(全国中小小売商団体連絡会の第10回全国中小小売商サミット、12月1日)
《消費に水さすな》
「個人消費に水を差すような政策はとるべきではない」(日本商工会議所の来年度税制「改正」要望、9月14日)
「定率減税の縮減・廃止の回避」(全国商工会連合会の第45回全国大会の意見表明、11月25日)
「一進一退にある個人消費を確実に悪化させる『定率減税』の縮減・廃止には反対である」(日本百貨店協会の来年度税制「改正」要望、7月8日)
《さらなる不安与える》
「将来に向けた道筋が見えないままでの消費税率の引(き)上げは、必ず国民に更なる不安を与えることになり反対です」(日本チェーンストア協会の来年度税制「改正」要望、9月21日)
「徹底した財政構造改革なくして、消費税引き上げを前提とした税制改正に反対」(日専連第60回全国大会の決議、6月9日)
《減税を維持せよ》
「拙速かつ安易な消費税引(き)上げの議論は当面行わないこと。個人所得税・住民税の定率減税を維持する」(全国中小企業団体中央会の第57回中小企業団体全国大会決議、9月15日)
小池氏が紹介した各地の取り組みの例は次のとおり。
〇…神奈川県では、消費税廃止各界連のちょうちんデモに、この間10カ所で1300人が参加。神奈川新聞への意見公告掲載の呼びかけには、予定を上回る3100人の個人と、500の団体の応募がありました。
〇…北海道の各界連では、札幌市内の459の老人クラブ全部に、郵送でチラシと署名用紙を送りました。ただちに59の老人クラブから、1243人の個人署名と29の団体署名がびっしりと記入されて送られてきました。問い合わせも相次いでいます。
〇…東京・北区の各界連は、11月に5000世帯の団地の各戸に事前に署名用紙とチラシを配布。その後、各戸を訪問したら1143人分の署名が集まりました。留守にするからと、団地のドアのノブに署名をいれた袋をつるしておいてくれたり、玄関に署名を張り出してくれていた世帯が100軒もありました。
〇…岐阜県の各界連が、県の旅館ホテル生活衛生同業組合に署名を送付しました。まもなく個人署名575人分が返送されてきました。お礼の電話をかけると、組合の事務局の方が「こんな不況の時に消費税の引き上げは私たちサービス業にとって大打撃になる。絶対に税率引き上げをやめてほしい」。
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