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ホームレスの生命と健康を守るための緊急申し入れ

2002 年 12 月 13 日(金)
日本共産党国会議員団
ホームレス問題プロジェクトチーム

 厳冬期を迎えてホームレスを余儀なくされている人々は、食事も充分でなく、野宿生活という過酷な環境下での体調悪化や体力低下から凍死・病死者が出るなど、悲惨な状況に置かれています。ボランティアや NPO の救援活動も行われていますが、ホームレスの増加に追いついていないのが現状であり、人道上、一刻も放置できない段階になっています。ホームレスは、小泉政権が進めてきた「不良債権の早期最終処理」をはじめとする経済改革によって急増しており、政府が責任を持って解決することが求められています。

 本年七月三十一日に成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」は、ホームレスの自立を支援し、ホームレスとなることを未然に防ぐための生活上の支援などについて、国の責務を明確にしました。国として、この法律にもとづき、ホームレス対策をいっそう実効性のあるものとすべきです。特に、来年四月の支援法施行前におけるホームレスの生命を守るための緊急支援を今すぐに行うことが求められています。また、国と各地方自治体の基本方針の策定を急ぐとともに、策定前にもいっそうの支援策を講じる必要があります。

 以下、国としてホームレスの具体的支援策を緊急に行うよう求めるものです。

一、ホームレスに十分な医療を保障すること

 ホームレスの健康管理や医療に公的医療機関が責任を持つことが重要です。中でも厳冬期の緊急対策として、ホームレスが行き倒れ状態などで搬送された時に対応できるよう、公的医療機関に一定数のベッドを確保しておくことが必要です。東京都では、こういった対策が不十分ながらも始まっています。国としても補助金を出すなどの支援をするべきです。

 ホームレスは、入院すると生活保護の医療扶助制度が適用されるものの、治療を受けて退院すると、すぐに生活保護が打ち切られ、再び野宿生活に戻らざるを得ない実態があります。病院受診が社会復帰の窓口となりうることをふまえ、退院にあたって、働けるようになるまでの必要なリハビリと生活保護による所得保障、居宅の確保を行政の責任で行うよう求めます。

二、日用品支給の補助をすること

 日常生活の需要を満たすのに必要な物品などの支給や、自治体が行っている給食の支給への補助を緊急に行うべきです。厚生労働省は、検討中の補正予算で、医薬品や食料などを含む日用品等の支給に使える『ホームレス緊急援護事業』として二億円を要求していますが、この予算額では増加しているホームレスの生命と健康を守るためには少なすぎます。さらなる増額を求めます。また、補正予算が成立して実際に事業が動き出すのは、早くても来年の二月以降になってしまいます。補正予算を待つことなく、ただちに各自治体に対して日用品支給の補助をすることを求めます。

三、生活ができる就労を国が責任を持って確保すること

 ホームレスの多くは、働く意志がありながら、就労機会がないために仕事に就くことができない労働者です。こうした労働者には、国と自治体の責任で職業訓練を行うとともに、就労経験にふさわしい公的な就労事業を提供し、生活できる賃金を保障することを求めます。同時に、ホームレスの当面の生活を保障するためにも「緊急地域雇用特別交付金事業」の六ヶ月制限の撤廃や複数回適用を認めるなど、改善・拡充することが必要です。

 また、野宿生活にはなっていないものの雇用保険からの給付が切れてしまい、収入の道が無くなった方への就労確保の支援をいっそう充実させることを求めます。

四、住居の確保を国の責任で行うこと

 厳冬期を迎えた現在、ホームレスに対して人間らしい一定のプライバシーが守られる居宅の確保は重要な課題です。そのために、簡易宿泊所の空き部屋の借り上げや公営・民間賃貸住宅の空き部屋の活用、さらに地域住民の理解と協力、ホームレスの同意を得て収容することのできるシェルター(緊急一時宿泊施設)の建設を急ぐことが必要です。またシェルターでは、人間らしい生活ができるように、食事や暖房の完備などいっそうの充実を求めます。

五、生活保護行政を改善すること

 ホームレスが生活保護を受給しようとすると、住所不定や稼働年齢にあることをもって生活保護を拒否される実態が各地で起きています。こういった理由での適用拒否は、生活保護法の運用基準にも、また今年八月に出されている課長通知にも反するものです。国は、ホームレスの窮迫する事態にあたっては、生活保護を積極的に適用するように各自治体に対して、改善の指導を徹底することを求めます。

厚生労働大臣 坂口 力殿

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