2005年8月11日 日本共産党
●総選挙にあたっての訴え
●日本共産党は、野党としてつぎの仕事にとりくみます──7つの重点公約
- 庶民大増税、社会保障改悪に正面から反対します
- 日本を「戦争する国」にしないために──憲法をまもりぬきます
- 過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する動きを許しません
- 平和・友好の「野党外交」で、世界とアジアに積極的に働きかけます
- 人間らしいくらしを実現するために、国民の運動と力をあわせ、政治を動かします
- 清潔で民主的な議会政治をつくるために力をつくします
- 郵政民営化に反対し、郵便局のネットワークと国民へのサービスをまもります
●PDF版(訴えと7つの重点公約)→
国民のみなさん
小泉首相は、参議院で郵政民営化法案が否決されたことを理由に衆議院を解散しました。郵政民営化法案は、「官から民へ」の名のもとに、全国津々浦々の郵便局が国民に提供している公共サービスを深刻な危機に直面させます。また、この郵政民営化は、郵便貯金・簡易保険という「競争相手」を縮小・廃止に持ち込みたいという、アメリカと日本の銀行、保険会社の長年の要求に応えることが一番のねらいで、国民にとっては「百害あって一利なし」のものでした。これが国会で否決され、廃案になったことは、国民世論の勝利です。
それにもかかわらず首相は、衆議院を解散して、何が何でも郵政民営化を押し通そうとしています。「公務員を減らして小さな政府にするためだ」といいますが、郵政事業は独立採算制で、職員の給料も含めて税金は1円も使われていません。「民営化しなければ先細りだ」といいますが、政府の試算でも公社のままなら黒字が続くのに、民営化したら赤字に転落します。こんな口実で、地域の郵便局をなくしてしまうことなど許されません。
みなさん
小泉首相は、郵政民営化を「構造改革の本丸」と呼び、「改革を止めるな」とさけんでいます。しかし、これまで「構造改革」の名のもとに行われてきたのは、年金、医療、介護など社会保障制度の大改悪、「リストラ」応援と賃金破壊など、国民にはすさまじい“痛み”の連続でした。しかも「いまの痛みに耐えれば、希望ある明日が来る」といいながら、「明日」に見えてきたものは、「希望」どころか、庶民を狙い撃ちにする消費税の大増税、サラリーマン増税など空前の大増税計画です。その一方で、大企業は史上最高の利益を上げるようにまでなりました。「強きを助け、弱きをくじく」政治は、日本社会をも殺ばつとしたものにしています。こんな政治のどこが「改革」なのでしょうか。「改革の本丸」という郵政民営化で、国民のくらしや日本社会に、どんな「希望」が見えるというのでしょうか。
今度の総選挙では、小泉首相の進める郵政民営化をきっぱりやめさせ、小泉内閣の4年間の「構造改革」の名による国民いじめの政治へのきびしい審判をくだそうではありませんか。
みなさん
選挙後の新しい国会でただちに態度が問われてくる国政の大問題は、庶民大増税と憲法改定です。自民と民主は、消費税増税とサラリーマン大増税(所得税増税)など、もっぱら庶民に増税を求めるという点では違いはありません。憲法を改定して「海外で戦争をする国」をつくるという点でも、立場はいっしょです。
自民も民主も、庶民大増税と憲法改悪という国政の大問題で、同じレールの上を走っているのです。そしてそのどちらが政権についても連立することを「躊躇(ちゅうちょ)しない」というのが公明党です。こういう政党がどんな組み合わせで政権の担い手になったとしても、日本の政治はいよいよひどくなるばかりです。
みなさん
いま日本の政治には、誰が政権の担い手になろうと、自民党政治にきっぱり対決し、どんな問題でも国民の立場でがんばる、たしかな野党が必要です。その役割をになえるのは日本共産党です。この党をのばしてこそ、政治の閉塞状況を国民の立場で打開し、希望のもてる新しい日本への道を開くことができます。
もちろん日本共産党は、「いつまでも野党のままでよい」という政党ではありません。日本共産党は、21世紀の早い時期に民主的な連合政権をつくることをめざしています。私たちは、この民主的政権にすすまないかぎり、国民の期待にこたえる本格的な改革も、日本の進路の平和的な転換も実現できないと考えています。
しかし、その道にすすむ条件がまだ熟していないいまの段階では、日本共産党が野党としてどういう役割を果たすのかを、国民のみなさんに責任をもって明らかにすることが重要だと考えています。
日本共産党はこの総選挙で、庶民大増税・負担増への大きな怒り、憲法9条をまもりたいという願い、人間を痛めつける政治をやめてほしいという叫びを、国政にまっすぐ届ける野党としての7つの重点公約を、国民のみなさんに訴えます。
日本共産党は、野党としてつぎの仕事にとりくみます――7つの重点公約
【1】庶民大増税、社会保障改悪に正面から反対します
とんでもない大増税・負担増が計画されています……政府税制調査会は、所得税・住民税の定率減税の廃止、各種控除の廃止・縮減で、総額12兆円にものぼるサラリーマンを中心にした国民への大増税案を発表しました。「消費税率の2ケタ化」もいっています。消費税率を10%にすれば12兆円の増税ですから、あわせて24兆円もの増税です。年収500万円、4人家族のサラリーマン世帯では、所得税・住民税で42万円、消費税とあわせると55万円もの増税になります。
「サラリーマン大増税」計画への国民の怒りが沸騰すると、自民・公明はあわてて「タイミングが悪い」などといいだしました。しかし、もともと、所得税の各種控除の「見直し」は、昨年末の自民党・公明党の「与党税調」で合意したもので、政府税調の増税方針はこれを忠実に具体化したものです。公明党は、定率減税の廃止という所得税増税案をいち早く提案し、自民・公明政権は国民の批判を押しきって、来年と再来年で定率減税を廃止しようとしています。
民主党は、「サラリーマン増税に反対」などといっています。しかし、消費税増税を一番熱心に政府にせまってきたのは民主党です。所得税の増税についても、今年七月に発表した「財政健全化プラン」のなかで、配偶者控除や扶養控除の廃止など、政府税調と同じ中身の所得税増税を提案しています。まさに大増税の「旗振り役」になっているのが民主党です。
社会保障でも、負担増と給付削減の連続です。小泉内閣は、医療費の大幅値上げ(サラリーマン本人3割負担など)に続き、昨年は、国民の強い反対を押しきって年金改悪を強行し、今年は、介護保険の改悪を民主党も賛成して成立させました。来年には、再び医療の大改悪が狙われています。社会保障の切り捨て、負担増には際限がありません。いまや国民のくらしをささえるはずの社会保障制度が、逆に国民のくらしに襲いかかっています。
この動きの根源には財界の野望があります……自民・公明も、民主も、もっぱら額に汗して働く国民から取り立てる方策をうちだすだけです。この間くり返されてきた大企業法人税の減税、高額所得者への減税には指一本ふれようとしません。
消費税増税にしても、サラリーマン増税にしても、その根源には、財界・大企業の“自分たちだけは負担を減らしたい”という野望があります。2003年1月に日本経団連が発表した「奥田ビジョン」でも、「もっと法人税は減税せよ」「社会保険料の会社負担分をなくせ」と要求する一方で、消費税は「段階的に引き上げて16%にする」、所得税も「各種控除制度を縮小・廃止する」などの庶民大増税を要求しています。こんな理不尽な要求を言われるままに受け入れる政治でよいのでしょうか。
すでに、これまでの大企業への減税などによって、80年代末には、20兆円近くあった法人税収が、いまや10兆円程度にまで減少しています。その一方で、同じ時期に、消費税の導入、増税が実施され、毎年、12兆円を庶民が負担しています。しかも、いま、大企業は、バブル時代を上回る史上最高の利益をあげ、企業の手元にある「余剰資金」は82兆円にものぼるとされています(民間シンクタンク調査)。このうえ、さらに法人税は減税せよ、その分、庶民に消費税、所得税の大増税を押しつけるというのは、あまりに身勝手な言い分ではないでしょうか。
さらに、大金持ち、とくに大株主、大資産家への優遇もすすんでいます。所得税の最高税率は70%から37%に、住民税の最高税率は18%から13%に引き下げられました。庶民のなけなしの預貯金の利子にかかる税金は20%なのに、大資産家の年間何億円もの株式配当や株式譲渡所得にはわずか10%に減らされました。「右から左へ金を動かすだけ」の株式配当や譲渡所得への課税が、一生懸命働いて得た所得への課税より優遇される税制は、社会のあり方もゆがめてしまいます。こんな不公平は許せません。
消費税増税もサラリーマン大増税も、こんどの総選挙で選出される衆院議員が、新しい国会でただちに態度が問われる問題です。この総選挙で、大増税と社会保障の連続改悪への怒りの声をしめしてください。
――日本共産党は、庶民大増税に反対してたたかいます。
――社会保障の改悪をくいとめるために全力をあげます。
――無駄な公共事業、道路特定財源など、税金のムダづかいに徹底的にメスを入れます。
――史上最高の利益をあげている財界・大企業に相応の負担を求めます。
――“マネーゲーム”、大株主、大資産家優遇の不公平税制をあらためることを要求します。
【2】日本を「戦争する国」にしないために――憲法をまもりぬきます
8月はじめに発表された自民党の改憲案は、9条にねらいを定め、「自衛軍」を書き込むとともに、その任務に「国際社会の平和」を明記しました。民主党も、国連決議があれば海外での武力行使は可能だとして、その立場を改憲案に盛り込むとしています。公明党も「加憲」の名で改憲の流れに公然と合流しました。
いま改憲派が共通してもとめているのは、憲法9条、なかでも「戦力不保持」と「交戦権否認」を規定した9条2項を改変し、「自衛軍の保持」を明記することです。この方向で憲法が改定されれば、自衛隊の現状を憲法で「追認」するだけにとどまらない重大なものとなります。
自民党政府は、憲法9条に違反して自衛隊をつくり増強してきました。しかし、「戦力不保持」と「交戦権否認」という規定が「歯止め」になって、「海外での武力行使はできない」という建前までは崩せませんでした。9条2項を改変し、「自衛軍」を明記することは、この「歯止め」をとり払い、日本を「海外で戦争をする国」に変質させることになります。それは「戦争放棄」を規定した9条1項をふくめた9条全体を放棄することです。憲法9条をなげすてることは、アジアと世界にたいする不戦の誓い、国際公約を破り捨てることであり、日本の国際的信頼のはかりしれない失墜となるでしょう。
憲法を改悪し、日本を「戦争をする国」にしようとする動きの根本に、アメリカの先制攻撃の戦争に日本を参加させようという「日米同盟」の危険な変質があります。アメリカに追随して、無法なイラク戦争を支持し、自衛隊の派兵で加担した小泉内閣の“アメリカいいなり”は世界でもきわだっています。日米安保条約の枠組みさえこえた、地球規模の「日米同盟」への侵略的な大変質がすすめられています。世界的な米軍再編の動きのなかで、米軍と自衛隊の一体化が推進され、基地の共同使用の拡大がはかられています。沖縄をはじめ日本全土の基地は、地球規模の出撃・補給拠点としていっそう強化されようとしています。自衛隊の本来任務に「国際活動」を位置づけ、「海外派兵隊」への本格的な変質をはかる自衛隊法改悪のたくらみも、アメリカの戦争には世界のどこであれ無条件に協力する仕組みをつくろうとするものです。
――憲法をまもりぬきます。憲法改悪に反対するすべての人々と力をあわせます。
――教育基本法改悪は、教育の目的を「海外で戦争をする国」のための人づくりに変質させることとむすびついたものです。この動きに正面から反対をつらぬきます。
――自衛隊のイラクからのすみやかな撤兵を強く要求します。あらゆる海外派兵に反対します。
――「米軍再編」の名による基地強化・永久化に反対します。基地のない日本をめざして、国民とともにたたかいます。
――日米安保の侵略的変質に反対します。「日米安保条約をなくし独立・平和の日本を」という声が国民多数の意見になるよう力をつくします。
【3】過去の侵略戦争と植民地支配を正当化する動きを許しません
戦後60年の今年、小泉首相の靖国神社への参拝問題が、日本でも、アジアや世界でも大問題になっています。この問題の核心は、日本が引き起こした侵略戦争と植民地支配をどう見るのかという歴史認識にあります。靖国神社は、2000万人以上のアジアの人びと、310万人以上の日本国民の命を奪った過去の戦争を、こともあろうに「自存自衛」の戦争、「アジア解放」の戦争だと正当化し、その間違った戦争観、歴史観を国民に宣伝することを使命にしています。ところが小泉首相は、「靖国神社の考えは、政府とはちがう」といいながら、いぜんとして靖国参拝に固執しています。
首相が靖国神社に参拝することは、「日本の戦争は正しかった」という靖国神社の戦争観に、政府公認の“お墨付き”をあたえることになってしまいます。それは、日本政府の公式の立場――「侵略と植民地支配」を反省し謝罪する1995年の村山首相談話、今年、インドネシアのジャカルタで開かれた「アジア・アフリカ首脳会議」での小泉首相自身の言明を、行動で裏切るものです。
これでは、中国や韓国をはじめとするアジアの国ぐにが、日本を侵略の過去を反省していない国とみなすのは当然です。現に、日本外交の破たんは、「国連安保理常任理事国入り」の構想が、アジア近隣諸国からまったく相手にされず、ついにはアメリカにも反対され、にっちもさっちもゆかなくなっていることにもしめされています。
戦後の国際政治は、国連憲章に「侵略政策の再現に備える」(第53条)という規定があることからも明白なように、第2次世界大戦におけるドイツや日本の行為を「侵略」だと断罪し、どの国によるものであれ同様の行為の再現を許さないという決意を前提にして成り立っています。戦後60年たったいま、「日本の戦争は正しかった」などという立場を横行させたら、日本は世界で生きていく道を失います。
日本共産党は、日本外交のゆきづまりが深刻になるもとで、その打開のための提言をおこなってきました。問われている問題の本質が、侵略戦争を正当化する靖国神社の戦争観、歴史観を肯定するかどうかにあることを真正面から提起し、首相の参拝中止をきびしく要求してきました。靖国神社の戦争観、歴史観は、各国大使館や欧米メディアからも注目され、日本のメディアだけでなく欧米のメディアも、侵略を賛美する靖国神社の実態を報道するようになり、保守政界の一部や大手新聞社まで首相の参拝中止をもとめるようになりました。日本共産党がこの問題で果たしてきた役割の根本には、党創立(1922年)以来、反戦・平和を貫いてきた歴史があります。
日本外交のゆきづまりを打開する仕事が、自民、民主にできるでしょうか。私たちは保守の政治家のなかにも、首相の靖国参拝に批判的な声が広がっていることに注目しています。しかし残念なことに、自民、民主には、政党として、今日の事態を打開し、のりこえる力はありません。自民、民主は、「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」に、両党の所属議員が参加していることにしめされるように、それぞれの党のなかに「日本の戦争は正しかった」とする人たちを抱えています。また戦後60年の今年、自民・民主・公明・社民の賛成で、“日本だけが悪いことをしたのではない”などと、日本の侵略戦争を合理化する国会決議がごり押しされました。自民、民主には、日本外交のおちいった深刻なゆきづまりを打開する力はありません。
――日本共産党は、侵略戦争と植民地支配を正当化しようする動きに強く反対します。
――首相の靖国神社参拝の中止を要求します。
――歴史をねじまげる教科書を教育現場に押しつける動きを許さず、少なくとも「侵略と植民地支配の誤りへの反省」という政府の公式見解を、教育と教科書に反映させることをもとめます。
――国家による教育統制、憲法が保障する「思想・良心の自由」を侵す「君が代」・「日の丸」の押しつけに反対します。
【4】平和・友好の「野党外交」で、世界とアジアに積極的に働きかけます
日本共産党は、自主独立の立場、世界平和の道理にもとづいて、積極的な「野党外交」を展開し、世界とアジアの平和と安定のために、各国の人びとと心を開いた対話と交流の努力を積み重ねてきました。
日本共産党は、国連憲章を無視したイラク戦争が切迫してきた際に、アジア、イスラム諸国を訪問し、立場の違いをこえて、多くの国の政府と、国連憲章にもとづく平和な国際秩序をめざすという一致点を確認してきました。また、昨年、アジア35ヵ国83の政党によって開かれた「アジア政党国際会議」に参加し、国連憲章にもとづく「戦争のない世界」「戦争のないアジア」を目標にして、政治、経済、文化の分野での協力を発展させるための対話もおこなってきました。
日本共産党は、つぎの立場にたって、野党外交をさらに発展させます。
――国連憲章の精神にそった平和の国際秩序を確立するために努力します。イラク戦争のような無法な先制攻撃の戦争に断固として反対します。どの国であれ独立と主権を尊重します。
――人類の死活にかかわる核戦争の防止と核兵器の廃絶のために実効ある措置を要求します。
――多国籍企業の無責任な活動を規制し、地球環境や飢餓問題などの解決のために、公正でルールある民主的な国際経済関係の実現をめざします。
――異なる価値観をもった文明間の対話と共存の関係の確立に努力します。
――無差別テロにも報復戦争にも反対し、テロを根絶するための国際的な世論と共同行動を発展させます。
――北東アジアの平和と安定のために力をつくします。日朝関係の前向きの打開のために、「日朝平壌宣言」を堅持し、双方が拉致問題の解決に必要な努力をつくすこと、交渉打ち切りや「力の政策」などをいましめあうこと、「6ヵ国協議」を通じて諸問題を解決することを、働きかけます。
【5】人間らしいくらしを実現するために、国民の運動と力をあわせ、政治を動かします
日本共産党は、野党であっても、国民の運動と力をあわせて、国民の要求を国政に反映させるためにがんばってきました。弱肉強食の経済をつくりだす政治が、「勝ち組」「負け組」などという“格差社会”をひどくしているもとで、日本共産党は、人間らしいくらしを実現するために、国民のみなさんとともに、政治を動かすために奮闘します。
安定した雇用と人間らしい労働のために……財界の「リストラ」とそれを後押しする労働法制の改悪によって、パート、派遣、契約などの不安定雇用が急増し、非正社員が3割にのぼっています。とくに若い世代や女性では、2人に1人が非正社員になっています。正社員になっても、異常な長時間労働と法律違反の「サービス残業」がまかりとおっています。大企業の34歳以下の正社員を対象にした調査では、会社にいる時間は平均でも11時間16分にもなり、約4割が「今の働き方が続くと病気になる」と答えています。
人間はモノではありません。人材を使い捨てにするような働かせ方は、目先のコスト削減にはなっても、中長期的には企業のためにもなりません。
日本共産党は、財界による「解雇自由化」のたくらみをはねかえして、労働基準法に、会社による勝手な解雇を規制する条項をつくらせるたたかいで、大きな役割をはたしました。異常な長時間労働の是正、「サービス残業」の根絶でがんばってきました。国会で1976年以来、240回を超える質問で追及し、2001年には厚労省にサービス残業をなくすための通達を出させ、それ以降、605億円を超える不払残業代が支払われました。
不安定雇用の急速な拡大に歯止めをかけるとともに、非正社員の労働者としての当たり前の権利をまもります。パートや派遣であっても、会社や上司が勝手に労働者を解雇することはできません。正社員との労働条件の不当な差別や格差をなくし、「均等待遇」のルールをつくるために力をつくします。
異常な長時間労働をなくすためにたたかいます。財界の要求をうけて、政府が検討している、サラリーマンを労働時間規制の対象から除外(エグゼンプション)し、残業代を奪うとともに長時間労働を合法化する「ホワイトカラーエグゼンプション」に反対します。
社会保障の改悪に反対し、弱いものいじめの政治とたたかいます……小泉内閣は、年金、医療、介護と社会保障のあらゆる分野で、負担増と給付の削減をすすめ、社会保障制度をずたずたにしてしまいました。国民年金では、未加入や保険料の未納・滞納、免除者が1千万人にものぼっています。未納理由の64.5%が「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」だからです。国民健康保険でも、滞納を理由とした保険証取り上げが30万世帯にもおよんでいます。介護保険でも、特養ホームなどの入居費を平均年間39万円も値上げする法改悪が成立させられました。高い保険料や利用料を払えずに、多くの国民が社会保障制度から排除されようとしています。
失業や倒産、病気などで経済的に苦しくなると、年金からも医療からも見放される、こんな社会で安心してくらしていけるでしょうか。弱者を踏みつける政治は、日本を“非情な社会”にしてしまいます。“金の切れ目が命の切れ目”という社会にしてはなりません。
日本共産党は、「お金がなくて介護サービスが受けられない」という事態を少しでもなくそうと、介護保険の保険料・利用料の減免制度に、国政でも、地方政治でも真正面から取り組んできました。住民のみなさんと力をあわせて、厚労省の妨害もはねのけて、約4分の1の自治体で独自の減免制度が実施されるまで広がりました。
いまこそ憲法25条が定める「生存権」を保障する立場からの社会保障制度の再構築をすすめなければなりません。日本共産党は、その先頭にたちます。
日本共産党は、老後の不安と年金制度への不信を解消するうえでも、いまの年金制度がかかえる様々な不公平や不合理を解決するためにも、「最低保障年金」の実現をめざします。
障害者「自立支援」法案は、障害者の大きな運動で廃案になりました。政府は再提出をねらっていますが、障害が重ければ重いほど負担が重くのしかかる「応益負担」の導入を撤回することを求めます。
年金、医療、介護などの、保険料や利用料、窓口負担の減免制度を拡充させます。国保証の取り上げなどをやめさせます。生活保護の乱暴な切り捨てに反対します。
子どもたちに豊かな教育を保障するために……いじめや不登校、学級崩壊など、学校教育の現状はひきつづき深刻です。この要因はさまざまですが、その根底には、いきすぎた競争と管理による教育のゆがみがあります。日本共産党は国会で、こういう問題にしっかり取り組みながら、教育条件を整える仕事に力をそそいできました。
30人学級の実現にむけて、国会で90回以上とりあげ、2002年には地方の判断で加配教員を学級担任にして少人数学級ができるよう提案してきました。04年にその努力が実り、少人数学級を45道府県に広げる転機をつくりました。さらに、今年の2月には、従来の「少人数学級はやらない」という政府答弁を変えさせて、「推進」を認めさせました。教育条件の改善のための努力をひきつづきはかります。
【6】清潔で民主的な議会政治をつくるために力をつくします
日本の政界で、くり返されてきた「政治とカネ」の問題は、そのほとんどが企業・団体献金をかくれみのにした買収劇です。日歯連事件でも、橋本元首相が1億円を受け取りながら「忘れた」と言い逃れ、こんどは、小泉首相の“盟友”である山崎拓前自民党副総裁が、検察審査会から、日歯連の現金出納簿に氏への3千万円の支出が記載されていたという動かぬ証拠をしめされ、政治資金規正法違反で「起訴相当」の審判を受けました。「迂回献金はない」と断言した小泉首相の責任も問われます。自民党全体に違法な献金がまわり、医療行政をゆがめてきたことがいよいよ明白になってきました。
ところが、自民も民主も、日本経団連に「通信簿」をつけてもらって、財界に献金をせびっています。「二大政党」が、国民への大増税を競い合い、大企業や高額所得者への減税には指一本触れないという政治姿勢になるのも、財界にカネで買収されていることに根本原因があります。
政党助成金も、政治と政党の退廃をつくりだしています。「財政危機だから」といって国民に痛みを押しつけておきながら、政党助成金は「聖域」あつかいし、その総額は創設以来11年で3443億円にものぼっています。自民党も、民主党も、「官から民へ」というのなら、自分たちこそ、政党助成金だのみの「国営政党」から脱け出すべきではありませんか。
――企業・団体献金をただちに全面禁止することを要求します。
――税金を分け取りする政党助成金制度の廃止をもとめます。
――衆院比例代表定数削減の動きに反対します。小選挙区制の廃止をもとめます。
――国会議員年金制度の特権を廃止します。国民の税金を1円も使わず、議員の納める納付金の範囲内で運営するようにします。
――立候補の自由を抑制する、世界に類のない高額の選挙供託金の大幅な引き下げを要求します。
【7】郵政民営化に反対し、郵便局のネットワークと国民へのサービスをまもります
小泉首相は、参院で大差で否決され廃案になった郵政民営化に固執しています。国会の論戦の中でも、国民にとって“百害あって一利なし”という正体がはっきりした郵政民営化は、きっぱり中止すべきです。
郵便局のサービスをこわす郵政民営化……小泉首相は、「民間でできることは民間へ」といって郵政民営化をごり押ししようとしました。しかし、民間がやらない分野のサービスを法律にもとづいて提供しているのが郵便局です。
郵便貯金は、国民のささやかな貯蓄をまもり、「あまねく公平に」(郵便貯金法)国民への金融サービスを保障することを目的とした国営の事業です。そのため、全市町村に郵便局がおかれているのです。一方、銀行は、もうけを優先して、地方でも、都市部でも支店を次々閉鎖し、さまざまな手数料をとるなど、一般預金者向けのコストをけずって利益を増やす経営につきすすんでいます。もし郵便局が民営化されれば、身近な郵便局がなくなったり、金融サービスから排除される人がたくさん生まれたりしてしまいます。
基本的な金融サービスを保障することは世界の流れです。昨年10月の世界貯蓄銀行機構と世界銀行の総会決議は、「金融サービスへのアクセスは基本的な人権である」と宣言し、「金融排除」をなくす目標をかかげました。郵便局のサービスをこわす郵政民営化は、金融サービスをまもる世界のすう勢からみても逆行です。日本共産党は、郵政民営化に反対し、国民の金融サービスをまもります。
まともな理由すら説明できない郵政民営化……小泉首相は、「小さな政府」にするための郵政民営化だと言っています。あたかも郵政事業が税金をムダづかいしているかのような言い方ですが、郵政公社は独立採算で、職員給料にも、事業にも税金は1円も使われていません。こんな口実で、地域の大切な郵便局をなくしてしまうことなど許されません。
政府は、「公社は税金を払わない」とも言いますが、これもひどいごまかしです。郵政公社は、利益の半分を国庫に納付することになっており、民間企業の法人税率より高いのです。しかも、政府の試算では、郵便貯金事業は郵政公社のままなら黒字が続き、民営化されれば600億円の赤字(2016年度)になり、法人税も納めません。国民にとっても、国の財政にとっても、なにもいいことはありません。
「資金の流れを官から民へ」とも言います。これは、小泉首相が「公社である限り、安全運用が重要。多少リスクのある運用はできない」(衆院郵政特別委員会)と答弁しているように、民営化で、郵貯・簡保資金をリスクのある投機的運用に道を開こうということにほかなりません。しかし、国民の大切な生活資金は、国債など安全・確実な運用にするのが当然であって、リスクにさらすような運用をすることなど許されません。
「郵貯・簡保があるから、公共事業や特殊法人等の浪費がなくならない」というにいたっては、政府が自ら浪費型の財投計画を作っておいて、その責任を郵貯・簡保に転嫁するものだといわなければなりません。財投計画に基づいて国債(財投債)を発行しているのは政府なのです。それを郵貯・簡保資金は購入しているだけです。しかも郵貯や簡保だけでなく、民間金融機関も巨額の国債を購入しています。
そもそも、大量の国債発行を計画的に減らしていくためには、歳出のムダや浪費をなくすことで、「蛇口」をしぼらなければできません。それは政府の責任です。
郵貯・簡保の資金を日米金融資本の食いものにさせない……郵政民営化が国民を納得させられないのは、もともと、郵政民営化が、国民の要求ではなく、日米の金融資本の要求にもとづくものだからです。「自由な競争」などといいますが、実態は、銀行や保険会社が、「競争相手」である郵貯・簡保が邪魔だから、長年、規制緩和や民営化を求めてきたのです。しかも、政府の郵政民営化準備室は、米国政府や金融関係者などと18回もの「秘密の会談」をおこない、できあがった法案は、アメリカ側から「要求が盛り込まれた」と評価されていたことが、日本共産党の国会での追及で明らかになりました。結局、郵政民営化とは、身近な金融窓口をなくしたり、高い手数料を徴収するなど、郵貯や簡保の大事な役割を放棄することで、国民の大切な生活資金として託された340兆円の金融資産を、日本やアメリカの銀行、保険会社に移し替えようというものにほかなりません。
こんな郵政民営化だから、「解散の脅し」でしか自民党内部すら「説得」できなかったのです。
――日本共産党は、郵政民営化にきっぱり反対します。
――郵便局の全国ネットワークとすべての国民への基礎的金融サービスをまもり、利用者の立場にたったサービスの向上をはかります。
――郵政事業の自民党による私物化、選挙への郵便局長や職員の動員をやめさせます。官僚の天下りや業界とのゆ着にメスをいれます。
国民のみなさん
日本共産党は、いまの内政、外交のゆがみを大もとからただす日本改革の提案――(1)大企業・財界ばかりを優遇する政治を改め、税金の使い方、集め方を国民のくらし第一に切りかえるとともに、国民のくらしと権利をまもるルールを確立する、(2)日米安保条約=日米軍事同盟をなくして、世界でもきわだった「アメリカいいなり」政治を断ち切り、世界とアジアの平和・友好に貢献する日本にする、(3)憲法の平和・人権・民主の理念を国の政治の基本にすえること――の実現をめざしています。こういう自民党政治の大もとを正す改革の提案をもっているからこそ、自民党政治とも、「自民党型政治」の継承とも真正面から対決して、国民の利益をまもるためにがんばり続けることができます。
日本共産党は、結党以来83年間、どんな迫害にも屈せずに「反戦平和」をつらぬいてきました。清潔・民主主義を自ら徹底して実行してきました。どんな外国による圧力、干渉もはねのけて、自主独立の党としてがんばり続けてきました。
「国民の苦難あるところ日本共産党あり」。これが私たちの立党の精神です。この立場で、国民のみなさんとともに、庶民大増税、憲法改悪などをすすめる「二大政党」にたちむかう、たしかな野党として奮闘します。どうか、みなさんの大きなご支持、ご支援をお願いします。