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日本共産党の障害者自立支援法の影響調査(概要)2008年12月2日(火)「しんぶん赤旗」より 日本共産党の市田忠義書記局長が一日発表した「障害者自立支援法の影響調査」(党国会議員団・障害者の全面参加と平等推進委員会が実施)の概要は次のとおりです。(全文) 1 調査の概要(1)調査目的 障害者自立支援法による影響を利用者および施設・事業所、また地方自治体の実態について把握し、政府が来年に予定している障害者自立支援法「改正」の方向を明らかにする。 (2)調査対象と回収状況 ▽障害者事業所:無作為で抽出した障害者施設・事業所563事業所。回答は177施設・事業所、回収率は31・3%。回答のあった施設・事業所の利用者は合計5996人。 ▽地方自治体:全都道府県および政令市・中核市・県庁所在都市・東京23特別区の合計140自治体。回答は33都府県、66市区町村、回収率はそれぞれ70・2%、71・0%。 (3)調査実施期間 2008年7月30日から8月31日 2 調査結果の概要□障害者施設・事業所 (1)利用者負担について ▽福祉サービスの利用者負担(応益負担)は、もっとも多かったのは「月額1500円以下」で約5割。政府が障害者の運動におされて実施した2度にわたる軽減措置によって、一定程度軽減されていた。しかし、給食代(月額6000円〜9000円程度)と合わせてなお1万円近くの負担を強いられている。通所施設の平均工賃約1万円のほとんどが消えてなくなるという厳しい状況にある。 ▽負担増を理由にサービスの利用を中止・抑制した人は205人で、在籍者の3・4%。また利用料(含む給食代)を滞納している人が「いる」と回答した施設は45%あり、滞納者は176人にのぼった。負担増を理由に、「外出を控える障害者が多くなった」との声が寄せられた。 ▽応益負担制度の今後のあり方について、事業者の7割が「廃止すべき」と回答した。「応益負担制度を維持し、負担軽減の継続・充実」は3割。 (2)事業所運営について ▽報酬の引き下げで「減収」になった事業所が97%。収入減対策では、多くの事業所が、「行事の廃止・縮小」など利用者サービスの後退と「賃金切り下げ」「非正規職員・パート化」など職員の労働条件切り下げを余儀なくされている。 ▽この1年間の職員の離職率は15・6%。1年間に事業所の職員の4割、6割もやめている事業所もあった。理由は、「低賃金」「非正規職員で将来が不安」など。職員募集をしても「募集人数に足りなかった」事業所が56・6%あった。 経営危機打開について国への要望では、「報酬単価の引き上げ」、「月額払いへ戻す」また「正規職員配置を中心にした配置」、「職員配置基準の改善」などが多く寄せられた。 □自治体関係 (1)自治体の独自措置について ▽障害者自立支援法施行後、利用者負担軽減策など独自施策を実施した自治体は、都道府県が57・6%、政令市等が77・3%。多くの自治体が独自施策を講じざるを得なかったことは、障害者自立支援法が多くの矛盾、問題点をもっていることを裏づけている。 なお障害者団体が実施した全国調査では、市町村で独自施策を実施した自治体は22・3%。本調査(政令市、中核市など)で対象にならなかった財政力の弱い自治体では、多くが独自施策未実施であり自治体間格差が生まれていることをしめしている。 (2)地域生活支援事業について (1)国庫補助金の状況 市町村の責任で実施する地域生活事業にたいする国庫補助金額の割合は、事業費にたいして約4割(法律の規定では、予算の範囲内で国が5割を補助)。多くの自治体が多額の費用を持ち出してやりくりしている実態が明らかになった。国の補助金は「不十分」と回答した自治体が7割にのぼった。 (2)自治体の必須5事業について ▽自治体が必ず実施すべき5つの事業(移動支援、手話通訳などコミュニケーション支援など)の利用者負担は、多くの自治体が、国に順じて「原則1割」負担を実施している。 ▽障害者の外出などを支援する移動支援事業では、利用の時間数・回数などを制限している自治体が6割にのぼった。 (3)国への要望 09年の障害者自立支援法「改正」にあたっての課題について、「福祉サービスの利用者負担軽減」は38・6%、「事業者にたいする報酬の改善」が55・7%、「障害程度区分認定の改善」が50・7%、「地域生活支援事業にたいする国の財政支援」が62・1%。多くの課題があることを裏づけている。 ■関連キーワード |
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