2003 年 9 月 11 日(木)「しんぶん赤旗」より
精神障害者の社会復帰施設の新設補助金について、厚生労働省は来年度予算の概算要求に、「来年度、申請のあったものはすべて当初予算で補助できるよう考えた要求額」(担当者)を盛り込んだとしています。要求額は保健衛生施設等施設整備費に含まれ、一括計上で前年比八十七億円増の二百六十九億円となっています。
通所授産施設や福祉ホームなどの精神障害者社会復帰施設を新しくつくる場合、建築や設備整備にかかる費用の一定割合を国が助成します。〇一、〇二年度と補助申請したものはすべて認められました。
ところが今年度は、予算不足を理由に、申請のあった百六十一施設のうち、わずか三十五施設、二割程度しか認められませんでした。
異例の事態に、施設の開設準備をすすめていた自治体や関係者のあいだに困惑が広がりました。精神障害者の関係団体は、厚労省へ緊急に申し入れたり、集会を開くなどして“全額採択”を訴えました。
日本共産党も、小池晃議員が参院厚労委員会(六月十日)で予算確保を追及。坂口力厚労相は「趣旨は心の中に入れておきたい」、「(施設の整備計画について)優先順位、年間計画を明確にしてやっていきたい」と前向きな姿勢で答弁しました。木島日出夫衆院議員は、自治体関係者らとともに厚労省に要請し、補助金の復活を求めてきました。
厚労省は七月末に、四十施設への補助を追加しました。こうしたことから同省は「来年度は補正や追加予算でやりくりしなくてすむよう当初予算を確保したい」としています。
補助金復活を訴えてきた精神障害者の関係団体からは「当初予算に反映されたのは運動の力であり、よかった。ことしの不採択分はまだ半分残っている。この手だてもとってもらいたい」との声があがっています。
当初予算で確保は大事
小池晃参院議員の話 これまで社会復帰施設への補助金は、当初予算で足りない分を補正予算や繰越金で補っていましたから、当初予算で確保するというのは大事なことです。
厚生労働省は、入院患者七万二千人を社会復帰させる「新・障害者プラン」をことしからスタートさせたわけですから、本腰を入れ、十分な予算をつけるべきです。
今年度の相次ぐ補助金不採択で、現場を混乱させた責任は重いと思います。この分も政府の責任できちんと解決するべきです。