1. 利用者負担額について現行負担水準を上回らないよう抜本的に見直すこと。
厚労省は「これまでの公費負担水準を維持する」(支援費制度 Q & A ‘〇一年三月)と言明してきたにもかかわらず、知的障害者施設の入所者について、「日用品費」が必要経費として認められず、このままでは月一〜二万円もの大幅負担増となる。現行負担水準を上回らないよう抜本的な見直しを行うこと。
施設利用料の上限負担額の引き上げはやめること。
成人の利用者については、本人所得にもとづく利用料徴収を原則とし、配偶者や子も含め扶養義務者からの徴収はおこなわないこと。
2. 現行の措置費水準から後退させないよう支援費基準額を見直すこと。
厚労省はこれまで「現行の水準を後退させない」(同上)と説明してきた。しかし、九月に示された支援費基準額(案)では、多くの施設で現行措置費に比べて大幅な減収となる。このままでは施設経営が成り立たなくなり、職員の労働条件の切り下げ、ひいては利用者の処遇低下という深刻な事態が生じかねない。施設・在宅サービスともに現行の措置費水準から後退させることのないよう、支援費基準額を引き上げること。重度・重複障害者や小規模施設の実態に合わせた見直しを行うこと。
旧措置入所者の支援費制度移行にあたって設けられたみなし規定による経過措置が周知されていない。全国の市町村に対し徹底をはかること。
3. 施設・在宅サービスの基盤整備を緊急にすすめること
障害者支援費制度の施設・事業所が一カ所もない市区町村が一四.六%にのぼることが「きょうされん」の調査で明らかになっている。(通所型施設が一カ所もない市区町村は七六・三%。在宅サービスでもホームヘルプ二〇・〇%、デイサービス八六・九%、グループホーム七八・五%)。「選択しようにもサービスが足りない」状況を打開するため、「新・障害者基本計画」において、三年程度の重点期間を設定し緊急の基盤整備を計画的集中的にすすめること。市町村にたいし数値目標と年次計画を明らかにした計画策定の援助と必要な財政支援を行うこと。
4. 市町村の体制確立のための十分な財政措置を行うこと
全ての市町村で障害者の立場に立った情報提供、相談、支援費支給業務等の体制が確立できるよう職員配置基準を示すとともに十分な財政措置を講じること。
支援費移行の準備期間だけでなく来年四月以降も継続して体制を維持させること。
5. 事業者に対し運転資金を手当てすること
支援費は、サービス提供した翌月に請求し、審査等の手続きを経て支払われるため、前払いされていた措置費から支援費に切り替わる際に資金の空白が生じることとなる。事業者にたいして、運転資金として無利子の緊急貸付制度を創設する等の対応をはかること。
厚生労働大臣 坂口 力殿