仕事と家庭生活の両立を願う切実な女性たちの声と運動を背景に、九二年四月に育児休業法が施行されて十年がたちました。現在、育児休業は六割の事業所で制度化されており、出産した女性の五六%が取得していますが、結婚、妊娠を機に退職する女性が多いため、育児休業を利用した家庭の子どもは、生まれてきた子どもの一割程度なのが実態です。 政府は、今国会に「育児・介護休業法改正案(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案)」を提出しています。その内容は、育児・介護休業の取得を理由とする「不利益な取り扱い」の禁止、「勤務時間の短縮等」の対象年齢の一歳未満から三歳未満への拡大、小学校就学前の子どものための「看護休暇」の努力義務化など、一定の改善を含むものですが、育児・介護休業を本当に広範な労働者が取得できるようにする上では不十分なものです。 日本共産党は、一九八八年に育児・介護休業法の法案大綱を発表し、制度の創設を求めました。そして法制定後も、手当の拡充、原職復帰の原則、代替要員の確保、取得による不利益扱いの禁止などをもりこむように提案するなど、一貫して育児・介護休業制度の改善のために奮闘してきました。 今回の政府による育児介護休業法の改正案に対して、日本共産党は、「仕事も家庭も両立させたい」と望む多くの労働者の声に応えて、利用しやすい育児・介護休業制度の実現のために、以下のような修正提案をおこなうものです。 もちろん、育児・介護休業法制度の改正だけでは、仕事と家庭生活を両立できる社会を実現することはできません。保育・学童保育の拡充や、そもそも休暇を取ること自体を困難にしている長時間・過密労働や、男女の賃金格差をなくすなどの労働条件の抜本的な改善が不可欠です。とりわけ、サービス残業の根絶は待ったなしです。日本共産党は、育児・介護休業制度の改善とともに、リストラ競争を応援する自民党、公明党による政治を終わらせ、労働者の雇用と中小企業の経営を守る政治へと転換させるために、力をつくします。 1、育児・介護休業制度の取得をすすめるために、所得保障を現行四割から六割に引き上げ、取得者への不利益扱いを禁止します。 (1)育児休業期間中の所得保障を六割へ引き上げます。