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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

育児・介護休業法案に対する修正提案

仕事と家庭生活の両立をねがう労働者が、本当に利用できる育児・介護休業等の制度にするために
日本共産党国会議員団(2001年5月23日)

 仕事と家庭生活の両立を願う切実な女性たちの声と運動を背景に、九二年四月に育児休業法が施行されて十年がたちました。現在、育児休業は六割の事業所で制度化されており、出産した女性の五六%が取得していますが、結婚、妊娠を機に退職する女性が多いため、育児休業を利用した家庭の子どもは、生まれてきた子どもの一割程度なのが実態です。

 政府は、今国会に「育児・介護休業法改正案(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案)」を提出しています。その内容は、育児・介護休業の取得を理由とする「不利益な取り扱い」の禁止、「勤務時間の短縮等」の対象年齢の一歳未満から三歳未満への拡大、小学校就学前の子どものための「看護休暇」の努力義務化など、一定の改善を含むものですが、育児・介護休業を本当に広範な労働者が取得できるようにする上では不十分なものです。

 日本共産党は、一九八八年に育児・介護休業法の法案大綱を発表し、制度の創設を求めました。そして法制定後も、手当の拡充、原職復帰の原則、代替要員の確保、取得による不利益扱いの禁止などをもりこむように提案するなど、一貫して育児・介護休業制度の改善のために奮闘してきました。

 今回の政府による育児介護休業法の改正案に対して、日本共産党は、「仕事も家庭も両立させたい」と望む多くの労働者の声に応えて、利用しやすい育児・介護休業制度の実現のために、以下のような修正提案をおこなうものです。

 もちろん、育児・介護休業法制度の改正だけでは、仕事と家庭生活を両立できる社会を実現することはできません。保育・学童保育の拡充や、そもそも休暇を取ること自体を困難にしている長時間・過密労働や、男女の賃金格差をなくすなどの労働条件の抜本的な改善が不可欠です。とりわけ、サービス残業の根絶は待ったなしです。日本共産党は、育児・介護休業制度の改善とともに、リストラ競争を応援する自民党、公明党による政治を終わらせ、労働者の雇用と中小企業の経営を守る政治へと転換させるために、力をつくします。


 1、育児・介護休業制度の取得をすすめるために、所得保障を現行四割から六割に引き上げ、取得者への不利益扱いを禁止します。

 (1)育児休業期間中の所得保障を六割へ引き上げます。
   本年一月から、育児・介護休業中は給与の四割が支給されています。しかし、休業を取得しない理由として「経済的に苦しく、生活できない」が四割をしめており、支給額をさらに引き上げることが必要です。また、男性の休業取得率が〇・四二%と極端に低い背景には、男女の賃金格差に加えて、休業中の所得保障が低いことがあり、その要因を緩和することが必要です。

 そこで、休業中の生活保障として、支給率を六割に引き上げます。

 (2)育児・介護休業の取得を理由とした不利益取り扱いの禁止を強化します。
   育児・介護休業、その他の制度の申請・取得を理由とした、賃金や昇格・配属などでのあらゆる不利益な取り扱いを禁止します。

 休業終了後の職場復帰にあたっては原職復帰を原則とし、事業主は、復帰にあたって本人の希望を十分に配慮しなければならないものとします。

 また、育児・介護休業取得に対する職場の合意形成のために、事業主が、制度の趣旨を周知徹底するなどの責任を明確にします。


 2、中小企業でも取得しやすいように事業主への助成額をひきあげます。

 休業取得が他の労働者の過密労働、長時間労働を助長することとならないよう、休業中の代替要員を確保し、休業者を原職復帰させた場合の助成制度を拡充します。とくに、中小企業に対する助成額を引き上げて、取得の促進をはかります。

 3、休業期間の延長、育児・介護時短制度、分割しての取得など、多様なニーズにこたえられる制度にします。

 (1)休業期間を延長
   現行法は、育児休業期間を上限一年とし、連続取得することとしています。これを、原則一年とし、保育所入所事情などやむを得ない理由がある場合には、さらに一年以内の延長ができるようにします。また、育児休業を父親、母親が何回かに分割して取得できることとします。

 介護休業は上限三カ月、連続取得となっているのを、通算一年に延長し、断続的にとれるようにします。

 (2)育児・介護時短制度の創設
   政府の改正案は、育児・介護休業を取得しない労働者に、それに代えて勤務時間の短縮やフレックスタイム、託児施設の設置などをおこなう子どもの対象を、三歳未満までとしています。これを、小学校就学前までの子どもや介護の必要な家族のいる労働者まで拡大し、勤務時間の短縮を事業主に請求できることとします。
 こうして、育児や介護の状況におうじて、全日休業型と短縮勤務型とを組み合わせられるようにします。

 (3)時間外労働、休日労働、深夜労働の免除
   小学校就学前の子どもの養育や家族の介護を行う労働者が、「時間外労働、休日労働の免除」を請求できるようにします。深夜労働の免除は、現行法の小学校就学前の子どもまでを中学校就学前までに広げます。また、中学校就学中についても事業主は、免除できるよう努めることとします。

 義務教育終了前の子どもを養育し、要介護の家族を持つ労働者の「時間外労働の上限」について、政府改正案では「月二十四時間、年百五十時間」となっているのを、一日の上限を加えて、「一日二時間、月二十四時間、年百五十時間」とします。

 これらの申請ができる期限は、現行法の「一カ月前」を、「一週間前」までに改善します。

 4、家族休暇制度を創設します。

 子どもや家族の看護、子どもの健診、授業・保育参観などの保育所・学校行事、配偶者の出産も対象とした「家族休暇制度」を事業主に義務づけます。日数は、両親それぞれ年十日以上(一人親家庭の場合は二十日以上)とします。

 5、パートや派遣、臨時労働者なども取得しやすいものとします。

 現行法では、適用対象から、「日々雇用されるもの」「雇用された期間が一年未満の労働者」はのぞかれ、実際は、パートや臨時、派遣労働者などは取得ができない状況です。年次有給休暇の取得は、半年勤続後から認められていることも考慮し、育児休業、介護休業、家族休暇、時短制度などを、六カ月以上勤続している労働者すべてに適用し、パートや派遣労働者・臨時労働者などが取得しやすいものとします。
 

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