日亜化学の偽装請負を告発した労働者の雇用確保についての緊急要請
日亜化学(徳島県阿南市)の偽装請負を告発した労働者が9月末で雇い止めされようとしている問題で9月1日、日本共産党国会議員団は、厚生労働省に雇用確保を求める緊急要請を行いました。要請したのは小池晃、仁比聡平、山下芳生の各参議院議員です。
厚生労働大臣 舛添 要一 殿
日亜化学の偽装請負を告発した労働者の雇用確保についての緊急要請
2008年9月1日 日本共産党国会議員団
徳島県の日亜化学工業(株)で請負労働者として働いていた島本誠氏らが、昨年7月に偽装請負を再申告していた件で、徳島労働局は8月20日、偽装請負の事実があったことを認定し、日亜化学工業(株)と派遣元のCTB(シーツービーテック)に対し、是正指導したと島本氏らに報告してきた。同時に告発した労働者の直接雇用については、派遣期間制限の通知などの不備を理由に、直接雇用申込み義務はないと判断した。これは、派遣法の趣旨を無視した形式的な判断で到底容認できない。
派遣先の日亜化学は、8月29日に偽装請負を告発していた島本氏ら労働組合員の仕事を再び打ち切り、職場から追い出しを図る暴挙にでた。具体的には「日亜から9月末をもって契約を打ち切るとの通告があったので9月末で雇い止めになる」(CTBから労働者への連絡)というものである。
違法な偽装請負で働かせていた日亜化学は、組合員らが加入するJMIU(全国金属情報機器労組)との間で、06年に偽装請負を是正し千六百人の請負労働者を直接雇用・正社員化すると約束していた。それを反故にしたため、組合員らは派遣法で禁じる不利益取り扱いを行っているとして、直接雇用を求めて昨年7月に申告していた。その際、日亜化学は社会の批判もあって、100%子会社の日亜興業名で派遣元のCTBを通じ、当該労働組合員に工場の構内清掃等の仕事を発注してきた。その経過については徳島労働局も承知をしており、8月18日の日本共産党国会議員団の調査・要請の際も否定していない。
これまで厚生労働省は、偽装請負の是正にあたって「告発した労働者らの雇用が失われ
ないようにしなければならない」と再三回答してきた。また現在、労働政策審議会では労働者派遣法改正案が審議され、違法な働かせ方をした際の直接雇用問題が焦点となっている。その最中に偽装請負を告発した労働者の雇用が失われるようなことは断じてあってはならず、労働行政の真価が問われている。しかも、日亜化学は製造請負で現在も求人をしており、彼らの雇用を失わせないことは十分可能である。よって厚生労働省が以下の通り対応されるよう、強く要請する。
◎偽装請負を告発した労働者らを「雇い止め」の名で解雇することは許されず、緊急に日亜化学、CTB、労働者から事情を聞くと共に、少なくとも告発した労働者の雇用を失わせないよう、手立てを講じるよう求める。
◎偽装請負を告発し直接雇用を求める申告事案は判明しているものだけで10例を超えている。この際、申告者らの雇用確保についての緊急調査を行うとともに、同様の申告事案について、労働者派遣法の形式的な判断にとどめず、法の趣旨にそった直接雇用申込み義務のあり方を再検討するよう求める。
以上
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