トヨタ過労死 労災補償を支給
内野さん 「夫の頑張り認められた」
トヨタ自動車堤工場(愛知県豊田市)で二〇〇二年二月、勤務中に倒れて亡くなった内野健一さん(当時三十歳)の過労死裁判勝訴確定を受けて、豊田労働基準監督署長が六日付で遺族補償年金の支給を決定。内野さんの妻で原告の博子さんと弁護団が十日、労基署長から説明をうけ、名古屋市中区内でマスコミ発表しました。
博子さんは「自主活動を含む時間を業務と認めた労災認定をうれしく思う。ようやく、本当に夫のがんばりが認められた」「本来なら六年前にこの決定が出るべきだった」と語りました。
また会社に対して「(自主活動などは)定時内に行うなど、何らかのルール変更がされると思う。過労死を二度と起こさず、労働者や家族、地域、下請け企業も大切にした世界一のいい会社になってほしい」と述べました。
労基署は、健一さんが上司と一緒に会社にいた時間を基礎に、サービス残業として問題になっていた「QCサークル活動」なども、名古屋地裁の判決に則して労働時間に算定しました。この結果、平均賃金日額は、会社が監督署に提出した一万五千六百五十三円を大きく上回る二万百三十五円となりました。しかし労基署は、トヨタに対して残業代支払いの勧告は予定していません。
水野幹男弁護士は「労基署は監督行政の立場から、判決をもとに企業をきちんと指導すべきだ。その姿勢がないのは残念だ」と指摘。田巻紘子弁護士は「トヨタ以外の企業でも、この決定をスタンダード(標準)にしてほしい」と述べました。
今後、トヨタに対して、サービス残業分の支払いを求めていく考えも明らかにしました。
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内野さんの過労死認定のたたかいを日本共産党は国会内外で取り上げ、支援してきました。判決後の昨年十二月には小池晃参院議員が厚生労働委員会で「控訴すべきでない」と質問し、その後、国が控訴を断念。今年一月には内野さんとともに小池氏、佐々木憲昭衆院議員、八田ひろ子元参院議員(衆院東海ブロック比例候補)が舛添要一厚労相に遺族補償年金の是正を要請し、舛添氏は「調査したい」と答えていました。
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