特別養護老人ホームの待機者(入所申込者)が全国で三十四万人以上にのぼっていることが、厚生労働省の調査で三日までに明らかになりました。厚労省が待機者の全国調査を行ったのは、介護保険制度発足以来始めてです。
日本共産党の小池晃政策委員長が、特養待機者が三十二万人を超えるという党国会議員団の独自調査を国会(十一月四日の参院厚労委員会)で示し、介護施設の整備が緊急に必要なことを訴えたのにたいし、尾辻秀久厚労相が「こういった数字ならこのまま放置できない。数のところから調べていきたい」と調査を約束していたものです。
待機者は、入所を申し込みながら満員のため、自宅や特養ホーム以外の施設でベッドがあくのを待っている高齢者です。厚労省調査は都道府県からの報告をもとに集計したものです。複数の特養ホームへの申し込みを重複して数えているのが九県で六万九千人。重複を排除して調査している三十六都道府県の合計が二十六万九千人です。合わせて約三十四万人になります。二県は未調査になっているため、これを上回る待機者となります。
自宅で待機している高齢者は、在宅、非在宅で調査している三十六都道府県だけで八万四千人となっています。介護保険実施前の旧厚生省の調査では、一九九八年度で在宅者と一般病院に入院している人を合わせて約四万七千人でした。要介護度別に調査している二十六都県で、要介護4以上の重度者の割合は四割近くにのぼります。特養ホームの整備の緊急性を厚労省みずからの調査で裏付けたもので、厚労相が答弁したとおり、放置できない問題です。
ところが、厚労省の介護保険見直し案では、特養ホームの建設計画などを示した「ゴールドプラン」を打ち切ったうえ、二〇〇五年度から創設する新しい「地域介護・福祉空間整備等交付金」として特養整備費を計上し、〇四年度予算に比べて削減しています。特養待機者の問題をさらに深刻化させることになります。