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シリーズ 命と暮らしの焦点 日本共産党国会議員に聞く
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―薬害肝炎問題は大きなヤマ場を迎えています。日本共産党の国会での追及で新たに解明されたことは何ですか?
大阪高裁と福岡高裁で和解勧告が出されて全面解決に向かっての議論が本格的に始まっています。国会では、旧ミドリ十字(現田辺三菱製薬)が二〇〇二年に厚生労働省に報告した感染者が特定できるリストが地下倉庫に放置されたまま眠っていたことが判明して大問題になりました。
党の国会議員団は、この問題を〇二年の時期に限定せず解明に努めました。「フィブリノゲン」製剤による被害が発生した一九八七年の当初から被害者を特定できる副作用報告書があるのにその資料はどうなっているのかをただしました。その結果、大事な命の記録を原本も写しもすべて破棄していたことが明らかになりました。
もう一つは、八七年に青森県で集団感染をした時に厚生省薬務局からミドリ十字に天下った今村泰一東京支社長と、同省官僚が副作用被害隠ぺいのために克明に打ち合わせをしていた記録を暴露しました。薬害隠しは、製薬企業に天下りした先輩と、後輩の現職官僚が共犯で二十年前から行った犯罪であると、追及しました。
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―党の国会議員団は、薬害肝炎が大きな問題になった〇一年当初から早期救済と真相究明、国の責任について質問してきました。
そうです。国の責任で早期発見と治療を行う救済の施策を政党では最初に要求しました。〇一年に無料でC型肝炎検査ができるように制度の創設を要請し、〇二年には予算化させました。
国の責任についても、感染の危険性を予見できたことを新しい文献を示して明らかにしました。
「フィブリノゲン」製剤は、数万人の血漿(けっしょう)をプールしてつくります。その血漿に一人でも肝炎ウイルス感染者がいたらすべてが汚染されるのできわめて危険性が高いのです。これは承認・販売された六四年当時から指摘されていたことです。
六七年には審査が厳格になり、医薬品再評価によって安全性についてチェックされるはずでした。ところが旧ミドリ十字は「フィブリノゲン」を「フィブリノーゲン」と一文字だけ変えて「新薬」扱いにして再評価を逃れ、販売を続けました。七三年には米国医師会が「フィブリノゲン」製剤から肝炎に感染する危険を指摘。翌年、厚生省は添付文書を書き換えさせています。七七年、米国食品医薬品局(FDA)は「フィブリノゲン」製剤の製造・販売の中止を決めました。
日本ではその後も使われつづけたわけで、国の責任は二重、三重に重いといえます。
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―何度も承認・販売を見直すチャンスがありながら、それが放置されたのはなぜですか?
六五年に米国のライシャワー大使が暴漢に襲われる事件が起き、輸血が原因で彼は急性肝炎になりました。この事件をきっかけにして危険な「売血」が社会問題になり、禁止されます。売血でもうけてきたミドリ十字は、存亡の危機となり、生き残りを図るために「フィブリノゲン」製剤を社運を賭けて商品にして販売しました。危険と分かっていても売り続けた。それを可能にしたのは、たくさんの天下りを受け入れて、厚生省に販売の継続を容認させてきたからです。また、製薬企業は自民党はじめ、厚労族議員に多額の献金をしてきたのです。
―早期全面解決にとって大切なことは?
被害者の救済は待ったなしです。感染時期や投与された製剤の違いなどで選別することなく全員の救済を図ることです。
先にふれたように薬害肝炎は決して「不幸な出来事」(与党「肝炎基本法案」)ではなく、危険性を知りながら企業の利益を優先した政・官・業の構造的癒着が生んだ薬害事件です。真相を徹底的に解明して法的責任をあいまいにせずに被害者に謝罪することが二度とこうした事を起こさないための保障です。
党国会議員団は、企業・団体献金を受け取らない唯一の党として政治家への献金、官僚の天下りにメスを入れることを一貫して追及してきました。製薬企業の利益は、国民が払った医療費です。そうした利益が政治家に流れて、被害は国民が負うという構造をなくさなければなりません。二度と薬害を繰り返させないという被害者の命をかけた、たたかいに応えるためにも癒着の構造を断ち切るために力をつくします。
聞き手・菅野尚夫
写真・山形将史
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