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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

「原爆症認定制度の抜本的改善を要求する」
日本共産党の厚労相への申し入れ

2007年10月19日(火)「しんぶん赤旗」より

 十八日、日本共産党被爆者問題対策委員会が舛添要一厚生労働大臣に申し入れた「原爆症認定制度の抜本的改善を要求する」は次の通りです。

 広島・長崎への原爆投下から六十二年を経たいまも、多くの被爆者が体や心、暮らしの苦しみをかかえながら、日本と世界で「ノーモア・ヒバクシャ」と訴え続けている。この被爆者のねがいにこたえ、その苦難を軽減し、核兵器のない世界のために努力することは、被爆国の政府、政治家の責任である。

 しかし政府・厚労省は、原爆症認定問題に象徴されるように、原爆被害を過小評価する態度をとりつづけている。日本共産党は、原爆被害の実態を直視し、このような惨禍を決して繰り返させてはならないとの立場から、これまで一貫して原爆被害への国家補償の要求を支持し、また在外被爆者への援護法適用のための改正案を提案してきた。現在、被爆者施策で最大の焦点、緊急の課題となっている原爆症認定制度の抜本的改善をはじめ、これらの課題の実現を強く要求する。

 《認定制度の抜本改善は不可欠》

 原爆症認定集団訴訟のこれまでの六つの判決すべてで国が敗訴し、やっと見直しのために「原爆症認定の在り方に関する検討会」が設置され、議論が開始された。厚労省は、すべての判決が、国が認定基準とする「審査の方針」をきびしく批判していることを、深く自省して受け入れるべきである。抜本的な見直しは不可欠である。

 これらの判決は、ごく初期の放射線被ばくだけを判断材料とし、放射線降下物などによる残留放射線の影響をほとんど無視した基準によって、放射線起因性を判断することを強く批判した。そして被爆状況、被爆直後の行動や急性症状、今日にいたるまでの健康や疾病の状態などを全体的、総合的に判断すべきであること、また被爆時から積み上げられた放射線の人体影響に関する研究成果とともに、なお未解明である点を考慮して判断すべきであることなどを指摘した。これまでほとんど認定が却下されてきた多くの遠距離被爆者、入市被爆者についても、認定すべきだとの判断をくだした。

 厚労省は今度こそ、「科学的・専門的な知見」に基づくとはいえない「審査の方針」と、その機械的な運用に固執する態度を改めなければならない。司法の判断、さらに被爆の実相に真摯(しんし)に向き合い、小手先の手直しではなく、認定制度の抜本的な改善に踏み切るべきである。すでに四十人近くの原告が亡くなっており、いたずらに時間をかけることは絶対に許されない。

 《認定制度改善の基本方向について》

 日本共産党は原爆症認定制度について、日本被団協の改善要求を支持し、集団訴訟の全面的な解決とともに、以下のような抜本的な改善を要求する。

 (1)被爆の実態をわい小化し、被爆距離や「発症確率」によって機械的に切り捨てる、現在の認定基準「審査の方針」を廃止すること。

 (2)被爆状況、被爆直後の行動や急性症状、被爆時から現在にいたる健康や疾病の状態などを全体的、総合的に判断し、かつ放射線の人体影響についてはなお未解明であることなどをふまえて迅速に認定を判断できる、次のような新「認定基準」を設けること。

 (1)放射線起因性が認められる疾病・負傷で、医療を要する状態にある場合は、審査を経ることなく原爆症と認定する。

 (2)上記対象の疾病・負傷は政令で定める。医学の進歩発展をうけ追加する。

 (3)政令の定めにはないが、放射線に起因すると考えられる疾病で、医療を要する状態にある場合には、審査を経て厚生労働大臣が認定する。

 (3)認定審査にあたる「疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会」を、放射線の人体への影響についての知識と被爆者医療に経験のある委員で構成し、また半数は被爆者団体が推薦したもので構成すること。

 《在外被爆者への援護法の適用》

 海外に在住する被爆者が、被爆者健康手帳の取得、原爆症認定申請を含め、被爆者援護法を全面的適用されるよう法改正をおこなうこと、また安心して医療が受けられるよう、医療費助成の上限枠撤廃を要求する。

 「唯一の被爆国」である日本政府が、広島・長崎での真実、今日までつづく原爆による被害と、原爆投下は絶対に許せないことを、一点のあいまいさもなく明確にして世界に広げ、またアメリカの核抑止力を必要とする矛盾にみちた政策を改めるなら、核兵器廃絶の実現へ国際的な責務を果たすことができる。核兵器の脅威からの人類の解放につながる課題として、被爆者の真の救済にとりくむことを重ねて強く要求する。

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