健康保険の加入者が地震や風水害などの災害で大きな被害を受けた場合に、医療費の窓口負担を減免・猶予する制度が十月から始まります。厚生労働省は九月上旬に、どのような災害が対象になるかなど減免の条件を定めた省令を公表します。
新たに対象となるのは、中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険、大企業の労働者が入る組合健康保険と船員保険です。
国民健康保険や高齢者が対象の老人保健制度には、すでに災害時の減免制度が導入されていました。しかし、健康保険にはこのような規定がなく、制度間で取り扱いが異なっていたことから、新たに減免規定が盛り込まれました。
省令では、減免を実施する際の条件について、震災や風水害、火災によって、住宅や家財に著しい損害を受けた場合などを盛り込む方針です。
患者負担をどれくらい免除するか、所得制限を設けるかなど詳細な条件は、健康保険組合など各保険者がそれぞれの財政状況に応じて決めることになります。
この問題については、日本共産党の小池晃参院議員が、二〇〇四年の新潟県中越地震後に参院厚生労働委員会(同年十一月九日)で取り上げ、災害時の健康保険の加入者の窓口負担を国保と同様に減免することを要求。尾辻秀久厚労相(当時)は「政府全体で検討する」と答弁していました。