原爆症認定集団訴訟で広島地裁が原告全員を原爆症と認める判決を出してから一夜明けた五日、広島市内で「今こそ扉をあけよう」のスローガンを掲げて、「判決報告集会」が開かれました。控訴させず、厚生労働省の認定制度の抜本的改定をかちとっていこうと、「原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク」が主催しました。
判決を見ることなく昨年亡くなった原告の萬膳ハル子さんの陳述書を女優の大原穣子さんが朗読しました。やけどで生きながらうじがわいたこと、ケロイドのために好きな人をあきらめたこと、妊娠しても「原爆にあったものが子どもを産んじゃいけん」と周りの反対で中絶したこと…。会場は静まりかえりました。
原告団長の重住澄夫さん(78)は「もう裁判をやめたい」という原告もでるなかで励まし合いながら三年間たたかってきたと語りました。原告の丹土美代子さん(74)は、厚労相に「控訴するな」のはがきを送ってくださいと訴えました。
日本被団協の坪井直代表委員があいさつ。広島弁護団の佐々木猛也団長が判決の意義を語りました。
民主、社民の国会議員と日本共産党の小池晃政策委員長・参院議員、井上哲士参院議員、笠井亮衆院議員が登壇。小池氏が「国会の場で議論が必要。超党派のとりくみを含め、認定行政を変えるためたたかっていく」と決意を語りました。
歌手の横井久美子さんのリードで大合唱。急きょ作製された「控訴せんで!」のうちわが、五百人が集まった会場でゆれました。
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この日は、原水爆禁止世界大会でも「原爆症認定集団訴訟の支援をつよめよう」の分科会が開かれました。「被爆者との結びつきを強めよう」「訴訟をたたかう全国十五地裁で厚労省に認定制度を改める勧告をださせるよう運動しよう」と議論しました。